黒い仏
諸事あって、殊能将之の「黒い仏」を読み直す。
ミステリって書いてありますが、正統派のミステリを期待したら、怒る作品である。クトゥルフ神話の黒い神様が仏教に混じって伝来していたという設定の危険な伝奇ホラー風味の実験作である。「黒い神様」ですから、ええ、ウラワザの山ですよ。面白いけれど、それはミステリじゃないし、SFでも宇宙的な恐怖でもないし・・・正当なクトゥルフ神話でもたぶん無い。
そう割り切って読んで下さい。
重要なのは、例の黒い神様が仏教に混じって渡来した際の名前で、これが黒智爾観世音菩薩。さらに、ここに伝わる秘密のお経が「妙法蟲聲經」(虫の声のお経)。そこに現れる悪龍の名前が朱誅龍(シュチュリュウ/チューチュールー)。
ええ、ええ。もはや説明の必要はありませぬな。
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