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May 31, 2005

茸とベーコンの具沢山スープ

あ、この丸いところにスープが入るんだ!

 体育祭の代休で、休みの長男のために、「茸とベーコンの具沢山スープ」を作る。
 ちょうど前日、薬局の食材コーナーで仕入れたシェルというパスタの裏に載っていたレシピである。シェルはその名前の通り、指先ほどの貝殻状のパスタで、実際に作る際は指先ほどに練った小麦粉をフォークなどでくるっと潰して丸くする・・・と、TVKでリディア叔母さんが実演していた。
 まず、鍋を二つ火にかける。片方で、シェルを茹でつつ、もう片方で、茸と人参を煮る。茸はほんらいマッシュルームなのだろうが、舞茸で代用。
 人参は千切りのところを面倒くさがって、皮むき器を使って、薄い削ぎ切りにする。これを鍋の上で行い、そのまま、鍋の中に落とす。

 中国名物「刀削麺」風・・・っていうとかっこいいが、あんなに派手じゃないけれどね。

 人参の削ぎ切りが鍋の中で躍り始めたら、コンソメスープの元を投入。
 パスタが茹で上がる直前に、ベーコンを細く切って投入。
 後は茹で上がった貝殻状のパスタを網ですくって、そのまま、スープの中に入れ、一度煮立ったら出来上がり。シェルの茹で時間+10分で出来る料理だ。
 味はコンソメ任せだが、ベーコンと茸の出汁が出て、結構うまい。
 
 長男にも好評で、朝ごはん代わりにおなか一杯食べた。その食べている途中で出たのが冒頭の台詞。
 なるほど、シェルがスープに向くのはそのためか。

 こういう発見は楽しい。
 だから、趣味の料理は止められない。

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May 29, 2005

第八師団の老人:あるいは新撰組の夢

余談だが、この冬営中、師団長立見尚文中将が
「軍夫のなかに老人がいて、その男が新撰組の生き残りだといううわさがあるが、ほんとうか」
 と、幕僚にきいたというが、うわさの実否はついにわからなかった。
(「坂の上の雲」第六巻より」

 原稿中。色々じたばたしてます。R&Rの広告通りですから、もう大騒ぎですよ。
 『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』については、12号に体験版も載っていますので、そちらをぜひお試しください。R-con Westでプレイした「ワルプルギスの夜」です。

 そんな訳で、あまりまとまったことは書けませんが、生存報告代わりに周囲の出来事を。

●満州の新撰組

 冒頭の文章は、日露戦争を描いた司馬遼太郎の「坂の上の雲」第六巻からの言葉である。
 物語は、旅順陥落後、満州に下がったロシア軍本体もミシチェンコ騎兵軍団が、秋山好古率いる日本陸軍騎兵隊に襲い掛かるあたりである。秋山支隊の応援にまわされる第八師団のエピソードとしてわずかに触れられる。

 この文章を読んだとき、私の脳裏をよぎったのは、明治22年から始まった、幕末史談の収集会「史談会」でのある記録である。参考→「新撰組証言録 ~ 『史談会速記録』が語る真実」。
 大正12年、同会に参加した内藤素行氏の証言によれば、上野彰義隊に加わって死んだと言われていた原田佐之助が、実は生きていて満州の馬賊となっており、日清、日露の戦いに参加して、戦功を挙げたという。明治40年頃には一度、四国の故郷に帰国したと四国で報じられ、内藤素行は関係者に確認を取ったという。
 実際のところ、最盛期の新撰組というのは200名を越える隊員がいたので、維新後、色々な場所に身を隠して生き残った。
 斉藤一はその一角に過ぎない。
 五稜郭まで行ったメンバーでも、土方の死後、島田魁らが弁天台場で降伏し、維新後に生き残っている。新撰組の隊士は若いものが多く、維新の時(明治元年=1868年)に20代というものがほとんどであったから、明治37年の日露戦争では60前後である。かなりの老齢ではあるが、戦場に立てない年ではない。
 ましてやその武闘派、原田佐之助ならば、決して不可能ではない。

 さきほどの話で、新撰組かと聞いた立見中将自身も維新の際は幕府側で桑名藩の洋式歩兵隊長を務め、北越戦争で、長岡藩と連合して、薩長軍と激戦を展開、一時、撃退することさえした人物だという。
 維新後40年近く経って、維新の生き残りたちが満州の戦野に出会おうとしていたと思うと、それはなんという偶然であろうか?

●12世紀日本のバックギャモン

 NHK「義経」で、木曽義仲の息子と源頼朝の娘が双六で遊んでいるところが1カット映った。双六と言っても、江戸以降の道中双六ではなく、いわゆるバックギャモンである。
 2列の枠があり、この上を複数のコマを動かし、互いにゴールへ向かわせる。対戦者のコマの移動は逆方向であり、時には弾き、時には妨害していく。戦略的なゲームである。非常にエキサイティングなゲームで、ギャンブル性も高かった。
 出自は中近東あたりではないかと思われる。日本にはかなり早い段階で大陸から伝わり、7世紀には大流行し、国が禁令を発したという記録がある。

持統三年(689年)十二月丙辰、禁断雙六。

 「義経」のカットでは、漆塗りの小机の形をしていた。ダイスカップも漆塗りである。これらを使って、平安末期の幼き姫様がバックギャモンをされている図はまたひとつ趣き深いものであることよ。

 バックギャモンについては、日本バックギャモン協会参照。

PS:6月上旬に行く大分のイベント主催者からお菓子が届く。おいしゅうございました。イベント後、鱧を食べましょうという夕食会を楽しみにしております。はい。

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May 27, 2005

新撰組! 続編決定

大河ドラマ「新撰組!」の続編製作が決定! →NHK

昨年の大河ドラマ「新撰組!」の続編製作「その後の新撰組」が決定。
来年1月放映予定で、近藤の死後、土方歳三らが辿った道を描くそうです。

「新撰組!」は、「上海退魔行 ~新撰組異聞~」が楽しかった人には、絶対、面白いですよ。
画面や演出は小劇場的ですが、歴史を見る視点が現代的なのです。はい。
朱鷺田もこれで大河ドラマを再び見るようになったのですが、「上海」の歴史観に通じる「同時代性」があり、すさまじく面白かったですね。清河のいかがわしさ、芹沢のかっこよさ、西郷の陰謀家ぶりなど従来の史観にないあたりが非常に斬新でした。

*加筆

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深淵:落雷異聞

力が欲しいか? ならば・・・

 「深淵」でよく使う手法として、「運命」と「縁故」で誘導し、とんでもない事件にPCを巻き込み、ほぼ孤立無援の状態で決断を迫るというものがある。決断の結果も重要であるが、実は決断にいたる過程が面白い。ここで、ゲームマスターが干渉しすぎても、プレイヤーが相談しすぎても、面白くない。
 まず、それぞれのプレイヤーがPCに感情移入して一人で悩み、やがて、周囲にいる他のPCの存在に気づき、関係をやりとりする。そこが面白い。

 基本ルールに掲載したシナリオ「落雷」はその流れがよく分かるものだ。
 このシナリオは自らに課せられた運命を解き明かすため、山上の古城に集まったPCたちの前にとてつもない力を持った魔剣が落ちてくるというだけのシナリオである。
 解決方法はPCに任せられている。
 PCはまず、自分がそれを手に入れるにはどうしたらいいかを考える。悩んだ挙句、周りをみて、魔剣をどうするか考えるのである。
 そのため、結果も展開も毎回、異なる。
 面子やテンプレートが違えば、全然話が違う。
 「奇妙な旅人」が魔剣を持ち逃げしようとするときもあれば、全員で世界征服に旅立つ場合もある。自力で魔剣を折るものもいれば、学院まで届けたものもいる。魔剣を馬車で轢くなんて展開もあった。

 単純にパワーを求めるキャラクターだけいたり、一人が先走って独占しようとしたりすると、このシナリオは魔剣争奪のバトル・ロワイヤルになる。戦闘しかしないで終わることもある。
 いや、「バトル・ロワイヤル」は面白いのである。
 とくに、戦闘中、魔剣に触れるたびに、夢歩きをきちんとやりながら戦闘すると、楽しい。一撃ごとに、妄想と台詞が飛び交い、実に面白くなるのである。

 「そんなことをしているからみんな死んじゃうんじゃないかあ」By カミーユ

 ロールプレイ中心だったり、「深淵」のマスター経験者が多かったり、あるいは魔剣落下までに十分時間を取って、夢歩きを進めたりすると、このシナリオは「ディプロマシー」の要素を含んでくる。いかに戦闘を回避し、魔剣を利用するかが鍵になる。
 そのために、他のPCとどう交渉し、利用し、仲間にし、状況の変化をどこまで受け入れるかという話になる。
 「奇妙な旅人」や「魔道師」のプレイヤーがいきいきとして、騎士に助言する。
「いや、あれは危険なものですから、この私が管理しましょう」とか、
「あれをお取りなさい。私がお手伝いいたします」とか。

 「おぬしも悪よのぉ」 By 悪代官

 京都の深淵CONの夜の部で、ベテランばかりで「落雷」をやったことがある。
 当然、全員、中身は知っている。マスターとしても、プレイヤーとしても、何度もプレイしている。
 それなのに、「落雷」をやろうというと、なぜかみんな燃える。「えー、どこまで使っていいですか?」とレギュレーションを確認する。ある種、ボードゲーム的なノリでプレイすることもできるシナリオなのである。

 かくして、超ハードな展開になるかと思いきや・・・
 結果、非常に和気藹々として、ほぼ戦闘の無い爆笑のセッションになった。

 理由は、ひとりの傭兵が「妄想」の運命を引いて、いきなり古城の玉座に座ってしまったためである。

「私はこの城の正当な継承者である」

 これを商人か「奇妙な旅人」が道化になって盛り上げたため、妄想は加速、PCたちはどんどんそれに巻き込まれ、一番戦闘力のある(名声のある)騎士が来たころには、妄想皇帝の宮廷が成立してしまっていた。
 その騎士が礼節正しい英雄であったもので、状況はさらに暴走。
 結局、妄想皇帝が魔剣をゲット。
 追加された運命で、本当に、名家の末裔だったことまで分かり、全員、「それじゃあしょうがない」と、古城から、帝国の再興を始めることになって終了。

 シナリオ上は、その魔剣で魔族を解放するという話もあったのであるが、笑いすぎて、みんな疲労したので、そのあたりもありますが、「今夜はここまでにしといたろう」という感じになった。
 ああ、こんな展開もあるのだなと思った。

 どっとはらい。

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May 26, 2005

北海の日本帝国水雷艦隊

1904年10月、露西亜帝国第二太平洋艦隊、通称、バルチック艦隊は北海の闇の中にいた。
そして、彼らは出航以来、ある恐怖にとり憑かれていた。
「北海で、日本帝国海軍の水雷艇が待ち伏せしている」
そして、北海ドッガー・バンクにおける狂気の夜が始まる。
巡洋艦アウローラ最後の夜に何が起こったのか?

 修羅場中。
 合間合間に読む「坂の上の雲」はやっと4巻目、バルチック艦隊のロシア出航のところまで来た。
 ここで、ドッガー・バンク事件が起こる。
 
 露西亜帝国のバルチック艦隊は、第二太平洋艦隊として、バルト海に集められた露西亜艦隊主力艦の集合体だが、編成当時からなぜか「敗戦ムード」が漂っており、指揮官ロジェストウェンスキーの神経質が艦隊全体に蔓延した結果、「北海で、日本帝国海軍の水雷艇が待ち伏せしている」という妄想がまるで、戦略上の事実であるかのように広がり、兵員全員が神経過敏な状態になってしまう。

 明治37年、当時の日本に、はるか欧州まで水雷戦隊を送る余裕などどこにもなかった。
 やっと国家の形を形成したばかりの日本は、北の強国ロシアから自国を守るのに必死で、バルチック艦隊到着までに極東ロシア艦隊を殲滅せねば、もはや終わりだとさえ思っていた。日本海を守る東郷艦隊以外に艦隊はなく、それも旅順艦隊を半壊させるだけで、もはや悲鳴を上げている。
 陸軍の半分以上が、満州から遼東半島で数で倍するロシア陸軍と死闘を演じている。
 そんな状態で、水雷戦隊を欧州まで送れるわけなどないのだが、なぜかロシア艦隊はそう信じていた。

 やがて、艦隊に追随する修理作業船カムチャッカが「日本の水雷戦隊に追尾されている」という、悲鳴にも似た無線通信を発する。結局、それらの船の正体は明らかにならなかったが、艦隊全てが恐怖のため、眠れず、そのまま、夜に、北海のドッギー・バンク海域に突入する。ここは元は平野だった場所で、非常に浅く、豊かな漁場となっていた。そして、英国など北海沿岸の漁船が昼夜を問わず、操業していた。
 夜間に、この海域に踏み込んだ艦隊は、操業する漁船群と遭遇した。
 漁船を「日本帝国艦隊水雷戦隊」と勘違いした艦隊は、ヒステリックに砲撃を開始し、漁船20隻ほどに大被害を与え、多数を死傷させた。さらに、僚艦の巡洋艦アウローラを「日本海軍」と混同して、砲撃。これを撃沈。そのまま、救助活動もせずに、北海を脱出、長躯、スペインまで無寄港で逃げていく。
 これを境に、バルチック艦隊の黄昏、ひいては、ロシア帝国の没落が始まるのである。
 
 クトゥルフ神話TRPGのネタとして考えるならば、何かがそこにいたと考えるべきであろう。あるいは、「タイタス・クロウ」のように、英国情報部にいた魔術師との間に何かが発生したのかもしれない。妄想は尽きない。

PS:石川雅之「人斬り龍馬」。不殺と神格化された坂本龍馬を、天誅系人斬りのテロリストとして、新撰組の目から描くという幕末歴史異聞コミックでした。龍馬の神格化は、明治中盤になってから、行われたもので、薩長閥への皮肉でもある。クトゥルフ・ガスライトあたりの日本編で扱うと面白いかも。

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May 25, 2005

深淵:約束の館

「--私は魔族の呪いに捕らわれている」
若い青年貴族は呟いた。
「私はこの館を離れることは許されぬのだ」

付記修羅場続行中ですので、昔のシナリオ・ネタを代わりにおいてきます。

●即興型のバリエーションその1

 私は、「深淵」では、即興型が好きだ
 プレイヤーという乱数が入ることで、ゲームマスターとしても楽しい。
 そのため、自分でマスターする場合には、かなりラフなイメージだけを用意して、即興型で回していく。自分で書いた構造型シナリオも、即興で使い倒したネタをシナリオ形式にまとめたものが多い。
 今回の「約束の館」もそういうネタです。

●初期イメージの確立

 魔族の呪いのために、辺境の館に呪縛されている貴族の青年がいて、お茶を飲みながら、独白する。

 私が最初、即興型を考えるとき、この程度のイメージしかない。このシーンをマスターすることだけを考えてマスターをする。ここで出来れば、一度、好きな紅茶を一杯飲んで雰囲気を取り戻しておくといい。(そういいますが、私はコーヒー派で、紅茶はあまり知りませんがね) 

●流れ

 PCたちは旅の途中、雨や獣、あるいは戦火に追われて、この館にたどり着き、夢歩きを繰り返しながら、館を探索しく。やがて、青年の呪いの源が父親の代に行われた魔族召喚の秘儀にあったことを知ったPCは青年を呪縛から解放しない限り、館から脱出できないことに気づき、呪縛の品である魔道書の精霊(PCの運命に合わせて召喚値70-100の魔族から選択)と戦う。

●バリエーション

 状況により、魔道書の精霊の形状は魔道書のほかに、「青年の肖像画」「箱に入った鍵」「おぞましい彫像」「温室の薔薇」「死んだはずの妹」「青年に使えるメイド」などのバリエーションを持ち、これ(形状)と始まり(導入)を変えるだけで、シナリオは一変する。
 形状によって、倒すヒントとか、イベントを調整する。このあたりは基本的に夢歩きの流れでよい。

PS:「ヴィンランド・サガ」のヨームズ・ヴァイキングが、いかにもヴァイキングって雰囲気で、武装から何から凄いんですが、うぉー。あと、合間を見て、甲斐谷忍の「ONE OUTS」を読み返しています。野球物ですが、心理戦ばかりでいいですよ。主人公がcoolですね。

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May 23, 2005

ブルーローズ:2008年宇宙の旅

 今朝のとくダネで「2008年宇宙の旅」と題して、民間宇宙旅行の特集をしておりましたが、ヴァージン・ギャラクティック社(以下VG社)のスペース・シップ・ワンというのは、変形するんですね。
 まず、母艦機の背に乗って、高空まで上がり、そこからロケット噴射で成層圏突破。期間時は変形して、バドミントンの羽状(というか、羽子板の羽状)になり、大気圏突入の摩擦を軽減、速度が安定したら、飛行機形状を取り戻して、元の空港に着陸するのだそうです。
 2008年は民間宇宙旅行元年と言われ、VG社以外にも色々民間宇宙旅行の計画があり、4000名以上が宇宙に行くという観測もあるそうですが・・・。SF好きとしては、感慨深いものであります。20年もすれば、少し高い海外旅行ぐらいまで下がりますかねえ。

 さて、今日は予告どおり、ブルーローズのシナリオ・ネタを。
 宇宙開発が考古学にもたらしたものというのは決して少なくありません。特に、近年は衛星探査で発見される遺跡もあるぐらいです。カンボジアのジャングルの奥やサハラ砂漠の砂の下に埋もれた遺跡が発見されたり、何千年前に枯れた川床からかつての文明の存在地が推測されたりします。NHKで放映された「四大文明」や「新シルクロード」にはそうした例が多々現れます。
 そうした場所のほとんどが人里はなれた辺境にあり、いままで誰も気づかなかった場所です。
 「ブルーローズ」でも、そうして発見された遺跡を調査に行くというシナリオが考えられますが、「ブルーローズ」のシナリオにする場合には、「緊急性」が必要です。そうでなければ、普通に、まともな考古学調査チームが行けばいいのですから。

■「緊急性」の例

1:救難活動  関係団体がその場所で調査をしていたが、事故、戦闘、異常事態などで人命に関わるトラブルが発生した。
 シナリオとしては「人命救助」のつもりで向かったら、「怪物退治」になってしまうことが多い。
 例:アララテ山で「ノアの箱舟」を発掘していた人々はシュープリームに襲撃された。調査中に地震や噴火に巻き込まれた。

2:開戦前夜  その地域で戦闘が発生する予定があり、遺跡の調査に使える時間が少ないものの、情報収集にいかないわけにはいかない。「とりあえず写真を撮って、資料を収集してこい」
 シナリオとしては、時間制限の中で、トラブルと対決する。ハーキュリーズやヘリから投げ出されるように、現地に降下し、時間までに回収ポイントまで走るはめになる。時間制限の中でのサバイバルを強いられる結果、謎が解けないことも多い。
 例:民主化暴動と圧制側の戦闘が激化する中央アジア国家で、破壊されそうになる古代遺跡を保護する。

3:予備調査  衛星調査の結果、偶然、近くにいたチームが予備調査に駆り出される。その地域を上空から見てくる程度の仕事のはずが、そこには「目覚めた超古代文明の遺物」(または、陰謀組織の秘密兵器)から攻撃を受け・・・
 シナリオとしては、巻き込まれ型になり、まず、撃墜されそうになるところから始まる。
 例:マナウスにいたチームが、アマゾン奥地にある謎のピラミッドを見て来いと言われるが、発見した瞬間に、謎のUFOと交戦になり、アマゾン河に落下してしまう。おりしもアマゾン河ではポロロッカの季節を迎えており・・・(注1)

 ・・・というように、衛星で発見されたというネタは「ブルーローズ」ではよいフックになります。
 さらに、ここをセレスティアル・ゲート的に暴走させると、超能力者を宇宙に送って、地上を幻視させれば、超古代世界の真実が見えるかもしれません。
 宇宙レベルのダウジングですよ、奥さん! (横Gがかかって変なことになりそうだけど)
 宇宙遊泳しながらなら完璧。(注2)
 そこで最初のネタに戻る訳ですね。民間宇宙旅行で偶然、潜在能力者が何かを見つけてしまう。最初の頃の搭乗者ということで、芸能人とか、金持ちの令嬢とか。「モー娘。」やパリス・ヒルトン、あるいは、マドンナが宇宙で発見したピラミッドとかイヤだなあ。マドンナはカバラ術者だから。(注3)
 しかし、豪華客船にまつわる怪談が多いように、最初の民間宇宙旅行の年は怪談が多そうですよ。

注1:土曜日の「世界ふしぎ発見」がポロロッカと白い砂漠でしたが、床の中で見たので、記憶が曖昧だ。ポロロッカをサーフィンする人々がいたのを覚えている。セレスティアル・ゲートと合体させると、いいネタになりそうだった。あの番組は「ブルーローズ」のネタの宝庫ですね。
注2:熱が下がりきっていないかもしれません。少し暴走しているという自覚はある。
注3:本当です。カバラ学校を作るとか。でも、これはユダヤ教の叡智を集めた秘儀、あえて乱暴に例えて言えば、インド哲学みたいなものなので、超能力がある訳ではない・・・はずだ。

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May 22, 2005

上海:百万元を手に入れろ

●上海退魔行シナリオ・ソース:百万元を手に入れろ!

対応人数;4名。 クラス制限無し。

発端:PCたちは青幇に捕まっているところからスタートする。日時は水曜日または火曜日の朝。捕まった理由はPCの設定に合わせて、適当に。まあ、大人の大事な壺を壊したぐらいでOK。
「大人は、慈悲深いお方だ。月曜日の昼までに百万元を持ってきたならば、君たちを許して下さるそうだ」
 ゲーム上の設定は300社会点。ただし、ブルーブラッド、グリフィン、怪盗紳士が一人いるごとに100社会点を目標額に加えること。

展開1:ゲームマスターは、細かいミッションをいくつか用意し、それぞれごとに☆☆☆~☆☆☆☆☆☆程度の収入を与えること。PCの発想は大胆に取り入れてよいが、大もうけできないように、青幇や闇の勢力の妨害を入れること。

展開2:固定プロット「上海競馬」
 日曜日の午後、上海競馬が開催される。金が足りないPCたちは最後の賭けに出る。
 ここにはさまざまな意図を持って参加する各租界の騎手たちが集う。PCたちはその意図を読み、馬券で大もうけするために多々工夫をする。PCが騎手として参加する可能性もあるが、妨害もまた多い。
 誰を騎手として参加させるかで、シナリオ作成者のオリジナリティが発揮される。
 例えば、「社交上のつきあいで参加するが、立場上、参加に留めたい勢力A。しかし、本国の手前、B国に負けるのだけは許されない」とか、「江南製造局のサイボーグ馬の乱入」とか、「裏で大もうけを狙う青幇の刺客」とか、「大暴れするビリー・ザ・キッド」とか色々。

昼食前の大騒ぎ:たとえ、金を手に入れても、青幇に届けなければ、命はない。しかし、ここは魔都・上海。大金を狙う奴にはこと欠かない。

付記:よく、シナリオで使っていたネタです。
 コツは、最後の競馬の倍率を上げすぎないことと、競馬ネタを最初から振っておくこと。「上海競馬」というネタを各勢力、各明星がどうやって利用しようとしているかを考えておくと、面白くなります。
 

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シナリオとシステム

ここのところの異常な熱さや寒さのため、金曜日から風邪で調子を崩しています。死ぬ~。
とりあえず、生存報告を兼ねて書き込み。

●シナリオとシステム

 「上海退魔行 シナリオ」「ブルーローズ シナリオ」でアクセスしてくれる人がいたので、そういう話をしようと思うのですが、ストック・ネタをHDDから掘り出そうとしたら、JGC2003のトークショー「シナリオ講座」のためのメモが出てきた。思ったより、講座的な話にならなかったので、使わなかったものであるが、そこにはまず、「汎用シナリオ技術の崩壊」といった記述がある。
 私がデビューした頃は、マスターリングとかシナリオ作成といった記事のニーズが多く、実際、何冊かそういう本を書かせていただいたが、最近はめっきりそういう記事そのものが少ない。これはTRPGそのものの分化と進化が激しく、汎用シナリオ作成術が記事として成立しないという現実がある。
 例えば、「深淵」の場合、「運命」で何を規定し、「夢歩き」で何を誘導していくか? ということが重要であり、物語自体は非常にシンプルでもよい。迷宮に踏み込むことがあっても、何回も戦闘する必要があるダンジョン・ハックにする必要はない(注)。しかし、これが『真・女神転生TRPG』であれば、敵の情報収集は重要であり、それが結末を分かつぐらいがいい。
 これがさらに、超絶特技系が加わると、差異は広がる。
 「ブルーローズ」のゾディアック・メンバー、「上海」の明星効果は一気に中BOSSを抜けられるほど、強力であるがゆえに、PC設定の時点でゲームマスターが展開を読んでおかねば、シナリオは崩壊しかねない。このあたりの必殺技系のあるTRPGは、よくも悪くも、個々のバランスが独特で、同一には語りにくい。
 結局、ゲームマスター論としては、「ルールブックをよく読め」「プレイヤーとコミュニケーションを取れ」「落ち着け」とか言った挙句の上で、「発想法(アイデアを見つける取材力と、アイデアを物語に育てる方法)」「システム解析(個々のシステムが志向するストーリージャンルとシステムの出来ること出来ないこと)」「共有されるべきイメージ・ソースの想定(デザイナーはこれがやりたい、プレイヤーはこれがやりたい)」などに流れざるを得ない。「起承転結」という文章構成の基礎も、必ずしも万能ではない。

 まあ、そういう意味で、このBlogでは、シナリオ・アイデアを提供するほうが多いと思う。
 とりあえず、今日はアリネタの「上海退魔行 ~新撰組異聞~」シナリオ・ソースを1本上げておきましょう。

注;こうは言いますが、「深淵」でダンジョン物をやるのも面白いですよ。D&Dならば、「聞き耳」「魔法感知」「アイテム鑑定」「罠の感知」をするべき場所で必ず、「夢歩き」をするのです。迷宮の怖さがよく分かりますよ。

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May 19, 2005

沈黙のピアニスト

 すでにニュースで何度も触れられているネタですが・・・。
 1ヶ月ほど前に、イギリス南東部の海岸で濡れたスーツを来た男性が保護されたものの、身元が分からず、本人も何かおびえた様子で何もしゃべらないまま。さらにピアノを弾かせたら、えんえん引き続けるという。最近の公開調査で、どうやら、一時ローマやニースにいたフランス人らしいことは判明したようですが、なぜ、彼がそんな場所に現れ、何をおびえているのかはいまだ分からないまま。
 クトゥルフ神話好きとしては、何らかの理由で海に落ちた彼が、何かを見たのではないだろうか? と妄想でずにはおれません。これが南太平洋とか、ニューイングランドの浜辺だったら、確実にCですな。
 「ブルーローズ」のネタとして考えるならば、消えた都「イース」か、「アトランティス」でありましょう。「イース」についてはご存知の方も多いと思いますが、フランス沖に沈んだとされる幻の都市です。かのパリの語源が、Par-Is(イスを越える都)であるとも言われているほど、フランスでは有名な伝説です。海底から響く鐘の音というネタが「マスターキートン」にもありましたね。
 そこになぜ、ピアニストが? というあたりがさらなる謎を呼ぶ訳で、ピアニストとしての異才を見込まれて、巻き込まれたのか、あるいは異界に招き入れられたのか・・・妄想はつきませんな。

PS:昔からチェックしていた漫画家、二宮ひかるさんの「誘惑」が、6/9にコンビニ版として復活とのこと。
 400P 9本17話と書かれていますが、元の単行本「誘惑」は200Pで8話10本なので、数が合わない。「最低!」あたりの初期短編集からのベスト選集であろうが、6本連作の「最低!」あたりが入るのかな? 「ふたりで朝まで」は別にシリーズ化して欲しいところです。最近は寡作となっていたので、この機会に、スピリッツや画集などに少しずつ発表された作品、あるいは、書下ろしが入ると嬉しいですねえ。

PS2:バンタンの卒業生から「結婚します」のメールが届く。その日はイベントで九州にいますので、パーティにはいけませんが、その代わり「おめでとう」の言葉を贈ります。

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May 18, 2005

LAND WALKERマニュアル&製作話

ItMediaにおいて、LAND WALKER関係の興味深い記事が2点。

搭乗できる巨大ロボット「LAND WALKER」が生まれるまで
 製作者のインタビューである。250ccのエンジンで動く。すり足歩行なので、足の底にはローラーがある。など。色々興味深いですね。より小型のキットロボットを作りたいとか。期待してます。
 しかし、このLAND WALKERは、本当にどこかのイベントに貸し出されないかな? 「愛・地球博」は遠いので、「お台場冒険王」とか「後楽園遊園地」でマジレンジャーと共演とか希望。どこかのバラエティ番組で、誰かが乗りに行くでもよい。
 六本木ヒルズの蜘蛛のオブジェの脇を歩いていたら、まさに、近未来だな。

保存版?:「LAND WALKER」完全搭乗マニュアル
 記者が取材した搭乗体験記。足のペダル二つで動くが、高度にデジタル化されたスイッチなので、踏むだけで一定の動作が行える。ブレーキは無いという。
 しかし、安全を考えると、やっぱり、ブレーキが欲しいです。そして、転倒した時のために、体を支えられる両腕をぜひ。

 そう言えば、ザクにブレーキはあっただろうか?
 「機動戦士ガンダム MS大図鑑」を見ると、P97にコックピット配置があり、ペダルが二つ、右がスロットル、左が「逆噴射、ブレーキ」とある。考えると、これも高度なスイッチングである。歩行型戦闘機械であるとともに、宇宙空間を移動する飛翔体であるザクにブレーキがあるのだから、それはイコール「逆噴射」な訳だ。なるほど。

追記:アクセス解析から辿ったら、エンタメ系のLWとは異なるレスキュー用の搭乗型ロボット(というより、巨大なクローを装備した6mの作業腕を持つ救難車両)として、「テムザック T-52援竜」が昨年、発表されていたことを知る。足はありませんが、感じはウォーカーマシン系ですね。操作は完全なマニュピレーター型である。ムービーあり。

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ポーカー、ポーカー

 忙しいといいつつ、今日は学校の日。
 午前中のライティングでは、コラムのあと、三色ボールペン方式で、「小説の解剖学」(中条省平)の冒頭「作家のモラル」と、月刊Playboy2005年5月号「戦争をビジネスにする男たち」(笹川英夫)を読ませる。前者はまず、正確に、そして、地道に書けという教え。後者は今、話題のPMCのレポートである。ハーツ社よりもブラックウォーター社に注目が集まっているのは、今年3月末に発売された号であるからしかたない。しかし、意外にミリタリー系の趣味の生徒が少ないのは、最近の傾向か?
 午後のアナログ・ゲームは、トランプと専用カードゲーム。
 基本的ゲーム・バリエーションの紹介と実際のプレイ。
 前半はポーカーゲームの色々なバリエーションを実際に教える。→参考資料:日本ポーカープレイヤーズ協会HP「ポーカー・ルール」。ドローポーカーの基礎から、5スタッド、7スタッド、テキサスホールデム、パイナップル、最後にインディアン・ポーカーから専用ゲームの「コヨーテ」へ。
 チップを使い、ディーラー風にサンプル・プレイを仕切るとかなりの盛り上がり。やはりこれは実践が一番。
 後半はタロット占いから、カードゲームへ。PIT、NEU、ワードバスケット。

 最近はあまりトランプをしないのかな? 毎年、ナポレオンの経験者が減り、今年はついに、七並べの経験の無い生徒がいた。私の高校時代は大貧民、ページ1、ナポレオンとトランプ・ゲームは必須だったが、まあ、ゲームボーイ以降の子供であることを考えるとやむなしか?

 さて、次回はマジックであるが、昨日書いた事情から来週は休講の予定。

 帰りに、駅前本屋で明日発売の少年マガジンをゲット。
 「ヴィンランド・サガ」は、なんと父トールズの正体が判明。戦鬼(トロル)のトールズ。そしてイングランド人とヴァイキングの戦争が始まる。その発端の話は、バイキングの習慣から。この辺、RQの漫画みたい。
 「ネギま!」は古韮師匠の布槍術爆発。これは布を自由に操り、拳のように操る兵器法の一種ですな。「上海退魔行 ~新撰組異聞~」では拳士の特技の一つ、「鉄線拳」と呼んでいたものに近いですが、かなり鋭利に操れるのが古老師の超絶技巧ですな。単行本10巻もGET。なんというか凄いですね。

*少し加筆

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May 17, 2005

色々大変な日々:上野アサイラム

 気づくと5月も中旬になり、色々状況が大変。あれとか、あれとか、あれとか。『真・女神転生X』も佳境を越えて修羅場モードに突入。詳しくは今月末のR&Rにて。次の仕事も担当さんが手ぐすね引いて待っているし、学校もあるし、読まねばならない資料も山積みである。
 しばらく、Blogの更新も地味目になるはずなので、よろしく。

  『真・女神転生X』のワールド・ガイドは、東京都内でシナリオ・スポットを作る作業が継続中。汐留あたりが冠水して泥沼になる話とか、東京デスティニー・シーとか・・・上野公園のあたりにゾンビタウンを作って、東京アサイラムとでも呼ぼうかねえと妄想中。
 いや、妄想する間になんか書け状態。

 ・・・という状況ながらも、本屋で「日本の剣術」(学研)とか買ってしまう。日本剣術の名流の基本技をすべてカラーで解説という豪華な本。鹿島神道流一の太刀とか、示現流の抜きとか派手な技もいいが、お辞儀の状態でにらみ合ったときに、剣を奪って、相手の首を切る菱割(天然理心流)とか。いいねえ。燃えるねえ。
 付録で、鎧武者同士の格闘戦技が解説されている。構えが裡門頂肘みたい。身を低くして、懐に踏み込んで肘で威嚇しつつ、短刀で首を掻き切るとか、鎌で太刀を絡めて地に落としたところを踏み、足の甲を刺し、膝裏を掻き切るとか、実践的な技が多い。
 いずれ、こういうネタを色々仕込んだ戦国物がやりたいねえ。

 そんな寝言を言っていたら、BGM代わりに流しているJ-waveから、「マドンナの愛用するカバラ・グッズをプレゼント」という台詞が。

 は? カバラとマドンナ?

 聞き間違いではないらしい。
 慌てて、検索してみると、マドンナはユダヤの秘法、カバラを信奉しており、カバラ紐などのカバラ・ファッションを広げているという。カバラ教徒としての名前「エスター」も持ち、今や自前でカバラ学校まで作ったそうだ。
 世の中、よっぽどオカルティックである。

PS:土曜日来たSさんがサンセット・ゲームズの「メイドRPG」を下さった。普通のオモチャ屋で売っていたそうな。
 あのお、これは、私に、これのマスターをしろという意味でしょうか?

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May 15, 2005

新シルクロード:仏典漢訳

新シルクロード 天山南路 ラピスラズリの故郷」を見る。
 このシリーズは25年前に作られた名作「シルクロード」の続編であるが、四半世紀の差が実に印象的なシリーズである。「ブルーローズ」のマスターにとっては、ネタ満載のシリーズとも言える。
 毎回、見るたびに、ああ、このネタが・・・と思うのである。

 さて、今回はタイトルからするとラピスラズリ掘りの話のように見えるが、実は、天山南路のオアシス国家、亀茲王国(現クチャ)の王子にして、仏典の中国語翻訳者である、鳩摩羅什(クマラジュウ)の物語。
 亀茲国は、匈奴と中華帝国の間で衝突の場となった国。
 鳩摩羅什が35歳の時、当時の中国は五胡十六国時代で、前秦が攻めてきて、亀茲を征服してしまう。王子でありながらも、インドの血が入った鳩摩羅什は若い頃に出家させられ、キジル石窟の仏教寺院で修行していた。征服された当時、すでに名僧として知られていたが、征服者によって、破戒僧となることを強いられた挙句の果て、仏典や財宝とともに、長安へと拉致される。この旅の間に長安では政変が起こり、前秦から後晋の時代に。
 鳩摩羅什は長安で仏典の漢訳を命じられ、今、日中で使用される基本仏典のほとんどを漢訳した。その数300点。玄奘三蔵を遡ること二百年。有名な般若心経の「色即是空」などは彼によって生み出された表現である。

 非常に面白い番組であったが、特に印象に残ったのは、鳩摩羅什が若い頃、母である王女が言った言葉である。当時はまだ、中国には仏教の教えが十分に伝わっていない時代である。北方の騎馬民族・匈奴と、東方の中華帝国の間で揺れる亀茲国の方針として、中国に平和を尊ぶ仏教の教えを伝え、戦乱をおさめようと考え、鳩摩羅什に「それが出来るのはお前だけだ」というのである。
 言い方を変えると、思想兵器たる仏教を持って、東方の軍事国家を押さえようと試みたのである。ちなみに、この時期、北の脅威である匈奴帝国は、騎馬民族ではあるが、実のところ、かなり高度な文明を持つ国家で、四分五裂の五胡十六国時代の中国のほうが野蛮だった可能性がある。
 閑話休題。
 残念ながら、仏教伝播によって中国を温和な国に変える遠大な計画を実際に行う前に、亀茲国は征服されてしまうが、鳩摩羅什の漢訳作業により、中国は仏教化され、その教典はさらに海を越え、日本へと運ばれていく。
 歴史とは面白いものであるよ。

 「ブルーローズ」的に言えば、古代インド文明の言語生命体「仏教」が、翻訳者鳩摩羅什を通して、中国を制圧したということであろう。こういう解釈はモンティ・パイソンの「世界最強のジョーク兵器」みたいでいやだけど。

PS:今回、鳩摩羅什のモノローグを石坂浩二が担当した。旧「シルクロード」の名ナレーションが復活した感じで非常によかった。ぜひ、また出演して欲しいものだ。現ナレーションの松平氏より素晴らしい。

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倒叙法のシナリオ運営:種デスと深淵

 倒叙法という手法がある。もとはミステリで使われる用語で、まず、犯人を明らかにしておき、事件の謎が解かれていく様子を語る。例えば、「刑事コロンボ」は典型的な倒叙法ミステリで、最初に犯罪者が殺人を犯し、事件を隠蔽しようとするが、刑事コロンボが入念な調査と諦めることを知らない強い意志で犯人を追い詰めていく。
 TRPGの場合に、倒叙法を使ったシナリオを作ることはできるだろうか?

 もちろん出来るのであるが、そこには方法とシステム選択の必要がある。
 まず、一般のシステムの場合、倒叙法は非常に困難である。なぜならば、TRPGは鑑賞者と遊戯者が同一なので、そのままでは、倒叙法ミステリが成立しないのだ。
 さらに、結末を先にプレイした後で、そこにいたる経過をプレイしたら? と考える人がいるかもしれないが、通常のシステムではうまくいかない。なぜなら、最初にクライマックスをプレイし、そのままそこに行く過程をなぞるだけでは、シナリオが一本道になり、ゲームが尻つぼみになるからだ。

 これに対する回答の一つは、最近流行のぶっちゃけである。
 あらかじめ、GMやプレイヤーがやりたい結末やクライマックスをプレイヤーレベルで話していき、そこに至る過程ややりとりを楽しんでいくのであるから、これはもっとも、倒叙法に近いと言えるのであるが、「それがゲームか?」というと、色々疑問を感じるところは多い。

 私自身の回答は「深淵」の夢歩きである。
 夢歩きにはいくつもの機能があるが、そのひとつに予兆を与えることがあり、メタゲームのレベルでは、プレイヤーに、「クライマックスの予習」をさせる効果がある。GMは「クライマックスに通じる予兆」を与えることで、PCにドラマチックな決断について深く考えることを求める。予兆の通りになるかどうかは決まっていないので、完全な倒叙法ではないが、構造的に、倒叙法的な仕掛けを持っているのである。
 だから、実は「深淵」には倒叙法シナリオは似合わないし、ぶっちゃけをしすぎると醒めることもある。

 なぜ、こんなことを思ったかというと、本日の種デスこと「機動戦士ガンダムSEED Destiny」での回想シーンの使い方に、何か「深淵」めいたものを感じたからである。
 しつこいほど繰り返される回想シーンは、その実、視聴者の脳裏に登場キャラクターを彩るキーワードを強く刷り込むためにある。そして微妙に連想の枠を飛ばして関連付けられる細切れのシーンの提示方法に私のマスターリング手法と同じものを感じ取った。
 それは番組のほかのパーツにも見られる。
 予定調和的展開を想起させつつも、なぜか実際の放映内容に反映されないオープニングは、逆にそのギャップから、視聴者に深読みを要求する。
 エンディングは、まず、各キャラクターのスタンスを象徴した止め絵スライドから始まった。これはキャラの立ち位置を読ませる要素が強い。さらに、3クール目にして変化した新EDでは、さらに、実際の放映内容からかけ離れて、前作まで遡り、萌えキャラを総動員し、妙に明るい、笑顔ばかりのオールスターキャストを提示する。それはまるで、そこに書かれたキャラクターがいつか全員、天国に召されるという、イデオン的全滅エンドをほのめかす。
 さらに、内容のシビアさとはかけ離れ、さらに名目主人公シンのかけらも現れないアイキャッチは、新Edとともに、強い違和感を与える。居心地が悪いほどに。

 それがどこまで意図的なのか、私にはまだ読めない。
 サンライズと監督、シリーズ構成のスタッフが予想以上にしたたかではないかと思いつつ、たぶん、一方で、「踊らされてはおらぬか?」という、『真・女神転生』的な問いかけを思い出す。
 打ち切りの噂すら、情報操作に見える。
 ああ、この怪しさが、私を種デスにひきつけるのかもしれない。

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May 14, 2005

『真・女神転生X』三つの塔

 今日は知人のSさんが上京してきたので、先月に続き、自宅で『真・女神転生X』のテストプレイ。プレイヤーはSさん、先日結婚したNさん、大学生のF君、そして娘の4名。シナリオは、昨日、取材してきたばかりの恵比寿ガーデン・プレイスの高層マンション群に謎の怪物が出現するというシナリオ「三つの塔」。
 対応レベルは20.フルスクラッチでキャラクターを作成する。

 PCは、こんな感じ。

 Sさんは幻視者+番長。肉弾戦型で、使う武器は大金槌(バトル・ハンマー)、追加格闘威力(×2)のパワータイプだが、幻視者のスキルで情報収集をカバー。
 Nさんは今回初めてで、巫女&超能力者の完全後方支援型キャラを選択する。メディアで回復、ラクカジャで支援、暇になったらザン、ザンマ、マハザン、ジオを使い分ける。
 この中でもっともゲーマーなF君は、忍者&ガンスリンガーの速特化型。デザート・イーグル(判定値140%)&ダブルタップ連打で、クリティカルを狙う。ガイア教団の一員なので、言動がかなり怪しい。
 娘は、獣系悪魔PCで単純に殴るキャラクターが好きなのだが、魔獣オルトロスにはレベルが足りないため、悪霊ゴーストを20レベルまで成長させた。追加スキルで格闘威力を強化した純戦闘型ゴーストである。悪魔はランダム成長があるため、忍者ほど特化されないが、当たればでかいし、HPと防御点では人間キャラクターを大きく上回る。ええ、破魔を喰らわなければ・・・。

 この4人が恵比寿ガーデン・プレイスに出現する悪魔退治を頼まれる。
 調査の結果、三つの高層ビルの上に、悪魔の巣が作られ、渋谷から流れてくる龍脈の気を吸って育ちつつあることが判明。それぞれ、龍王ナーガ、地霊ツチグモ、邪龍コカトライス。

 結局、ツチグモを渋谷の古い神社の神に祭ることで説得、他の2体を倒すことに。
 まず、ナーガ戦ということで、ビルに向かうと、守護者のアプサラス3体とバトル。難なくこれを撃破し、ナーガと戦う。苦戦しつつも、ラクカジャとメディア連打で耐え切り、倒す。
 残るコカトライスを倒しにいくと、ガイア教団の破壊僧が一緒に出現。すべてはガイア教団の仕掛けであったのだ。最終戦闘では、破壊僧が多々魔法を準備していたものの、ゴーストのマヒかみつきが決まって、早々に破壊僧が無力化されてしまい、コカトライスも、石化能力が不発のまま、PCに蛸殴りにされて撃沈。かくして、恵比寿に平和が戻ったのであった。
 ガイア教徒でありながら、仲間の破壊僧を倒してしまった忍者ガンスリンガーは、教団幹部を強引に説得、「俺がカオス・ヒーローになる」と。はてさて、どうでしょうか。

 『真・女神転生X』の場合、派手な戦闘をするには、このぐらいのレベルがいいですね。
 命中率は15レベルあたりでも、合格点に達するのですが、20レベルになると、能力値配分にも余裕が出てきて盛り上がります。お楽しみに。

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恵比寿ガーデン&ダンジョンズ

連絡通路を抜けた向こう側には、見た事もない広い空間が広がっていた。
東京とは思えない広い空、そして、そびえたつ真新しいビル。
駅周辺とはことなる別空間であった。

 金曜日は学校の日、2年生のライティングとゼミを終えたあと、夕闇の中、恵比寿ガーデン・プレイスの取材へ。
 恵比寿は、ビール工場が先にあり、そのために恵比寿と名づけられた街である。かつてのビール工場跡地に作られた新ショッピングモール&高層高級マンションの総合住空間がガーデン・プレイスである。昔のビアホールのイメージは麦酒博物館か、ビア・ステーションで味わうことができる。

 ・・・と解説してみるものの、実のところ、ガーデン・プレイスになってから来たのは初めてである。私が講師を務めるバンタン電脳情報学院の校舎は、恵比寿駅の反対側、渋谷に近い。ガーデン・プレイスまでは動く歩道を使っても、10分はかかる。

 最初の印象は、「空が広い」である。

 都内、それも山手線のすぐ横だというのに、頭上の空を閉ざすものは、3本ほどの高層ビルしかない。あとは何も障害なしに大空につながる。日本っぽくない。空間の開けた様子はいわく海外のようだ。

 印象をまとめたところで、『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』用の取材開始。
 ショッピング・モールは形を覚えればいい。地下街に下りる感覚や細かいオブジェの印象を注意する。店の雰囲気や客層にも注意だ。薬局はTOMOD'Sというドラッグストア風。ワインと関係食材の専門店があったり。全体的に洋風ホテルの雰囲気。一番奥には館風のフレンチ・レストラン。さらに、後背地には高層マンション2棟と、ウェストン・ホテルが建つ。
 マップにはその裏手に公園があるというので、地下通路を抜けて入り込む。そこは白金の高級住宅地である。ああ、ここがいわゆる白金(シロガネ)か。
 ここにいたるあたりの経路が実にぐねぐねしていて楽しい。
 コンシューマー用のダンジョンにしたら、楽しそうだ。すでに脳裏には「If・・・」のダンジョン探索のBGMがえんえん流れている。

 ガーデン・プレイスの中央に戻り、グラス・スクエアのおしゃれなオープン・バーを見学。ガラス天井の下におしゃれ系のバーがあり、しばしば、ジャズやポップスの歌手がショーを開く。ここも悪魔がたむろしているのによさそうだ。

 最後に、ビア・ステーションで夕食代わりの1杯を。
 ビールはハーフ&ハーフ(黒と通常の生をブレンドしたもの)のグラス、一緒に、ドイツ焼酎のシュタインヘイガーを1杯、これでもう十分に酔えます。つまみは、アイスバイン(茹で豚)のハーフとバイエルン・プレート。プレートにはイワシ、生ハム、サーモンがそれぞれ一切れ、ガーリック・チーズとドイツ風ロールパン。最後の二つが絶妙な美味さで、おなかも適度に一杯。これでほぼ2200円。割といい感じである。
 ここはどちらかといえば、PCの休息場所か。ヒーホー君がいてもいいなと思う酔っ払いであった。

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May 12, 2005

東京放浪 1/1ボトムズから六本木の蜘蛛まで

 魔都東京のワールドガイドの取材で、都内をぐるぐると。
 まずは1/1ボトムズを見るために、水道橋へ。

●江戸散歩・東京散歩

 電車に乗る前に、最新の東京ガイドを確認しようと、寄った地元の本屋で「江戸散歩・東京散歩」を発見。最新の東京ガイドと、歴史古地図による比較対照解説が実に秀逸。具体的には、地域別の名所紹介のあとに、かならず見開きで地図が載るのですが、左が現代、右は安政6年(西暦1859年)頃の古地図で、当然、同縮尺。キーポイントにはマーク付きで、都内の歴史散歩入門のお役立ちアイテムですね。
 例えば、六本木ヒルズのあった場所は、安政6年には長門府中藩毛利左京亮の屋敷で、ここで赤穂浪士のうち10人が切腹したとある。東京大学の本郷キャンパスは加賀藩と水戸藩の江戸屋敷のあととすぐ分かる。これは便利だ。吉原に至っては、文久3年(1862年)の店の配置まで分かる。

  『真・女神転生X』マスターは必携というだけではありません。
 1859年の江戸の地図ですよ、坂本さん。
 「上海退魔行 ~新撰組異聞~」でも使えますね。

 電車の中で読んでいると、麻布の項目で、六本木ヒルズにある蜘蛛のオブジェが。
「これ、見たい!」と第二の目的地決定。

●1/1ボトムズ

 水道橋で降りて、東京アニメーター学院のならびにある会場へ。
 1/1ボトムズは、およそ身長4m強。見上げるとでかい。本体の前にある専用の突撃銃は2mぐらいある。ターン用のスパイクなど細かいところに凝ってます。左手が連想砲なのは、スコープドッグの別バージョン、ブルーティッシュ系かな? 全体がさびた感じの鋼鉄製なので、現有機種というよりも、ウドの街のジャンク・ショップの雰囲気です。
 直立しているのと、降着ポーズを取るギミックまでは再現されていないこともあって、後ろから腰のあたりやスカート周りだけ見ると、1/4ドムのデザート迷彩仕様かなとも見える。やはり、オリジナル迷彩か、さびてない感がほしかった感じ。降着ポーズが見たい!

●東京ドーム・シティ

 地下鉄路線図から見るとどうも接続が悪そうなので、東京ドームの横を抜けて、後楽園駅まで歩くことに。
 東京ドーム・シティというのはおかしなエリアですね。
 水道橋駅西口から入った入り口は、後楽園遊園地やドーム、あるいはその先のスパ・ラクーアへ向かう家族連れや若者たちが歩く一方で、一層下がった場所には、血走った目でWINS(場外馬券売り場)の大画面と競馬新聞を凝視するギャンブラーな人々がいる。目を上げれば、東京ドーム・ホテルの超高層建築がそびえ立つ。
 呆れていると、目の前のカップルの男の背中には「CHAOS BRINGER(混沌の運び手)」の文字が。

 ええっと、これは啓示ですか?

 ジャイアンツのテーマ曲が流れるドームを越え、ラクーア・シティへ。
 紅虎の肉まんを頬張りつつ、見ていると、頭上をジェット・コースターが通過する。ラクーアの建物全体にもたれかかったようなコースは、JR福知山線の事故のあとではしごく、刺激的だ。
 ラクーアで温泉に入りたい気分をぐっとこらえ、メトロの後楽園駅へ向かう。途中、遊べる本屋ヴィレッジ・ヴァンガードの看板を見つけ、ふらふらする。いや、ここで踏み込んだら、絶対、六本木にはたどり着けない、と涙を飲む。ええ、いい本屋はトラップですよ。さきほども神保町に背を向けるのに苦労したのだから。

●六本木ヒルズ

 おのぼりさん状態で、まず、外から見る。でかい。うんうん。
 お目当ての蜘蛛のオブジェは階段を上がった公園風のスペースに。これが実はアーチ代わりの大物で、あなたはハリウッドの60年代SF映画ですか!?というサイズ。
 ここまで来たんだから、ついでに、展望台「東京シティビュー」に登ることに。

 1500円払って52FまでGO! ああ、気圧が。

 一気に上がっておいて、なんですが、私は軽い高所恐怖症の気があります。だから、高いビルの展望台がかなり危険なのですが、とにかく見晴らしがいいのと、久しぶりに東京の地理関係を確認したかったので、ぐるりと一周。予想外にお台場が近いのに驚いてみたり。六本木ヘリポートの存在にはしゃいだり。
 あと、この展望台の片隅に、なんとASIMOの常設展示場があった。
 少し遅かったので、もう動いてはいませんでしたが、昼間くれば、上半身が動く姿が見られるようです。

 シティビューのチケットは、併設の美術館の入場券をかねているので、ついでにそちらも見学。

●さかさまになった部屋

 まず、53Fに上がって、森美術館で開催されている「秘すれば花 東アジアの現代美術」と「ストーリーテラーズ アートが紡ぎ物語」をぐるりと。
 現代アートはよく分からないのですが、さかさまになった部屋は面白かった。ある家がさかさまになったという感じで、天井に家具が配置されており、観客は床に寝そべって、それを見上げるというもの。自分が天井に張り付いているような気分になる。
 あと、虫眼鏡をもって、バスルーム風の部屋で、指先ほどの製作物を探す展示も面白かった。TOTOの和風便器の中を、必死になってのぞいている図は、たぶん、観客もまた作品として鑑賞されているのだろう。
 もう一つのストーリーテラーズはどうもピンとこないものが多かったが、少女の生足をした(それも赤い靴と白いショートソックスをつけた)狼の群れという謎の展示はショッキングだった。アニメ作品も多かったのだが、ちょっと疲れていて、パスしてしまった。

●都市の模型展

 50Fに下がって、都市の模型展へ。
 これはニューヨーク、東京、上海の都市模型が見られる。
 NYの場合、ツイン・タワーのあった場所にはかつての栄光を示す透明プラスティックの塔は2本。
 東京はなんというか、緻密のひとこと。わざと地名や解説は省かれており、観客は記憶を頼りに、東京を再認識することになる。シティビューで見たばかりなのに、迷うのはなぜ?
 上海は、綺麗な高層ビルが目立つ。

 その奥では映像展示が二つあるのですが、実はこれが、押井守監督の作った「東京静脈」と「東京スキャナー」という2本の映像。「静脈」は「パトレイバー2」で刑事が辿った東京の川の旅を実写で。「スキャナー」は東京上空からヘリの空撮で、名所巡りをして最後はヒルズ屋上のヘリポートに着陸するまで。どちらも東京の別の顔を見せてくれました。

 帰りは、つい、復活した青山ブックセンターの前を通ってしまい、遭難しそうに。
 海外雑誌の「スターウォーズ」特集とか、もう目の毒です。「スターウォーズ」は私の魂の映画ですよ。特に「帝国の逆襲」。
 それでも外国人向けのFREE PAPERをめくっていたら、外人墓地に関する記事が乗っていたので、即GET。外人墓地の配置図が載っているとは・・・おそるべし。

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『真・女神転生X』:MD司令部が横田に

 ミサイル防衛計画の指令所が、横田基地に作られるとか。→ニュース
 『真・女神転生』Ⅰの世界では、アメリカから核ミサイル(おそらくICBM)が東京に飛んでくるが、ミサイル防衛構想では、北朝鮮のミサイルが東京に着弾するまでの10分間の間に、これに対抗するため、日本防衛の指令所を日本国内におかなければならない。そこで横田が選ばれる訳である。
 現実世界では、MD構想そのものがアメリカ軍需産業のでっちあげという話も出てきているが、それでも、核カードを振りかざす北朝鮮に対して、少しでも可能性のある防衛策を用意せねばならない。世界有数の練度を誇る海上自衛隊のイージス艦や、陸自の防空ミサイルPAC3に期待するしかないだろう。まあ、それを打たせないよう、外務省と内閣に頑張ってほしい。
 『真・女神転生X』では、MD構想の時代に、悪魔が出てきたら、どうなるか? を考えねばならない。
 まずは、どこかの悪魔系テロリストが横田を襲撃するのかなあ。
 一瞬だけ召喚された邪神スルトのマハラギダイン連射で壊滅する米軍基地・・・とか。その計画を知ったPCたちだが、米軍内部に巣くう悪魔たちによって、基地内部に拘束され、脱出を図るとか。

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ゲーム専門学校の新学期

 今週も少年マガジンに「ヴィンランド・サガ」が無事掲載され、地味ながらいい話でほっとしている朱鷺田です。
 民会とか法律とか、ある意味、北欧社会の制度が垣間見える中、それ説明しなくて大丈夫なのといいつつ、ああ、いいねえと楽しんでしまいました。
 どちらかと言えば、「ネギま!」が天下一武道会モードに入り、クラスの超人武闘派大会になっているのが気になるところ。スナイパー龍宮の羅漢銭「500円バージョン」VS 古韮の布槍術とか、楽しい楽しい。忍者楓はなぜ3ピースか? 萌えバージョンか? これも楽しみ。

 さて、GWが明けて、ゲーム専門学校「バンタン電脳情報学院」も新学期を迎え、講師業も再開です。
 今学期の私の担当は、ゲーム企画科向けの「アナログゲーム実習」と、ライター科向けの「ライティング」(1年向け、2年向け)、あと、小説系ゼミです。このBlogでも、ゲーム学校の話を少しずつ紹介しようと思っております。TRPG関係の話ではないので、ご容赦を。

 火曜日は朝から1年向けの「ライティング」。
 基本的に、毎週、文章を書かせて添削することを中心に、ひたすら雑誌ライター向けに文章修行をする授業。使用する教科書は齎藤孝の「三色ボールペンで読む日本語」と、共同通信社の「記者ハンドブック」。
 
 今週は第一回なので、ライターの話。

 ライターの仕事は文章を書くアウトプットの段階だけでなく、まず、ネタを仕入れるインプット(取材)、それを解釈し、文章の素材に加工するライター自身の個性を磨く部分もあって初めて成り立つ。
 この3段階を鍛えるために、毎週、「今週の面白かったこと」というテーマで、原稿用紙1枚以上のコラムを書かせ、互いに添削を行った上、講師が添削を加える。執筆20分間、添削10分。ゲーム・ネタは不可、内輪ネタは不可、当然、今週のネタでなければいけない。
 最初はまず出来ない。そして、講師にボツを喰らう。
 しかし、それでよい。これは書く体力作りだから。ええ、うちの授業はヒンズースクワットとか、マラソンとか言われてますな。毎週毎週ただ書き続ける。

 コラムが終わったら、短いテキストを齎藤孝の三色ボールペン形式で読む。
 簡単に言えば、線引き読書法。重要な部分には赤、やや重要な部分には青、面白かった部分には緑で線を引くというものだ。本は汚くなるので、愛書家には向かないが、仕事で文章を解析するときにはけっこう役立つ方法である。
 今週は隆慶一郎の「時代小説の愉しみ」と、ダ・カーポから「おばさん力が日本を救う」と「週刊誌におけるホリエモン的問題」。小説を読ませるときもあれば、具体的な論文もある。
 本来はこのあと、テーマ作文が来るが、今回は初回なのでここまで。生徒がテキストを読んでいるうちに添削したコラム原稿をもとにひとりひとり呼び出して返却。ボツ多数。ま、そんなもんだ。

 午後はアナログ・ゲーム
 この授業は1学期の間、ダイスゲームから、TRPGまでアナログ・ゲームを一通り遊ぶという割ととんでもない授業。 基本的に、色々なゲームを体験せよと称して、一緒に遊ぶ授業である。
 第一回のネタは4月に特別授業でやった「ブラフ」と「6ニムト」。切り口は「リスク・マネージメント」。基本的に、失点を重ねないようにすることで勝つゲームだが、それゆえに危険を切り抜けた時の快感は大きい。

 次週はトランプとカードゲーム、第三週・第四週はTCG(マジック)、第五週からボードゲームになり、モノポリー、カタン、カルカソンヌときて、夏休み前にTRPGの基礎を。夏休み明けにバトルテック。あと例年ディプロマシーをやるが、その時期を調整中。
 授業の最後、再来週にやるマジックの入門セットを配る。ルールを覚えたら、あとで神河物語と神河謀反のブースターを足して、リミテッド戦を。こうして毎年、マジック熱に染まるものたちが。

 遅くなったので、食事は渋谷の博多天神でトンコツ・ラーメンを。
 バンタンのある恵比寿から渋谷にかけては、かつての恵比寿ラーメン戦争のおかげで、ラーメンの名店が多いのですが、最近のマイベストは「博多天神」の豚骨ラーメン。紅ショウガをたっぷりいれた感じが意外にあっさりしていてよい。細打ちの麺のせいか、すぐに来るのがまたよい。

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May 11, 2005

上海退魔行:シベリア極東共和国

 半日経過しても、「シベリア百万両」が頭から離れません。
 今、「上海退魔行」のマスターをやれと言われたら、絶対、このネタになってしまうにちがいない。
 「水野晴男が取りついたに違いありませんね」と、脳みその裏側でゴーストがささやいていますが、私は、残念ながら「シベリア超特急」をまだ見ておりません。ご安心下さい。・・・というか、水野晴男はまだ生きているし。それどころか、「シベ超」の続編を作っているとか。ええっと何作目だろう?

「いっそ、極東共和国にしてしまえば」と、さらに友人からメール。
 極東共和国とは、1920年前後、誕生したばかりのソ連が日本のシベリア出兵に対抗するため、バイカル湖東岸につくったブルジョワ民主主義の緩衝国家。

 これは面白い。

「シベリアの場合、清朝が「なぜか」強大化することがあれば、シベリアに緩衝国家を作れるのではないか? そうなったら、日本へのけん制にもなる土方あたりは都合のよい存在になるのではないか?」
 なるほど、なるほど。
 幕府再興の夢、新天地の夢を見て、シベリアの荒野を走る土方歳三。
 ああ、いいですねえ。
 イメージは、ジンギスカン伝説の義経か、「新・サイボーグ009」か。
 夢見て走る、死の荒野~っと。

(一瞬、朝松健先生の「ノーザン・トレイル」こと「旋風(レシ・ラウ)伝」のラストがそんな感じだったよーな気がしたが、今すぐ確認できないので、一旦、おくことにしましょう)

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「シベリア百万両」を修正

「露西亜が売ったのはシベリアじゃなくて、アラスカでは?」
 知人からのメールで、気づき、昨夜投稿した「シベリア百万両」を削除、「アラスカ百万両」に修正しました。
 どうも昨日は専門学校の新学期で疲れた上に、色々ネジが飛んでいたらしい。
 司馬先生が悪いのではありません。「坂の上の雲」には確かにアラスカと書いてあるのに、自宅に帰る途中、自転車をこぐ私の脳裏には「シベリア百万両」という題名だけがえんえん連呼されていたのです。

 いやほんと「シベリア百万両」というタイトルだけで、ご飯3杯はいける気になっていましたよ。

 朝になり、指摘もあって、「アラスカ百万両」に修正したら、少し、寂しくなってしまった。「シベリア」と「アラスカ」ではどうも、燃えの度合いが違う。ご飯1杯はいけるが、どうも3杯はいけない。

 「シベリア百万両」がいい。

 これは、俺に、シベリアを書けということか?
 落城寸前の五稜郭を脱出、徳川の遺産、百万両を抱え、シベリアの荒野を踏破していく土方歳三と島田魁を書け、というのか? 向かう先はフランスだな。追いかけるのは若き日の乾(板垣)退助、東郷平八郎と乃木希典あたり。後の民権論者もこの時期は超武闘派の戦闘隊長、これに薩摩の若者二人加えて、あとは狂犬めいた奴がほしいなあ。アメリカのガンマンとか、清朝の手先とか。

(しばし、暴走)

 いや、このネタは架空戦記か伝奇小説のジャンルで、すでに誰かがやってそうですが、気にせず、ちっと練ってみましょうや。
 「上海退魔行 ~新撰組異聞~」のシナリオにする場合も、なぜか土方さんがサムライ租界の金蔵から百万両を持って、シベリアに向かった。PCたちにそれを追いかけ、土方さんの意図を確認し、何とか百万両を取り戻すというミッションが。黒龍江省から、シベリアへ。
 夜陰に乗じて迫る獣人や吸血鬼、シベリア上空を舞う飛行船。
 ああ、これはこれでいいなあ。

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上海退魔行:アラスカ百万両

中岡「龍馬どん、聞いたか、露西亜がアラスカを、米利堅に720万ドルで売るそうじゃ」
龍馬「ちょっち待てや。そりゃまた安かねえ」
中岡「そっでも米利堅じゃあ、どでかい冷凍倉庫に720万ドル払う馬鹿おるかて言うとるそうじゃ」
龍馬「じゃったら、わしがその馬鹿になっちゃろか? ええか、720万ドルちゃあ、10万両にもならんじゃろ。ちいと勝さんに頼んでくるわ」

 ・・・という会話はあくまでも朱鷺田の妄想ですが。
 1867年(慶応3年、大政奉還の年)、アラスカ経営に行き詰った露西亜帝国は、アラスカを、わずか720万ドルでアメリカに売り払ってしまいます。当時はエスキモーと毛皮ハンターしかいない寒冷地でしたから、買った側のアメリカ政府は720万ドル払って、馬鹿でかい冷蔵庫を買ったと非難を浴びることになりますが、その後、油田が発見され、豊富な地下資源の存在に、露西亜は歯噛みすることになります。

 ちょうど、今読んでいる「坂の上の雲」の中で、秋山真之がアメリカに軍事研究のため、留学した関連のエピソードで、この話が出てきます。
 720万ドルという金額を聞き、ふと浮かんだのが、「もしかして、当時の日本、つまり江戸幕府でも買えたのではないか?」という妄想です。当時の交換レートはかなり無茶な状況にあり、日本側に不利なものでしたが、1両=1ドルまでは行かなかったのではないかと思うので、1両=10ドルとかになれば、アラスカが百万両で買えた可能性があります。いわゆる徳川埋蔵金があれば、明らかに買えた金額です。

 「上海退魔行 ~新撰組異聞~」的には、坂本龍馬がアラスカを買ったというネタにいきたいですね。
 アメリカ議会が馬鹿でかい冷蔵庫に720万ドル出すのを渋っているうちに、交渉が長引き、1870年になって、坂本龍馬がサッスーン財閥あたりから金を引き出して、これを百万両で買ってしまう。

 江戸幕府アラスカ藩・・・というか、アラスカ幕府、いや・・・まあ、名前は後で考えるとして。

 上海に亡命していたサムライのうち、会津藩士などが、北の国に活路を見出して開拓団をアラスカに送り込む。手助けをするのは会津藩と付き合いがながく、史実でもアメリカ移民計画を進めたスネル兄弟あたり、五稜郭の函館共和国のノリで、榎本率いる開拓団は、アラスカ共和国とか建国してしまう。アラスカ白虎隊とか、アラスカ新撰組とか出来て、そのうち、石油が出たら、なぜか大金持ちになり、シアトルあたりを買収して・・・いや、これはこれで面白そうだ・・・。架空戦記物が5~6冊書けそうなネタになってしまった。
 「アラスカ百万両」と題して、アラスカ売却計画あたりから、連作シナリオにしても面白そうだな。
 もう、タイトルだけで、ご飯3杯はいけますよ。

*どこかネジが外れていました。修正しました。

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現代の傭兵:PMC(民間軍事請負会社)

 イラクで、拘束された斉藤さんの経歴が明らかになり、「傭兵」という表現があるが、彼の立場は、PMC(民間軍事請負会社)のスタッフ、いわゆるプライベート・オペレーター(企業の実行担当者)である。斉藤さんは、陸自の第一空挺団所属であり、その後、21年間、フランス外人部隊にいたというから、ベテランの職業軍人が新たな仕事として、イラクに入り、戦闘で負傷、敵に捕獲されたというのが実際の状態だろう。国軍の兵士ではないので、捕虜扱いされない可能性が高い。

 イラク戦争は、民間企業の介入の多い戦争である。
 兵站を、閣僚が経営する会社に丸投げしたことで問題になっているが、主戦場以外で、ガード業務や保全業務を行う兵士も民間委託が進んでいる。斉藤さんが属するHart Groupは多国籍のPMCで、まず、電気ネットワークの管理、保全、警備という総合的なソリューションを、アメリカ陸軍から請け負っていた。ハート社以外に数十社のPMCがイラクに関わり、軍事行動を含む活動を行っているという。
 月刊PLAYBOYの2005年5月号に、このPMCに関する短いルポが掲載されている。いまや、PMCはひとつの産業になり、PMC用に武器を開発するメーカーもあるという。

 「ブルーローズ」に登場するシュープリームの姿は決して、斬新ではなかった。現実はさらに先に進んでいたのかもしれない。

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May 09, 2005

1/1ボトムズの展示会他雑記

 「5月12日まで、水道橋で1/1ボトムズの展示会やってますよ」
と、Blogを読んだ知人からメール。
 12時から19時だそうですが、明日明後日と学校なので、ちょっといく暇がなさそう。とりあえず製作者のBlogを貼り付けておきましょう。
 Land Walkerも凄いけれど、これも見たいなあ。木曜日にちょっと時間を作るかな。

 Amazonから「神河救済」の小説「Guardian : Saviors of Kamigawa」到着。ロクロ首のような姫君が不気味。えー、これは確かヒロインなのですがねえ。その前に、ドネリーのAtlantisとか、「Secret of Japan」とか、秘神界とか。洋書脳を起動しないと行けないので、5月末あたりに謎の洋書脳復活の儀式をせねば。

 5月末といえば、「Zガンダム」か・・・。

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クトゥルフ境界線

 別冊モーニングに掲載された、諸星大二郎の漫画「魚の夢を見る男」を読む。
 魚に変身していく男の姿を見て、「ああ、クトゥルフ神話的だな」と思う。

 しかし、本当にそうだろうか?

 クトゥルフ神話、ことに「インスマウスの影」の影響を否定する気はないが、そこには「宇宙的な恐怖」はない。それは、異形の姿に変身し、日常から解放されるという幻想譚だ。
 カフカの「変身」と同趣向である。
 だが、クトゥルフ神話に冒された我が脳髄は、魚化する男の姿を、海へ回帰する「インスマウスの影」の主人公に重ねずにはいられない。

 20年ほど前、当時、SF少年であった私は、しばしば知人と、これがSFかどうかを議論することに興じた。それは当時のSFファンにとって重要な問題であり、やがて、「SFマインドを刺激するものは全てSF」ということになった。いわゆるSFの浸透と拡散の時代である。

 クトゥルフ神話に関しても、どこまでがクトゥルフ神話作品であるのかという議論がある。

 神話作家以外、神話を書けないわけではないが、扱いのお作法を重んじる場合も多い。「Secret of Japan」でジャパニメーションの最初に「イクサー1」が出ることをどう見るかという話になる。最近、読んだ「野蛮の園」(西川魯介)で、シュブ=ニグラスの祭祀として、高専の女子学生が蜜水でマッサージしあうというネタがあるのだが、これは神話作品とは呼べないが、神話上の神格に言及してはいる。その一方、「魚の夢を見る男」のように、神話脳を刺激する作品を、神話周辺作品と見るべきではないかとも思う。

 いずれ、どこかでまとめるためのメモ。

●クトゥルフ神話周辺作品リスト 追加
「魚の夢を見る男」  諸星大二郎 別冊モーニング 講談社
   注記:魚ネタ。神話への言及は無し。

「野蛮の園」      西川魯介  白泉社コミック 
   注記:神話ネタのギャグ多し。

追記:この手の周辺作品の情報を集積している場所として、クトゥルフ神話MLのジャンク・リストがある。これもメモとしておこう。

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欧州戦線終結60周年:「坂の上の雲」を読みながら

 世界は対独戦終結60周年で盛り上がっておりますが、ブッシュ大統領の相変わらずの反イスラム演説に呆れてみたり、それより、今後、敗戦60周年、広島/長崎60周年に向けて、日本政府はどう対応するのか、色々気にかかるあたりです。(何かしなくても、小泉首相が何を言い出すのか、見届けるべきでしょうね)
 
 私は、終戦のイメージというと、なぜか、熱い田舎の夏の青空です。
 
 私はもちろん戦後生まれです。父も母も昭和1桁生まれで、当時はまだ若い学生で、出征もなく、終戦の話もあまり聞かなかったのですが、なぜか田舎の青く抜けるような空のイメージがあります。
 これは多分、色々な終戦テーマの映像や物語で語られたイメージでしょう。アニメ版の「サイボーグ009」(初代、モノクロ版)をリアルタイムで見た口なので、その影響かもしれません。
 また、夏の熱い盛りにいつも終戦関係の番組を見て、お盆と重なる気持ちがあるのかもしれません。特に、広島に原子爆弾が落ちた日は、旧盆の真っ盛りの、熱い日で、その衝撃波は郊外の農村地域まで及んだと聞きます。セミの声が響く夏の日、真っ青な空が一瞬の閃光と衝撃波で死の世界に変わる。小学生の頃、読んだ広島被爆関係の本での印象が今も強く残っています。

 おかげで、「エヴァンゲリオン」の再放送を見ると、その透き通った青空と温暖化したため、永遠の夏が続く第三東京市に、「終戦」のイメージが重なることがあります。最近では「蒼穹のファフナー」にもこの辺、通じるイメージがありますね。

 これはもしかすると、本土決戦をしなかった日本人の多くが持つイメージかもしれません。
 (実際に戦場になった沖縄の方々は、違うと思います。沖縄県民と、本土の人々で戦争感にずれがあるとすれば、故郷が戦場になり、目の前を敵兵が現れたかどうかということにつきると思います)

 今、「坂の上の雲」を読み始めています。(仕事の合間なので、また2巻目ですが・・・)

 明治20年代。日清戦争、日露戦争という流れの中で、日本という国が形成されていく過程を、日本海海戦で活躍した海軍参謀の秋山真之とその兄で騎兵隊の父、好古、そして、文学者の正岡子規という旧・伊予藩出身者3名を軸に描いていく司馬遼太郎の近代歴史小説です。ビッグ・コミック・スピリッツで連載されている「日露戦争物語」(江川達也)でも同じ時代、同じ主人公で話が進んでいますが、実に興味深い。
 その上、かつて、「上海退魔行 ~新撰組異聞~」で明治3年の架空歴史を扱ったものとしては、ああ、こんな人もいた!という再発見もあり、時間を忘れて読みふけってしまうことも。
 やっと2巻目に突入し、日清戦争の最中です。外務省翻訳局長から、北京公使代行になった小村寿太郎とか、川上操六(海軍参謀で独自の対清諜報網を展開)とか、ああ、この時代も刺激的であることよ。

 とりとめもない話になりましたが、司馬遼太郎、ベルリン陥落60周年、そして、今書いている原稿が重なって、日本の近代史に頭を悩ます訳です。『真・女神転生』もまた、近代史の影響を受けた作品のひとつなので。

 「上海退魔行 ~新撰組異聞~」と『真・女神転生』の話をするはずだったが、時節の話になってしまった。
 また近々「上海」とか、『真・女神転生』とか、「ブルーローズ」の話を改めてアップロードしましょう。

追加:「坂の上の雲」は2006年度以降に、スペシャル大河ドラマ化することが検討されているそうですね。
公式サイト

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May 07, 2005

風邪にはサンタクロース

TRPGとは多分、関係ない食べ物の話を二つ。

●風邪にはサンタクロース

 娘が風邪気味なので、もう寝ろといいつつ、サンタクロースを作って渡す。

 サンタクロースとは、赤ワインに砂糖をたくさん入れ、甘くして、3~5倍のお湯で割った子供向けの飲み物。簡単に言って、ヨーロッパ版の玉子酒。卵酒より簡単なので、私自身も風邪気味の時によく飲む。
 とりあえず体がぽかぽかするので、冬などにはお薦め。
 より効き目を出したい時には、ショウガのしぼり汁を入れるとか、細く糸状に刻んだショウガを浮かべるとかするとより、効き目がありそうだが、さすがに、娘が嫌がりそうなのでパス。

 こういう小ネタがあとで役に立つと。

●ペンネ・アラビアータ、やがて、偽ボルシチへ

 私は・・・と言えば、夕食に讃岐うどんを食ったばかりだというのに、昼間、突然発作的に作った、ペンネ・アラビアータの残りを何とかしようと思っている。
 仕事に詰まってくると、料理を作るのがときに快楽となる。いやまあ、かなりアバウトな作り方で、妻には呆れられるのであるが、まあ、本人としては楽しい。

 さて、問題のペンネ・アラビアータだが・・・。

 ペンネはマカロニを大きくして、小口を斜めに切った感じのパスタ。日本でも、ママー社製が200gあたり100円少々で手に入る。やや濃い目のソースで煮たり、サラダ風にマヨネーズであえたりする。マカロニほどチマチマしていないのがいい。
 アラビアータは、唐辛子とニンニクで匂いと味をつけたトマト・ソース料理。フライパンで熱した油に、唐辛子の輪切りとニンニクを放り込み、あとはスープを足してトマトを煮るだけ。
 ペンネが茹で上がったら、そのまま放り込む。
 5分も煮たら、皿に盛り、パルメザン・チーズを豪勢に振って食う。
 トマト缶とスープのもと(コンソメかな)があれば、20分もかからない料理だ。
 トマトに関しては、「丘の上の貴婦人」で書いたように、生のトマトを握り潰してもらってもよい。

 これが少し残っていたので、これを少し薄め、ソーセージでも放り込んで、トマト&ガーリック・シチューにして夜食にしまおうかと思っている。フランス・パンを浸すとうまいのだ。茹でたキャベツがあれば、偽ボルシチである。
 ああ、神保町にあるロシア料理屋へ行きたくなった。

 これも『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』で、東京の観光ガイドを見直しているせいかもしれない。

PS:土曜日なのに、種デスの話は?って。
 ほら、今週は総集編だったからねえ。
 いやあ、フレイ・アルスターってよいキャラクターだねえ。SEEDという作品の存在感をすごく強めている。
 でも、私がマスターする時に、彼女をリアルにロールプレイするのは許してね。

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May 06, 2005

室町お伽草紙(山田風太郎)

 「青春! 信長・謙信・信玄 卍ともえ」というラノベまがいの副題が妙にアンバランスな一冊ですが、実に傑作でした。
 追放された足利将軍の姉で、超美形の若き姫君、香具耶(かぐや)姫と、三百丁の南蛮鉄砲を巡って、若き日の織田信長、上杉謙信、武田信玄が京都で三つ巴、実際には松永弾正と堺衆も加わるので四つ巴、五つ巴の姫君争奪戦を展開するという、歴史伝奇浪漫。狂言回しに、元関白で飯綱使いとなった行空法師と、そこに拾われた少年日吉丸。その他、姫の護衛役に剣聖塚原卜伝と上泉伊勢守が登場するほか、堺側には、武田信玄の父で国を負われた武田信虎や、千宗易(利休)、織田には明智光秀、武田には名軍師山本勘助などなど、戦国のオールスターが総登場。山田先生、凄いですよね。

 ここで、タイトルの室町というのが気にかかる方もおいででしょう。
 実は、戦国時代と室町時代というのは非常につながりの深く、その区切りが曖昧な時代で、人によってずいぶん、範囲が変わる。応仁の乱以降を戦国と言ってしまうと、織田豊臣政権期が逆に浮く。それに、室町幕府は織田信長の時代まで存在はしているのである。足利の文化性と戦国の気風の入り混じり具合もまた、この時代の面白さである。さらに、現在の日本文化にいたる多くの流れが室町にあったことを考えるとこの辺の時代もまた面白そうである。このあたり、朝松健氏の近作「一休シリーズ」などが着目したゾーンである。
 いずれ、クトゥルフネタもからめて、取り上げてみたいものだ。

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May 05, 2005

深淵:ガイウスの暴挙

力が欲しいか? ならば、我を解き放て!

 あいかわらず缶詰中の朱鷺田です。東京って広いねえ。
 さて、週に一度は「深淵」の話を書かないと、色々溜まってしまうので、今日は設定の話を。

 「深淵第二版」の舞台になるのは、第一版の少し後。あれから色々事件があり、いくつかの魔族が復活する。これによって、より乱世の要素が強まり、冒険の場所が広がっていくことになる。こうした時代の変化の鍵になる人物のひとりが、ラルハース侯爵ガイウスだ。
 小説「丘の上の貴婦人」で描かれたラルハース継承戦争は、ジェイガン公子の勝利に終わり、ガイウスはラルハース侯爵の座を追われ、わずかな部下を連れて、黒き森へと逃れる。彼は、新たな力を手に入れるため、黒き森を探索し、魔族の封印を解き放つ。これによって、今まで知られていなかった魔族が地上に出現したり、かつては弱弱しい存在でしか権限で着なかった魔族が真の姿を取り戻したりすることになる。

 前者の例が今回、紹介する「死霊の公子スナーダル」だ。ガイウスは、死霊を支配する魔族と契約を結び、その力を借りて、辺境騎士団領の占領に取り掛かる。死者の軍団は、人々を殺戮し、骨の城と呼ばれる魔の領域を作り上げたのである。
 後者の例が、「黒き翼ガープリス」である。下級の妖魔のような存在であったガープリスは、ガイウスに加担し、魔都ヴァランティアの地底から、漆黒の魔剣を取り戻し、黒き翼の魔人として、魔族の諸侯に相応しい力を手に入れる。妖魔の王となったガープリスは、妖魔ガルギルに乗った軍団を率いて、辺境騎士団領に現れ、北辺の山城を制圧する。以降、この城は暗黒の塔と呼ばれることになる。
 この二つの軍団が参戦したことにより、ラルハース東部に広がる辺境騎士団領はさらに危険な領域となるだろう。

●死霊の公子スナーダル
星座 :翼人
召喚値:70
影響値:7

出現形態:白く上品な衣装を身にまとった細身の貴公子。その周囲には女性の死霊が何体もまとわりついている。虚空に手をかざせば、その手に白銀の大鎌が現れる。

行動値17 吸収値7
攻撃1:魂刈りの大鎌  技能値7+修正8=15 効果値4 +《即死攻撃(強度17)》 +《霊魂捕獲(強度17)》
攻撃2:死の凝視  視界限定の影響値攻撃 強度17の「即死」

継続効果:衰弱の旋風  範囲型の影響値攻撃 強度17の「衰弱」

運命:スナーダルは死霊使いである。
 彼は深い愛情で結ばれていた姉を戦争で失い、その復讐のために魔族となった。
 魔族の力を得て、彼は姉の魂を取り戻したが、肉体はもはや失われ、姉は死霊としてスナーダルを見守った。神征紀の後、スナーダルは狂気の檻の中に封じられている。姉の霊魂は彼の監視人とされ、彼と狂気の闇を生きている。
 ガイウスによって、ワールの深き闇から解放された諸侯の一人で、いまや辺境騎士団領に骨の城と呼ばれる城砦を築き、完全解放のために死霊をかき集め、魔力を溜め込んでいる。

●黒き翼ガープリス
星座 :原蛇
召喚値:100
影響値:10

出現形態:黒き騎士。蜥蜴と人の間のような姿をしたガルギルの妖魔に乗って飛来する。

行動値20 吸収値10(全身二重)
攻撃1:漆黒の魔剣  技能値10+修正8=18 効果値5
攻撃2:衝撃波   技能値10+修正4=14 効果値3の魔力攻撃
攻撃3:恐怖  範囲型の影響値攻撃 強度20の「恐怖」

運命:ガープリスは、野望を抱く者である。
 近年、ガイウス・ラルハースに加担して、魔都ヴァランティアの迷宮から魔力ある漆黒の魔剣を得たガープリスは、人の姿を取り戻してガルギルの王に成り上がった。ガイウスと同盟し、辺境騎士団領北辺の山城に、ガルギルの軍団とともに住みついた。今や北原の覇王にならんと野望を抱いている。

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伝奇城

 朝松健・えとう乱星・編。文庫書き下ろし伝奇時代劇アンソロジー「伝奇城」読了。書き下ろしの伝奇時代小説を集めたもので、面白く、また勉強になりました。日本的なファンタジーともいえる伝奇時代小説の活力を分けてもらった感じ。
 幕末の有名人が復活して、警察の密偵をしている斉藤一と戦う「蘇生剣」や、シーボルトと鳴滝塾お抱え絵師が謎の殺人事件を追う「阿蘭殺し」はそのまま、「上海退魔行 ~新撰組異聞~」のネタになるなあと。
 個人的に好きなのは、朝鮮半島と日本の関係を取り上げた「柳と燕-暴君最後の日」。日本の剣客に、剣術を学んだ用心棒二人組の設定が武侠物に通じる感じでよい。
 巻末の評論「闇を穿つ想像力--伝奇という方法論」は、作品をその描かれた時代の風潮と対応して語っており、なかなか勉強になりました。なるほど、時代をそう読むか、と。比較的苦手ジャンルでしたので、読み逃していた本も多かった。司馬遼太郎から隆慶一郎への流れで、日露戦争を描いた「坂の上の雲」を読みそびれていたことに気づく。今度、どこかで拾ってこよう。
 あと、山田正紀さんのエッセイがありましたが、ぜひ、作品を読みたかったなあとも。

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May 04, 2005

クトゥルフ:オリジナル魔道書「日本妖怪誌」

ファンタズマ・ヤポニカ 日本妖怪誌
著者:ウィルヘルム・フォン・シーボルト
挿絵:川原慶賀
内容:江戸末期、長崎に滞在した医師シーボルトが、日本の妖怪怪異譚をまとめたもの。「日本動物誌」「日本薬草誌」に多数の図絵を提供した鳴滝塾お抱え絵師、川原慶賀の手になる妖怪の図が多数掲載されていたが、シーボルトの日本追放に伴い、紛失。当時、長崎奉行をしていた遠山景普(後の北町奉行、遠山金四郎の父)の手に渡り、江戸に運ばれたとも、日本人との間に生まれた娘が、医学書とともに相続し、江戸の名医、緒方洪庵の手を経て、坂本龍馬に渡ったとも、その忌まわしさゆえに、鳴滝塾生が焼き捨てたとも言われる。
 長崎に漂着した恵比寿(水死体)に関する奇怪な記述や、琉球近辺で目撃される奇怪な現象などに関する貴重な記述があったとも言われる。

出典:井上雅彦「阿蘭殺し」(「伝奇城」所収) ただし、クトゥルフ関連ではありません。書誌のほとんどは朱鷺田が妄想したもののメモです。

PS:「Secret of Japan」「クトゥルフ・ダークエイジ」の傍ら、「伝奇城」を読んでいたら、井上雅彦氏の「阿蘭殺し」で、色々思いついたので、とりあえずメモ。こーいう形でオリジナル魔道書があるといいよね。「Secret of Japan」には宮本武蔵の「五輪の書」の外伝「六輪の書」というのがある。

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クトゥルフ:Secret of Japan初見感想

 二つの日本:一つは輝かしき現代。技術の粋を集めた鋼とガラスの近代都市。もう一つは堕落した封建制度の暝い迷路。この双方が中国沿岸に程近い、太平洋の火山列島に存在している。
 末法の世は来る。仏陀の教えはもはや救ってはくれない。

 秋葉原の帰りに打ち合わせたついでに、クトゥルフ神話TRPGのサプリメント「Secret of Japan」と「クトゥルフ・ダークエイジ」を入手、ざっと目を通しました。以下は最初の印象による紹介なので、詳しくは精査した後に。

 前者の「Secret of Japan」は、最初に引用した通り、ケイオシアム社が刊行した日本サプリ。執筆者は愛媛の高校で英語を教えていたこともある研究者。ぱらぱらと見た印象では、結構日本のことを知っているのですが、やはり日本人としては色々、微妙な部分が多いですね。サムライ、ゲイシャ、スシが日本じゃないよといいつつ、今度はジャパニメーション的なネタが多い。仏教悪魔狩人とか、バイオ装甲とか、幽霊プロジェクトとか、黒蓮教団とか、色々。幽霊プロジェクトのエージェントの名前が高橋留美子と松本零士なのは苦笑。クトゥルフと名刺を手渡ししあう4コマがあったり、どうも、真面目なクトゥルフ製品っぽくない編集が散見する。

 冒頭に、Call of Cthulhu in Anime-Styleという一文があるように、アニメ的に遊びたい要素が強いのかな。

 地域サプリとしては頑張ってはいるとは思います。
 A4サイズ360Pに、クトゥルフ神話世界の現代日本に関する、色々な情報がかき集められている。与那国島沖の海底遺跡とか、自衛隊の歴史(憲法9条の引用あり)とか、六道輪廻の概念とか、交通、経済、海外の探索者が日本に来た場合のカルチャー・ギャップ、教育制度などなど。
 特に仏教のページは六つの世界と仏陀、妖怪を解説している。天狗(上位の独立種族)、狐(シュブ=ニグラスの系列に属する奉仕種族)、河童(水棲の吸血鬼、イグなどに近い)などを解説した後、別に、「妖怪」が上げられ、アザトースの眷属に設定されている。
 歴史的な話も多く、織田信長はナイアルラトホテップの化身らしい。

 この辺、あとでじっくり読んでから、本格的にレポートしよう。

 後者の「クトゥルフ・ダークエイジ」は、ドイツで書かれ、人気を博した中世ヨーロッパでクトゥルフ神話を遊ぶという歴史サプリメントの邦訳。キャラクター作成や戦闘ルールも乗っているので単品でも遊べる。
 舞台となるのは、アラビア語から『ネクロノミコン』がギリシア語に翻訳された西暦950年から、焚書になる1050年までという時代。世界観情報もしっかりしており、割と楽しそうである。

*一部手を入れました。

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May 03, 2005

告知:『真・女神転生X』:R&Rに体験版

 現在、製作中の『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』ですが、5月末発売のRole & Rolに、ジャンプ・スタート・キット、つまり体験版が載ります。お楽しみに。

 あと、YS-CONで質問されたのですが、『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』はサプリメントではなく、独立したルールブックです。『真・女神転生』(Ⅰ&Ⅱ)の悪魔200体以上、スキル、アイテムなどが掲載され、単独で遊べます。 『Nocturne』のシステムは継承しますが、サプリ扱いではありません。

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『真・女神転生X』:渚にて

もうすぐ目覚めるわ。陀言様が・・・・・・。

 本日はYS-CON in 秋葉原イエローサブマリンにて、『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』のマスター。
 オカルト雑誌編集部の日雇いライター兼売れない格闘家に率いられた、高校生サマナー、余命いくばくもない遊び人(自称フリーライター)、梓弓の巫女が、お台場に出没するという謎のカルト教団の謎に挑むというもの。
 情報収集すると、米軍の潜水艦が東京湾入り口で、鯨(らしき何か)とぶつかったとか、瀬戸内からやってきた古代民族の末裔の姫君とか、ペリシテ人の魚頭の神とか、ホームレスに変装したゾンビの群れとか、色々よくないキーワードが飛び出す。
 結局、古代民族安曇族の姫巫女に依頼されて、半魚人に率いられた邪教の信徒たちによるダゴン覚醒の儀式を妨害することに。ラスBOSSは、ダゴンに支配された妖鬼アズミですが、かつての海神の強力さを取り戻し、PCたちは悲鳴を上げながら、アズミと死闘を展開する。2回かけたラクカジャ(防御点上昇)の出目が悪かったり、最初のゾンビ戦で色々命運を失っていたりと、ずいぶんPCは大変そうでしたが、格闘家がスープレックスで、アズミをSHOCK状態に追い込むこと数回というパワー戦術で何とか勝利。
 お疲れ様でした。

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May 02, 2005

TOKYO2010:キメラな街

5年後の東京はさらに「異形の街」に向かって加速する。

『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』のワールドガイド執筆中の朱鷺田です。

 「覚醒篇」から7年、東京の風景は少しずつ変わりつつある。

 湾岸副都心は確実に新たな街になる一方、東京各地で再開発が続いている。
 いまやオタクの聖地と化した秋葉原も、「つくばエクスプレス」開通とクロスフィールドを中心とした駅前再開発によって、第二の新宿歌舞伎町への道を辿りかけている。→参考記事
 六本木には、ヒルズに続き、防衛庁跡地に建設されるミッドタウン・プロジェクトによって、さらに巨大なビル・コンプレックスが誕生する。
 渋谷と池袋をつなぐ東京メトロ13号線計画は、渋谷・新宿・池袋の周囲に新たな動線を与える。
 浅草周辺、墨田川の沿岸には多くの高層マンションが立ち並び、今もぽんぽん船が行きかう浅草の川面と奇妙な対称性を見せる。
 昨年の東京の熱い夏は、新たに造成された高層ビルのためだと言われるが、これから建設される多くのビルはさらに、東京の風を淀ませる可能性をはらんでいる。
 SFC版『真・女神転生』が出た頃、新時代の象徴であった新宿の新都庁は、今や奇妙な街の中にしっかりと溶け込み、有明ビッグサイトの逆ピラミッドさえ、当たり前の風景になりつつある。
 大久保のコリアン・タウンは深く根を張り、歌舞伎町ではチャイニーズ・マフィアが闊歩する。多民族化は密に進行する。上野には巨大なホームレス・コロニーが形成され、異臭の漂う段ボール・ハウス群が上野公園の一角を占拠している。
 その一方で、ビジネス・チャンスの増大による外資系の進出も激しい。西葛西にはインド系エンジニアたちの長期滞在が増大しているという。彼らは新橋などにあるインド系IT企業の一員として、長期滞在しているという。
 キメラな街であるなあ、と思う。現代物はこの辺りが実に面白い。
 その面白さをさらに、悪魔復活とかみ合わせて、新たな魔都・東京を描きたいと思う。

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日本を舞台にクトゥルフ

始めるしかないだろう。取り合えず二人で。だってこんな話、誰にしたって信用してくれないから
  -------------友成純一「覚醒者」より

 「覚醒者」読了。
 序盤のタイムリーさや、アル中話の切れっぷりに圧倒され、どこにいくかと思っていたら、その実、日本を舞台にしながら、クトゥルフ神話のお手本のような終わり方を見せていただきました。後半の流れは、日本的なインスマウス物の解釈(それもかなり直球なもの)を見せてもらいました。福岡の街を徘徊する異人たちの存在に我々が感じるものは、もしかしたら、ラヴクラフトの時代の白人が、アジアからの移民に対して感じたものと共通の何かを含んでいるかもしれない。ロバート・プライスの言葉がまたも脳裏をよぎる。

 日本人はすでに欧化し、西側諸国の一員であり、クトゥルフ神話を恐れる感性を共有できる・・・・・・?

 しばらく前から、クトゥルフ神話の舞台としての日本をどう扱うか、悩んでいる。現代よりは、「クトゥルフ・ダークエイジ」のように、歴史上の時代を扱うのが面白そうだ。

 幕末については、すでに、「上海退魔行 ~新撰組異聞~」で検討した。
 ええ、「ルルイエの坂本龍馬」とか、「武田観柳斉とネクロノミコン」とか。

 インスマウスのマーシュ船長が、南太平洋を訪れていたのは19世紀であるので、あの時期の上海や日本、琉球などで、インスマウス事件が起きていてもおかしくはない。いや、ダーレスの「永劫の探求」を読むまでもなく、あの周囲にダゴン秘密教団の魔の手が広がっていることは間違いない。

 さらに、あの時期のアジア周辺の政治状況に、クトゥルフ神話を絡めることも考えた。
 実は西表島海底遺跡も絡めて、あの付近、琉球弧陸に、クトゥルフ系の遺跡が混じっており、それを知った薩摩藩あたりが琉球処分に合わせて、何かやったというネタを考えた。実はこれはかなりいいネタで、日本帝国の台湾進出あたりまで、これで説明できてしまう。
 この当時、台湾は清朝にとって、「蛮族の住む離島」であり、台湾に関して問い合わせた日本帝国に対して、「あそこは蛮地だから(勝手にしろ)」と答えたという記録もある。清朝にそこまで思わせた理由は何かとか考えていくと、色々、話が大きくなってきた上に、かなり真面目に調べないと、書けない危険なネタになってきたので、一旦、置いてある。

 「クトゥルフ・ダークエイジ」が翻訳された今は、戦国末期から、江戸初期あたりが面白いのではないかと思っている。私は隆慶一郎氏の小説で、戦国物に目覚めた口なので、つい、傾奇者ネタが好きであるが、はてさて、どうしようか?
 そう思っていたら、朝松健氏が、戦国時代を室町末期まで広げることで、時代伝奇というジャンルを作り上げていた。これはもう少し勉強して見なければと思っている。
 ツン読状態だった「伝奇城」に手を伸ばそうか?

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