日々雑記:JGCとか、坂本龍馬とか
原稿とか企画書とか、次の本とか、色々大変な状況に。
明日は1日、合評会だというのに。
●JGC2006
……という訳で、8月18~20日、新横浜プリンスホテルだそうです。
詳しくは公式サイトをどうぞ。
私の当日スケジュールは、これから決まる予定ですが、すでに、土曜日の深夜から、企画物のセッションを、という話もあり、初日深夜に『深淵第二版』とかいう感じかなあ(あくまで未定ですが)。『真・女神転生X』とか『比叡山炎上』とかのセッションもあるはずですので、今年もなかなか大騒ぎな夏になりそうです(はい)。
●あやつられた龍馬
幕末関係で坂本龍馬を追跡中。
私自身の今のテーマは、正確には、「尊皇攘夷派の敵は誰?」というテーマであるが、「佐幕開国派という派閥は存在しないのではないか?」という疑問が生じつつあり、開国という現状を是認させていく動きを象徴する存在として、幕府サイドの開国派、勝海舟と小栗忠順、そして、勝と奇妙に関わる坂本龍馬の足跡を確認中。
「あやつられた龍馬」は、「明治維新と英国諜報部、そしてフリーメイソン」というサブタイトル通り、陰謀史観系の歴史ミステリ。2月末にTV特番があったようだが、これは残念ながら見逃した。その代わり、原作というべき本書を読了。
評価は50点。資料とは扱えず、話として面白いかというとさらにビミョー。
まず、龍馬=土佐のエージェント説というのは面白い視点である。江戸へ修行に出るってことは、ただの純粋な志し(いや、この言葉自身、うそ臭いが)だけでなく、実利もあって藩はやっているというのはその通り。龍馬がかなり怪しい人物であるのは周知の通り。
さらに、五代友厚=英国の代理人とか、岩崎弥太郎とグラバーのコネクションなどは面白い話ですが、これも決して目新しい話ではなく、明治維新が英仏の外交代理戦争の一環であり、グラバーや英国大使パークス、アーネスト・サトウらの工作が幕末維新の結果に大きく影響したという分析はかなり昔から、言われていることである。
坂本龍馬の暗殺者として、あの人物を持ってきたのは面白いし、その後の近藤勇の処刑強行とかを考えるとなかなか辻褄があっていて、面白い。(だが、困ったことにそういう記述はない)
だが、書き方がどうもあまりよくない。
一番重要な、証明すべきところを著者の「オレ常識解釈」で想像して終わり、何も証明していない。著者の上げた証拠のほとんどが状況証拠で、具体的なメイソン関係の証拠が、西周のメイソン・ロッジ加入書類のサインだけでは、証拠にならんでしょう。引用した日記や手紙、外交文書の類も、著者がそう解釈した、というばかり。
結局、五代友厚、坂本龍馬、勝海舟はフリーメイソンだったのか?
ここの解決が出来ないまま、フリーメイソンが世界最大の秘密組織だから、結局、秘密のままなんです、で終わってもよくありません。
もう一つの問題点が「英国情報部とフリーメイソンの同一視」である。フリーメイソンの最終目的は「民主主義」で、「帝国主義国家・英国の日本支配作戦に協力する」って、そもそも色々間違っているし、論理が破綻しているが、著者本人が気づいていないのかな?
いや、もしかすると、著者の意図は正しく、表現されているのかもしれない。
……ねえ。
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