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May 31, 2006

日々雑記:資料発掘中

 非常に多忙で、大騒ぎなので、簡単に。
 神話本のために、資料発掘と整理中。色々どかどか。
 ついでに古事記とか、聖書とか一次資料を大量発掘し、すぐ使いそうにない古い本を横にどけるが、目を捕らわれないようにするのが大変。読み返さない覚悟が出来たマンガや小説は後で古本屋に売るか、学校に寄付する予定だが、それがなかなか厳しいのである。

 隙をついて、R&R22号のために、『比叡山炎上』のサポート・ページ「戦国通信」(1P)を書いて入稿。『比叡山炎上』で書く予定で断念した某宗派について。お楽しみに。

●OURS
 今月号の「OURS」は、去り行くものの物語か。
 「Hellsing」、さらば、アンデルセン神父。
 そして、「アニメがお仕事」で、有名声優の葬式の話があり、涙腺を刺激された。あの人が~というのが、続いた直後であるだけに。

●ペルソナ罪と罰 Ⅰ 夢と神話
 資料とともに発掘。読了。
 月刊ジャンプで連載していたもの。ほー。

●常世論 日本人の魂のゆくえ
 発掘目標その1.
 沖縄のニライカナイを中心にした海上他界論。最初に読んだのは、大学時代だった。

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『比叡山炎上』:マジック・ポイント他

 『比叡山炎上』に関して、いくつかご質問のメールをいただきました。 ありがとうございます。
 まとめて回答をさせていただきます。
 なお、正式なFAQや正誤表は、後日、まとめますので、それまでの仮の措置とお受け取り下さい。

●基本的なスタンス

【1】『クトゥルフ神話TRPG』は、コズミック・ホラーを楽しむために、雰囲気を重視する叙情的な側面を持つゲームです。そのため、叙情的な幅を減らす危険を避けるため、曖昧な回答をする場合があります。それらの詳細はキーパーに一任します。キーパーがシナリオ運用上、都合のいい解釈で行って下さい。

【2】『比叡山炎上』は『クトゥルフ神話TRPG』の独立型サプリメントです。ルール上、明らかに記述漏れがあった場合、『クトゥルフ神話TRPG』に従って下さい。なお、神話生物のデータの数値に関しては、より戦闘的なキャラクターが出来やすいため、多少強めに設定されています。

●Q&A

Q:マジック・ポイントの回復方法が分かりません。
A:すいません、記述が落ちていました。
『クトゥルフ神話TRPG』と同様に、「人間は自然に、24時間ですべて(または6時間ごとにPOWの4分の1)のマジック・ポイントを回復できる」として下さい。

Q:一時的な狂気に陥ったら、《黒智(クトゥルフ神話)》は得られますか?
A:はい、クトゥルフ神話的な存在と接触した結果、一時的な狂気に陥ったら、最初の1回目で5%、以降は1%ずつ加算されます。

Q:神話クリーチャーのデータが微妙に違うんですが?
A:『比叡山炎上』では、『クトゥルフ神話TRPG』などよりも、少し強めになっております。特に、正気度喪失量が増えているものもあるのでご注意を。

Q:能力値ロールに、チェックボックスがありますが、能力値ロールって成長するのですか?
A:能力値ロール、および、(より強い相手との)抵抗表ロールにおいて、「01」の目を出した場合、能力値そのものが成長する可能性があります。

Q:「比叡山炎上」および「闇物語一」「闇物語四」に登場するNPC「円重上人」の読み方はエンジュウショウニンでしょうか? エンチョウショウニンでしょうか?(後者かと思いますが)
A:前者、「エンジュウショウニン」です。

Q:スピリットは見えますか?
A:解説に「見えない」と書かれていない限り、「見えます」。

Q:見えないスピリットを攻撃できますか? 《神剣の祓え》《迦具土》(p47)を使用中であっても《霊視》(p45)と併用しなければ「不可視のスピリット」を攻撃することはできないのですか?
A:スピリットが不可視の状態であれば、何らかの見る手段がなければ、攻撃ロールに不可視の存在を攻撃する場合にあるべきペナルティ(例えば、5%以下でしか当たらない、など)が適用されるでしょう。《霊視》があれば、視界面でのペナルティは解消されます。
 なお、『比叡山炎上』の場合、スピリットは、物理攻撃に対する装甲面での特質となっており、スピリットは地上的な存在ではないので、見えていても、物理的な攻撃ではダメージを受けないことを指します。スピリット=不可視ではないので、ご注意下さい。

Q:《神鳴り》(p48)の説明文中の「周囲」「周囲のもの」の範囲は具体的にどれくらいなのでしょうか?
目標を中心とした円形なのでしょうか? 半径はどれくらいですか?
また術者自身が効果範囲に入ったらやはりダメージを受けますか?
A:具体的には決まっておりませんので、キーパーが状況で判断して下さい。半径数m程度の円がよいでしょう。雷ですので、刀を振りかざしている人がいれば、多少遠くても巻き込まれてもいいでしょう。
 術者も範囲内にいれば、ダメージを受けるべきであると思います。

Q:《界渡り》(p48)の効果時間はどれぐらいなのでしょう? 術者が望まない限り永久に続くのでしょうか? 逆に《界渡り》を再度使わないと隠り世から戻れないのですか? またこの世界の側から解除する方法はないのですか?
A:《界渡り》は限定された開門の術です。門の開く期間は特に定めておりませんが、永続的なものではありません。キーパーは、状況に応じて、2時間、または半日程度を設定して下さい。困った場合には、次の日没、または、日の出までとするのがよいでしょう。
 こうして作られた門の解除は、おそらく様々な方法で可能でしょう。ぜひ、シナリオのネタとして考えて下さい。

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May 29, 2006

比叡山炎上:出雲伴天連始末(改)

いあ。いあ。はすたぁ。あべ・まりあ。

 昨日はRole&Rollステーションにて、「比叡山炎上発売記念コンベンション」でした。ご来場ありがとうございました。私は、以前、ここでもテストプレイ・レポートを載せた「出雲伴天連始末」の改訂版を、西上は安達ケ原の鬼婆の話をベースにしたシナリオをプレイしました。その他、坂東真紅郎さんと内山靖二郎さんが、『クトゥルフと帝国』を。

●出雲伴天連始末

「よいか、この本の残り半分を見つけ出すのだ。
 さすれば、信玄坊主にいいようにはさせぬ」

 元亀2年師走。比叡山焼き討ちの余波で、武田信玄が上洛、織田討伐に動くという噂の流れる中、織田信長の命により、4名の男たちが集められた。兵法者の加座間、陰陽師の市川、道々の者の松吉、忍びの伴。彼らは、イタリア生まれの伴天連、グレゴリイ(PC)と引き合わされ、信長より直接、ある任務を命じられる。

 欧州より日本にもたらされし、おぞましき魔道書「妖蛆の秘密」の半分を入手するため、残り半分を持って逃げた錬金術師ゲオルグ・ザミャーヒを追い、毛利の支配下にある出雲国大浦村に潜入せよというものである。

 5人はひそかに六甲山を抜け、出雲に向かう。途中、狼の群に襲われるも、何とかこれを倒し、出雲へ到着。
 しかし、グレゴリイを見た途端、出雲の人々の対応が険しくなる。3ヶ月ばかり前、大浦村に現れた伴天連により、大浦村は切支丹村と化し、神道の聖地、出雲に叛旗を翻しているという。
 長居は無用と大浦に向かう一行だが、村について見ると、村の外れの地蔵が打ち壊されているのを見て愕然とする。

 まずは情報収集ということで、伴天連とその信徒として、村に入るが、ザミャーヒらに歓迎され、同じ異端者として扱われる。明日に迫る聖降誕祭(ユールの日)に行われるミサの手伝いに巻き込まれる一行。
 グレゴリイは南蛮寺の土蔵に隠された「妖蛆の秘密」を発見するも、ザミャーヒとともに、講読会をするはめに。
 土蔵の中には、甕一杯の蜂蜜酒、石のオカリナがあり、これらを使って、明日のミサでは、「ぱらいそへの門を開く」とか何とか。
 陰陽師の市川も、信徒から奇奇怪怪な賛美歌を歌わされ、それが、フォーマルハウトから、何か翼のある邪神の御使い、星の駿馬を呼ぶ呪文だと気づき、一時的な発狂に追い込まれる。

 このままミサを行わせては危険。

 そう決断した一行は、そのまま、土蔵を襲い、石のオカリナと魔道書を奪うことに。
 しかし、土蔵の鍵は硬く、そうこうするうちに、信徒のサムライ(武者鎧)と、白蛆と化したザミャーヒに襲われる。いきなり松吉がザミャーヒの正体に気づいて、発狂するも、加座間の奮戦でサムライを一刀両断、凍える息を吐くザミャーヒも、倒す。グレゴリイは魔道書の箱に火をつけて、そのまま逃げ出してしまうが、魔道書回収を命じられた忍びの伴が、神速の術で、これを炎の中から救い出す。
 グレゴリイは狂気の叫びを上げながら、闇に消え、残る4名はあらかじめ話をつけておいた漁師の小舟で村を脱出した。振り返った市川の目に、大浦上空を舞う奇怪な影が見えたが、それが何か確かめる余裕はなかった。

「ようやった」
 魔道書と石のオカリナを受け取った信長様は、おぞましき『妖蛆の秘密』に手を這わせながら、一行をねぎらった。
「これで、信玄坊主めも……くくく」

 翌元亀3年秋、武田信玄は甲府を発し、織田家殲滅の大侵攻を開始するが、徳川家康を打ち破ったところで、軍を止め、翌年春、密かに陣没した。病死であったという。

 元亀3年春、出雲国大浦にて、切支丹一揆が発生し、毛利勢が鎮圧に向かうも、大浦村の村人はすべて消え去っていた。村に残されていたのは、奇怪な南蛮寺と、蜂蜜の匂いの残る、空の大甕であったという。

 一方、大浦で行方をくらましたグレゴリイは、六甲山を超えて、堺にたどり着き、南蛮船で日本を離れた。『妖蛆の秘密』に関する報告をローマに持ち帰るためである。大浦の魔道書には火を放ったし、ザミャーヒも殺した。もはや後顧の憂いはないはず。
 しかし、それとは別にグレゴリイの耳元には時折、あの大浦で聞いたおぞましい祈りの言葉がささやきかけてくる。夜になり、フォーマルハウトの輝きを見るたびに、何か誘われるような気分になる。夜陰の空におぞましき影が飛ぶのを見ることもある。
 グレゴリイは、自分がインドのゴアにさえ、たどり着けないのではないかと思いはじめている。しかし、あの経験は記録しておかねばならない。法皇猊下に、あるいは、イエズス会総長閣下に伝わるよう、報告書を書こう。今、書いておかねば、きっと……

●感想
 5名で、キャラクター作成からということで、やや駆け足になってしまいました。
 シナリオとしては、PCたちもミサに参加し、ビヤーキーの群が降臨、そのままセラエノへ……という展開を考えておりましたが、魔道書奪取を主目的にしたので、早めの戦闘でシナリオは集結しました。
 お疲れ様でした。

●今後の展開
 最後に、ちょっとした告知タイムがありましたので、一応、こちらからの告知を。
 残念ながら、現状ではまだ、『比叡山炎上』の続編関係は予定されておりません。エンターブレインさんとしては、売れたら考えます、ということで。何とかサポート関係を用意したいなとは思っております。こちらは是非皆さんのご支援を賜りたく、お願いします。

・TOKYOミレニアム
 『比叡山炎上』とは関係ありませんが、『真・女神転生X』の次の作品は『TOKYOミレニアム』。JGC2006合わせを目標に製作中です。

●銘菓「ざびえる」
 今回のコンベンションにあわせて、以前、イベントに呼んでくださった大分のサークルの内田さんより、大分銘菓「ざびえる」をいただき、参加者に配布しました。この「ざびえる」の菓子箱が黒のビロード張り風の構造で、洋風の飾り文字が表に箔押しされており、ヤバゲな魔道書とか、ヤバゲな宝箱にぴったりなのです。
 大分旅行の際、あるいは、近所で九州物産展などがありましたら、ネタだと思ってぜひご覧下さい。
 内田さんからは銘菓「ざびえる」のほかにも、大量のてんぷら(さつま揚げ)をいただきました。ありがとうございます。てんぷらはコンベンションのGMやスタッフで分けました。ありがとうございます。

●飲み屋で遭遇
 コンベンション後、キーパー一同と編集さんで、神田の飲み屋に移動して、色々雑談。TRPGネタの話をえんえんしていたら、飲み屋のお兄さんが、突然、ツボに入ったらしく、ぴたっと動きを止める。

「TRPGですか?」

 えー、はい。

「メガトラベラーとかやってました」

 なかなか渋いね~。
 ……と見回すと、ゲームデザイナーや、ゲーム出版の担当編集ばっかりなんですが、自己紹介したら、どうなるんだろう? と思いつつ、なかなかドキドキしました。

●ヴードゥー大全 アフロ民俗の世界
 夏目書房さまよりいただきもの。
 いわゆる「ヴードゥー」の世界を現在の姿、その源流と歴史まで含めて、詳細に語った大著。図版類が多いのがいいですね。ゆっくり楽しませていただきます。
 冒頭のラフカディオ・ハーンのヴードゥー話はなかなか興味深かったですね。

●ジオブリーダーズ12
 読了。バトル・アクション編の後半と、陰謀の始まり。
 前半の多方面同時展開バトルと、どさくさに紛れて進む田波&成沢の恋愛。高密度、高速の展開。

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May 27, 2006

『比叡山炎上』サンプル・キャラクター

『比叡山炎上』に関する重要な告知

●サンプル・キャラクターについて
 使用方法の重要な項目がおちておりました。

 サンプル・キャラクターの正気度は、「修羅」技能の影響を加味してありますが、術習得による正気度喪失は加味されておりません。ゲーム開始前に、正気度喪失量をダイスで決めて下さい。

 地侍 1D3+1D10
 鉄砲衆、足軽  なし
 僧兵、茶人 1D4
 巫女 2D8+1D3+1D10
 忍び 1D8+1D6
 切支丹 2D4

 この結果、10点以上の正気度を失った場合、10点ごとに初期狂気をひとつ得ます。
 キーパー裁量で処理する場合、失う正気度ポイントは地侍8、僧兵/茶人3、巫女17、忍び10、切支丹6とし、忍びと巫女に初期狂気をひとつずつ与えて下さい。

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 何名かのかたから、誤植や記述のミス、ルール上の齟齬、歴史的な過ちなどに関するご指摘のメールをいただきました。ありがとうございます。今後のサポートの参考とさせていただきます。

 また、昨日、某所にてお会いした方々からも、「この週末に『比叡山炎上』を遊びます!」というお声をかけていただきました。ありがとうございます。
 あなたのセッションが楽しいものであり、(クトゥルフ神話的に)エキサイティングであることをお祈りします。
 あなたのダイスに修羅、いや、神が宿らんことを。

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May 26, 2006

日々雑記:『比叡山炎上』、メール、頭にゅるにゅる

 色々ジタバタ中。

 某・原稿も大騒ぎの上、JGC2006に向かってスケジュール調整が始まり、『真・女神転生X』と『比叡山炎上』と『深淵』とアレも……、という感じで、睡眠時間が厳しそうですが、ご迷惑をかけない範囲で、頑張りますよ。
 諸般の関係でメールや電話。来月に入ったら、入ったで大騒ぎな予感。とはいえ、これはうれしい悲鳴なので、その分、頑張らねば。いずれ詳しく。

 そんな訳で、ご挨拶に行きたい人もいるのですが、すいません、落ち着いたら、きちんと顔を出します。

 7月中旬に、関西方面へ行くことになりそうです。スケジュール調整の相談をしたら、逆に、ついでに、「~~にも行って来い」てな話もあり、どこかのショップのイベントに突然出ることになるかも。

●メール障害
 時折、朱鷺田からのメールが届かない、という報告があります。
 Ez-Webのような携帯メール、あるいは、大学アカウントなどに多いので、どこかで引っかかるような原因があるのかな? 仕事関係ではあまり発生していないようですが、どうも朱鷺田から、来るべきメールが戻ってこないという方はお手数ですが、しかるべき番号にお電話下さい。

●『比叡山炎上』:伴天連の術
 『比叡山炎上』発売から1週間。諸方面より、「買いました~」というメールやお電話をいただき、ありがとうございます。中には、「伴天連の術はどう取るんじゃい?」てな質問もありましたが、いずれ正式なFAQをR&Rあたりに出しますので、少々お待ちを。それまでは、以下の対応で。

 「伴天連の術」は「伴天連」および「切支丹」が習得できる。
 なお、キーパーは、シナリオの状況により、「伴天連の術」はNPC専用としてもよい。

●『比叡山炎上』:没になった術
 これで終わるのもなんなので、メイキングの話を少々。
 『比叡山炎上』は『クトゥルフ・ダークエイジ』と同じく単体でゲームが出来ることを前提とした体裁の上、176Pという制限があり、普段、300P(『真・女神転生X』)でゲームを作っている朱鷺田ですので、色々企画したものの、書けなかったり、没にしたりしたネタがたくさんあります。(とはいえ、制限をなくすと、『ブルーローズ』みたいに512Pとか書いて、編集者に怒られたりする訳ですが……)
 そのあたりを少しずつ、ここでも紹介しておきましょう。

 「4億年前から始まる、クトゥルフ神話的な日本史」とか、脳みそがかなり腐ったものはさておき、没になった術の一端を。受けがよければ、いずれ記事で大幅補完したいところですが。(それがクトゥルフかといわれるとアレですが)

《泰山府君祭》
 死者を復活させる。閻魔大王とのPOWの抵抗表ロールに勝つことが条件。閻魔大王をアウター・ゴッドにするかどうかの問題が解決しないため、削除。……というか、どうやったら、ロールに成功するかが不明。

《河童の招来/接触》
 タイトル通り。この手の招来、接触、支配の呪文はSecret of Japanに多々あるのですが、戦国ではなくなってしまうので、削除。妖怪大戦争系の忍者サプリメントを作る機会があれば……。

《触手》
 触手が生える異能。どう見てもNPC用だが、忍者が取りたがる。
 PCを見て、NPCの農民の娘が〈正気度〉ロールをする、状況が頻発し、保留する。

 こういうネタが欲しい!という方はぜひ、エンターブレインに投書を!

 個人的には、武田信玄とか上杉謙信とか真田幸村のネタが書きたいですねえ。

●頭にゅるにゅる

 クトゥルフ話の続きではありませぬ。ここからは水曜日の学校の授業メモ。
 ライティングということで、今回もテキストを読ませたので、紹介メモのみ。

・八号コウ(穴カンムリに告)の手 南條竹則
 異形コレクション『酒の夜語り』より。
 中国の酒にまつわる怪談。

・頭にゅるにゅる 中島らも
 同じく『酒の夜語り』より。中島らものアル中体験に基く短編。
 ほぼノンフィクションなのが凄い。

・檸檬 梶井基次郎
 友人より、梶井の『檸檬』の文体が、ラヴクラフトに似ている、という話を聞いたので、ホラーと一緒に読んでみるという実験。あ、確かに似ているのだが、こっちは叙情的な芸術テロリストでありますな。

●柳生十兵衛七番勝負 天草の乱
 NHKの木曜時代劇である。昨日が最終回。
 天草四郎も伝奇ネタとしては面白いですね。確か、晩年の宮本武蔵も、天草の鎮圧側に参加していたはずで、柳生十兵衛VS老人の宮本武蔵もみたかったかな。いや、それは『魔界転生』か。
 次からは次郎長。実はこの人がまた幕末の人だったりするのですが。

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May 24, 2006

日々雑記:ガンダムの極北

 昨日が昼から学校。ギリギリまで原稿に向かうが、どうも文章が進まない。はてさて。

 学校の授業は、アナログ・ゲーム×2、ファンタジー小説×1.来週仕事とか諸般の都合で休講するので、今日は色々唐突な行動を。

●アナログ・ゲーム
 今回は「ボードゲーム」……とは言って授業スケジュールの都合から、「カタンの開拓者」の体験プレイ。2コマだとルール説明して、1回プレイして終わり。でも、十分盛り上がるところがさすがカタン。人数調整のため、デモからそのまま、私も入ってプレイするが、Aクラスは最長行路を奪って勝利、Bクラスは場読みに失敗、8重ねしすぎたところを封じられて追いつけず。

 次回は2週間後なので、マジックのスターターを配布して練習を宿題に。生徒のひとりがプレーンシフトやトーメントのカードを適当に組み込んだデッキを持ってくるが、マナカーブが甘いので、赤単ゴブリンバーンで瞬殺。

●ガンダムの極北を
 ファンタジー概論は「世界法則」の話……と称して、ガンダムの極北を二つ。

 その1.MSイグルー黙示録「ジャブロー上空に海原を見た」。

 いわゆる軍記系ガンダム・スピンアウトのCGアニメ。1年戦争末期、制空権を奪い返されつつある、地球周回軌道から、大気圏に突入し、ジャブローから打ち上げられる宇宙艦艇軍を上昇中に撃破するための突撃兵器の試験運用を描いたエピソード。もはや二度と使われない水中用MS、ズゴックを転用した飛行管制ユニット、ゼーゴックで、大型火器ユニットを誘導し、高高度戦闘実験を繰り返す。これに乗る海兵の狂気と天才的な技量が最後に達した場所とは?
 このシリーズはやはり泣けますなあ。

 その2・機動武闘伝Gガンダム 第一話

 おそらく、これこそガンダムの真の極北。この封印を解いてしまったら、ガンダムって何でもありだよね、と言える一作。だってガンダム・ファイトだもの。しかし、全体を流れる出崎演出風味とか、ズバット風味とか、割とおなか一杯なのですが、よく聞くと、現05生から見ると、最初に見たガンダムがGという世代が今、20歳だそうな。そうか。

●もやしもん 3
 ええ、もやしもんですよ。
 後半の沖縄編もいいですが、全体のまったり感がなかなかいいですなあ。

●エマ 7
 完結。可能な限りの優しく素敵なハッピーエンド。
 元フィアンセのお姉さんが、ハキムの影響かどんどんインド化していくのがおかしいですね。彼女のインド・ガールズが妙に可愛い。
 秋からの外伝も楽しみ。「シャーリー」みたいな話を希望。

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May 22, 2006

日々雑記:ホピ、信長の棺

 神話本の原稿であちこち資料をひっくり返す日々です。しばらく締め切りで大騒ぎなので、日記の更新が減ったら、そういうことだと思って下さい。
 あと、『比叡山炎上』関係の正誤表とかFAQはもう少ししてからまとめますので、少々お待ちを。お気づきの項目はメールいただければ、反映します。

●ドイツ、ドイツ、ジャーマン
 なんていうか、資料発掘中。
 仕事で資料本を読んで、学校の授業用に短編小説をセレクトして、趣味で本を読んで、資料の発掘ついでに、昔読んだ本やCDが出てきて……。
 そんなこんなで、昔の怪作シューティング・ゲーム『超兄貴』のサントラCDを発掘。ゲルマニウム温泉の話から、なぜか話が飛んで、娘に聞かせる。ダメな家庭環境だと思うなあ。

●ホピ
 昼飯を取りながら、土曜日の『世界ふしぎ発見』のホピ族特集をビデオで見る。マヤの子孫とも、漂泊のマウンド・ビルダーとも言われる、メサに住む北米先住民ホピ族の遺跡や風俗を開設する。プエブロ・ボニートのキヴァ(至聖所)とか、見られたのは面白かった。

●信長の棺
 本能寺の変で、信長の死体が発見されなかった謎を、『信長公記』の太田牛一が追う、という歴史ミステリー。『比叡山炎上』の資料用に買ったものの、資料の山に埋没していたのを読了。十数年後、秀吉の晩年になってから、という時代設定もまた秀逸である。信長と暦の話は色々広がって面白いなあ。
 この本の秀吉は山人、たたら衆に近い。

●池袋ウエストゲートパーク
 石田衣良の代表作。読みそびれていたものを発掘してしまい、思わず読了。最初は、現代のストリート・ライフというのがぴんと来ずに、本棚に入れていたが、立ち位置が見えてくると結構面白く、そのまま、読みきってしまった。この忙しいのに(笑)。 いじめられッ子からヤクザになったサルとか、いい味である。

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May 21, 2006

日々雑記:信長、BLOOD+、のしかかる雲

 小学5年生の息子も、視力が低下し、ついに眼鏡っ子に。これにて一家全員眼鏡である。

●信長
 幕末を経済問題から検証した「大君の通貨」で名高い佐藤雅美氏の信長本を読了。
 史実をきちんと検証し、信長の祖先の代から語り起こし、いわゆる俗説を次々蹴落としていく筆致が痛快である。若き頃の信長の苦闘や、天才的な深謀遠慮も見え、非常に興味深い。この分析力で、本能寺のあたりももっと書いて欲しいものである。

●BLOOD+
 シュバリエ一人を連れただけで、「赤い盾」本部を壊滅においやるディーヴァ恐るべし。なかなか衝撃の展開でますます見逃せない状況です。次回は「あれから1年~」。

●のしかかる雲
 土曜日夕方の夕立はすごかったですね。激しく叩きつける風雨に家が揺れるような気分でした。
 夕方から、新入生歓迎会のため、外出した時には、雨も上がっていましたが、べったりとのしかかるような暗雲がおぞましい圧迫感を感じさせる一方、遥か地平線のあたりで、奇妙な明るい晴れ間が見えるという、どこか貴職の悪い空でした。
 雲間のむらが奇妙な動きを見せ、まるで何か天上に居そうな感じでした。

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May 20, 2006

日々雑記:比叡山炎上、骨伝導携帯

 『クトゥルフ神話TRPG 比叡山炎上』が絶賛発売中です。

●付属シナリオの隙間を埋めよう
 『比叡山炎上』には、3本の付属シナリオがついています。

「比叡山炎上」      元亀2年。比叡山焼き討ち前夜の威力偵察&潜入物。
「松永弾正謀反始末」  天正5年。松永弾正が二度目の謀反を起こした背景に迫る調査物。
「安土黄金城卍返し」  天正10年。消えた濃姫を探し、安土天主閣の謎に迫る捜査物。

 それぞれの探索は、独立した冒険としてプレイできますが、いずれの場合も、探索者は織田家中の者となりますので、キャンペーンとしてもプレイできます。「比叡山」と「松永」は木下藤吉郎秀吉の家臣、「安土」は明智光秀の家臣ですが、寄騎(よりき)として軍団間を移籍することもあったので、問題はありません。
 ぜひ、皆さんには、これら付属シナリオをプレイして欲しいと思います。

 そして、より長く『比叡山炎上』を楽しむためには、付属シナリオの間を埋めるように追加シナリオを作るとより楽しくなります。
 例えば、武田信玄の上洛や石山合戦(およびそれに伴う佐久間追放)、天覧馬揃え、ヴァリニャーノとの対話、上杉謙信の怪死、毛利との改選など、ネタには困らないだろう。

 ああ、私も28日のシナリオ、作らないと。
 対・信玄ネタか、長篠の戦いあたりかな。信玄上洛戦の背後で起こった岩村城落城事件とか面白そうである。岩村城は、信長の若い叔母が、夫の死後、女城主をしていたが、武田の武将、秋山信友に下り、その妻となった。秋山と叔母は信玄の死後、落城した際に、磔にされるのであるが、ここで起こった感情のもつれを考えると色々ネタになりそうである。
 さて、どうしようか?

●功名が辻 天魔 信長
 NHKの大河ドラマ。仕事の傍ら、土曜日午後の再放送を見る。
 もはや安土城を完成させ、狂気の覇王と化す信長。安土黄金城の天主閣で、どこかいっちゃった目をした信長(舘ひろし)とお市の方(大地真央)の会話が狂気めいていてよい。

信長「市、ここには世界の全てが描かれておるわ!」
市「兄上が、赤を好まれるようになったのはいつの頃からでしょうか?  この城には自然の美と人の手による美が一緒になっておりますな」

 濃姫(和久井映美)は、この兄妹の狂気めいた言動にもはやついていけず、常識人で幼なじみの明智光秀を思い、横笛を抱きしめる。
 竹中半兵衛が病没、なかなか見逃せない展開ですな。来週は荒木村重謀反の後編。間もなく本能寺か。

●骨伝導携帯
 今朝の新聞で、Docomoの一面広告で指輪型の骨伝導携帯の試作品を美しい女性が装着している写真が掲載されていました。
 以前、紹介した指輪型携帯電話です。→昨年の記事
 人差し指に大き目の指輪をつけ、その指を耳の穴に突っ込んでいる美女の横顔は写真が美しいだけに、違和感というか、奇妙な雰囲気が漂い、サイバーパンクの世界の到来を感じさせます。昔、早川のSF文庫あたりで見たような気分がします。

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May 19, 2006

深淵:庭園の貴婦人

5月1日『深淵:葬送の海』に関する質問メールが来たので、お答え。

【質問メール】
「深淵:葬送の海」のプレイレポートを読みますと【庭園の貴婦人キスネスク】という守護者が出てきます。
これが賢き者キスネスク(世界の書p77)と同じだとすると、少し疑問が湧いてきます。

Q:魔族諸侯が敵対する指輪の女王(や妖精騎士)のために魔族の封印を守ることがあるのでしょうか?
(魔族が敵対していたはずの巨神の走狗と成り果てているという印象を受けます。)

『冥界の門を目指して』(FSGI No.12)でも瞳の使者スポーリンが冥界の門の鍵を守っていました。

考えられる可能性として
(1)魔族の影は本体の思惑と別に星座の巨神や妖精騎士に仕えることもある。
(2)名前と姿・性質は魔族と偶然同じだが別の存在(神の眷属)である。
というものがあると思いますが、いかがでしょうか?

【回答】
回答は(1)です。
 いくつかの魔族は、封印後、世界構造の中に組み込まれたり、封印守護の役目のために呪縛されたりしています。キスネスクはその典型であり、魔族の封印を守護していることが多くなります。GMはこのように、魔族やその下僕がその封印を守護するという、悲劇、あるいは、喜劇を用意しても構いません。

 キスネスクの第二版用開発データは以下の通り。

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庭園の貴婦人キスネスク

星座 :指輪
召喚値:80
影響値:8

出現形態:蛇の紋章をつけた法衣を着用した赤い髪の美女。
 戦闘時は4本腕で赤い大蛇の下半身を持つ美女となる。

行動値18 吸収値8
攻撃1:長剣 技能値8+長剣3=11 4回攻撃 効果値4
攻撃2:石化の凝視 視界限定の影響値攻撃 強度18の「石化」
攻撃3:支配 範囲型の影響値攻撃 強度18の「支配」
 命令の内容は「動くな」

運命:キスネスクは指輪の女王の地位を奪うべく作られた者である。ゆえに、自らの王宮を築き、世界の支配を望んだが、彼女に従うのは石像ばかりであり、彼女自身は苦悩と狂気の中で生きていた。キスネスクとその下僕であるリシュラン・ヴォラは妖精騎士たちに呪縛され、望まぬ封印の番人をさせられている。

魔力:
《石化の凝視》 対象を石化させる。視界限定の影響値攻撃
強度18の「石化」
《支配》 範囲型の影響値攻撃 強度18の「支配」

下僕:「寡黙なる侍女」(リシュラン・ヴォラ)
解説:キスネスクの武装形態と同形で、4本腕で赤い大蛇の下半身を持つ美女。石に変えたリシュラン・ヴォラが死ぬと、石化の呪いも解ける。妖精騎士に呪縛され、封印の番人をさせられていることが多い。

召喚値50
行動値15 吸収値5
攻撃1:長剣 技能値5+長剣3=8 2回攻撃 効果値4
攻撃2:石化の凝視 視界限定の影響値攻撃 強度15の「石化」
攻撃3:支配 範囲型の影響値攻撃 強度15の「支配」
 命令の内容は「動くな」

子供:赤い髪をしており、魔力《石化(強度12)》を、作業値3の指輪の呪文として使える。

呪い:「石化」に縁故3を割り振る。つまり石化の3段階目にあり、行動値が3低下している。

死の約定:筋力+8、魔力《石化(強度12)》を、作業値3の指輪の呪文として使える。

魔剣:「魂を凍らせる者」
分類:長剣 武器修正+3 効果値4 +《石化(強度18)》
吸収値16 硬度80

関連教団:ダリウスの杯
教団解説:呪縛されたリシュラン・ヴォラを、「封印の守護者」「お山の主」として崇拝する地域信仰が多い。ダリウスの杯はその代表的なもので、リシュラン・ヴォラの守る封印を、山神ダリウスの聖域と考えている。
入信:地域信仰であり、司祭を務める村の長老の認可が必要となる。
信徒の条件と義務:ダリウスの聖域に近づかない。聖域の禁忌を守る。四季の収穫を守護者に捧げる。聖域への参道の補修に力を合わせる。
信徒の地位:司祭と信徒
典型的な装備:司祭は代々、供え物を捧げる石の皿を受け継いでいる。
技能:生物知識(動物、植物)、地域知識
教団の秘宝:石の皿
教団の呪文:とくになし

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May 18, 2006

二人の彼、トパーズ、アタック・オブ・キラー・トマト

 正式な発売日は明日(19日)ですが、すでに、『比叡山炎上』が店頭に並び始めているようですね。売れて欲しいなあと思っております。

 さて、昨日は朝から学校。ライティング×2、アナログ・ゲーム×1.

●ライターの必殺技
 午前中はライター科1年生のライティング。

 ライターの立ち位置
  INPUT → <ライター> →OUTPUT(原稿)

 ライターの機能
 ・Filtering (選別)     書くべきことを選択する。
 ・Edit(編集)        書くために構成する。
 ・Performance(表現)  より面白く読ませる。

 ライターに要求される能力は「取材力」「直観」「記憶力」「構成力」「ネットワーク」「経験」「教養」「文章力」などなど。
 それで食べていくために、「得意ジャンル」を確立すること。これが必殺技。その人しかできない、その人が書けば魅力が出る、そんなジャンルを見つけるのが早道。これは簡単ではないが、「得意ジャンル」を持つことは必要である。一晩、話せるネタを探せと。
 そんな話をえんえんしていたら、テキスト講読とコラム添削の時間が取れず、テキストの感想文は宿題になってしまった。添削待ちのコラムは預かる。

●アタック・オブ・キラー・トマト
 1年生たちがB級映画鑑賞会を開き、見たのが名作「アタック・オブ・キラー・トマト」。B級パニック映画のパロディの集大成でして、昔、都立大SF研にいた友人がこれを見て、「NATTO」という自主映画を作っていた。タイトル通り、「納豆」が意志を持ち、人々を襲い始めるという話である。もう20年以上前になる。懐かしい話である。

●コラム添削
 ……午前中、残った1年生のテキストを午後の2年生に添削させてみる。
 悲鳴を上げる2年生。

 去年の君たちもそんなもんだったのだよ。
 他人の文章を直す、というのもまた勉強である。

 2年生は予定通り、テキスト講読までこなす。

●今週のテキスト
・二人の彼
 群ようこの短編集より。ほんわかした恋の話。
 2年生たちは、もっと過激な展開を期待していたようですがね。あと、「お兄ちゃんのような彼」という立ち位置に、別フラッグが立ち、悲鳴を上げる人々も。色々、スイッチがあるらしい。

・トパーズ
 映画化もされた村上龍の短編。SM専門の出張娼婦の一日の風景。
 拒絶反応もあり。

・火龍面舞より「幕間1:候補生の憂鬱」
 魔道師学院の諺を読ませたかった、というネタですがね。

●休講予定
 締め切りの都合で、月末の授業を休みにしようか、悩んでいたら、5月31日が学校の都合で休講になったので、その前日の30日と合わせて、1週お休みすることにした。

●イベント予定
 6月末に、友人のサークルへ遊びに行くことになった。GMで好きなゲームをやってくれという。
 時期から言えば、『比叡山炎上』かな。『真・女神転生X』や『深淵第二版』でもいい。希望があれば、『シャドウラン第四版』でもいいが、英語前提なので、今回はパスか? まあ、もう少し考えてみよう。

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May 17, 2006

R&R21:墨俣を覆う影

 昨日は学校。戻ってきたら、R&R21号の見本誌が届いておりました。今日もこれから学校なので、簡単に宣伝とオンライン・レジュメだけ。

●R&R21号:『比叡山炎上』リプレイ『墨俣を覆う影』(前編)
 21号と22号は発売直前の『クトゥルフ神話TRPGサプリメント 比叡山炎上』のリプレイ、『墨俣を覆う影』(Shadow over the Sunomata』が掲載されています。前半にあたる21号はキャラクターメイクと情報収集。墨俣一夜城の事跡の背後に隠された恐怖に、侍、巫女、僧兵、道々の者の少女が挑みます。

 『真・女神転生X』のサポートは今月はお休みですが、来月号にはまた西上君が記事を書いてくれる予定です。

●トランプからカードゲームへ
 アナログ・ゲーム第二回は、トランプからカードゲームへ。
 まず、講義で「ハードとソフト」「機能と意匠」の問題を解説した後、トランプの歴史を語りながら、実際のデモプレイをほぼ2時間。

【0】タロット占い
 オーソドックスなケルト十字法にて、占いのデモ。なぜ左手を使うかとか、ギミックの面も含めて解説。

【1】ポーカー各種
 チップを使い、ドローポーカー、5スタッド、7スタッド、テキサスホールデム、オマハホールデムをプレイ。帰ってきたら、R&R21の鈴木銀一郎先生のコラムでもポーカーの本質について語っておられ、悲鳴を上げる。

【2】ナポレオン
 トリック・テイキング系トランプ・ゲームをデモ。私の高校時代(79年頃)は仲間とよくプレイしていたのだが、最近はあまりプレイしたことがないという生徒が多い。面白いですよ。

【3】ピット
 専用カード・ゲームの一例。派手なアクション・ゲームということで。

【4】6ニムト
 専用カードゲームの一例。今回はデモプレイのみ。

●ファンタジー概論【世界のキーワード】
 6時からのファンタジーは、「風の谷のナウシカ」を見ながら、神話的な世界観の話を。ナウシカに見られる女神像の話とか。ナウシカという名前そのものが、オデュッセイアに登場するある島の王女の名前から取られている。
 久しぶりに見る、巨神兵はよいのお。
 特色ある世界観構築の例として、「サムライ7」のOP,「ふしぎ星のふたご姫GYU!」第一話を見せる。

今週の宿題
その前準備 → 一晩でも語れる「好きなもの」を2個上げよ。

宿題の本文 → 「好きなもの」2個が「世界の基準」となる世界を考えてくること。

 ……ということで、「ギャルゲー」と「第二次大戦」と書いたH君、頑張ってくれたまえ。

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May 15, 2006

永遠の冬30:冬の祠

 我は待つ。汝の時が至るのを。

 ウィリス11歳の夏。
 グレイドルまでの辻馬車でさまざまな事柄を学んだウィリスは、マリュアッドを越えて、王都グレイドルに入った。辻馬車は、《冬の祠》に近い馬車宿で一行を下した。
「3日は、侯王様の城にいます。何かあれば、私らまで」
 フェリクスとケイディ、二人の役人はそう言い残して、城へと向かっていった。
「私の店は大通りにあります」
 ポンティ夫妻もそう言って、去っていった。
 最後に残ったディルスは、黒猫の姿をした使い魔シアンを傍らに軽くお辞儀した。
「《獣の王》よ」シアンもまた同時に頭を下げる。
「いずれまた、お会いすることでしょう」

 ウィリスは婆、ラゼとともに、《冬の祠》に入った。
 《冬の祠》は、その名前ほど小さなものではない。バッスルの守護神となり、侯王からの寄進を受けた神殿は石造りの巨大な城門を有していた。
 3名が名乗る間もなく、若く美しい三人の巫女が城門の内側で待っていた。
「雪狼の託宣がありましたゆえ」
 三人のうち、もっとも背の高いアシャンは言った。
「《獣の王》が庇護者とともに入城するであろうと。
 そして、伴うは、丘の守護者なりと」
 アシャンの瞳がラゼに向く。
「ようやく、おいで下さいましたね、ラゼ殿」
「皆さんは何か勘違いをしております」とラゼが顔を赤らめる。「私はウィリス殿と同行したに過ぎません」
 そうやって、1歩下がったラゼに代わり、婆が前に出る。
「グリスン谷の当代『お迎え役』ウィリスと、先代のゼルダにございます。当代の修行のため、お世話になります」
 あわせて、ウィリスも頭を下げる。
「ようこそ、《冬の祠》へ。
 《冬の巫女》アシャンにございます。
 皆様のお世話は、こちらのキューゼとユーリアが努めます」
 背後にいた二人の巫女を指す。キューゼはややふくよかな女性で、丸っこい顔は人懐こい雰囲気であった。ユーリアはずっと幼く、ウィリスとそれほど年が離れているようには見えなかった。おそらく、アシャンとキューゼが17、8、ユーリアは12、3であろう。

 まず、姫巫女の筆頭であるエルナを訪ねた。
「《獣の王》よ」とエルナは呼びかけた。ウィリスの母より少し年上であろうか? おちついた雰囲気の女性であった。
「《冬の祠》は、盟友たる冬の翼のお迎え役を歓迎いたします。
 この地の修行があなた様の道の礎となりますように」
 それから、ラゼを振り返り、軽く会釈する。
「ご苦労をかけましたね」
「いえ、どうも。私は……」と、ラゼは居心地悪そうに答える。おそらく、ここまで持ち上げられるのは、普段ないことなのだろう。ウィリスも同様であった。
「まずは《祠》にて、誓願の儀を」

 誓願の儀は、盟友の宗派の神殿に学ぶ際に行う、一時的入信の儀式である。
 司祭、巫女として修行するということは秘儀に触れるということに他ならない。宗派の秘儀を尊重し、その秘密を守り、祭神に忠誠を誓う。それが誓願の儀である。
 《冬の祠》はその名の通り、冬の神を祭った小さな祠から始まった。グレイドルの街の守護神となって、敷地が拡大してからも、最初の祠はその神殿の中央に残っている。
 なぜならば……

「そこは常に冬だからです」

とアシャンが言う。
 中庭を歩むうち、中央の小さな建物から冷たい風が漂ってくる。
 すでに一行の手には、白い毛皮のコートがあった。
 おそらく、祠の中ではそれをまとうことになる。

 石造りの建物はまさに冷気に包まれていた。石壁の表面にはかすかに霜が降り、氷がそこここに氷柱をなしていた。
「石壁には不用意に触れられぬように。
 霜焼けになりますゆえ」
とキューゼが言いながら、用意してきた手袋をウィリスに渡す。
「いえ」とウィリスは断った。
 ウィリスにとって、この冷たさは身近なものであった。

(ようこそ、《獣の王》よ)

 中庭に入った時から、聞きなれた雪狼の声が届いていた。

(待っていた)と声は言う。(お前が来る時を千年待った)

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グレイドル編その1.次回は「誓願の儀」。
これから、話がまた加速する予定。
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May 14, 2006

日々雑記:カタンとか、Aの魔法陣とか

 ドタバタ日々が飛び去っていきます。

●中野豪氏逝去
 訃報を聞き、思わず合掌。
 ご縁はありませんでしたが、デビューしたての頃、『RPG千夜一夜』を読んでは、いつか角川で連載をして中野氏に似顔絵を書いてもらうんだ、と思っていたことがございました。もう10年以上前の話です。

●カタン
 今日は、ゲーム学校のプレスクール(体験授業)で、久しぶりに『カタンの開拓者』の解説をしてきました。自分でプレイしたのではなく、入学希望者に体験プレイをさせた上で、ゲームの仕組みを解説するというものですが、「プラス型」の設計思想が、非常によい出来で、ドイツゲームの代表と今でも言えるでしょう。
 あー、久しぶりに遊びたい。

●Aの魔法陣
 土曜日にSさんが遊びに来たので、金曜日に買ってきた『Aの魔法陣』を使って、SFコメディ物を遊ぶ。

 シナリオ難易度20。制限時間:三日。単位時間:6時間。
 ミッション「宇宙生物Xを救出せよ」。
 問題は、宇宙生物Xが歩くパイナップルで、匂いで会話するということか?

 キーワードを集めて、難易度をクリアするというシナリオ記述方法は面白いが、もう少しダイスの楽しみがあったほうが、すきだな。

●ドラマ
 長男(小学5年生)がクラスのニュースを持ってくると、好きなドラマのベスト3が載っていた。

1位「アテンション・プリーズ」
2位「ブスの瞳に恋している」
3位「クロサギ」

 1位はさておき、2位と3位は小学5年生の見るものかね?
 最近、とんとTVドラマに興味が湧かない。NHKの大河ドラマと「柳生十兵衛」をのぞくと、最後は「けものみち」かななあ。
 「ブス~」はゲーム学校の生徒たちにも人気だ。私は原作をちらりと読んだぐらいだが、ライター科のK君に進められて、ヤングチャンピオンの漫画版を見る。

 漫☆画太郎だった。

 いいのか、これ。

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May 12, 2006

JIVE公式サイト更新

 R&R『比叡山炎上』リプレイの後半を入稿。前半はキャラメイクと調査だったので地味ですが、後半は派手な展開になりますので、お楽しみに。休む間もなく、『海の神話』と格闘中。ああ、某企画とか、あの企画書も書かないと。
 ……という訳で、今月一杯は大騒ぎの予定。まあ、いつものことである。

●JIVE TRPGシリーズ情報サイト「INTEGRAL」
 少し前から新しくなりました。横のリンクに追加しておきます。
 ……という訳で、諸般の事情で遅れておりました「TOKYOミレニアム」ですが、夏発売に決定しました。JGCにはお手元にお届けしたいと思っております。詳しくはまた後日。
 先日も多くの投稿をいただきました。ありがとうございます。検討の上、「ミレニアム」および以降のサプリメントで対応したいと思っております。

●イベント

5月26日(金) アトリエサード、夜のボードゲーム会 TNF
5月28日(日) R&Rステーション 『比叡山炎上』発売記念コンベンション

 京都在住のZ氏より、7月中旬のイベントに誘われておりますが、7月の予定がさっぱり見えないので、前向きに調整中。少々、お待ちを。アレとかアレとかアレ次第。おそらく巫女さんは確定(笑)。

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May 11, 2006

オワスレモノ、スローグッドバイ

 昨日もまた学校でした。水曜日は朝からライター科1年のライティング、2年のライティング、そして企画科のアナログ・ゲーム。それぞれ2時間ずつ。ライティングはネタを被せっつも、1年と2年ではやることが違うので、色々大変です。企画科のアナログは昨日と同じなので省略。

●ライティング
 まず、朝から1年のライティング。

 この授業は基本形が決まっています。
 まず、毎回20分間でコラムを書かせる。テーマは「今週の面白かったこと」。原稿用紙1枚程度。
 書きあがったら、お互いに文章の校正を行い、提出。簡単な講義の後、テキストを読んでもらう間に、講師が添削し、簡単な指導を添えて返す。あまりにつまらない時には「紙飛行機」も。今年も一通飛びました。
 最後に、今週、読んだテキストをもとに、10点満点の評価をして感想を発表する。

●オワスレモノ
 今週の講読テキストその1。加門七海の短編集より表題作。
 ラッシュアワーの電車内で遭遇した怪異に魅入られていくサラリーマンの恐怖。ホラー系の短編を評価させると、想像力、ホラー耐性、隠されたトリガーを浮き出しにさせるので面白い。
 電車に乗れなくなるほど、怖いですよ。

●スローグッドバイ
 今週の講読テキストその2。石田衣良のオシャレ系恋愛小説より表題作。「池袋ウエストゲートパーク」の作者と言わないと、分からない人がいたりするのでドキドキ。ちなみに、IWGPは、「少年マガジン」でコミック化されてますね。
 フリーライターの主人公は2年間同棲した彼女と別れることになり、彼女との決別のためのお別れデートを決行することになる。カラッポの冷蔵庫に萌えられるかどうか?
 ちなみに、その彼女は、堅気の彼氏を得て、そちらと結婚する気だそうだ。ライター科新学期の一発目のテキストとしては「ひどい」話だ。
 個人的には、辻仁成や往時の田中康夫を思い出させるフレイバーがあった。

●バベル
 新入生に、渋谷のDCIを覚えているマジックのプレイヤーがいたので、昼休みはデュエル。黒コントロールを、赤単で焼ききれないあたり、トーナメントから離れて5年近いブランクを感じる。その代わりに、250枚バベルで、《迫害》勝ち。

●デジタル・ゲーム・ベスト2005
 昼からの2年生も授業の内容は同じなのだが、少し余裕があるので、「2005年のベスト・ゲームを選べ」という課題を追加する。去年発売のゲームでベストを探す。

上げられた作品一覧(1・2位のみ)
「ナムコクロスカップ」「テイルズ・オブ・レジェンディア」「同・ジ・アビス」「三国志大戦」「アイドルマスター」「ツヨキス」「下級生2」「おいで動物の森へ」「ソウル・キャリバー」「タイム・スプリッター・フューチャー」「スターフォックス2 アサルト」「キングダム・ハーツ」「零(ゼロ)」「真三国無双4」「竜の如く」「モンスターハンターポータブル」「第三次スーパーロボット大戦α」「スーパーロボット大戦J」「メタルギアソリッド3」「バイオハザード4」「ワンダと巨像」

とりあえずの1位は「ツヨキス」

●今週の巫女さん漫画
「祭事の乙女達」 森見明日

 魔法も札も使い魔も使わない、普通の巫女さんを主人公にした美少女漫画。

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May 10, 2006

ダイス・ゲームとブラフ

 昨日から学校が開始。火曜日・水曜日に6時間ずつなので、今日もこれから学校。
 簡単に昨日のオンライン・レジュメだけ。

●アナログ・ゲーム01 「ダイス・ゲームとブラフ」
 火曜日は、まず、昼から2コマ×2で企画科1年に対して、アナログ・ゲームの紹介授業。
 ゲーム体験が優先なので、出席し、遊ぶことが肝要。
 指向するべきポイントは二つ。

 「楽しもうと努力せよ」
 「勝とうとして、ゲームを分析せよ」

 これを語るところから始める訳ですよ。
 ダイスの特質を語るために、チンチロリンの解説をした後、「ブラフ」をデモプレイし、その後5~6人の班に分かれて2回戦。1回戦目はルール習熟のため、一人ドロップで終了、2回戦目は最後の一人まで戦う。
 「ブラフ」は、人数が絞られるとよりハードな思考系リスク・マネージメント・ゲームになる。

 残った時間で同じ構造を持つが、セリ・ブラフ系カードゲームである「コヨーテ」をデモプレイ。
 このゲームは、外から見ている方が楽しい、というデモプレイ向きの傑作である。

 余った時間で、嘘つき系で最近お気に入りの「ゴキブリ・ポーカー」のデモ・プレイも追加。
 ダイスの話をしつつ、ブラフ・ゲームの系統を紹介していたりします。

●ファンタジー小説
 夕方6時からの2コマで、企画科2年シナリオ組向けに、「ファンタジー小説」の話。基本的に、ファンタジーの文法やテクニック、歴史の話と称しつつ、アニメや映画を見せて解説するという、おかしな授業。後、宿題として、毎回、ミニ課題を出す。期末テスト代わりに、今期中にファンタジー小説1本。20枚以上。

 今回は「異界往還」と題して、「千と千尋の神隠し」の前半の話を解説付きで。
 ついでに、劇場版「攻殻機動隊」のOPを見せながら、サイバーパンクなOPによって、「人が作られる世界」の提示という話をする。最後に、とんでもない異世界アニメのサンプルとして「少女革命ウテナ」の第一話を。割とみんな呆れてました。

 今週の課題。「異界往還のプロット」
 主人公はクラスメイトをモデルに決定。その主人公が抱える問題とその解消を、異界往還に組み入れよ。

「主人公(モデル明記)」
「主人公の抱える問題」
「解決のために必要な異界の設定」
「異界での冒険内容」

 最低4行。

●コミック
・電波の城1 細野不二彦

 危険な性格の女子アナウンサーが、TV界でなりあがっていく話。割とダークで奇矯、トレンディ・ドラマ向けの話だなあ。

・ほしのふるまち 1 原秀則
 東京の名門高校でドロップアウトした少年が、田舎の高校で再起する話。原さんらしい、ちょっとビターでハートフルな青春物

・ワールド・エンブルオ1 森山大輔
 死んだはずの少女を求めて、病院跡を訪れた少年は、怪物に襲われ、かつての幼なじみに救われるが、それは奇怪な卵から生まれた少女ネーネとの出会いに過ぎなかった。現代社会の闇に潜む怪物【棺守】と【刃器使い】のバトルに、巻き込まれた少年とネーネは……。

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May 08, 2006

日々雑記:曾我町子さん追悼

 土日、体がヘロヘロで年を感じながら、原稿に向かっていました。
 今週は学校も始まるし、締め切り満載、土日も用事ありなので、心機一転頑張りたいところ。

●曾我町子さん急死
 起きてYahooを見たら、「曾我町子さん急死」のニュースが。土曜日にはお元気でファンとの集いを楽しまれた後、翌日、経営する骨董屋に出てこないので、知人が自宅に行ったら、台所で倒れていた、とのこと。合掌。
 ニュースでは「オバQの初代声優」でクレジットされていますが、私としては、戦隊物の魔女役、女王役が思い出されます。ヘドリアン女王が名高いですが、この2月まで演じられていた「天空聖者マジエル」もまた曾我さんでした。なくなられた状況が数年前、死んだ義父に近いので、少々、響くものもあります。

●プラネット・アース
 昨夜のNHKで始まったハイビジョン系の自然シリーズ。
 BBC、Discovery Channnel、NHKが5年がかりで製作したもので、壮大なビジョンが見えます。超微速度撮影(しかも、少しずつパンしている)で紅葉を追いかけるとか、製作現場の執念が伝わってくる美麗な画像が満載です。
 日曜日から四夜連続で第一シリーズを放映。

●二宮ひかるマイベスト・リミックス「乱れる」
 5月11日発売予定とのこと。
 二宮ひかるさんは、数年前まで、ヤング・アニマルで活躍されていた女性作家で、繊細な恋愛物が魅力でしたが、その後、アニマルを離れ、作品も少なくなっていました。昨年あたりから、白泉社はコンビニ本での復刻を進め、マイベスト・リミックスも「ナイーブ」上下などが出ました。おそらく残っている短編と未収録作1作という感じのようですが、4月末にはヤングキングアワーズの増刊に新作が乗り、ファンが喜んでいたところで、うれしい話です。

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May 06, 2006

影を走る

 三連休(自主設定)ということで、ゲーム三昧してきました。
 以前から、シャドウラン第四版を遊ぼうかという話を知人としていたら、GWに、まったく別の場所で、二連続でプレイすることに。その代わり、GWは5日で終わり、今日からまた原稿三昧の日々が始まります。来週から学校も新学期を迎え、さて、どうなることやら。
 進んでいる諸般の案件が実現するととんでもないことになりそうである。

●影を走る
 3-4日は、ディベロッパーの西上氏を訪れ、打ち合わせ。『真・女神転生X』とか、その他諸般の企画の話をした後、集まってきたWorld Systemsのメンバーを交えてゲーム。『ゴキブリ・ポーカー』とか、『侯爵』をプレイした後、シャドウラン第四版のショートセッションをぐるぐると回す。最初はアーキタイプでいいね、とか言っていたら、猫シャーマンを作り出したり、改造を始めたり。第四版は、第三版から大幅に改修され、コンバット・プールなどが無くなったため、扱いやすくなり、戦闘はかなりスピードアップした。ヒーローポイントに当たるEdgeと、イベントを引き起こすGlitchの関係でドタバタ感が高まった感じもする。

 お話は、脱走したメガコーポの科学者を回収しにいくというものだが、第四版の舞台となる2070年代は、あらゆる商品が、無線式のマイクロ・タグで管理されているワイアレスの時代である。
 PCも、科学者に付着したタグが発する微弱な電波を追いかけていくが、逆に言えば、タグを追えば、他のメガコーポも科学者を追えるということである。ターゲットを確保した後、タグを外し忘れると大変なことに。
 前門のレンラク・レッド・サムライ、後門のヴァンパイア。

 5日には別の場所でベテランランナーたちとセッション。殺る気満々のカリカリにチューンした戦闘キャラクターが山ほど。コーポレイト・セキュリティごときでは、STR13のトロール弓術アデプトと、Edge8の回避アデプトがどーにも止まりません。支援のコンバット・メイジはマナ・ボールを外すし……。あと、エレメンタル2体だったかな。

●金魚屋古書店出納帖 上下
 古本漫画を題材にした、人情漫画を読了。
 昭和の名作漫画を掘り出しながら、現代の若者が漫画専門古書店でほのぼのとした人間ドラマを展開する、というのは、いい話なのですが、まんだらけやBook Offに通う層を生徒に持つ身としては、「ファンタジー」だよねとも思いますよ。正直、昭和30年代(1965-1975)の漫画を楽しめる高校生は、別の意味で稀有な存在かと。
 そういう意味で、「三丁目の夕日」に通じる、ファンタジー作品としてはよい出来。
 古書店の地下にある無限の漫画本棚は個人的な夢でありますよ。高校時代、本が自由に読みたくて、物置兼書庫に住んでいたことがあり、あの時代は幸せであったと思いました。
 続編もあるので、今度探してみようと。

●BLEACH 22
 人気の死神を高校生として、主人公の高校に編入させる、というのは雑誌連載時にヤラレタと思いましたよ。同人ネタを、商業クオリティで実現されるとうわああって感じ。ぜひ、更木剣八のガクラン姿を!……というか、今のアニメ版のOPはまさにその妄想に答えてますなあ。

●きっとすべてがうまくいく
 Young Animalと同別冊「嵐」で連載中の美少女漫画家、甘詰留太の短編集。ぎりぎり18禁にならない「ヤング・コミック誌」に掲載された短編を集めたもので、表題作は年の離れたカップルの行方を追う前後編。お薦めは美少女ゲームの声優の話「あ行のプロ」、クラスの文藝美少女と妄想交換日記をする「僕の○○ペット」。

●その他読了した漫画
・DeathNote 11 最終対決前夜。
・バーテンダー5
・王様の仕立て屋 10

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May 05, 2006

『比叡山炎上』Amazonで予約開始

 Amazonで『クトゥルフ神話TRPGサプリメント 比叡山炎上』の予約が開始されました。

 織田信長時代の戦国日本を舞台に、クトゥルフ神話の魔道書を巡る戦いが始まります。
 緒方剛志さんのカバーも見ることができます。

 発売予定 2006/05/19ということでよろしく!

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May 02, 2006

雷雨の中で墓穴を掘る

 朝から雷雨。
 昨日は30度の猛暑で、死にそうになりました。慌ててクーラーをいれましたが、あまりの気温差にぐったり。

●雷雨の中で墓穴を掘る

 ややダークな話を。

 朝、起きると、我が家の庭によく遊びにきていた猫が死んでいた。我が家の庭は狭いながらも、オープンで、植物が多いので、よく日向ぼっこに来ていた。外傷がほとんどないことから、車にはねられたか、昨日の猛暑でどこか体調を崩したのかは分からないが、かわいそうなので、タオルに包んで、庭の片隅に埋めてやることにした。

 今日は午後から強い雨が降るというので、小雨のぱらつく中、合羽を着て、庭に穴を掘り出すが、あまり深く掘らないうちに、砂利交じりの硬い粘土層にぶつかり、難渋しているうちに雷鳴が響き始める。
 とはいえ、目の前には中途半端に掘った穴があり、家の中にはタオルに包まれた猫の死体がある。いま、辞めるわけにはいかない。
 雨が強くなり、稲妻が光り始める中、金属シャベルを握って硬い土と格闘する。
 稲妻と雷鳴の間隔が狭まっていく。

(1、2、3……1キロかい……)

 こういう時、余分なイマジネーションというのは危険なもので、私の脳裏には、ハマー・プロばりの映像が浮かんでいる。

 雷雨の中、両手を泥だらけにして穴を掘る合羽の男……。
 輝く稲妻、轟く雷鳴、その間には土を掘る音が続く。ざく、ざく。

 ホラー映画に出てくる墓泥棒か、死体を隠そうとする殺人犯の気分。
 
 さらに、雷鳴がどんどん近づいてくるというのに、金属シャベルを振るっているというのは、明確な自殺行為のような気もするが、死者にしてやれることはこのぐらいしかない。
 合掌。

●ダ・ヴィンチ・コード
 遅まきながら、読了。いわゆる、レンヌ・ル・シャトー関係の話をベースにした、伝奇ミステリー。映画公開に間に合ってよかった。軽快な歴史ミステリーで、ダ・ヴィンチの作品やスケッチを元にしたアイデアが面白く、これはうまいと感じた。
 謎の中核にある、シオン修道会の話は、宗教学や歴史学の分野では20年ぐらい前から議論されており、私も、昔、光栄(現・コーエー)さんの雑誌で、『大航海時代』の読者参加ゲームをやったときに、ネタとして使ったことがある。あの時はインド到達前夜の設定だったので、まさにテンプル騎士団の財宝という話になった。「ブルーローズ」のネタにもした記憶があるなあ。

 「ダ・ヴィンチ・コード」では、これに、現代の原理主義宗派「オプス・デイ」を組み合わせる。それは、当然の対比とも言えるが、アルビノの修道僧まで含めて、ずいぶんと、デジャブーを感じさせる部分がある。「薔薇の名前」とか、色々思い出すものがありますねえ。「レンヌ・ル・シャトーの謎」を読んで構想したのは明確ですね。日本では10年ほど前に、荒俣宏さんがこのネタで「レックス・ムンディ」という伝奇ミステリーを書いており、それもまたかなりの怪作ですので、興味のある人にはお薦め。
 いや、まず、「レンヌ・ル・シャトーの謎」を読まれるとよい。

●コミック
・センゴク 9

 織田軍団に襲いかかる武田無敵軍団。一般的な信長物だと、三方ヶ原の迂回戦術で終わる前の多方面戦術を丁寧に描いているあたりがよい。
 山形昌景が表紙になるなんて、普通ないですよ。

・機動戦士ガンダム MS IGLOO 603 第二巻
 ジオンの試作兵器開発秘話を描くCGアニメのコミック化第二弾にして完結編。
 オリジナルの海洋ビーム砲VS水中用ボールの対決、ズダの話、機動偵察ポット「バロール」の三話に加え、エンディング代わりに、主人公が試作兵器評価に進んだ理由を語るエピローグ。
 個人的には、ズダ編で、オデッサから撤退してきた地上用ザク-Jが、宇宙で溺れるシーンにもっと悲壮感が欲しかったなと。宇宙に撤退するのに、地上用MSを持っていかねばならないあたりですでに、ジオンの悲劇というべきかもしれない。
 続編がガンダムAで続いているので、それを楽しみにしています。

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May 01, 2006

永遠の冬29:準備

 他人という鏡は己の性根を映す。
 微笑めば、美しく、憎めば、おぞましく。

 ウィリス11歳の夏。
 グレイドルまでの辻馬車の中で、一人の青年に出会う。
 その名前はラゼ。ダナの丘からやってきて、ウィリスと同じ《冬の祠》で修行する予定の青年だ。

「さ、才能ですか?」
 黒猫に名指しされたラゼは緊張を隠せないまま、言った。
「い、いえ、すでに《冬翼様》に見出されたウィリス様の前でそんな」
 すでに、ウィリスの噂は、冬の祠の司祭たちには広がっているようだ。どうしようもない。
「どうやら、騎士団長殿はずいぶん親切なお方のようだ」と婆が言った。「同じ辻馬車に《冬の祠》の先達がいるとは僥倖。この機会にぜひ、神殿のしきたり、言葉使いなどについて教えを乞えばよい、ウィリス」
 婆はゆったりと微笑んだ。

 戸惑うウィリスに向かって、魔道師がささやく。
「世の中に偶然など、ありはしないのですよ」

 ウィリスにもやっと分かった。
 この辻馬車そのものもまた、誰かの仕掛けなのだ。誰かがウィリスにさまざまなことを教え込もうとして、この人々を同じ辻馬車に乗せた。

 誰が?

 ウィリスに思いつくのは、ディルスとバスカレイドを派遣した魔道師学院か、あるいは、騎士団長ぐらいしかない。おそらく学院。仮面の魔道師バスカレイドはその仕掛けを用意するためにヴェイルゲンに現れ、ディルスに同伴を命じたのだろう。
 ウィリスは不安になったが、婆は微笑んでいる。婆の顔には「もらえるものはもらっておけ」と言わんばかりの微笑が浮かんでいる。

(恐れるのは弱いからだ)

 雪狼の声がかすかにささやく。
 冬の獣たちの考え方は単純だ。戦い、喰らい、殺す。その前提で他の存在を見る。今、戦う敵かどうか? 今、殺して喰らうべき餌かどうか? 

 ウィリスは信じることにした。
 ラゼもディルスもポンティ夫妻も二人の役人も、嘘を伝えに来たのではない。《獣の王》が、侯王の都に入る前に学ぶべき機会を与えにきたのだ。
 これも修行であり、婆はそのためにグレイドルへとウィリスを連れていくのだ。

 辻馬車の中は旅の間中、再び修行場となった。
 ラゼには、《冬の祠》のしきたりを習った。《冬翼様》は、《冬の統領ル・ウール》にとって、大叔父のような存在である。敬意を持って受け入れられている。グレイドルに直接、加護を与えている《ル・ウール》の神殿は、巫女姫によって運営されている。これを冬の巫女という。
 冬の巫女の中でも、もっとも格の高い者は、神殿長ではなく、冬の統領の荒々しい心を慰める《冬の花嫁》である。冬の巫女は、神の花嫁となるのだ。

(荒々しい心)
 ウィリスは、グリスン谷に残る神楽の一節を思い出す。
 谷ではもはや舞われぬものではあるが、その中において、ル・ウールは、冬の騎士ルーヴィディア・ウルと呼ばれる。冬の吹雪を連れて、冬の猟犬たちの先頭に立つウルは、怒りに狂って戦い続け、やがては、雪の大弓を仲間にも向けてしまう。冬の巫女姫は、それを留めようとし、矢をその胸に受けてしまう。
 愛する巫女姫の死に号泣するウルは、冬の猟犬を指揮する犬笛と、雪の大弓を冬の祠に納め、山の神になったのである。

「それを神殿で口にしてはなりませぬ」とラゼが言った。
「どうして?」
「それは異伝でございます」とラゼ。「《冬の祠》においては、ル・ウール様としか呼ばれませぬ。また、冬の巫女姫は死にませぬ。ル・ウール様は姫巫女への愛に目覚められ、怒りを納められたのでございます。
 違う伝承は、愚かな者たちを混乱させ、怒りを招きましょう」

 ウィリスは思い出した。昨年の秋、砂の川原で修行した時、若き司祭見習いが、《冬翼様》をけなし、見境のない暴力を振るった。殺されそうになった。
 生きるため、ウィリスは雪狼の声に目覚めた。
 
「ルーヴィディア・ウル」とディルスが繰り返した。「その名前は人の子そのものより古いぞ」
「手に入れた経典が古臭いだけじゃよ」
と、婆は呟く。
 グリスン谷は、それほど古い村ではない。何世代か前に、開拓民が開いた辺境の村に過ぎない。

 ラゼとしきたりの話をした後は、ポンティから薬草を見せてもらった。
 グリスン谷の近くでは入手できない南方の薬草、あるいは、谷で怪我を治すだけでは決して使うことのない毒草の類もあった。
「ウィリス殿もお聞きでありましょう。かのおぞましき毒使いの暗殺者、ギュラニン党のことは」
 北原には、恐ろしい暗殺者がいる。ギュラニン党と呼ばれるその殺し屋たちは、甘い匂いのする猛毒を使い、人を殺すのだという。
「これが甘き《トートの毒》でございます」
 波理の瓶を取り出し、その栓を開けた途端、甘ったるい濃厚な香りが香った。
「刃物に塗り、傷から入れば、激痛で死に至ります。
 粉末にして吹き付ければ、それを吸った者は息が詰まり、絶息するでしょう」

 その甘い香りは死の印であった。
 死の女神と毒の魔神を信仰するギュラニン党は、その信仰にかけて、トートの毒で殺すことを己に課しているという。何年か前、グレイドルの公子が、この毒で殺されたという。
「ゆえに、この毒について、グレイドルで語ることは避けるべきでしょう」
 ポンティは言った。

 フェリクスとケイディは、侯王とその家族の話をした。
 バッスル侯王ラウルには二人の公子がいた。長男のキーファンは武勇に優れ、未来の侯王として期待されていたが、毒殺されてしまった。次男のレイダム公子が後継者と定められたが、これは病弱である。ラルハース継承戦争では戦いにも出たが、やはり体が弱く、今も国を率いるのは老侯王であるという。
 そして、二人の役人は地図を広げた。
「これがヴィダルケン。もう一つ峠を越えれば、マリュアッド。
 そこから1日で、王都グレイドルです。
 我らはグレイドルで侯王様にご報告した後、北へ向かいます。
 アヴァターへ」

 北の果て、雪原の中に聳えるのは万年雪に覆われた高山である。
 そこは風の妖精騎士の城塞であることから、「高き砦」と呼ばれている。
 ウィリスはどこか遠くで雪狼が吠える声を聞いた。

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 辻馬車編の後半。
 グレイドルに入る前の解説編である。
 次回はグレイドル編。(だよなあ)
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深淵:葬送の海

 昨日は東京深淵CON~シキサイ~にお邪魔して、「深淵第二版」を回してきました。
 今回は、久しぶりにテンプレート決め打ちで5名ということで、比較的初めての人もおり、ドキドキしながら、南海の旅を。

●GM予告

 南海の果てにある、海神の島へと向かう人々が体験する数奇な運命。
 波涛の彼方に彼らが見るものは何か?

●指定テンプレート
 原蛇の魔道師
 プラージュの下級司祭
 吟遊詩人
 傭兵
 白馬を連れた娘

●キャラクター

禁断の知識を求める原蛇の魔道師アザル・ストーウラ。魔道書の導きにより、渦の大公グビレーの無限図書館の存在を知り、青の島へと向かう。そして失踪した妻ステラもまた、その島にいると知り……。

(運命:禁じられた知識 > 知識の探求に取り付かれた存在。知識の探求(5)。その代わり、シナリオに1回、無条件で知識技能の判定に成功する)
(運命:失踪)>妻ステラ

渦の王の住む青の島を探索するプラージュの女性司祭ログコア。しかし、彼女の魔力は神より下された「無垢」の恩寵により、すべての魔力が失われていた。
(運命:任務。>渦の王の支配する青の島の探索)
(運命:無垢) すべての刻印を失い、魔法から隔絶された身となる。魔法への抵抗に+10.ただし、魔法を受け入れると、過大な反動が……。

魔法の白馬ロビンと愛で結ばれた少女リュシカ。死の予言を受け、ロビンと「永遠の愛」を生きるため、ロビンの父祖であるグビレーの宮廷を目指す。
(運命:友なる動物/白馬 → 白馬の運命:魔族の血:渦の大公グビレー)
(運命:死の予言)

自称、世界一の吟遊詩人アエネアス・レーギウス。その魂は邪悪な魔剣と狂気めいた妄想に支配され……。
(運命:魔剣 → 海の亡霊の腕ダスールの魔剣<真珠の曲刀> 特殊効果:海の亡霊群の召喚)
(運命:妄想 → 自分は世界一の吟遊詩人である)

黒き翼の手先なる傭兵カテキン・ミディペット
(運命:教団からの脱出:教団<暗黒の塔> 黒き翼ガープリスの教団)
(運命:呪われた出自:幻視者の血筋 (夢歩き+5))

●魔性の海
 まず、物語は嵐の海から始まる。
 稲妻が天空を走る。一行が乗り合わせた船は嵐に会い、木の葉のように揺れている。おぞましき嵐の魔神が海原を駆けているのか? それとも、天空で、妖精騎士と魔族の騎士が戦っているのか?
 波間には、巨大な鯨の姿も見える。
 そして、天空より落ちた稲妻の槍は打ち砕き、一行はそのまま、嵐の海へ。
 巨大な鯨が大きな口をあけて迫ってきているではないか?

●大魚の胎内
 気づくと、鯨の胎内にいた。
 ここでやっとお互いに自己紹介をし、協力して脱出を考えることにするが、どうも、色々見えている人がいたり、魔族の血を引く馬ロビンの言動が妖しい。
 とはいえ、このまま、鯨の栄養にもなりたくないので、潮吹き孔を抜けて外へ。

●破壊された島
 鯨の胎内から出ると、そこは青の島の入江である。
 浜辺の街は稲妻で焼き払われ、人影もない。
 そして、島の中央にそびえる小山の頂上には魔力を放つ封印の槍が輝いている。

 ここで、あの封印の槍を抜くことこそグビレーの宮廷、あるいは、無限図書館への道だと知った一行はバラバラになるながらも、山の頂上を目指す。
 封印の解放が生み出す危機を熟知したアザルは、グビレーを解放せずに、その道を開く方法を思い出す。

 封印を守護する魔物を殺してしまわぬまま、槍を一瞬だけ引き抜き、扉が開いた瞬間に飛び込み、外に残った者がそれを差し直す。魔物が生き残れば、そのまま封印を保持し、世界の破滅を免れるに違いないと。

 しかし、この賭けには一つの罠が隠されている。
 嵐の中、船を破壊したのは妖精騎士。
 島を焼き払ったのも妖精騎士。
 封印に揺らぎがでれば、すぐさま彼らが現れ、試みたものを焼き払うに違いない。
 時間はわずかしかないのだ。

●封印を巡る戦い
 槍の周囲にいた守護者の魔物は3体。
 石化の力を持つ半蛇の女魔族、【庭園の貴婦人キスネスク】と骸骨兵2体。
 傭兵カテキンが突っ込み、骸骨兵を引き寄せる間に、ロビンに乗ったリュシカとラグコアが横から回り込む。反対側からはアゼルがひとり忍び寄る。
 2体の骸骨兵に囲まれた傭兵が苦境に陥り、吟遊詩人が魔剣を抜いて走る。
 リュシカはロビンを駆り、キスネスクの横をすり抜ける。リュシカはラグコアに槍を抜かせようとするが、世界の破滅を恐れるラグコアはためらい、ロビンの背を降りて、槍に背を向ける。キスネスクが振り返り、リュシカに迫る。厳しい状況に、リュシカは自ら槍をつかみ、恐ろしい封印の力を打ち破って、槍を引き抜く。

 開かれるグビレーの無限図書館への扉。

 ロビンとともに、飛び込むリュシカであったが、封印の槍を持ったままであった。
 このままでは魔神グビレーが解放され、世界が破滅すると知った、ラグコアは追いかけて、扉を抜け、リュシカを切り伏せる。倒れる少女から槍を奪ったラグコアは再び扉を出て、封印の槍を突き刺し直す。
 それはたとえ【無垢】の加護の助けがあっても、もはや、人の子の出来る行動ではなかった。
 ここで命の尽きたラグコアはそのまま大地に倒れる。

 ラグコアの献身にも関わらず、運命の傀儡たちは貪欲であった。
 妖精騎士の蹄の音が天空に響きだした瞬間、妖精騎士の血に目覚めながらも、無限図書館への思いを断ち切れぬアザルは再び、槍を抜き、自らもグビレーの宮廷へと逃げ込む。彼らが大地を再び、焼き、封印を蘇らすだろうと信じて、槍をその場に残し、扉をくぐったのだ。すでに魔族の手先であったカテキンもその後を追う。

●終焉
 残されたレーギアスは吟遊詩人として、異世界に封じられることをよしとしなかった。彼は命がけで歌い、吟遊詩人として、妖精騎士の偉業を語ることを誓った。魔剣を捨て、苦痛の刻印を受け入れたレーギアスは、妖精騎士の魔法で遥かな岸辺へと送られた。

 そして、リュシカは無限図書館の床に横たわりながら、人の姿で自らを抱きしめるロビンの声を聞いていた。
「ずっと一緒だよ」

-FIN-

●感想
 ちょっとタイトルとは違う方向へ流れてしまいました。
 海でのイニシエーションの話をしようと、鯨に呑まれる話を長引かせたのが敗因かな。
 今回は、グビレーの宮廷にある無限図書館を求めるシナリオですが、いつもは味方っぽい妖精騎士をシナリオ・エンドに使って見ました。

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