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September 12, 2005

王子万博:【深淵】海神の封印

「平和の時代と、怒りの想い、いずれを選ぶや?」
封じられた魔族は少年に問いかける。
「選ぶ自由なんて、与えてくれないくせに!」

 昨日は「王子万博」というイベントにお呼ばれしてきました。昨年、「埼玉TRPG祭り」で呼んでくれたスタッフがまた声をかけてくれたというもので、ゲストは私のほかに「扶桑武侠傳」の小林正親さんと井上鮭さん。
 私は予告通り、『深淵第二版』のマスターを。

 今回は海を渡って、海神教団の支配する南の島へ。

 PCは・・・
 海神教団の新リーダー、リシャールを宿敵とする傭兵ソーン。
 海神教団への復讐を誓い、《死者たちの聴聞僧ケルトリン》に魂を売った夢占い師ロータス。
 突然姿を消した盟友カレルを探す真摯な騎士ジョゼフ・マクシミリアン卿
 親子ほども年の離れた恩人カレルに淡い恋心を抱く「白馬を連れた娘」アンジェリア。
 森の結界に捕らわれた挙句、宝玉の大公から苦痛の刻印を刻まれた少年ショウ。

 それぞれの目的に従い、海神の島へ向かう5人は巡礼船の船倉で知り合う。
 おりしも海神の島では、神の子の交代を祝う海神祭が開催されようとしていた。リシャール神官が新たな神の子の後見人として、教団の神官長となるという。さらに、カレルの姿がこの島で目撃されている。
 奇怪な思いに捕らわれ、苦悩する5人の前に、巡礼船を圧するほどの巨大なエイの姿が現れる。これこそ、海神教団の信奉する海神の御使い。
 港につくと、なぜか神官となっていたカレルが5人を迎える。少年に向かい、「ショウ様」と呼ぶ。
 問い詰めるマクシミリアン卿に、「時間がない。あとで」と答え、ショウが新たな海神の子に選ばれ、急ぎ、継承の儀を行う必要があるという。神託によって、残りの4名も儀式の介添え人になり、聖域の山に登り、神の子の印である王冠を取り戻さなくてはならないという。その姿は苦痛に喘ぐかのようであった。そう、カレルはマクシミリアンの領地を魔族から守ろうとして、逆に、魔族から苦痛の刻印を刻まれ、教団のしもべにされていたのである。
 ショウとともに聖域を登る一行。
 頂上の石塚に達したショウの前に、青き魔族の騎士が現れ、問いかける。
「平和の時代と、怒りの想い、いずれを選ぶや?」
 平和な時代を求め、王冠を選べば、海神教団の神の子アルサーン20世となり、魔族を再び眠りにつかせるための儀式に向かうことになる。それはショウ自身が神の子となって、この島の玉座に縛られる道であり、ショウの求めるふるさとへの帰還にはつながらない。
 怒りの想いとは、石塚の下に封じられた海神の戦いの心。ショウが《宝玉の大公》に与えられた炎の石で封印を破壊すれば、海神は海をゆったりと泳ぐエイの姿から、荒々しき青の騎士の姿を取り戻し、魔族復活のための戦いを始める。おそらくこの島は最初の標的となろだろう。
 介添え人の見つめる中、理不尽な決断を迫られるショウ。
 ためらい、炎の石を持ち上げかけたショウに、カレルの遺志を継ごうとするマクシミリアンが切りかかるが、傭兵ソーンが割って入る。王冠を投げ捨て、炎の石で封印を破壊するショウ。怒りの想いが石塚から吹き出し、海神へと流れ込む。あわ立つ海。
 一方、頂上付近では聖域の森の結界が分かれ、森の細道が現れる。かつて、ショウが迷い込み、24年の時を越えた森の巨人の道だ。
「この道だ。故郷へ帰れるよ!」
 飛び込んでいくショウ。少年を守ることを誓い、その後を追う傭兵。ある想いを秘め、少年の後を追う娘と夢占い師。
 それを見送ってマクシミリアンはひとり馬に飛び乗る。
「この大地こそ我が故郷。我は騎士としてこの地を守る」
 従者より、突撃槍を受け取った彼は、波止場に迫る海神を見下ろし、一気に山を下っていった。
 カレルの魂を伴い。

 森を抜ける。
 懐かしい景色が見えた。
 一度は失った故郷。時を越えたのだ。
 ショウは歓声を上げる。しかし、背後に迫る少女がなぜか短剣を握りしめているのにはまだ気づいていない。

 巨人の道を抜けた4人がその後、どうしたのかは、全く分かっていない。
 魔族を巡る運命の輪舞はまだ終わらない。
 ~完~

 今回は、「腕多き者」ダスールを信仰する海神教団のネタに、海の騎士スボターンが「戦う意志」を取り戻す話を絡めたもの。相変わらず、ひどい選択を強いてしまいました。
 皆様、お疲れ様でした。

 今回も色々なかたに声をかけていただきました。久しぶりの人もいました。
 なつかしいものであります。

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