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April 29, 2005

カミングアウトした者の強み

彼の作品が選ばれたのは、先に覚悟を決めたからだ。

 相変わらず、原稿と戦う朱鷺田です。Blog更新が遅れたのも多忙のせいということで。GWはなさそうです。そういうわけで、今回は割と雑記的に。

 ホラー界の魔王、友成純一の「覚醒者」をやっと購入。
4年ぶりの新作はクトゥルフ神話です。いきなり福岡を襲う直下型地震の話から入るあたりが、妙にタイムリー。
 私も『真・女神転生』の誕生篇のリプレイで地震の話を書いたら、神戸大震災が起き、生物兵器の話を書いたら、オウム事件が起きたという怪談めいた経験がありますので、偶然かと思います。クトゥルフ物と地震はつきものなので。
 しかし、登場人物のアル中話の際に、酒が飲みたくなる自分に反省。

 今週のマガジン、「ヴィンランド・サガ」第三回は、ヴィンランド伝説の解説と、アイスランド生活の描写。
 確かこの時期は、氷河期とはいかないまでも、寒冷化が激しかった時期ではないかと。もしかすると、それまでが比較的暖かい時期で、それが終焉しつつある時期かもしれないな。これはあとで調べないとね。
 お姉ちゃんが寒くて、主人公のベッドにもぐりこんでくる場面は「萌え」シーンのように見えますが、リアルな生活感かもしれない。冬は子供を抱っこして寝るとあったかいです。ええ。
 ROSE HIP ROSEは、ヒロインの出自が判明。麻薬でホルモン分泌を異常に活性化させた「五感の怪物」とか。どう強化されているかが明確でよい。

 水曜日は学校。04年度生ライター科の合評会。合評会は毎学期の末に、作品を提出して、関係講師全員の講評を受けるもの。基本的に、酷評が次々飛び出すのが常。生徒にとってはHARDなイベントだが、実力を試す場でもある。
 04年度のライター科は、編集・雑誌ライター系とシナリオ・小説系に分かれており、私はシナリオ・小説系の方に出席。ゲーム学校なので、普通の青春小説もあれば、ゲーム化・アニメ化を念頭に置いたシナリオもあれば、美少女ゲーム化前提のエロもある。ゲーム化前提のものならば、設定や企画としての可能性も評価される。正直、商売として対応できそうにないのは、多少、書けていても酷評される。
 例えば、ロボット・アニメ向けのシナリオを書いてきて、ロボットに特色がないのはどうだろう?

 さらに、誰でも突っ込める設定にミスがあるのは不勉強の証拠だ。
 コルト45に毒薬入りの麻酔弾を詰める? 何を考えたら、そうなる?
 いや、近未来の強化兵士を主人公にしておいて、130年前のリボルバーを出す理由ひとつ考えてこない。
 44マグナムを出して、「ダーティ・ハリー」すら出てこない。
 ああ、銃に欠片も愛情がないのかなあ?

 結局、最優秀と讃えられたのは、1学期から一環して、美少女系を書いてきた男子学生と、最近、覚悟を決めて、現代物に挑戦した女子学生。特に、前者は1学期にいきなりメイドものを書いてきて、全員を驚愕させたのだが、実は、こういう人のほうが結局、いい成績を取ることが多い。

 覚悟があるからである。

 ゲーム学校に入って、ゲーム業界に入りたいと言っても、実際に就職できるメーカーは千差万別、大手のコンシューマー系から、やや小規模ながら、独自のラインを模索するPC系、主に美少女専門、あるいは、携帯コンテンツ系、あるいは、攻略本を作る編集部や編集プロダクションまで、色々ある。
 そこで、自分が「これがやりたい!」と早めに見つけて、そこに向かって必要な努力ができた人が、専門学校で大きく伸びるのである。ところが、やはり人間、気恥ずかしいときもある。「美少女ゲームメーカーに行きたい!」と思っていても、公言するに躊躇う人もいる。
 でもね、クリエーターになる、というのは、一生、そこで生きるということだよ。
 恥ずかしいと思うことで、一生は食えないよ。

 だから、早めにカミングアウトしなさい。

 それが覚悟を決めるということだよ。
 専門学校というのは、その職種に合わせた技術を身につけるのと同時に、その業界の中で自分に向いたジャンルをきちんと見定める機会を与える場でもある。漠然と「ゲーム・クリエーターになりたい」と思って入学した人が、卒業までに「こんなジャンルで作品を作りたい、いや、作る!」になって欲しい。そのためにはトライ&エラーが必要であり、カミングアウトすることはその第1歩である。
 覚悟を決めると、それだけに集中できる。
 ロボット物が書きたいと思ったら、あとはひたすらロボット・アニメを見る時期が必要だ。講師と張り合って、今、放映されている全てのロボット・アニメを語れるくらいの覇気が欲しい。あることにこだわり切ったら、その手法は他のジャンルにも応用できる。

 PHP新書に、林望の「知性の磨きかた」という本がある。
 林望は、江戸文学の専門家でありながら、英国留学の間に、英国通となり、英国生活のエッセイを書いて有名になった人で、リンボウ先生の異名で知られている。英国好きの妻に頼まれて買った本だが、「研究の手法を学べば、それは様々な分野に応用できる。その方法を学ぶことこそ知性を磨くことだ」という趣旨である。彼は江戸文学研究で得た手法で、英国文化を分析、それを己のライフスタイルにするまで吸収した。

 ゲーム・クリエーターも一緒である。
 一つのジャンルにこだわり、その体験を分析する方法を身につければ、他のジャンルにも応用できる。だから、若いうちに、一度、底の底まで一つのことにこだわって欲しい。それが一つの財産になるのだ。
 「ブルーローズ」で、世界史をもう一度書く作業は、とんでもない話であるが、確実に今の私の財産になったし、それがあるから、頼まれる作品もある。

 えー、関係者の皆様へ、業務連絡。仕事場の電話が不調なので、通じなかったら、携帯へよろしく。急がない用事はメールへ。
 上に、TRPGのルールブックとか資料本とかの山が崩れ落ちてから、変な感じです。なんか赤い光が点滅しているし。崩れ落ちたルールブックの中に「ブルーローズ」があったかどうかは記憶にありません。

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黒い森の祠で、ヴィンランドサガについての感想Up。 あと、創作活動について、非常に示唆に富んだ文章があったのでメモ。 Lissehwestlambeでの相良氏のつぶやきにも関係ある? ...... [Read More]

Tracked on April 29, 2005 at 11:29 PM

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