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March 31, 2006

幻蔵、ベルセルク

 3月ももう終わり。資料を読みながら、リプレイを起こしたり、記事を書いたり、幕末のリサーチをしたり、何か全然暇になりませぬ。今日は今日とて、『比叡山炎上』のシナリオ部分のゲラ戻しにアークライトまで。ついでに、ごにょごにょ打ち合わせ。たまっている仕事をなんとかせねば。

●幻蔵
 デジタル・コミックの幻蔵が4月号は、無料なので、ダウンロードして読む。
 きっかけは朝松先生のBlog。
 朝松先生原作の「オズヌ」を読む。
 なるほど。
 大陸経由の仏典にクトゥルフ神話の魔道書が混じるというネタは戦国クトゥルフ 『比叡山炎上』でも用意しましたが、朝鮮半万年に遡る神話は見落としておりました。
 いずれ、どこかでリベンジを。

●ベルセルク30
 港湾都市で、クシャーンの妖獣兵と戦うガッツ一行。
 ファルネーゼの決断の時ということですな。

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March 29, 2006

永遠の冬24:バスカレイド

 世の中に、真実など無い。
 誰かが目撃しない限り、それは起こっていない。
 しかし、我らは見る。

 ウィリス11歳の夏。それはヴェイルゲン騎士団の城塞で試練の時を迎えていた。
 ヴェイルゲン候の宮廷でウィリスと婆を迎えたのは、二人の魔道師。禿頭髭面の男は黒剣の魔道師ディルス、白色で仮面の男は翼人の魔道師バスカレイド。

 仮面の男が静かに頭を下げる。
「バスカレイドです。学院より参りました」
 そこで、婆がぴくりとした。
「お久しぶりにございます、ゼルダ老師」
「ラーン・カイル殿は御息災か?」と婆は堂々と答える。
 ラーン・カイルは、《死の王》とも呼ばれる学院の大立者である。かつて、翼人座の塔の長であったが、今は引退し、北原の戦乱を収めるべく外交使節として活躍している。辺境の守護者とはいえ、バッスルとスイネの双方に通じるヴェイルゲン卿は、その名の重みを感じ取っていた。
 むしろ、その会話を理解していなかったのは、ウィリス自身であった。
「は」とバスカレイドが膝を折る。
「辞めておくれ」と婆が歩み寄って、魔道師を立たせる。
「学院の魔道師が、田舎の司祭などに頭を下げるものではない」
「しかし」とバスカレイドが言う。「いえ、差し出がましいことでした」

 その後、ヴェイルゲン卿は、風見山の一件に関して問いただしたが、その舌鋒ははなはだゆるやかなものであった。話の大半を婆がしても、ウィリスに話を振ることはなかった。
 そして、最後に、ヴェイルゲン卿が仮面の魔道師に向かって聞いた。
「得心行かれたか?」
 仮面の魔道師は無言でうなずいた。

 一刻の後。

 城内の一室に休息の場を与えられたウィリスと婆の前に、再び、黒と白の魔道師がいた。
「さて、どちらから、話を聞いたものかな?」
と、婆が言うと、禿頭のディルスが手を振って、バスカレイドを促す。
「学院の意向を、お先に」
「私は学院の使者ではございませぬ。ラーン・カイル師の命に従い、バッスルの安定を担当するのみ」
 その言葉には虚飾も自負もない。
(まるで人形のようだ)
と、ウィリスは感じた。
 ぞくぞくした。
 この人は本当に、人だろうか?

「学院は風見山の一件を知っておりますが、15人委員会はこれを重視してはおりません。なぜならば」と、魔道師はウィリスを見る。その瞬間、視線がずいぶん優しくなったように感じた。
「彼らは、この少年が《獣の王》とは認めておりません」

 ウィリスは驚いた。
 いや、話の流れが分からなかった。
 なぜ、《冬翼様》やネージャ様が選ばれたことに、魔道師学院が口を出し、認める、認めない、の話になるのだろうか?

「学院など関係ない」と婆。
 それから、婆はウィリスを振り返った。
「お前にも、そろそろ話しておかねばならぬようじゃな。
 《予言》のことを」
「予言?」
「9528年 白の風虎  獣の王、西に至り、冬を解き放つ」
と、バスカレイドが唱える。
「これが予言だ」
 今年は9825年、青の海王。白の風虎とは3年後である。
「14の年」と婆が言う。「お前は西に向かい、冬を解き放つ。
 それが予言だ。だが、いまだ、お前と予言の中の《獣の王》が同一であるかどうか定まってはおらぬ。他にも、《獣の王》と呼ばれるだろう男が何人も北原をさ迷っておる」
 そこで、婆はディルスのほうを見る。
「その一人が俺だ」と、ディルスが微笑む。
「獣師、と言っても坊主には分かるまい。魔獣の創造者、怪物の王」
 次の瞬間、4人の前に一匹の黒猫が現れた。
 漆黒の黒猫。
 ただ、その尾はふさふさした毛ではなく、おぞましい鱗に覆われた毒蛇であった。
「ディルス、格好をつけるな」と黒猫が嗄れ声で笑う。
「所詮は学院につかまった籠の鳥。この地で、龍の品種改良をするだけ」
 そこで黒猫はウィリスのほうを向いた。猫の首がしゅるるると伸びていく。
 ウィリスはわっと、後退した。
 その様子を見て、くすくす笑いながら、黒猫の魔獣はディルスを振り返る。
「ああ、いい素材じゃないか?
 これなら、ご主人様もお喜びになるな」
「その許可は出ない」と、バスカレイド。「おそらく永遠に」

「それで、ラーン・カイル殿の目論見は?」
 婆の問いかけに対して、仮面の魔道師は微笑んだ。
「ウィリス殿がすこやかに修行期間を終え、一人前の《お迎え役》となられることを祈っております。《冬翼様》の心を安んじ、炎と氷の周期を崩されぬことを。
 学院はすでに、東方と北原だけで十分に多忙ですから」

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魔道師の怪しい会話その1.
やっと、予言の話まで来た。
次回は来週。
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March 28, 2006

『比叡山炎上』5月発売

●『比叡山炎上』5月発売
 4月末目標と述べましたクトゥルフ神話TRPGサプリメント『比叡山炎上』ですが、諸般の事情により発売が5月に延期されました。現在、校正段階まで来ておりますので、これ以上の延期はないと思いますが、正確な発売日が確定いたしましたら、この場にて、告知させていただきます。

●あちらこちら
 昨日は学校。ライティングの授業の後、アークライトで『比叡山炎上』前半の初校戻しとか、後半のゲラ受け取りをしつつ、色々打ち合わせ。某社の企画が通ったので、夏前に、巫女さん、巫女さんと言い出しても、生暖かい視線で見守って下さい。

●眼鏡、眼鏡
 打ち合わせの帰り、地下鉄でこけそうになる。
 怪我はなかったが、眼鏡が落下し、片方大破する。今日、眼鏡屋に行ってきたが、もう片方も傷だらけでフレームもがたがたなので、結局、作り直しに。被害甚大なり。
 とりあえず、古い眼鏡で作業していますが、遠くは見えません。

●夢枕獏全仕事、菊池秀行全仕事
 学校に出る前に、今日のテキスト代わりに購入する。タイトル通り、伝奇アクション業界を代表する2名の人気作家のファンブックで、最初の対談パートは、1回で取って、2つに分けるという「荒業」だったり。安易な作りとも言えるが、ファンとしては見逃せないあたり。ロング・インタビューと書き下ろしエッセイだけで十分ですよ。
 ライティングでは、夢枕獏ロング・インタビュー、書き下しエッセイ「蘭菊のけもの」、菊池秀行書下ろしの短編『吸血鬼ハンターD BBプロジェクト』を読ませるが、夢枕獏も、菊池秀行も読んだことがない学生がすでに半分近くもいる。夢枕獏氏は『陰陽師』『餓狼伝』の原作者で、『大帝の剣』が今度映画化(主演は阿部寛)というと、なんとか分かってもらえる。『キマイラ』の雄叫びも読んでいないとは。菊池秀行氏はアニメ化された『吸血鬼ハンターD』もあまり認知度が高くない。中高大学と、リアルタイムで青春の本だった自分としては、世代の差を痛感する部分である。

●俺はランス、戦場という人生を駆け抜ける男
 ランスとは、アニメ『極上生徒会』に登場する毒舌の生ける手踊り人形『ぶっちゃん』のライバルである。これも当然、生ける手踊り人形であるが、こっちは世界をまたにかける傭兵で、ニヒルなキャラ。
 このランスの手踊り人形を、企画科の『極上』ファンの生徒が持ってきた(『ぶっちゃん』は品切れらしい)ので、それを奪い取り、授業中、片手に嵌めたまま、指導添削。よい評価は自分で誉め、悪い評価はランスが担当する。

 手踊り人形が企画書をチェックし、説教する。

 怪しい授業である。しかし、間違って入ってきた生徒が、ふつーに「授業中ですか?」と流して去っていくあたり、うちの学校も凄いな。
 ちなみに、我が家には、娘より長く家にいる猫のテオ(正式名称「テオドール(Theodore)」)と、最近、購入されたチワワのくーちゃんがいる。くーちゃんはアイフルのCM通り、目がうるうるなので、生徒指導には向かないなあ、と思いつつ。

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March 27, 2006

ゲーム・マーケット他

 昨日は多忙でした。ゲーム・マーケットの日にR&R用の『比叡山炎上』リプレイ収録が入ってしまい、朝一から浅草まで行って、挨拶回りとゲーム買い込みをした後、都内某所で、『比叡山炎上』のキーパー。家についたのは12時前、ぐったりしましたが、楽しかった。

●ゲーム・マーケット戦利品
 今回は本当に挨拶回りと商品購入で終わり。ゲーム関係者の知り合いがたくさん着てまして、遊びたかったんですが、今回は事情によりパス。時間もないので、戦利品は少なめですね。オフィス新大陸さんにご挨拶した際には、「ドラキュラの怒り」と「侯爵」がいいですよ!とご推薦をいただいたが、「ドラキュラ」は完売状態で、悩んだ後、コンポーネントが綺麗な「侯爵」を購入。
 戦利品は以下の通り。

・ラビリンス・カードゲーム
 傑作ボードゲームのカードゲーム版。ラビリンスは好きなので、バザールでGET。

・陰陽道
 グランペールさんの新作。5角形カードゲーム。東北芸術工科大学ゲームデザインコースの学生作品から生まれたとか。グランペールさんは、こうした公募作品にも熱心なのである。
 第一期の「マジカル・アスリート」がカラー版になったというので、あわせて購入。

・侯爵
 会場で色々な人から聞いた評判でGETした一品。綺麗な木製ボックスに入ったコインや宝石、キャラクター・カードを用いる陰謀ゲームです。いずれプレイしてみたい一品。

●リプレイ収録
 午後は都内某所にて、『比叡山炎上』のリプレイ収録。これはいずれR&Rに掲載される予定。原稿UPしたら、詳しく。記事用なので詳細は避けますが、ギリギリまで悩んでいたネタが、直前のリサーチでとんでもない地平へ突っ走っていきました。歴史ネタと地理の関係がここまで広がるとは。
 お楽しみに。
 ……ってことで、リプレイ記事執筆が仕事リストに追加(笑)。

●マスターしたいゲーム?
 リプレイ収録後、夕食の席で、プレイヤーの属するサークルに、ゲストで遊びに来ませんかと誘われる。スケジュールが合えば、伺うことに。
 こうしたイベントで、ネタは自由であるとか言われると、逆に悩んでしまう。
 今、GMをしてくれ、好きなゲームでいいからと言われると。

・深淵第二版
 血肉そのもののゲームなので、セットがあれば、どこでもいつでも。

・『比叡山炎上』
 4月末発売目標で校正中。リサーチが必要なので、本格シナリオ希望の場合は準備期間を下さいな。サンプルキャラクターで『比叡山炎上』させるだけなら、いつでも(笑)

・『真・女神転生X』と『Nocturne』
 こちらもネタはいくらでもありますから。『50ギガワットの夢』とか、バトル・ダンジョンとかなら、体力の尽きるまで。大正20年とか言う奴は1週間ほど待て。

・『上海退魔行 ~新撰組異聞~』
 別件で幕末関係のネタがたっぷり入っているので、いつでも魔都上海に復帰できますぜ、旦那。揚子江に浮かびたいならな。

・『ブルーローズ』
 3秒でシナリオは作れないが、3秒でセレスティアル・ゲートのスタンドは立つなあ。『超古代文明』で仕入れたネタもたくさんあるから、アトランティスとか、南米モホス文明とか、行きたい場所はいくらでも。今なら、ボウケンジャー・モード、BLOOD+モード、『比叡山炎上』モードとか、オプションも選択可能。

・『シャドウラン第四版』(英語)
 自作以外で、というならば、とりあえず、こいつをやってみたい。
 分かるだろ、チャマ?
 ワールド関係の深いシナリオや、ハッキングとドローン回りを組んでいる時間的な余裕はないが、簡単なP&E(いや、今はB&Eか)を、アーキタイプでやるなら、結構楽しいはずだ。
 ただし、ひとりあたり、D6を15個持って来い(笑)。

●アニメ
・エウレカセブン
 最終回1回前。アネモネの独白と、ドミニクの突進。ギリギリ間に合ったね。
 次回は1時間スペシャルなので、録画をミスしないように。

・BLOOD+
 いわゆる【抱擁】。WoD的に言って。
 かくして、兄弟は知らぬ間に、新たな地平に踏み込む。

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March 25, 2006

日々雑記:TNFとか、校正とか

 昨日は『比叡山炎上』の初校作業、追加原稿を書いたり、確認作業をしたり。
 何とか追加原稿を追えて送信。
 職業イラストも華麗なものが上がっています。お楽しみに。

 今日は遅れていた原稿に取り組みます。

●TNF
 夕方、何とか、校正に一区切りついたので、アトリエサードのボードゲーム会TNFに顔出し。
 途中、酒屋で「越の景虎」を購入。新潟のすきっとした日本酒で梅酒をつけるという贅沢なんだか、台無しなんだか不明の一品。いや、飲みやすかったのでまあ、いいか。
 遊んだボードゲーム、カードゲームは以下の通り。

・ViVa Toppo!
 2003年のドイツゲーム賞子供向け武門優秀賞受賞。5匹のネズミたちを猫に食われないように、チーズのあるネズミたちのパラダイスに届ける双六・ゲーム。子供向けでバランスよく、注意しないと、大殺戮劇が発生し、得点するかどうかの読みが重要になる。外見の割りに大人でも楽しく遊べる。以前、ゲーム・マーケットでバネストさんに勧めてもらって、お任せ買いした一品である。

・ゴキブリ・ポーカー
 ブラフが楽しいカードゲーム。8種8枚を押し付けていく「うそ/ホント」系のブラフ・ゲームであるが、ある意味、テレパシーが通じる瞬間があり、そのキラーパスが通った瞬間が「癖になる」中毒性あり。

・AFRICA
 クーニッツァのアフリカ探検ゲーム。基本は移動してめくるだけなのですが、欧州列強によるアフリカの収奪が実感できる、凄いゲーム。

・Coyote
 最近、毎回定番化しているインディアン・ポーカー専用ゲーム。額に差したカードの数字の合計を当てるというセリ系のゲーム。暴走する数値とブラフの駆け引きが楽しい。外から見ても楽しいという稀有なゲーム。

 次回は4月28日(金)。……翌日からイベント2連荘だが、まあ、顔は必ず出しますね。

●新世紀エヴァンゲリオン 10
 コミック版読了。「たぶん、私は3人目だから」
 10年の連載から、ついにここまで来た、という感じである。

●ふしぎ星のふたご姫
 土曜日朝、TV東京のゴールデン・タイムも、大幅切り替えの時期ですね。
 「ふたご姫」もついに、最終回。
 ふたご姫は世界を救うため、闇と戦う最後のプロミネンスを放つ。
 ほよほよな姫君の、優しくも楽しい冒険が終わった。
 非常に完成された、よい物語でした。
 舞踏会のダンスをうまく取り込んだOP/ED、光と影の王子、各国の姫君、王子様など、海外童話系ファンタジーを好きな人なら、ツボにはまるネタが色々あり、なかなか楽しい作品でした。
 次は、学園を舞台にした「ふしぎ星のふたご姫GYU!」。
 さて、どうなるか楽しみである。

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March 23, 2006

日々雑記:ポンティフェックス

 次の仕事に向かって資料読み中。昨日は新宿から神保町へ資料探しも回り、ついでに、某社で打ち合わせ。『比叡山炎上』の校正も戻ってきて、色々バタバタ仕事していますよ。

●ポンティフェクス
 知人に進められた『ローマ帝国の神々 ~ 光はオリエントより』を読み始める。ローマ帝国で信仰されたエジプトの神々やオリエントの神々を紹介する一冊。他の本とリンクして、ローマ帝国で栄えた秘教密義の風景が広がっていくのは心地よし。
 そんな中、ポンティフェクスという名前が引っかかる。ローマ帝国の司祭で「橋を作った者」という意味がある。同じ名前がマジックの背景世界『ミラディン』に登場する。魔術種族の評議会で暗躍する老獪な政治家の名前である。欧米的には、ローマの古典に遡る語感を持つ命名だったのであるな。

●WBC
 もう一昨日になってしまいましたが、王JAPANが日本一になりましたね。
 W杯効果というか、普段、見ない野球の試合をつい、見てしまいました。1回から4対1と、予想外の乱打戦で、後半はキューバの一発がいつ出るか、ひやひやして、ある意味、面白い試合でした。
 今回のWBCの経済効果は300億円以上とか言いますが、はてさて。

●神保町を歩く
 校正を取りに行く前に、神保町を散策、資料本を沢山買いましたが、ああいう本の山を見ると、つい、うれしくなってしまうのが、ある種のサガであろうか? 今回買えなかったが、読みたい本は神保町のあの店にあるな、と分かったので、気が楽になった。神保町は書斎の延長であるかもしれない。

●読了
・鋼の錬金術師13

 何を言ってもネタバレな気がしますが、アニメ版に揺らぐことなく、独自の路線を進む作者に脱帽しますよ。面白いですね。シン国皇子の動向がとても気になるところ。

・大きくふりかぶって 6
 話題の野球漫画も、ついに第六巻。
 試合編その2.雨の中、戦い続ける高校球児たちの激闘にワクワク。

・シュヴァリエ 2
 BLOOD+ではありませぬ。冲方丁・原作、夢路キリコ・コミックのゴシック・ホラー。
 処女の血と魂で、禁断の詩篇を描き、怪物化することで、セフィロトの勝利の塔を登りゆく【詩人】と、これと戦うフランス王国機密局の【騎士(シュヴァリエ)】、スフィンクスの戦い。
 セフィロトのあたりで、なかなか楽しい感じになってきました。
 ルイ16世をはじめ、歴史上の人物を独自解釈で登場させるあたりも、興味深い。

・影風魔ハヤセ 2
 本能寺で信長は死ななかった! とする、架空歴史戦国物漫画。
 森田信吾の濃い絵柄で、暴走する秀吉、闇を走る忍者、暗躍する信長など、奇奇怪怪です。森田さんの作風はかなり濃くて危険ですな。

●極上生徒会
 学園アニメ。生徒から勧められ、仕事の隙に見た。
 生徒会長が学園創設者で、オーナーという、とんでもない個人趣味で作られた全寮制の女子高、私立宮神学院を舞台にした、ナンセンス・コメディ。この学園では、生徒会が最上級の権限を持ち、極上生徒会として学園の治安と平和を守っていた。母を亡くし、しゃべるハンドパペット「ぶっちゃん」以外頼るもののいない「蘭堂りな」は、Mrポピットの推薦で、この宮神学院に転入、なぜか極上生徒会の一員になってしまう……。
 ほえほえな絵柄と、メタメタなネタ話の割りに、基本ストーリーは、出自による束縛に苦しめられ、トラウマを背負った少女たちの救済という、かなりダークな話が多い。その辺を、主人公の少女「蘭堂りな」ののんきな純真さと、学園事態を所有する「極大権限最上級生徒会」、勝手に毒舌を吐くハンド・パペット「ぶっちゃん」に代表されるトンデモ設定だけで押し切るあたりがよい。
 最終巻は涙腺が刺激されました。

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March 21, 2006

衣装箪笥を抜けて

 昨日は学校の日。娘は中学の卒業式で、妻がいそいそと出かけていきましたのを見送り、私は次の企画に向かって、戦略的転進中、資料読みをしたり、じたばたしたり。「急げ」とメールあり。全くだ。
 某社から電話が入り、某企画にGOが出た。久しぶりの翻訳仕事だ。OK、頑張っていきましょう。来年の出版予定なので、夏頃にご報告できるかと思います(最近、そういうネタ、多すぎますな)
 その前に、『真・女神転生X』のサプリとリプレイ、新紀元社の一冊、某社原稿とかGWまでにこなさなければいけない仕事がてんこ盛りです。頑張りましょう!

●学校:何を見ている?
 昨日は学校。今タームも、再来週には終わるので、少し発破をかけつつ、多種多様なテキストを読ませる。今回の隠しテーマは「キャラクターは何を見ているか?」

「ほんとうはひとつの話」E.L.カニグスバーグ
 企画科の女性のセレクション。
 『クローディアの秘密』のカニグスバーグの不思議なお話から2編。魔法とか何も出てこない現実の話であるが、その味わいは、童話系ファンタジーと言ってもよいだろう。その微妙さが楽しめるかどうか、それもまた感性であろう。
 おそらく元は岩波版のようだが、これは絶版なので、横のエントリーには今、入手できる『クローディアの秘密』との合本を置いておきます。

「恋する死者の夜」 古橋秀之
 電撃hpに掲載された作品を集めた短編集「ある日、爆弾が落ちてきて」より。
 古橋秀之というと、デビュー作である骨太なマジカル・サイバーパンクの『ブラックロッド』シリーズのイメージが強いが、あれから10年、『ソリッド・ファイター』あたりから転進し、『斬魔大聖デモンベイン 機神胎動』を経て、この『ある日、爆弾が落ちてきて』は、表紙通り、萌え要素満載の不思議な恋愛系ライトSF短編集。
 「恋する~」の、ひそかにダークな世界を楽しめるかどうかは、少女のゆるい台詞に萌えられるかどうかという問題と同じなのかもしれない。

「ニュー・ローズ・ホテル」 ウィリアム・ギブスン
 サイバーパンクの開祖というべき、ギブスンの短編SF。ライティングが終わるまでに、読ませておきたかった一編を、『80年代SF傑作選』よりセレクト。
 『攻殻機動隊』のおじいさんにあたるという説明が正しいだろうか?
 こちらは、SFの素地がない人には、そのジャーゴンとギャゼットの洪水に流されがちであるが、それを「装飾」と割り切り、飾りの下に潜む「セクシーでCoolな文脈」にたどり着けるか? が問われる。この辺の読み方を解説し忘れると壊滅するのは、『指輪物語』と一緒。

●萌え小説を速読?
 速読派の生徒がひとりいて、ライトノベルの場合、10分もあれば一冊読めるというが、個人的には、それはあまりよくないと思う。情報として、粗筋だけ追うならば、それでもよいかもしれないが、それは逆に言えば、台詞のやりとりとか、萌えとかを体感できないのではないだろうか? 
 萌え、の特徴として、描写を脳内補完する瞬間が必要ではないのか?
 それとも、0.001秒で脳内補完し、萌えているのだろうか?

●英雄たちの風景
 授業が終わって、2Bの本棚に持ってきた漫画や小説を入れようとしたら、先日、卒業したKが「モンスターハンター2(ドス)」をプレイしている。仕事の合間に遊びにきたようだ。相変わらずの男である。
 このゲームを見るといつも思うが、ゲーム中とはいえ、こういうデカブツと1対1で戦うというのは、凄まじいことだな。D&Dのファイターが、ドラゴンと戦う図式そのままではあるが、正直、よく戦うと思う。こんな怪物と正面きって戦うのは、やはり異常な風景なのだなあ。
 だから、英雄なのかもしれない。

●ファンタジー概論・予告
 企画科シナリオ向けの生徒のために、来期の『ファンタジー概論』の予告。
 今までのライティングからは、変わって、講義と映像中心の授業となる。ファンタジーの傑作を紹介しながら、その構造とか、ジャンルの特色とか、語る予定。途中に、別の意味のファンタジーとして「萌え」の話も入るが、基本は映像と活字。
 序盤は、映像を中心に、話を進めるので、参加する生徒は、5月上旬までに宮崎駿の劇場アニメ全部、映画版『ナルニア物語』、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作を見て来い、という。我ながら、ひどい指示だ(笑)が、若いうちに出来るだけ多くの映像を見ておかないと、ゲーム・クリエーターとしては、大変なので、徹夜できる間に見てほしい。可能なら、原作も読め、というが、毎年、『指輪物語』で挫折する人が多いのである。

●ナルニア国物語:第一章 ライオンと魔女
 学校が終わった後、歌舞伎町で最終回に滑り込む。
 非常に原作に忠実な映画化である。その分、序盤の描写が分かりにくく、物語の速度が遅めであるが、中盤、狼に追われるあたりから、テンポが上がり、アスランが出てくると一気に盛り上がる。戦闘シーンの迫力はやはりいい。突進する獣人軍団と、白熊の引く戦車に乗った魔女は印象深い。これぞ悪の女王であるよ。

●いただきもの
 ジャイブさんより、秋口ぎぐるさんのゲヘナ・リプレイ第五弾『王女と獄と放浪者たち』をいただく。ありがとうございます。ゲヘナ・リプレイも第五弾、「アザゼル編」も完結ということで、お疲れ様でした。

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March 19, 2006

永遠の冬23:黒と白

 理性とは、論理ではない。
 最適を求める本能である。

「グリスン谷のお迎え役ウィリス殿と、介添え役ゼルダ殿であられるな」
 ヴェイルゲンの龍騎士は、面頬を上げ、荒々しい微笑みを見せた。
「我が主がお待ちです」

 龍に付き添われて歩くというのは不思議なものである。
 騎龍は、巨大なトカゲのように見えて、犬に似た獣臭がする。
 肉を喰らうのであろうか?
 人の倍はありそうな頭の大部分が突き出した巨大な顎だ。
 そこには尖った牙が列をなしている。
 胸から伸びる腕は、その体と比べると、とても小さなものだが、その鉤爪は鋭い短剣のようだ。
 ふぅふぅという熱い息は、これが野獣であることを、ウィリスに突きつける。
 先ほど、一瞬、開いた様子から言って、それが暴れだしたら、ウィリスの頭など一かじりであろう。

(怖いか?)

 ウィリスの頭上で北風がささやいた。
 雪狼だ。

(弱ければ、食われる)

 雪狼の心は単純だ。
 弱い者が食われ、強い者が食う。
 だから、強くあらねばいけない。
 衰えた者が死に、若く強い者にその場所を譲る。
 若い者も、弱い者、運の無い者から脱落していく。

(殺すか?)

 そして、雪狼はウィリスを守るため、すべての敵を排除する。
 なぜならば、今や、ウィリスは獣の王なのだから。

「大丈夫」
 ウィリスは自分に言い聞かすように呟いた。
 強くあらねばならない、と、婆に言われた。
「お前の声は、姫様に届く。
 泣けば、姫様は心配しよう。
 本当に必要な時まで、怖れる声を上げてはならない」
 婆の言葉を守り、ウィリスは怖い気持ちを抑えた。

 少しおちついて見ると、騎龍は美しい生き物であった。よく磨かれた緑と茶の鱗は、虹色に光り、巨大な目玉も水晶のようである。尾は太く、うねるように後方にたなびく。地面には落ちない。それが妙に優雅にも見えた。

 龍騎士に先導され、城の内に入ると、そこはしっかりした石作りの壁が続く堅固な要塞である。ヴェイルゲンの作法なのか、それぞれの窓は小さく、また、鉄格子がしっかりと嵌められている。
 中央の城館の前で、龍騎士たちは石造りの厩に消え、衛兵たちが案内して、城館の中へと導かれた。
 着いたのは、広間である。
 奥の玉座には、この地の領主とおぼしき、壮年の貴族が座している。
「カイル・ヴェイルゲンである。
 この地を拝領し、ヴェイルゲン騎士団の団長を勤めておる。
 グリスン谷の当代お迎え役であるな?」
 男の声は鋭く、響き渡った。
「は、ウィリスにございます」
 ウィリスと婆はその場に伏せた。

「急がせて済まぬ。
 到着次第、お前の顔を見ねば、落ち着かぬと申す者がおってな」

 その声に応じて、横に控えていたローブ姿の男が二人立ち上がった。一人は、禿頭ながら、黒々とした髭を蓄えた男である。胸には、黒い剣のように見える襟留めが輝いている。おそらくは黒剣の星座の印。生命と始まりの秩序を司る。
 もう一人はさらに異様だ。
 髪も肌も唇さえも死人のように青白い上に、その目のあたりは木で作られた仮面に覆われている。仮面は横長の楕円形で、両目を結ぶあたりに、一本の細い筋が引かれている。その胸の襟飾りは、白銀の翼。あれは翼人の紋章だ。死という名を持つ、終わりの秩序を表す。

(魔道師)

 ウィリスはぞくっとした。
 婆から話だけは聞いていた。
 世界の中心で、魔法を学ぶ学校がある。魔道師学院である。世界の叡智を集めたその山の奥で長き研鑽を終えた者だけが魔道師の名を名乗ることができる。それはおそるべき力の使い手であるという。

「しかし」とゼルダ婆は、旅の途中で言った。「あれらはあまりにも遠い世界で戦っておる。我らとは違う生き物じゃ。グリスン谷のような小さな谷間のことなど、あれらには関わりはない。あれの敵は天地そのものなのじゃ」

 魔道師は、この世界の魔法と同じく、12とひとつの星座に属するという。禿頭の男はおそらく、生命を支配する黒剣の魔道師、仮面の男は死を司る翼人の魔道師であろう。
 二人は無言で、ウィリスの顔をじっと見た。
 ウィリスは背筋が凍った。

 冷たい視線。

 北風や雪とは違う冷たさがそこには宿っていた。
 禿頭の男の目には、人としての感情が欠けていた。まるで、魚か虫でも見るかのような視線だ。
 仮面の男は目こそ見えなかったが、その視線もまた別の冷たさが宿っていた。まるで、口から体の中に忍び込み、心臓を凍えさせてしまいそうな冷たさ。仮面をかけていてなお、この鋭さを持つというならば、仮面を取った瞳など、直視しただけで死んでしまいそうだ。
 冷たい視線はそのまま、ウィリスを貫き、その背後へと貫こうとする。

(殺すか?)

 雪狼の声がすぐ耳元で響いた。
 何か、答えようとした瞬間、婆がウィリスの前に出た。射るような視線が途切れた。

「お久しぶり、ディルス殿」と婆。
「当代はまだ11歳。修行中の身でございます」
「ああ、失礼」と禿頭の男が詫び、視線は消え去った。
「つい、おとなげのないことをしてしまった。
 さすが、グリスン谷の当代様である。
 優れた資質をお持ちだ」
 そこで、禿頭の男が微笑む。
「グリスン谷のお迎え役殿、失礼いたしました。
 我が名はディルス。黒き剣に仕える者。
 お会いできたことを感謝します」
 そして、仮面の男が静かに頭を下げる。

「バスカレイドです。学院より参りました」
 そこで、婆がぴくりとした。
「お久しぶりにございます、ゼルダ老師」

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ヴェイルゲン編第二回。
魔道師登場。
あえて、コメントは差し控えますが、『丘の上の貴婦人』もよろしく。
絶版ではありますが、Amazonではまだ入手できるようなので、
エントリーを横に置いておきます。
そろそろ、連載を定期に戻して行きたいと思っています。
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March 18, 2006

Zガンダム3

 午前中で、某社原稿が1本終わったので、娘と新宿まで出かけて「Zガンダム3」を見てきました。

●Zガンダム3
 時間の関係でロザミア編がまるごと飛んで、結末が色々変わってましたが、面白かったですよ。新約ということで、ずいぶん世界が変わったような気がします。
 可能ならば、ZZにあたる別の時間を新シリーズとして、描いて欲しいなあ。

 開演前の予告編では、「立ち食い師列伝」と「トム・ヤン・クン」が奇妙なセンスでたまりませんでした。「DEATH NOTE」は、予想以上にかっこよさそうで、少し期待。

●ナルト走り
 駅に向かう途中の道で、NARUTO走りをしながら、忍者ごっこをする小学生を見ました。
 ある種、感動しました。

注:ナルト走りとは、ジャンプの忍者マンガ「NARUTO」のアニメ版で、両手を後ろに流す形で忍者たちが走る独特の走法。どう見ても早そうに見えない。

●コミック
・BLACK LAGOON 5

 日本編。「見るな、傷になる!」
 分かっているが、避けられない悲劇。
 だからこそ、僕は黄昏の中にいる。

・幕末恋華新撰組
 『真・女神転生X』のイラストを書いて下さっている黒百合姫さんのコミックを発見したのでGET。同名の乙女ゲームのコミック版。タイトル通り、新撰組唯一の女性隊士となった桜庭鈴花が、隊士たちと繰り広げる剣と恋の日々という話。鈴花が愛らしいのでOK.

●世界ふしぎ発見
 今日は、モロッコ紀行といいつつ、アトランティス、北アフリカ・ジブラルタル仮説の話。アトラス山中のベルベル族を訪ねて、古代の伝説を追いかけるというもの。
 地中海が谷間だった仮説、ジブラルタル沖の沈んだ島など、色々紹介されていましたね。個人的には、チュニジアかどこかの地中海沿岸にある湿地の底にアトランティスが!という話も紹介してほしかったですね。あの場所の映像は見たいなあ。

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March 17, 2006

墨俣を覆う影

 『比叡山炎上』が終わっても、別の締め切りが。さあ、頑張って原稿、原稿。

●墨俣を覆う影
 先日の「スピコピ」用シナリオを考えているうちに思いついたタイトル。
 もちろん、元ネタは「インスマウスを覆う影」であるから、学生が、夏休みの旅行でなぜか墨俣行きのバスに乗ってしまうが、そこは……、という話になりがちであるが、そこはそれ、戦国クトゥルフの『比叡山炎上』である。
 秀吉が出世のきっかけとなった、墨俣一夜城建設にまつわる裏話というネタだ。
 墨俣一夜城とは、美濃攻めの拠点建設を信長から命じられた木下藤吉郎(秀吉)が、木曽川と揖斐川の中洲、墨俣に一夜で築いたと言われる城で、近年では、秀吉が得意の建設能力を駆使して、木曽川上流で伐採した木材を一気に河で輸送し、一夜で防御柵だけ作って、防衛しながら、建設したという説になっている。
 おそらくは、簡易な木柵と板塀だけの砦であり、石垣とか、天守閣とかは全くなく、防壁の内部には土嚢と木造城館があった程度で、外見も戦国の名城などでは全くなく、西部劇に出てくる騎兵隊の砦のほうが近いだろう。
 とはいえ、稲葉城目前の中洲に突然、敵の拠点が出来たら、やっぱり驚く訳で、これを実現した木下藤吉郎は出世街道を走り出す訳です。
 しかし、この建設作戦の裏に、クトゥルフ神話の邪神の存在が……。

 おお、なんか出来たぞ。

 ……という訳で、早速、墨俣の地形を現在のマップで確認、木曽川、長良川、揖斐川が複雑に流れる中洲で、洪水のたびに水を被る湿地帯。ああ、なかなかいい地形だ。
 インターネットで、墨俣町のサイトで観光資料を確認しようとしたら。

 1億創世で、天守閣つきの城が建ってました。

 普通の城ですよ。歴史考証はおそらく無し。ちょっと台無し。
 かなりモラルが下がったのと、比叡山関係につなげきれなかったので、「スピコピ」のネタは、第二候補だった「朽木谷妖変」に変更。
 まあ、そういうものだ。

●趣味は読書ィィィィ
 「葛葉ライドウ」は、夕食後の食休みに少しずつ遊んでいます。戦闘が軽いアクションで、封印アクションがポケモンめいた「○ボタン連打」なので、戦闘シーンだけはなぜか息子がプレイ、というホノボノした風情です。
 相変わらず、悪魔たちの発言がCoolで、キレてますねえ。
 忠誠度MAXの際の会話とか、合体前後の会話がなかなか素敵。
 蛮力属イッポンダタラなど、外見は半分ゾンビめいたパンク野郎の上に、会話パターン「MAD」のくせに、合体で出来た途端、自己紹介で「趣味は読書」とか叫びます。これはやたらツボにはまりました。
 悪魔の捜査スキルや、単独調査行動はなかなか興味深いですね。楽しみ、楽しみ。

 「ペルソナ3」の露出が始まりましたね。今度は現代学園物ですか、これはこれで楽しそうです。

●ドリル、ドリル
 日曜日朝、イベントで見られなかった「ボウケンジャー」と「カブト」を見る。
 「ボウケンジャー」は、ついに、ドリル・マシーン登場。大冒険に合体させてドリル・パンチですよ。
 天候兵器「マッド・ウェザー」の暴走というお約束のネタもあり。
 ブルーローズ分を補充して下さい。

 「カブト」は2号ライダー登場。ハチですか。
 なぜか、フランス料理屋で豆腐料理対決。麻婆豆腐と中華冷奴って、どうかね。

 完全なる調和 対 天の道

 「カブト」は「ムシキング」ではなく、「美味しんぼ」だったのかあああ。

●第二ボタン
 先ほど、J-Waveで流れていた話題をメモ。
「最近、ブレザーが増えたせいか、卒業式で、好きな人の第二ボタンをもらうという習慣を知らない子が増えている」という。
 学園物も時の流れが影響するのだなあ。

 そう言えば、「トクだね」では、「子供たちの音域が狭まり、高音が出にくくなっている」という話題がながれていた。「蛍の光」で1音、「蝶々」に至っては4音ほど下げて歌わせることが多いとか。
 おそらくは、大声を出して遊ばないこと、運動不足で腹筋が衰えていることなどが影響しているのだろう。あまり実感はないが、戦国の人々は大声が多く、信長や秀吉の声は戦場全体に響いたという。どんな大声であったのであろうか?

●海の誕生
 次の本に向けて、資料読み中。

海が出来た理由
 ・原初の巨人が死んで(殺されて)、その血液や脂肪などから海が生じる。巨人の汗という場合にあり。
 ・世界の卵が割れたとき、その白身が流れ出して、海になった。
 ・ひょうたんなどの容器に入っていた水があふれて、海になった。
 ・もともと世界には原初大洋しかなかった。そこに棒か槍を突っ込んでぐるぐる回したり、潜って土を取ってきたりした結果、大地が出来る。

 勉強し直すのはやはり楽しい。

●それでも町は廻っている  1
 読了
 どこにでもある商店街の片隅である喫茶店が、主人の老婆の思いつきで、なぜかメイド喫茶に。だからと言って、メイドカフェっぽい爆発をする訳でもなく、天然少女、嵐山歩鳥(ホトリ)とそのクラスメイト、担任、商店街の人々が繰り広げる、天然でほえほえな日常生活。
 萌えとかあまり期待せず、ほえほえと読むと、木星人が愛用する多機能棒「ハオリベイ」(光る)とか、探偵脳とか、スポック風のメイド挨拶とか、小ネタが楽しい。

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March 16, 2006

朽木谷妖変(スピタのコピタの)

 昨日、3月15日は、ラヴクラフトの命日である。来年で没後70年となる。

●朽木谷妖変

 ……という訳で、昨日はR&Rステーションで、戦国クトゥルフ『比叡山炎上』のセッション。
 R&RのRPG紹介漫画「スピタのコピタの」で、紹介していただけるということで、緑一色さん、編集氏2名を相手に、戦国邪神シナリオ「朽木谷妖変」をプレイ。
 詳しくは来月発売のR&Rを見ていただくとして、概要のみ。

 元亀元年4月、朝倉攻めに向かった織田信長は、妹婿とした浅井長政の裏切りによって挟撃を受け、松永弾正らとともに脱出を図るが、足利義昭と本願寺の陰謀により、すでに山野には数万の一向一揆衆が待ち受けていた。
 「南無阿弥陀仏」の声が山野に響き渡る中、松永の命により、朽木谷に籠もる孤高の武将、朽木信濃守元網への先乗りの使者として向かうが……。

 セッション内容はある意味、「スピコピ」らしい展開に。
 では、お楽しみに。

●読書日記
・伊庭征西日記

 森田信吾の幕末歴史物コミック。心形刀流の達人、伊庭八郎の直参としての戦いを描く。

・絶対可憐チルドレン 4
 合コン編、サイコダイバー編。

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March 14, 2006

海を辿って

 昨日は午後から学校。
 先週まで『比叡山炎上』で一杯だったもので、色々、忘れている。突然、入学パンフの撮影が授業にやってきて、紹介写真を取られたり、生徒の原稿に赤を入れたのを物撮りされたり。そういう日に限って、ダサいワークシャツだったりするのですが、おしゃれは苦手なので、気にしないことに。
 しかし、課題をしている生徒の前で写真を撮られるのはけっこう気になりますね。担当編集が工藤講師だったり、カメラマンが元学校スタッフの女性だったりするので、少し気が楽でした。気軽に話しかけて表情を引き出すというのも、カメラマンや編集の重要なテクなのですが、ライター科の生徒たちはそこを読み取れただろうか?

●キャラクターの行動の理由

 企画科合評会作品指導のため、生徒の小説を読む。
 レギュレーションは、「デートムービーのためのシナリオで、家族と、バイオレンスがテーマ」。ああ、いいねえ。エンターテイメントの王道である。
 しかし、キャラクター造形とか、背景世界の設定がダメダメなので指摘する。
 キャラクターがバイオレンスに走る「リアルな理由」が表現できていないのだ。日本めいたディストピアが舞台で、社会に不安を持つ少年がテロリスト組織に身を投じる、というと素晴らしいが、どこがディストピアか表現されないと、「社会の狂気に抵抗するテロリスト・ヒーロー」は成立しない。
 そして、我々現代の日本人は、「素晴らしき日本」という、生温くも巧妙に作られた現実のディストピアを目の前にしているので、深みのない設定ではディストピア感が出ないのだ。せめて「レベリオン」、せめて「バトル・ロワイヤル」までは言って欲しい。

●百萌え

 どうしても、一般人とのズレを自覚しない人がいるので、ボキャブラリー・テスト。
 制限時間内に「犬の種類」と「モビルスーツ」を書かせる。ライター科では以前、行った企画であるが、企画科では最初の試み。だいたい、「犬の種類」は一桁から、15個前後で終わるが、「モビルスーツ」は、ガンダムには詳しくない1,2名をのぞき、軒並み15個以上、最大は32個まで行ける。まあ、そんなものだ。
 ついでに、「萌え記号」でやってみる。なぜかこれも20個とか。
 以前、インターネットで見た企画では確か「百萌え」というネタがあったね。

●ノスタルジック・ファンタジー

 テキスト講読は、奇しくもノスタルジック・ファンタジー対決。

【1】森博嗣 「素敵な模型屋さん」
 模型好きな少年が辿る成長の記憶。どちらかといえば、モノクロームのサイレント映画で見たい話。
 作者名と選者から、本格ミステリだと思ったら、ノスタルジック・ファンタジーだった。
 短編集「今夜はパラシュート博物館へ」より。

【2】小川洋子 「刺繍する少女」
 ホスピスで死を待つ祖母を見舞った私は、刺繍する少女と出会う。

●お薦めボードゲーム
 帰り際に聞かれた。

 「今、面白いボードゲームは?」

 元学校のスタッフで、カメラマンになった女性から聞かれた。以前、授業の関係で紹介した「カタン」が楽しかったそうだ。
 とっさに、時間の短くて、ルールの簡易な「ゴキブリ・ポーカー」「キャント・ストップ」「BLUFF」を上げ、ついでに、ネットで流行っていた「人狼」を上げたが、少し適切ではないかもしれないと思い出した。また、少しどこかで探すことにして、今の僕好みゲームを上げておく。

「通路」 手軽で手早いパズル・ゲーム。アナログ版チクタクバンバンというと説明が楽。
「AFRICA」 ドイツのアフリカ探検ゲーム。移動してめくるだけというのがよい。

●海を辿って
 大林太良先生の「海の神話」を読む。タイトル通り、シュメールから始まって、世界各地の海洋神話を紹介する一冊。海の誕生を辿ると、巨人化生神話、天地海分担神話、宇宙卵神話とか、楽しいですねえ。
 久しぶりに、海洋冒険物とか遊びたくなるのであった。

●読了
・七つの黒い夢

 乙一、恩田陸、北村薫、誉田哲也、西澤保彦、桜坂洋、岩井志麻子と名だたるホラーの書き手が集まった短編集。恩田陸以外は、小説新潮に掲載された傑作短編を集めたもの。ダーク・ファンタジー短編集とあるが、現代都市ホラーめいた、奇妙な短編ばかり。個人的には、桜坂洋の「10月はSPAMに満ちている」がモーニングの「東京TOY BOX」を思わせて印象的。

・刀化粧1  小池一夫&神田たけ志
 コミック。抜刀流の祖、林崎甚助を、奇妙な母によって育てられ、その後、戦国を漂泊した美剣士とし、殺戮と戦いの日々を描く異色時代劇。

・センゴク 8 宮下英樹
 信長戦記。比叡山焼き討ち編決着。この章の終わりに出てくる石仏は去年見ましたが、そこだけ寂しい場所です。傍らに、手ひねりの童子めいた地蔵があってなかなか独特の雰囲気ですよ。
 コミックは明智光秀のキチガイっぷりもよし。
 そして、始まる信玄上洛編をどう斬新な展開に向けるのか実に楽しみです。
 この信玄が悪そうでいいんだよ、また。

●スケジュールメモ

 26日に修正。午前中に、ゲーム・マーケットに顔出ししてから、某所へ。
 ああ、そういえば、今日はホワイトデーだ。

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March 13, 2006

深淵:黒い魔道書

妖精騎士よ、前世の宿縁、今生こそ我が炎をもて晴らさん!

 昨日は都内のサークル「無限CON」にお呼ばれして、「深淵第二版」のGMを。
 プレイヤーは5名。初めての人も含めていたので、シナリオは「戦火の街を救うため、禁断の魔道書を荒野に住む賢者のもとへ運ぶ」という、【粗筋】だけある渦型シナリオを使用する。渦型とは、おおよその概要だけ決めて、後はPCの運命に任せる形で、即興で運営する「深淵」独自のシナリオ形式である。

●戦火の街ラストール
 今回は、東方からハジの荒野に攻め込んだ火神教団の猛威の前に揺れるラストールの街が出発点。

 火神教団は、炎の大公を信仰する東方の蛮族帝国である。第二版の世界では、炎の軍団が東方から攻め寄せ、東方辺境にも激しい戦乱をもたらす。そして、一部の先行部隊が大峡谷を渡り、中原やハジの荒野にもなだれ込む。その軍団を指揮するのが、魔族の力を有する女神官、紅蓮の戦姫ウルスラである。
 ラストールは、ウルスラの軍団との戦いに街の兵団を送り出すが、これが壊滅。やむなく、街の神殿に封印されていた黒い魔道書の封印を解くため、志願者を募り、荒野に隠れ住む賢者ミルバに届けに行く、というもの。

●シナリオ・レギュレーション
 魔道書運搬シナリオなので、転移系、飛行系の魔術を持つキャラクターは禁止。原蛇の魔道師禁止。
 あきらかに持って逃げそうなキャラクターは非推奨。
 最低でも、戦闘系キャラクターが1名以上。

●PC
 ひたすら不幸で、骨肉の戦いで故郷を出た傭兵クロード。遠縁の従兄弟、ブランドは炎の大公に身を捧げ、それゆえに、クロードを深く憎悪し、殺そうとする。

 王者の相を持ち、炎の大公に復讐を誓う吟遊詩人レイル。下級貴族の私生児であり、火神教団に殺された死んだ父に代わり、復讐の戦いを決意する。

 ウルスラの秘密を知ったため、呪われた盗賊ガイア。味覚、臭覚、触覚を奪われ、生きる快楽を得られない上、おぞましき呪いは深淵への扉さえも開いてしまう。

 妖精騎士の血を引き、森の結界から帰還した女狩人オルツィ。戦火で母親を失ったヨシュアを拾い、同道するも、心は妖精騎士の血筋のものとして、魔族との戦いに捧げられている。

 戦火で母親を失い、オルツィに拾われた少年ヨシュア。その心は悔恨と死者の声によって、無謀な行動へと駆り立てられる。

●縁故の妙
 ここで、プレイヤーの提案で、ヨシュアとオルツィが血のつながらない親子という設定になる。
 では、その人間関係を示すために、縁故ポイントを割り振るように指示する。「深淵」ではこの縁故ポイントの多寡で、人間関係を計るのであるが、これには限りがある。比較的自由な運命を持つヨシュアからは縁故5点がオルツィに割り振られるが、妖精騎士の血筋、森の結界と比較的重めの運命を持ち、社交の低めなオルツィは、もはやあまっている縁故が1点。オルツィは「母としての愛情は希薄な保護者」という立ち位置に立った。
 この哀れな風情が、やさぐれて盗賊に落ちぶれたガイア、不幸なクロード、私生児のレイルと、年上でダメな男たちの同情を引き、続々ヨシュアに同情縁故を割り振ることになる。

 かまってくれる男たちに向かって、ヨシュアは「母ちゃんを頼む」と言いかけるが、当の「母ちゃん」は、街に迫る火神教団のリーダー、ウルスラが、前世からの宿敵であることを知り、もはや、ヨシュアを振り返る余裕の無いことを知る(縁故5点を設定。そのため、愛用の弓、ヨシュアへの縁故が消滅、森の結界から持ち帰った牧人の石への縁故も削れてしまう。PC的には魔族教団の女神官とのバトルを避けられない状況に)

●黒い魔道書
 ラストールの神殿に封印されていた魔道書。
 上代語でもない封印された、魔術的な暗号で書かれており、賢者ミルバ以外には読むことが出来ない。世界を滅ぼす大いなる暗黒の力が封じられているという。ラストールの長老は、街を救うため、暗黒の開放を決意し、PCたちに、この本を運ばせようとする。これは火神教団に奪われないためでもある。
(召喚値50扱いの魔道書)

●旅の物語
 「魔道書運搬シナリオ」は非常にシンプルな、システム・シナリオである。
 形式としてはロード・ムービーのように、さまざまな運命に縛られたPCたちが、強力な力を持つ魔道書を警備して、3~7日、荒野を旅する。目的地についたら、魔道書か、一行そのものを狙う魔族、または魔族相当の敵役が出現し、PCたちと戦う。「運ぶもの」と「敵」と「目的地」を変えれば、外見上、全く別なシナリオになる。途中に、障害を入れれば、さらに雰囲気が変わる。そのあたりがすべて同じでも、PCの運命次第で千変万化である。

 では、このシナリオがどうして面白いかと言えば、「夢歩き」や「運命」とフィットするからだ。

 旅に出たら、1日に2~3度、夢歩きを行い、「黒い魔道書の誘惑」と絡めて、「運命」というキャラクター設定を深めていく。GMはたいてい「その運命はこういう意味で」とか、「運命を解き明かすために、力は欲しくないか?」とかささやいていればいい。あとは、夢歩きと夢歩きの間に、PCが自由に言葉を交わすシーンを提供する。すると、なにかが動き出す。GMは動きにくそうなPCに、次の夢歩きで別のチャンスを与える。
 基本は、この繰り返しである。
 三日ほど進めると、勝手な運命が増え、さらにPCの立ち位置が明確になっていく。
 そして、戦闘の場面では、PCたちの運命の渦は苛烈な相克を生み始めるのである。

 今回は、オルツィとヨシュアの母子関係に焦点が当たり、「黒い魔道書の誘惑」や「ウルスラの呪い」という外的な脅威を皆が耐え切ったため、裏切りがでることなく、賢者の庵へ。

●賢者ミルバ
 魔道書を解読できる賢者。
 彼は「無垢」の運命を持つ。「魔法を感じられない体質」であるが、ゆえに、魔道書に魂を食われることなく、魔道書を解読することのできる老人。内容を説明し、指導はできるが、自分では、魔法を使えない。

 シナリオではミルバが解読を始めたところで、炎の戦車に乗ったウルスラが襲ってくる。
 その直前、魂の奥底に眠る封印を解放したオルツィが、妖精騎士としての記憶を取り戻し、妖精の弓(魔剣扱い)を獲得した。
 ウルスラは炎の戦車を駆り、火炎の魔剣を振るうが、クロードと切り結ぶうちに、オルツィが撃つ妖精の弓から放たれる必殺の矢を三度払って、魔剣が粉砕される。その後、炎の戦車でオルツィをひき殺そうとするが、オルツィは間一髪でこれをよけ、クロードの一撃に倒れた。

●魔道書の秘密
 戦いの後、解読を終えたミルバから、「黒い魔道書」が暗黒のおぞましい破壊の力を秘めていることを聞かされる。その力をある場所に放てば、そこは暗黒に飲まれるだろうという。あるいは、その力を黒い魔剣にすることもできるだろうともいう。
 しかし、PCたちは、その危険を考え、ウルスラを倒したことで混乱するだろう火神教団を自らの手で撃退することを選び、ミルバに魔道書の封印を委託する。

●エンディング
 ラストールに戻った一行は、残った人々を導き、2ヶ月に及ぶ激戦の末、火神教団を撃退することに成功した。
 戦後、傭兵クロードは新たな戦場を求め、街を去っていった。復讐を果たしたレイルは、滅びた故郷を復興することを決意し、帰郷することにした。誘われたガイアはその故郷へと向かっていった。
 そして、宿敵との戦いを終えた妖精の弓使い、女狩人オルツィは、おのれの人生がもはや残り少ないことに気づいていた。あと、なすべきことは妖精騎士の血を絶やさぬこと。しかし、荒野の旅をともにした男たちは皆、己の戦場を求めて去っていった。身近にいるのは血のつながらぬ息子ヨシュアのみ。
 まだ子供にしか見えない少年を抱きしめ、オルツィはささやく。

「私は最後まで、お前の母親にはなってやれなかったな」

 ~fin~

●禁忌
 オルツィのエンディングは、ある種、社会的な禁忌に触れる選択である。おそらく、忌避する人もいるであろう。

(ちなみに、オルツィのプレイヤーは女性であり、彼女自身がこのエンディングを選択した)

 その可能性は、GMとして、中盤より予測範囲に浮かんではきていた。シナリオ上、必須の展開ではなかったたし、男性であるGMから女性プレイヤーに向かって言葉にすべき類のものではなかったので、口にはしなかったが、あえて、彼女から提案されたので、そのニュアンスを踏まえて、エンディングに取り込んだ。

 運命をつきつめていくと、こうした選択肢が浮上する場合がある。

 「深淵」の世界観は、それを許容しうるし、おそらくプレイヤーもそれを受け入れる可能性は高い。その上で、GMは状況をきちんと把握し、セッション完成度や、セッション環境を台無しにしない範囲でその提案の可否、あるいは、語り方を決断するべきだろう。

 時には、公式の世界設定とずれるかもしれない。

 冷静に考えれば、彼女が妖精騎士の血を守るために、そこまで禁忌を犯す理由はない。あとから考えれば、王者の相を持つレイルこそ、正しき配偶者であっただろう。しかし、運命に追い詰められた人の子が狂気に染まる姿もまた、「深淵」の世界でもある。
 あの場では、それを許容し、そうした物語となった。
 状況が違えば、また、結果は異なっていたであろう。

 デザイナーとしては禁忌もまた、幻想物語のテーマであるとしておく。

 その上で、あえて言えば、禁忌とは、禁忌であることを知り、それを実行することをためらうべきものである。このためらいがあって、初めて、禁忌は物語を生む。物語が生まれぬならば、それは、おぞましくも醜い行為に過ぎないのである。

 では、最後に、ウルスラのデータを。

●紅蓮の戦姫ウルスラ

 火神教団を率いる炎の女神。炎の大公ヴァニールに仕える下僕である。

 今回のシナリオでは、オルツィに魂を宿らせた妖精騎士との戦いに決着をつけるため、次々と若い女神官の肉体を奪っていきる魔性の女という秘密を持つ。オルツィを見ると、宿敵と呼ぶ。

召喚値70
行動値17(移動距離30) 吸収値7

攻撃1:魔剣「炎天」 技能値7+修正8=15
効果値5 +《炎の嵐(強度17)》

攻撃2:戦車蹂躙 技能値7+修正3=10 
効果値5打打 +転倒 +追加20点  
通過攻撃(8mの移動を伴う突進攻撃)

攻撃3:狂乱の舞 範囲型(7m)の影響値攻撃 強度17の「狂乱」

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March 10, 2006

歴史の中を漂う

 ついに、『比叡山炎上』の原稿が終わり、一息。
 これから、校正とか、チェックとか色々ありますが、何とか、四月末発売の方向でいけそうです。

 だからと言って暇になる訳でもなく、昼から神保町方面に出かけて、資料の手渡しとか、次の仕事とか、ごにょごにょ打ち合わせをしてきました。「巫女さんとナチスで何ページ、書けますか?」とか、「萌え記号を百個言えるか?」とか、かなりダメな会話をした気がする。

 ついでに、図書館によって、資料あさり。この後も歴史本の仕事がある。
 巫女さんの研究だけで3冊並んでいたので、目次をコピー。
 ネタが全くかぶっていないのが凄い。

 この週末はゲーム三昧ですが、それもまた仕事であったり、なかったり。

●姉小路公知
 某企画の関係でちょっと調べ物していたら、ずいぶん面白い人物を見つけた。
 姉小路公知は、文久3年5月に京都で暗殺された尊皇攘夷派公卿の若きリーダーで、享年27歳。和宮降嫁をきっかけに、幕府に攘夷決行をつきつけたり、土佐勤皇党の武市半平太や長州の桂小五郎と親しく付き合った激派の公卿だが、死の一ヶ月前、勝海舟の蒸気船に乗った日から、攘夷決行の危険を知り、攘夷反対に回ったため、寝返ったといわれたが、それは世界認識が正しくなったというべきだろう。

 実はこの時、姉小路公知は坂本龍馬から、蒸気船の模型とともに、クリミア戦争の戦図をもらい、欧州の戦争の実態を説明されたのだ。

 クリミア戦争は、この6年前に終わった一大戦争である。南下し、黒海進出を図るロシア帝国に対して、弱体化したオスマントルコ帝国が、欧州列強の助けで戦うという、事実上の第0次世界大戦である。特に、セバストポリ城塞包囲戦は11ヶ月に及び、死者11万6千人に及んだ。あまりの病死者の多さに、ナイチンゲールが立ち上がり、病院改革と看護婦制度の確立を行うのであるが、まあ、それはさておき、とんでもない戦死者である。クリミア戦争全体では死者20万人とも言われている。
 その結果、戦争はほぼ引き分けとなったが、ロシアと戦わされたオスマントルコ帝国は弱体化し、どさくさ紛れに欧州列強の介入を許してしまう。英仏に利用された感がある。

 これを例にして、攘夷決行の危険を説明された姉小路公知は、攘夷の危険さにやっと気づき、幕府寄りに変わるが、5月20日、深夜、猿が辻で暗殺者に襲われて、負傷。その場では刺客の剣を奪う活躍をするが、出血多量でその夜のうちに他界する。猿が辻とは、内裏の鬼門避けに、内裏の東北角をくぼませ、魔よけに猿の像を置いた場所であるが、鬼門避けが、仇となったのである。
 残された刀から、犯人としてつかまったのが、薩摩出身の人斬り、田中新兵衛であるが、無罪を主張し、取調べ中に自殺したため、真実はわかっていない。おそらく、田中ははめられたようだ。なぜならば、田中は、薬丸示現流の達人であり、武芸の覚えもない公卿を暗殺するのに失敗するような素人ではない。ましてや、刀を取られて、逃げるというのも腑に落ちない。
 いろいろ、興味深い話である。

 ……そして、これが、近藤ら浪士隊がやってきたばかりの京都の状況である。近藤や土方はこの一件には全く関係ないし、おそらく、この事件の被害者にも加害者にも、彼らは出合っていなかった。ただ、公卿さえも暗殺される血なまぐさい古都に、放り込まれたのである。

●コミック
Y十M 3    蛇の目は五つ。

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March 08, 2006

日々雑記:ポーションを飲む

 じたばた原稿中。
 歴史資料を斜め読みしながら、『比叡山炎上』の仕上げをしてます。もう少しもう少し。

●ポーションを飲む
 FFのポーションです。妻と娘が、あの薬瓶が欲しい!というので、スペシャル・ボックスを2本購入。瓶の形がダブったものの、比較的気に入った形が出たそうな。
 液体の青い澄んだ色は、FFのイメージカラーですね。
 クリスタルのイメージです。
 味はプロポリス、ロイヤルゼリーなどの蜂蜜系栄養素に、ハーブやビタミンを入れたものですから、まあ、甘めの栄養ドリンクですね。後味のあたりがプロポリスです。
 小学生の息子はさすがにダメでしたが、その他はまあ、許容範囲かなと。
 入れ物に興味のある妻は、飾り蓋が、プラスティックでゆるめなのが気になるものの、一応止まる金属の内蓋とガラスの本体に満足し、自作の化粧水入れにするという。
 確かに、手に取ると、ちょうどいい感じです。

●ツァトゥグァ in 『真・女神転生X』
 傍ら、『真・女神転生X』のFAQを処理。
 色々ご意見、ご指摘ありがとうございます。
 今日、返送したので、少ししたら、更新されると思います。

 魔晶盾の使い方が分かりにくい、ということで、簡単に解説しました。通常の盾防御スキルでは、物理防御点しか上がりませんが、特殊な盾や魔晶盾の場合、魔法防御点も上がりますので、ご注意を。
 魔晶剣の防御スキルが強すぎる、というご指摘もいただきましたが、できれば、詳しい状況を教えて下さい。防御スキルはあくまでも「判定値50%」の世界なので、絶対防御にはなりえない、とこちらでは判断しています。

 そんな中、クトゥルフ神話の邪神、ツァトゥグァを出して下さい、というメールが。
 一応、紹介しますと、地下に住む蟇蛙の神で、それを崇拝する文明はすでに滅び、今や、ツァトゥグァを信仰するのは、不定形のおぞましき生き物のみです。しかし、『クトゥルフ神話TRPG』のイラストがやや可愛らしく、まるで、トトロに名状しがたいおぞましさを少し足して見ました!という感じ。 逆に言うと、クトゥルフ神話の邪神っぽくない。個人的にも、シナリオに出せというとかなり困る。不定形な奉仕種族ならば、なんとかなるが、本体を戦国クトゥルフ神話設定の『比叡山炎上』に出したりすると、宇宙的な恐怖ではなく、ただの山の荒神になってしまう。『千と千尋の神隠し』で風呂に入ってそうな感じである。
 さてさて、どうしたものか?
 あ、もしかして、『TOKYOミレニアム』で、デモノイド化された……。

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March 07, 2006

日々雑記:アマゾンとか本能寺とか

 やっと、織田信長が本能寺に死んでくれました。ぜーはー。
 これで何とか成りそうだ。あと一息。お楽しみに。

●R&R19号
 公式サイトで、予告が出ています。
 『真・女神転生X』は、『TOKYOミレニアム』に向けてのサプリ記事攻勢が始まります。第一弾はサイボーグとサイバーパーツです。よろしく。デモノイドの話は、次の20号の予定。

●古代発掘ミステリー 秘境アマゾン巨大文明
 『超古代文明』で紹介した、ボリビア・アマゾンの人工地形にまつわる第五の大河文明の特番が放映されましたね。カラル遺跡とか、興味深い映像もあったので、面白かった。
 詳しくは関連サイトへ。
 【1】ボリビア・アマゾンの古代文明
 【2】番組公式HP

●19世紀幻想物語VS赤川次郎
 昼から学校。短編講読のテキストは以下の三作。

【1】紀田順一郎・編「謎の物語」より、C・モフェット「カードの謎」
 謎のカードのおかげで全てを失う男の話。19世紀末の謎めいた短編。

【2】同、D.ブッツァーティ「なにかが起こった」
 止まらない列車と外の風景だけで恐怖を表す掌編。
 この2作がライター科のセレクト。分からないと拒絶する人と、分からないから面白いという人があり、ぜひ、分からないの先を妄想して欲しい。

【3】赤川次郎「行き止まりの殺意」より「消えた会議室」
 謎の会議室で起こる連続殺人を描く短編。
 読みやすい娯楽作品であるが、本格推理派には不評。赤川さんの作品ならば、長編のキャラクター性が出たもののほうがいいだろう。「土曜ワイドミステリー」や「火曜サスペンス劇場」みたいという感想が頻出する。

●コミック
・カタリベ

 『もやしもん』の石川雅之の描く、和寇時代の南海冒険綺譚。まだ、国際的だった南北朝日本の海での伝奇アクションである。

・ランペイジ 1
 神仙伝奇的な解釈による三国志演義。劉備が女で、天界の神仙戦争のため、黄巾の乱が起こるという話。
 美少女劉備の必殺技は「絶対魅了」。

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March 03, 2006

スケジュールその他

 学校の授業打ち合わせがあり、三月、四月のスケジュールが決まったので、メモ。

●学校
 4月上旬まで、月曜日は学校。4月15、18、26日が学校行事。
 いわゆる新学期は5月のGW明けからだが、また週2~3日通うことになりそうだ。

●とりあえずのイベント予定。
3月12日 知人のサークルへ。『深淵第二版』をGM。
3月24日 TNF。金曜日夜のボードゲーム会。
3月26日 ゲーム・マーケット。新作ボードゲームの祭典へ。
4月2日  古い友人のサークルへ、久しぶりに顔出しの予定。
4月29日 イベント。詳細は近くなったら。
4月30日 東京深淵CONシキサイ。

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深淵:魔族の影

 『深淵』に関する質問が来たので、現時点でのコメントを。

 なお、この内容は、第二版において修正される可能性があります。また、GMはストーリー上、設定の修正をしても構いませんし、レアケース(稀な事例)を生じさせても構いませんが、その場合は、GM判断であることを説明して下さい。

Q1:「魔族の影」は気絶するのでしょうか? 
 …実は以前プレイしたとき、「魔族の影」との戦闘で精神力を最終的に0にしたことがありまして、そのとき、「魔族の影」は気絶するのか。気絶するとしたらどういう状態になるのか問題になりました。
A1:基本的には、気絶せず、精神ダメージ、手札ダメージも含めて生命力に入るようになるとしますが、演出上、一度、気絶させたり、精神力が0になった段階で消滅させてもよいでしょう。気絶しないイメージの魔族もいれば、魔力が尽きたら、消えるイメージを持った魔族もいます。この部分は、GMに一任します。

Q2:魔族の影の記憶・経験は他の影にそのまま反映されるのでしょうか? また影の記憶・経験は(封印されている)「本体」にも反映されますか? (『妖魔綺譚』の《美しき王》の記述からすると反映されないようにも思えますが、複数の魔族の影同士では自己同一性はどうなっているのでしょうか)
A2:影は影に過ぎません。影と本体の関係は魔族によって異なっており、封印の強いものや混沌のものの中には、ニャルラトホテップのごとく、千の異形のすべてが矛盾も含めて独自に動き、経験を共有しないものもいれば、逆に、地上の調査のために、影を扱っており、記憶や知識、五感をすべて、本体にリンクしているものもいるでしょう。記憶や経験の伝え方も、魔族や星座の特質によって変わります。
 このあたりは、GMが魔族の特質に合わせて判断して下さい。

Q3:龍は卵生ですか? 卵胎生ですか? 胎生ですか? 龍の卵が存在するとしたら大きさや形状はどんなものでしょうか?
A3:これは決めておりません。
 オーソドックスに、龍は卵生であるというイメージを持っていますが、具体的に、龍が卵で増えるかと言われると否定的です。魔術的に、青龍の星座の魔力が凝り固まったものが、龍王であり、彼らはかつて、魔力の中から生まれました。その後、若き龍王の中には、卵を経て生まれたものもおれば、青龍の魔力が集った渦や生き物から生じたものもいます。剣の龍王シュティーゴが転生した時には、一度、人の子として生まれ、龍に変じました。女性の龍王がいたとしても、卵を生むのは数百年、数千年に一度とし、目撃したものはいないでしょう。
 なお、スイネの騎龍は東方から輸入された大型爬虫類であり、卵生で増えますが、本当の意味では、龍ではありません。

Q4:妖精騎士は胎生ですか? その場合の妊娠期間はどれぐらいでしょうか? 仮に卵生(もしくは卵胎生)だとしたら孵化期間はどれぐらいでしょうか?
A4:これはノーコメント。
 そういう、生物的な解釈は、妖精騎士には似合わない、とのみ答えておきましょう。

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ブログの間合い

 濃姫こと信長側室帰蝶を追って、あちらこちらへ漂泊中。
 水曜日は学校の卒業式。昼間の式は原稿のため、パスし、夜から卒業コンパに顔出ししてきました。ああ、04年度生も何とか卒業ということで、次からはお仕事でよろしく。

●ブログの間合い
 文藝春秋の、現代用語の紹介特集で、「ブログ」の項目を担当した山本一郎氏が、ブログ、ミクシィを含むネット社会と、現実社会の間合いが同じ人は苦手、と書いているのが気になった。「何気ない行動がネット上に晒される」「ブログを更新している暇があったら、仕事をしろというプレッシャーが周囲から」など、思い当たるところもある。
 ブログ「黒い森の祠」は、スザク・ゲームズとしてのサポートや告知装置でもあるし、ゲーム専門学校用のオンライン・レジュメでもあり、ライター、プランナーとしてのCMでもある。ついでに、私自身のスケジュール管理ツールでもあるし、読書日記、ネタ帖でもある。そんな訳で、ネタがあるとつい更新してしまう。
 はてさて、これは一種のネット依存症であるやいなや?

●デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 超力兵団
 『真・女神転生』系新作ということで、買ってきました。
 大正二十年、帝都という設定だけで、もう素敵ですね。戦闘がアクションゲームなので、少し大変ですが、バランスはあまりきつくはなさそうです。早く原稿を上げて、攻略しましょう。

●家出艦長の里帰り ARIEL番外編2
 笹本祐一氏の新作。読了。
 ハウザー艦長とシモーヌ経理部長の結婚話。シリーズの裏の主人公というべき貧乏侵略艦隊指揮官が、新型電子戦艦ルキフェラスの艦長となって繰り広げる後日譚の第二弾であるが、シリーズ中に結婚式場から強奪した恋人シモーヌとともに、里帰りしたハウザーは母親を安心させるため、結婚を命じられる……。
 いや、単純にこのシリーズは大ファンなので、もー、彼らが出てくるだけでOKですよ。

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March 01, 2006

日々雑記:桜咲き、超力とか

 3月1日です。色々錯綜しつつも仕事、仕事。昨日遅くまでかかって2本目のシナリオを上げ、最後の卍返しに向かう予定。夕方までに終わるといいなあ。
 そうこうするうちに、娘から電話、今日発表の本命に受かったそうだ。ほっと一息。

●サイト調整
 少しだけブログの項目を変更。
 トラックバック停止中のため、「最近のトラックバック」項目を表示しないことにし、その代わり、関連作品の表紙を表示するようにしました。少し重くなりましたが、ご容赦あれ。

●超力兵団
 あっという間に、明日は「デビルサマナー 葛葉ライドウ対超力兵団」の発売日。早速購入せねば。
 今回は、大正が舞台というと、娘は「ちゃぶ台返しが出来る時代だね」と教科書を見ながら答える。個人用のお膳ではなく、ちゃぶ台が普及し、家族が一つのちゃぶ台を囲むようになった、と書いてあるそうな。大正浪漫とか、そういうネタではなく、ちゃぶ台返しか。

●コミック
 月曜に買ったコミックを順次消化中。

・屍姫 2
 ゾンビー物につき物のヴードゥー教の邪神官ボコール出現。宿敵七星との戦いも始まり、眞姫那の由来も明らかとなっていく。「ひそひそ様」は現代ホラー系のシナリオにも使えそう。

・龍 40 
 鳳花死し、龍はついに秘宝を手にするが、仲間は次々と倒れ、戦況はさらに混迷し……。
 歴史伝奇アクションの大河作品。連載はまだ続いている。どこまで行くのか?

・イリヤッド 10 フクロウの女神
 アトランティスを探していく本格考古学ミステリー。物語は古代地中海世界の女神アテネを巡りながら、再び、シュリーマンの孫とヒムラーの残した謎を追ってアフリカへ向かう。
 フクロウの女神アテネと、古い映画フィルムに残された手がかり。
 やはり面白いですね。

・眠れる惑星 1
 なぜか世界の人々全てが眠りにつき、目覚めているのは自分ひとり。そして、お姫様を目覚めさせるのは口づけではなく……。
 デリケートで好奇心旺盛な時代のナイーヴなエロスを描かせると、一級のセンスを見せる陽気婢の幻想物。世界が自分と美女だけだったらという、いわゆるハーレム物なのだが、透き通った画風が優しく見える。

--時間経過--
●懐かしい名前
 宮崎駿氏のアカデミー賞関連のニュースで、ゲーム関係者には懐かしい名前が。

 日本アニメをDVDで販売するアニメイゴ社のロバート・ウッドヘッド氏は……。

 世界初のコンピュータRPG『ウィザードリィ』を作ったあの人です。一時、日本に住み、アニメイゴを立ち上げた頃、多摩氏やマジックの関係で一時、知己を得ておりましたが、数年ほど前に、アニメイゴを本格化するために、カナダへ移住されたのを最後にご縁が切れておりました。活躍されているのですねえ。

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