三姫神楽
●里神楽ハンドブック
図書館から借りてきた「里神楽ハンドブック ~ 福島・関東・甲信越」を拾い読む。
里神楽の演目解説とか、各地の里神楽の座(舞い手のグループ)とか、事典形式になっていて面白い。奉納日程一覧もあり、例えば、今日は富士吉田市の富士浅間神社、埼玉県大里郡寄居町の貴船神社、埼玉県秩父市の御嶽神社などで奉納があることが分かる。
●悪魔払いの神楽
「神楽の詞章」では台詞や唱え言を収録している。五十音順とはいえ、最初のタイトルが「悪魔祓い」とは!
これは新潟県三条市あたりに分布する太刀の舞いで、刀の神・経津主命(ふつぬしのみこと)が丑寅鬼門の悪魔を刀で切り、邪を祓う。囃子方の台詞には「君が代」の台詞がそのまま入る。神楽のお囃子調で、じっくり武神が唱える「千代に、八千代に、細石の」という場面は、かっこよさそうだ。『真・女神転生X』的な解釈を始めると、色々シナリオに使えそうな予感がする。
●三姫の舞い
ぱらぱらとめくっていて「三姫(さんひめ)」(または三姫楽、さんひめがく)の演目解説に目が留まる。
福島市、二本松市などで見られる演目で、榊を持った少女の素面三人舞い。多紀理姫命、瑞津比売命、市杵島姫命のいわゆる宗像三女神の舞いとある。宗像三女神は、福岡あたりで信仰されている海神様で、それがなぜか福島県で舞われているのか、と考えると面白いものがある。伝播に関する論文も載っているので、あとでゆっくり読むことにしよう。
宗像三女神に関しては、参考サイト→■をどうぞ。
●十三神楽
こういう本を読むと故郷の神楽を知りたいと思うのがまあ人情。
『クトゥルフ神話ガイドブック』で書いた通り、私の故郷は千葉県八日市場市。ラヴクラフティアン流に言えば、海底(うなそこ)のあたりである。
八日市場市にも里神楽が一座あり、松本神社の十三神楽という。慶長年間(1596-1614)開始と口伝されているから、秀吉末期から徳川家康による江戸幕府設立前後のあたりである。演目は十二座で、「天狗様(猿田彦)の舞」から始まり、「〆切り(スサノオ)」で終わる。奉納は4月13日。
十二座の癖に、十三座というあたりが面白い。ちなみに周囲には十二座神楽が多数分布する。十三日という奉納日ゆえか、それとも、秘められた十三番目の座があるのか?
●シナリオソース「三姫神楽伝奇」
想定:『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』
GP:5~10
内容:東北の山奥で13年ぶりに行われる里神楽「三姫十三神楽」取材に付き合うことになったPCたちが、里神楽の裏に隠された十三番目の秘伝の謎に挑む。慶長年間由来の三姫神楽は、海洋神である宗像三女神に由来するものであったが、神楽が奉納されるのは海から遥か離れた山の奥である。
ついに封じられた十三番目の口伝、「三品」(さんしな)が明らかになる。本来、三種の神器をアマテラス、ツクヨミ、スサノオが持って舞うはずの「三品」は、隠れキリシタンが作ったこの村では、無垢なる赤子、八重洲様に東方の三賢者が三品を捧げる宗教劇となっていたのである。
しかし、禁断の秘伝を公開したことから、十三座の禁忌を破ってしまった村では、奇怪な連続殺人事件が始まり……。
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