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March 14, 2006

海を辿って

 昨日は午後から学校。
 先週まで『比叡山炎上』で一杯だったもので、色々、忘れている。突然、入学パンフの撮影が授業にやってきて、紹介写真を取られたり、生徒の原稿に赤を入れたのを物撮りされたり。そういう日に限って、ダサいワークシャツだったりするのですが、おしゃれは苦手なので、気にしないことに。
 しかし、課題をしている生徒の前で写真を撮られるのはけっこう気になりますね。担当編集が工藤講師だったり、カメラマンが元学校スタッフの女性だったりするので、少し気が楽でした。気軽に話しかけて表情を引き出すというのも、カメラマンや編集の重要なテクなのですが、ライター科の生徒たちはそこを読み取れただろうか?

●キャラクターの行動の理由

 企画科合評会作品指導のため、生徒の小説を読む。
 レギュレーションは、「デートムービーのためのシナリオで、家族と、バイオレンスがテーマ」。ああ、いいねえ。エンターテイメントの王道である。
 しかし、キャラクター造形とか、背景世界の設定がダメダメなので指摘する。
 キャラクターがバイオレンスに走る「リアルな理由」が表現できていないのだ。日本めいたディストピアが舞台で、社会に不安を持つ少年がテロリスト組織に身を投じる、というと素晴らしいが、どこがディストピアか表現されないと、「社会の狂気に抵抗するテロリスト・ヒーロー」は成立しない。
 そして、我々現代の日本人は、「素晴らしき日本」という、生温くも巧妙に作られた現実のディストピアを目の前にしているので、深みのない設定ではディストピア感が出ないのだ。せめて「レベリオン」、せめて「バトル・ロワイヤル」までは言って欲しい。

●百萌え

 どうしても、一般人とのズレを自覚しない人がいるので、ボキャブラリー・テスト。
 制限時間内に「犬の種類」と「モビルスーツ」を書かせる。ライター科では以前、行った企画であるが、企画科では最初の試み。だいたい、「犬の種類」は一桁から、15個前後で終わるが、「モビルスーツ」は、ガンダムには詳しくない1,2名をのぞき、軒並み15個以上、最大は32個まで行ける。まあ、そんなものだ。
 ついでに、「萌え記号」でやってみる。なぜかこれも20個とか。
 以前、インターネットで見た企画では確か「百萌え」というネタがあったね。

●ノスタルジック・ファンタジー

 テキスト講読は、奇しくもノスタルジック・ファンタジー対決。

【1】森博嗣 「素敵な模型屋さん」
 模型好きな少年が辿る成長の記憶。どちらかといえば、モノクロームのサイレント映画で見たい話。
 作者名と選者から、本格ミステリだと思ったら、ノスタルジック・ファンタジーだった。
 短編集「今夜はパラシュート博物館へ」より。

【2】小川洋子 「刺繍する少女」
 ホスピスで死を待つ祖母を見舞った私は、刺繍する少女と出会う。

●お薦めボードゲーム
 帰り際に聞かれた。

 「今、面白いボードゲームは?」

 元学校のスタッフで、カメラマンになった女性から聞かれた。以前、授業の関係で紹介した「カタン」が楽しかったそうだ。
 とっさに、時間の短くて、ルールの簡易な「ゴキブリ・ポーカー」「キャント・ストップ」「BLUFF」を上げ、ついでに、ネットで流行っていた「人狼」を上げたが、少し適切ではないかもしれないと思い出した。また、少しどこかで探すことにして、今の僕好みゲームを上げておく。

「通路」 手軽で手早いパズル・ゲーム。アナログ版チクタクバンバンというと説明が楽。
「AFRICA」 ドイツのアフリカ探検ゲーム。移動してめくるだけというのがよい。

●海を辿って
 大林太良先生の「海の神話」を読む。タイトル通り、シュメールから始まって、世界各地の海洋神話を紹介する一冊。海の誕生を辿ると、巨人化生神話、天地海分担神話、宇宙卵神話とか、楽しいですねえ。
 久しぶりに、海洋冒険物とか遊びたくなるのであった。

●読了
・七つの黒い夢

 乙一、恩田陸、北村薫、誉田哲也、西澤保彦、桜坂洋、岩井志麻子と名だたるホラーの書き手が集まった短編集。恩田陸以外は、小説新潮に掲載された傑作短編を集めたもの。ダーク・ファンタジー短編集とあるが、現代都市ホラーめいた、奇妙な短編ばかり。個人的には、桜坂洋の「10月はSPAMに満ちている」がモーニングの「東京TOY BOX」を思わせて印象的。

・刀化粧1  小池一夫&神田たけ志
 コミック。抜刀流の祖、林崎甚助を、奇妙な母によって育てられ、その後、戦国を漂泊した美剣士とし、殺戮と戦いの日々を描く異色時代劇。

・センゴク 8 宮下英樹
 信長戦記。比叡山焼き討ち編決着。この章の終わりに出てくる石仏は去年見ましたが、そこだけ寂しい場所です。傍らに、手ひねりの童子めいた地蔵があってなかなか独特の雰囲気ですよ。
 コミックは明智光秀のキチガイっぷりもよし。
 そして、始まる信玄上洛編をどう斬新な展開に向けるのか実に楽しみです。
 この信玄が悪そうでいいんだよ、また。

●スケジュールメモ

 26日に修正。午前中に、ゲーム・マーケットに顔出ししてから、某所へ。
 ああ、そういえば、今日はホワイトデーだ。

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