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March 21, 2006

衣装箪笥を抜けて

 昨日は学校の日。娘は中学の卒業式で、妻がいそいそと出かけていきましたのを見送り、私は次の企画に向かって、戦略的転進中、資料読みをしたり、じたばたしたり。「急げ」とメールあり。全くだ。
 某社から電話が入り、某企画にGOが出た。久しぶりの翻訳仕事だ。OK、頑張っていきましょう。来年の出版予定なので、夏頃にご報告できるかと思います(最近、そういうネタ、多すぎますな)
 その前に、『真・女神転生X』のサプリとリプレイ、新紀元社の一冊、某社原稿とかGWまでにこなさなければいけない仕事がてんこ盛りです。頑張りましょう!

●学校:何を見ている?
 昨日は学校。今タームも、再来週には終わるので、少し発破をかけつつ、多種多様なテキストを読ませる。今回の隠しテーマは「キャラクターは何を見ているか?」

「ほんとうはひとつの話」E.L.カニグスバーグ
 企画科の女性のセレクション。
 『クローディアの秘密』のカニグスバーグの不思議なお話から2編。魔法とか何も出てこない現実の話であるが、その味わいは、童話系ファンタジーと言ってもよいだろう。その微妙さが楽しめるかどうか、それもまた感性であろう。
 おそらく元は岩波版のようだが、これは絶版なので、横のエントリーには今、入手できる『クローディアの秘密』との合本を置いておきます。

「恋する死者の夜」 古橋秀之
 電撃hpに掲載された作品を集めた短編集「ある日、爆弾が落ちてきて」より。
 古橋秀之というと、デビュー作である骨太なマジカル・サイバーパンクの『ブラックロッド』シリーズのイメージが強いが、あれから10年、『ソリッド・ファイター』あたりから転進し、『斬魔大聖デモンベイン 機神胎動』を経て、この『ある日、爆弾が落ちてきて』は、表紙通り、萌え要素満載の不思議な恋愛系ライトSF短編集。
 「恋する~」の、ひそかにダークな世界を楽しめるかどうかは、少女のゆるい台詞に萌えられるかどうかという問題と同じなのかもしれない。

「ニュー・ローズ・ホテル」 ウィリアム・ギブスン
 サイバーパンクの開祖というべき、ギブスンの短編SF。ライティングが終わるまでに、読ませておきたかった一編を、『80年代SF傑作選』よりセレクト。
 『攻殻機動隊』のおじいさんにあたるという説明が正しいだろうか?
 こちらは、SFの素地がない人には、そのジャーゴンとギャゼットの洪水に流されがちであるが、それを「装飾」と割り切り、飾りの下に潜む「セクシーでCoolな文脈」にたどり着けるか? が問われる。この辺の読み方を解説し忘れると壊滅するのは、『指輪物語』と一緒。

●萌え小説を速読?
 速読派の生徒がひとりいて、ライトノベルの場合、10分もあれば一冊読めるというが、個人的には、それはあまりよくないと思う。情報として、粗筋だけ追うならば、それでもよいかもしれないが、それは逆に言えば、台詞のやりとりとか、萌えとかを体感できないのではないだろうか? 
 萌え、の特徴として、描写を脳内補完する瞬間が必要ではないのか?
 それとも、0.001秒で脳内補完し、萌えているのだろうか?

●英雄たちの風景
 授業が終わって、2Bの本棚に持ってきた漫画や小説を入れようとしたら、先日、卒業したKが「モンスターハンター2(ドス)」をプレイしている。仕事の合間に遊びにきたようだ。相変わらずの男である。
 このゲームを見るといつも思うが、ゲーム中とはいえ、こういうデカブツと1対1で戦うというのは、凄まじいことだな。D&Dのファイターが、ドラゴンと戦う図式そのままではあるが、正直、よく戦うと思う。こんな怪物と正面きって戦うのは、やはり異常な風景なのだなあ。
 だから、英雄なのかもしれない。

●ファンタジー概論・予告
 企画科シナリオ向けの生徒のために、来期の『ファンタジー概論』の予告。
 今までのライティングからは、変わって、講義と映像中心の授業となる。ファンタジーの傑作を紹介しながら、その構造とか、ジャンルの特色とか、語る予定。途中に、別の意味のファンタジーとして「萌え」の話も入るが、基本は映像と活字。
 序盤は、映像を中心に、話を進めるので、参加する生徒は、5月上旬までに宮崎駿の劇場アニメ全部、映画版『ナルニア物語』、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作を見て来い、という。我ながら、ひどい指示だ(笑)が、若いうちに出来るだけ多くの映像を見ておかないと、ゲーム・クリエーターとしては、大変なので、徹夜できる間に見てほしい。可能なら、原作も読め、というが、毎年、『指輪物語』で挫折する人が多いのである。

●ナルニア国物語:第一章 ライオンと魔女
 学校が終わった後、歌舞伎町で最終回に滑り込む。
 非常に原作に忠実な映画化である。その分、序盤の描写が分かりにくく、物語の速度が遅めであるが、中盤、狼に追われるあたりから、テンポが上がり、アスランが出てくると一気に盛り上がる。戦闘シーンの迫力はやはりいい。突進する獣人軍団と、白熊の引く戦車に乗った魔女は印象深い。これぞ悪の女王であるよ。

●いただきもの
 ジャイブさんより、秋口ぎぐるさんのゲヘナ・リプレイ第五弾『王女と獄と放浪者たち』をいただく。ありがとうございます。ゲヘナ・リプレイも第五弾、「アザゼル編」も完結ということで、お疲れ様でした。

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