俺を番号で呼ぶな!
「PC1のあなたが主人公です。お話を引っ張って下さい。
ああ、ヒロインが出てきたら、彼女に積極的に絡むのもあなたの役目です」
しばらく前に、知人の主催するコンベンションに遊びに言って驚いた。
開会式で、マスターがシナリオ説明をするのは恒例のことだが、そのマスターたちが次から次へと「PC1は~~で、PC2は~~で」と、ハンドアウトを読み上げながら、説明を始めるのである。
どうやら、いわゆるPC枠制度がしっかり染み付いており、プレイヤー側も、PC1という立ち位置も、単にPCその1ではなく、シナリオ運用に欠かせない「主人公」役で、NPCのヒロインGETの担当、PC2なら、PC1と絡む補助系、PC3ならチーム全体のサポート役・・・といった感じで枠に意味を感じており、自分に似合ったPCタイプがプレイできるかどうか、その枠説明に聞き入っていた。
ご存知の通り、私は、アドリブ・マスターの傾向が強いこともあり、あまりPC枠制度を使うことは少ない。特に、誰が主役というのも、行き過ぎのように感じるので、PC1=NPCヒロインとのラヴロマンス担当という、思考回路は持っていなかった。
そのため、主人公性やセッション中の立ち位置、NPCヒロインとの関係も含めて、PC番号制度がここまで浸透しているのを見た時はある種の衝撃を受けた。一瞬、「何、これ?」とも思ったが、参加者はすべてわかっているようだ。PCがすべてネコミミ・キャラなのに、PC番号制度で進めるマスターまでいたが、私にはそこまでする意味も分からなかった。
実際、PC枠制度は、ハンドアウトとともに、「物語再現」をしたいマスターにとって、非常に便利なものである。
「PC1のあなたが主人公です。お話を引っ張って下さい。
ああ、ヒロインが出てきたら、彼女に積極的に絡むのもあなたの役目です」
・・・と役割分担できてしまうのだから。
もともとは、シナリオを作成する際に、シナリオ上、重要な順番に番号を振っていったら、やがて、そういう「副次的な意味づけ」が発生したというものだが、今や、それがシナリオの書き手にとっても、ゲームマスターにとっても、便利なツールに昇華されたのである。
その後、私自身も『Nocturne』のシナリオではPC番号を使った。識別上、ABCDより分かりやすいし、「分かっているユーザー」には通りがよい。
これもまた高速化の流れの中の現象であるが、それは同時に、シチュエーション再現の欲求が私たちの世代より遥かに高まっていることを示すものなのだろう。
・・・などと、『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』のシナリオを書きながら、つらつら思う今日この頃です。
オチはやはり「俺を番号で呼ぶなぁぁぁ」と古いギャグで締めてみよう。このネタはきっと通じないと思いつつ。
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