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July 04, 2005

パラスアテナVSポセイドン

 スパロボ・ネタではありませぬ。決して、シロッコの作ったモビルスーツとバビル2世のしもべが戦っている訳ではありませぬ。
 ギリシア神話における対立構造として、アテナ神(パラスアテナ)と海神ポセイドンの戦いの構図があるという説である。これは諸説あって、アテネVSトロイの守護神戦争の図式だとか、アテネなどアッティカ半島諸都市とエーゲ海の島々の対立の図式だとか、都市文明と自然災害の対立の図式だとか、いわれている。

 なぜ、こんな話をするかと言えば、相変わらず、アトランティス本の執筆中で、サイスの守護女神ネイトの正体を確認しようとじたばたしている最中に、ある本に出会ったからである。

 サイスとは、プラトンのアトランティス話の元ネタを、プラトンの祖先の友人である賢者ソロンが聞いた場所である。これはエジプトの三角州の北西部にある。紀元前28世紀頃、第一王朝の開祖ホル・アハ(戦う鷹)王が、ネイトの神殿を開いたという。紀元前7世紀、ここに旅したギリシアの賢者ソロンが、この地の神官からアトランティスの話を聞いたという。エジプトは基本として、多神教なので、具体的にどの神殿に仕える神官かは不明だが、話の流れとして、女神ネイトの神官である可能性は非常に高い。

 では、ネイトはどういう女神かというと、戦いの女神であり、ホルスに近い存在であることは分かったのであるが、なぜ、この人がアテナとイコールで結ばれるかが分からない。

 そんなおり、本屋にて「黒いアテナ:古典文明のアフロ・アジア的なルーツⅡ考古学と文書における証拠(上)」(M・バナール)を発見。ヨーロッパの歴史学ではタブーとされてきた、古代ギリシアへのアフロ・アジアの影響を論じる論文「黒いアテナ」の第二巻の上である。

 簡単に言うと、古代ギリシア人は西欧諸国の主要民族のように、肌が白い金髪の人じゃなかったよという話。その象徴として、女神アテナの肌が黒くて、髪も黒かったかも、とバナールは言う。

 たぶん、日本の一般読者の多くにとっては、どうしてこれがタブーかぴんとこないだろう。

 ヨーロッパには、いくつもの幻想があるが、古代ギリシア人もまた幻想化された存在である。
 しばしば、理想化されたギリシア人はアーリア系で、白い肌、金髪の種族とされるが、現在、ギリシアに住んでいるギリシア人は黒い髪と浅黒い肌を持つ。これは、古代ギリシア世界の崩壊以降、トルコ系などの混交で発生したと言われているが、M・バナールはインド=ヨーロッパ語族の影響を認めつつも、ギリシア文明に、エジプトやレヴァント(地中海東岸、中近東のうち地中海側でフェニキア人などを含む)の影響が大きいことを主張する。
 ギリシア人はヨーロッパの文化の源であるので、これまた「自分たちの魂の先祖」として美化されている。そのため、ギリシア神話の神の多くは西欧人が好む、透き通った白い肌と金髪で描かれる。ギリシア文明は欧州の魂の故郷であり、純粋であるべき存在なのである。
 ところが、バナールの主張する「アフロ・アジアの影響」を認めた時、古代ギリシア人もまた髪が黒く、黒髪であることを認めなくてはならない。そう、けっして古代ギリシア人が自分たちの祖先ではないことを。
 そこで、古代ギリシア像の捏造が始まることになる・・・。

 ちょっと、遠回りしたが、実は本題はそこにはない。
 この本の中で、アテナとポセイドンの対立構造とは、ネイトとセトの対立構造と酷似しており、その影響下にあるのではないかという話が出てくるのである。
 ネイトは戦いの女神にして、天空の神であり、同時に、水の神でもある。道を開く力もある。おそらく、ネイトはホルスの女性版というべき耀く存在であっただろう。
 セトはエジプト神話で砂漠に住む邪悪な神で、ホルスの宿敵。キリスト教におけるサタン像の原型となった悪神である。『真・女神転生Ⅱ』では漆黒の邪龍の姿で登場する。
 天空の戦士である女神が、砂漠の邪神セトと戦う。
 紀元28世紀のエジプトというから、主要な装備は槍と盾、そして投擲用の棍棒である。

 一瞬、脳裏を、槍と盾を抱え、黒龍と戦う耀く女神の姿が浮かぶ。場所は恐らくナイルの三角州上空。
 かっこいいではないか!

 ネイトの顔にクレオパトラのイメージを重ねる。
 クレオパトラはマケドニア人(ギリシア辺境の民族)が建てたプトレマイオス朝の王女だから、エジプト人と民族が違うと、脳内議論が始まったところで、バナールの理屈で言ったら、ギリシア人にはエジプトの影響があるからOKという自己完結モードに。ああ、妄想がリサイクルされて、OKが出てしまった。
 いいのか、オレ。

 それで・・・アテナ=ネイトという図式が出来たならば、邪神セト VS パラスアテナとかもOKなんだな。

 復活を図る邪神セト。かつて、セトを封じた戦いの女神ネイトの力はサイスのイスラム化とともに失われた。もはや、セトの復活を防ぐ方法はない。
 しかし、異端の考古学者は、ネイト女神の力を受け継いだ「黒いアテナ」ならば、セトを倒すことができるという。歴史学会のタブーを破り、「黒いアテナ」の探索が始まる。

 うむ。「ブルーローズ」用のネタであるが、そのまま、『真・女神転生X』でも使えそうだな。

追記:「黒いアテナ」と同様の議論が、イエス・キリストについてもある。パレスチナの民であったイエスもまた、浅黒い肌と黒い髪を持っていたであろうが、黒人を差別してきた白人社会には浅黒い肌というだけで受け入れがたいものがある。これを悪用して、「イエスは黒人だった」と主張する人もいるが、パレスチナ人はネグロイドではない。

追記2:先日のMusical Batonでバンタンの卒業生からもトラックバックをいただきました(生存確認完了)が、ダブっていたので片方を削除しました。Batonシリーズは、Blogの日記ネタが尽きたときに便利なので、うまく使ってくださいな。

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