一休虚月行
我が名は”悪巣”。”悪巣”とは逆しまの謂(いい)なり。
朝松健『一休虚月行』読了。人間の存在そのものを喰らう西域渡りの魔性。それに狙われた室町幕府五代将軍、足利義量。自らが消えうせていく恐怖におののく義量を連れ、若狭小浜に滞在中の明国の高僧に助けを求めようとするが、邪悪なる魔性とその配下である、伊賀の忍者傭兵、神戸(かんべ)五大力が襲い掛かる。一休とともに、不幸な少年将軍を警護するは幕府目付け人五人衆。西域よりやってきた美少女、真言立川流を操る怪僧も関わり、陰謀と罠が張り巡らされる。
戦国に入りかけた室町後期を舞台にした伝奇時代劇。痛快にして怪奇なり。
ネタ満載で、悪巣が日本へ来訪した理由が、「日本は天魔の支配する国ゆえに」というあたり、『比叡山炎上』準備中の私としては色々来るものがございます。サカシマの妖魔というのは、よろしいかもしれぬ。
そう言えば、昨日の夕暮れは妖気あふるる赤と青の入り混じる紫であった。さてもさても。
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