BLで学ぶ日本史
●ジャンルの流れを押さえて
昨日はゲーム学校。
通常の授業の後、プランナー科の合評会に向けて、個別指導。私自身はプランナー科よりもライター科寄り、分担もシナリオ系やアナログゲーム系なので、個別指導と言っても3名ほど。
ある生徒が育成シミュレーションの企画を持ってくるが、どうもぴんとこない。見るべきアイデアはあるのに、どうしてだろう?
原因は二つあった。
【1】具体性に欠ける
これは生徒作品に多いことで、コンセプトを推し進め切れておらず、具体例が少ないため、実際のプレイ風景やビジュアルが浮かんでこないのだ。育成シミュレーションは、手間をかけるゲームであるだけに、育成する対象の可愛らしさがキーワードになる。可愛い、萌えるというネタがなければいかんのである。どういう萌えでもいい。
【2】先例の研究が甘い
ゲームの企画書では、しばしば、「既存の作品では~~」と差別化のポイントを上げるが、持ってきた企画書は、どうもピントが甘い。明らかに「プリンセス・メイカー」をプレイしていない。
ある人気ジャンルがあれば、必ず、草分けのソフトがある。
「プリンセス・メイカー」は、育成シミュレーションというジャンルを生み出したソフトである。正直、ここに全ての育成ゲームの基本要素が入っている。「プリメ」を知らずに、育成シミュレーションを語るのは、「ドラクエ」「FF」を知らずに、コンシューマー機のRPGを語るようなものである。
これは先達の成功と失敗のポイントを知る機会なので、商品戦略には欠かせないものである。同じ轍を踏まないためにも、あるいは、何とかのパクリと言われないために、他の商品の研究が必要なのである。
●BLには歴史が必要
2年生に、朝松健先生の「泥中蓮」を読ませる。
すると、すでに仕事を始めている生徒が、漢字が苦手とか言い出す。もともと、時代小説を読ませるたびに、途中で力尽きるタイプなのであるが、今や、ゲームに対する熱情で押し切って何とかゲームライターとしての一歩目を踏み出している男だ。
「歴史とか苦手だと損ですよね」
聞けば、最近、彼はボーイズ・ラブ系のゲーム紹介を担当することが増えているのであるが、歴史が苦手なので、維新物のBLとか、引き受けられず、仕事のチャンスを逃したというのだ。
ああ、確かに。
BL系で言えば、新撰組と平安朝(安倍晴明)は一大勢力だ。今年なら、義経も強いだろう。幼い頃はショタ、長じては、美形のヒーローと応用力も高い。戦国も信長×蘭丸は定番である。歴史系のBLを扱うならば、史実の有名人程度でパニックしていてはいけないし、土佐勤皇党とか、陰陽道とか、言われても逃げてはいけない。やたらマニアックな掛け算も多い。陀羅尼経でビビっていてはいられない。
ふむふむ。日本史はBLに役立つ、ということか?
いや、おそらく、今、BLの読者をしている女性たちも、それほど日本史が得意だった訳ではあるまい。婦女子の道を邁進するうちに、深みにはまった可能性も高いと思う。
「ボーイズ・ラブで分かる日本の歴史」か。
ええ、どこか、これを出す勇気がある出版社はいませんか(笑)
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