諏訪国未然記始末・比叡山の霧
昨日は渋谷のTGR-CON分科会にお邪魔して、『比叡山炎上』のテストプレイ。
ここの会員Aさん、Kさんのお誘いであったが、当人は風邪でダウンしている。私も咳がなかなか抜けない。皆様もお風邪にご注意を。この会は同会のスタッフ向けのゲーム会だそうで、蓋を開けてみると、私の『比叡山炎上』に加えて、『クトゥルフ・ダークエイジ』と『スター・レジェンド』。歴史物クトゥルフ2卓並ぶとは。
結果、3名のプレイヤーを得て、早速、キャラクター作成から。
●諏訪国未然記始末
まず、何度かプレイレポートを書いているシナリオ『諏訪国未然記始末』をプレイ。
天文10年(1541年)、武田信玄の父、信虎様の御世。
PCは信虎様の配下となって、同盟国・諏訪の御柱祭に潜入、国情を調査した上、諏訪国の秘宝、聖徳太子の予言書『未然記』を奪ってくるという話。本来、甲斐と諏訪は同盟国である。先年、晴信(信玄)の妹が若い領主、諏訪頼重に嫁いだばかりである。ここで「わしは諏訪が欲しい」とか言い出す信虎さまの目がかなり怖い。明らかに正気度が低下しているが、世は戦国である。それもまた日常茶飯事。
武士の竜田利継、女忍者のしずく、猿回しの九丸の3人組が諏訪国へ潜入、何とか国情の調査を進めるが、どうも今年の御柱祭りは熱狂の度合いがオカシイ。その上、夜な夜な諏訪湖が青く輝き、諏訪の守護神ミシャグチさまに夢で呼ばれるのである。
恐怖を感じた三人は素早く秘宝を盗もうと決心、忍者のしずくが諏訪大社に忍びこみ、盗み出すことに成功するが、それは……
人の皮で装丁され、異国の言葉で書かれた横書きの魔道書である。
こんなものを持っていてはいかんと、忍者と猿回しが慌てて、甲斐国に戻り、信虎様に手渡すが、今度は信虎様の目が異様な輝きを放ち出す。九丸は「解読の手伝いをせえ」と言われてはたまらないと、しずくはより身の危険を感じ、二人は諏訪へ戻る。
一方、諏訪では、竜田が領主・諏訪頼重と宴会するも、領主の様子は怪しいし、腰元の動きが妙に鋭い。どうやら、腰元がくのいちらしい。その内、酒で潰されてしまう。
その夜、やっと合流した三人は、諏訪様に嫁いだ北の方様を訪ね、未然記が強力な霊験を持つ予言書であることを知り、ミシャグチ様との対決を決意するが、四の柱が立てられたことでミシャグチ様が一時的に解放され、それを目撃した九丸が発狂、竜田に襲い掛かって殺される。ミシャグチさまと対決するべく諏訪湖岸に立つ修羅の武士、竜田はミシャグチさまの触手に切りかかり、5本の猛攻をしのぐも、さすがに両手の剣を折られて、殺される。見守っていたしずくも、逃げそびれ、猿飛びの術で飛び退ろうとするが、触手の動きは速く、背中から串刺しにされて死亡する。
かくして、全滅。
いや、その後、血仙蟲の効果でもきもきと復活する九丸。甲斐国に戻るのも危険ということで、噂に聞いた尾張のうつけものに取り入ろうと諏訪国を逃げ出すのであった。
翌天文11年、武田信虎は乱行故に国を追われた。後を継いだ武田晴信(後の信玄)は、同盟国諏訪を攻め、諏訪頼重を殺害、自らの妹が生んだ遺児・虎王を傀儡として諏訪制圧を果たすのである。
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4時頃に終わったので、キャラクターデータはそのままで、設定だけ変えてもう一セッション。
尾張に向かった九丸が、木下藤吉郎と名を変えた、という暴走を取り込み、日吉丸、比叡山へ。
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●比叡山の霧
「比叡山の腐れ坊主どもめ!」
信長様の癇癪が爆発する。
元亀元年、浅井・朝倉との戦いで苦戦する織田信長は、浅井・朝倉を側面から支援する比叡山に警告を与える一方、側近の木下藤吉郎に比叡山攻略のための調査を命じる。まずは、比叡山の中枢である三塔のうち、横川へ出る道を見つけろと。
藤吉郎はかつて、道々の者として放浪した頃の日吉丸(九丸)に戻り、配下で修羅の武士、竜田と女忍者のしずくとともに、比叡山に分け入ることに。そこへ、比叡山を焼きたくない明智光秀がやってきて、横川の高僧への密書を託す。
「比叡山は鎮護国家の霊場。俗世の争いで焼きたくはない」
かくして、九丸たちは比叡山に踏み込むが、山中で奇怪な読経の声に惑わされ、森には天狗の影が飛ぶ。
やがて、奇怪な唱題行を唱える寺院にたどり着き、そこで一夜を借りることに。
本堂をのぞくと、そこには全身真っ黒な大黒様の仏像があるのだが、どうもオカシイ。まず、全体は七福神の大黒様らしい。でっぷりした腰回り、背中に背負った袋はまさに大黒様だ。しかし、どうして、その他に腕が6本、あるのだ? そして、顔の部分が黒い布で隠されているのはなぜだ?
どうも聞きたいことは多いのであるが、踏み込むと地獄を見そうなので、三人はそのまま、庫裏を借りて休むことにした。夜中も唱題行の声が響き、竜田は、砂漠に立つ夢を見る。地平線からやってくる黒い羊の群れ。それを率いる老婆は問いかける。
「迷っておるのか?」
思わず、うなづいた竜田に、老婆は天を指差す。
見上げれば、天空、星空の中心に浮かぶ大黒天が見える。
その手から一筋垂らされた索を登り、黒い神の顔を見たところで、竜田は夢から覚めた。
「分からぬ、あれは一体?」(何とか発狂に至らず)
このままではいかんと、一行は唱題行を続ける寺院を後にし、早朝の山道を進む。途中、奇怪な貝塚や巨大なひれ付きの足跡を目撃するが、深入りすると危険なので、横川へと急ぐ。
横川の高僧に明智の密書を渡すも、驕り高ぶった高僧は聞き入れもしない。どうも、信長呪殺の修法を薦めているらしい。ここで、高僧がすでに人間ならざるものに変容していることを見て取り、しずくは恐怖に捕らわれる。
これ以上、山にいてももはや無駄と見て取った三人は坂本への参道から下山する。
途中、天狗が襲ってくる。
天狗の杖で激しく打たれ、意識を失いかける竜田だが、修羅と化して踏みとどまる。
そこで九丸の秘術「カグツチ」がかかり、竜田の剣が燃え上がる。すでにしずくの手裏剣で傷を受けていた天狗は燃え上がる竜田の二刀流で切り落とされる。
下山を急ぐ三名だが、再び不気味な読経の声が全山に響き、思わず九丸は振り返ってしまう。
その目に映ったのは比叡山の上空に現れる奇怪な大黒天の姿。おぞましき姿に九丸は発狂、残り二人は耳をふさいで下山、織田軍のいる瀬田へと向かったのである。
元亀2年9月、織田信長は6万の軍を持って比叡山を包囲し、堂宇三千を焼き、僧俗四千を殺した。
この時、横川攻めを命じられた木下藤吉郎(後の秀吉)はその攻め手を緩め、横川から落ち延びる僧たちを見逃したという。しばしば、それは幼名を日吉丸といい、比叡山に所縁のある秀吉ゆえの配慮といわれるが、それは実は秀吉の心に刻み込まれた恐怖ゆえ、もしくは狂気のゆえであったのかもしれない。その真相は誰も知らない。
●感想
慣れたプレイヤーだと展開が速い速いという感じでした。
忍者がきちんと仕事をしたり、修羅と化した侍が戦ったりとなかなか小気味いい展開になりました。
さて、次は、25日のクトゥルフCONだ。
ちなみに、六本腕の大黒様は実在し、比叡山東塔の大黒院で見ることが出来ます。色は金色で、顔を隠してはいませんが、福福しい大黒様の背中から、如来系の余分な腕がにょきにょきと生えているという、神仏習合の過程を体現した奇怪な姿です。出世大黒天として信仰されています。
PS:帰宅したら、マジック世界大会の結果が出ていた。森勝洋君が日本人初の世界チャンピオンに、日本チームも国別対抗でアメリカを破って首位に、年間最優秀プレイヤーも日本人と三冠獲得。ホームタウンとはいえ、マジックの本格上陸(1994)以来、11年目の快挙と言えよう。おめでとう。
***一部加筆訂正
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