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May 29, 2006

比叡山炎上:出雲伴天連始末(改)

いあ。いあ。はすたぁ。あべ・まりあ。

 昨日はRole&Rollステーションにて、「比叡山炎上発売記念コンベンション」でした。ご来場ありがとうございました。私は、以前、ここでもテストプレイ・レポートを載せた「出雲伴天連始末」の改訂版を、西上は安達ケ原の鬼婆の話をベースにしたシナリオをプレイしました。その他、坂東真紅郎さんと内山靖二郎さんが、『クトゥルフと帝国』を。

●出雲伴天連始末

「よいか、この本の残り半分を見つけ出すのだ。
 さすれば、信玄坊主にいいようにはさせぬ」

 元亀2年師走。比叡山焼き討ちの余波で、武田信玄が上洛、織田討伐に動くという噂の流れる中、織田信長の命により、4名の男たちが集められた。兵法者の加座間、陰陽師の市川、道々の者の松吉、忍びの伴。彼らは、イタリア生まれの伴天連、グレゴリイ(PC)と引き合わされ、信長より直接、ある任務を命じられる。

 欧州より日本にもたらされし、おぞましき魔道書「妖蛆の秘密」の半分を入手するため、残り半分を持って逃げた錬金術師ゲオルグ・ザミャーヒを追い、毛利の支配下にある出雲国大浦村に潜入せよというものである。

 5人はひそかに六甲山を抜け、出雲に向かう。途中、狼の群に襲われるも、何とかこれを倒し、出雲へ到着。
 しかし、グレゴリイを見た途端、出雲の人々の対応が険しくなる。3ヶ月ばかり前、大浦村に現れた伴天連により、大浦村は切支丹村と化し、神道の聖地、出雲に叛旗を翻しているという。
 長居は無用と大浦に向かう一行だが、村について見ると、村の外れの地蔵が打ち壊されているのを見て愕然とする。

 まずは情報収集ということで、伴天連とその信徒として、村に入るが、ザミャーヒらに歓迎され、同じ異端者として扱われる。明日に迫る聖降誕祭(ユールの日)に行われるミサの手伝いに巻き込まれる一行。
 グレゴリイは南蛮寺の土蔵に隠された「妖蛆の秘密」を発見するも、ザミャーヒとともに、講読会をするはめに。
 土蔵の中には、甕一杯の蜂蜜酒、石のオカリナがあり、これらを使って、明日のミサでは、「ぱらいそへの門を開く」とか何とか。
 陰陽師の市川も、信徒から奇奇怪怪な賛美歌を歌わされ、それが、フォーマルハウトから、何か翼のある邪神の御使い、星の駿馬を呼ぶ呪文だと気づき、一時的な発狂に追い込まれる。

 このままミサを行わせては危険。

 そう決断した一行は、そのまま、土蔵を襲い、石のオカリナと魔道書を奪うことに。
 しかし、土蔵の鍵は硬く、そうこうするうちに、信徒のサムライ(武者鎧)と、白蛆と化したザミャーヒに襲われる。いきなり松吉がザミャーヒの正体に気づいて、発狂するも、加座間の奮戦でサムライを一刀両断、凍える息を吐くザミャーヒも、倒す。グレゴリイは魔道書の箱に火をつけて、そのまま逃げ出してしまうが、魔道書回収を命じられた忍びの伴が、神速の術で、これを炎の中から救い出す。
 グレゴリイは狂気の叫びを上げながら、闇に消え、残る4名はあらかじめ話をつけておいた漁師の小舟で村を脱出した。振り返った市川の目に、大浦上空を舞う奇怪な影が見えたが、それが何か確かめる余裕はなかった。

「ようやった」
 魔道書と石のオカリナを受け取った信長様は、おぞましき『妖蛆の秘密』に手を這わせながら、一行をねぎらった。
「これで、信玄坊主めも……くくく」

 翌元亀3年秋、武田信玄は甲府を発し、織田家殲滅の大侵攻を開始するが、徳川家康を打ち破ったところで、軍を止め、翌年春、密かに陣没した。病死であったという。

 元亀3年春、出雲国大浦にて、切支丹一揆が発生し、毛利勢が鎮圧に向かうも、大浦村の村人はすべて消え去っていた。村に残されていたのは、奇怪な南蛮寺と、蜂蜜の匂いの残る、空の大甕であったという。

 一方、大浦で行方をくらましたグレゴリイは、六甲山を超えて、堺にたどり着き、南蛮船で日本を離れた。『妖蛆の秘密』に関する報告をローマに持ち帰るためである。大浦の魔道書には火を放ったし、ザミャーヒも殺した。もはや後顧の憂いはないはず。
 しかし、それとは別にグレゴリイの耳元には時折、あの大浦で聞いたおぞましい祈りの言葉がささやきかけてくる。夜になり、フォーマルハウトの輝きを見るたびに、何か誘われるような気分になる。夜陰の空におぞましき影が飛ぶのを見ることもある。
 グレゴリイは、自分がインドのゴアにさえ、たどり着けないのではないかと思いはじめている。しかし、あの経験は記録しておかねばならない。法皇猊下に、あるいは、イエズス会総長閣下に伝わるよう、報告書を書こう。今、書いておかねば、きっと……

●感想
 5名で、キャラクター作成からということで、やや駆け足になってしまいました。
 シナリオとしては、PCたちもミサに参加し、ビヤーキーの群が降臨、そのままセラエノへ……という展開を考えておりましたが、魔道書奪取を主目的にしたので、早めの戦闘でシナリオは集結しました。
 お疲れ様でした。

●今後の展開
 最後に、ちょっとした告知タイムがありましたので、一応、こちらからの告知を。
 残念ながら、現状ではまだ、『比叡山炎上』の続編関係は予定されておりません。エンターブレインさんとしては、売れたら考えます、ということで。何とかサポート関係を用意したいなとは思っております。こちらは是非皆さんのご支援を賜りたく、お願いします。

・TOKYOミレニアム
 『比叡山炎上』とは関係ありませんが、『真・女神転生X』の次の作品は『TOKYOミレニアム』。JGC2006合わせを目標に製作中です。

●銘菓「ざびえる」
 今回のコンベンションにあわせて、以前、イベントに呼んでくださった大分のサークルの内田さんより、大分銘菓「ざびえる」をいただき、参加者に配布しました。この「ざびえる」の菓子箱が黒のビロード張り風の構造で、洋風の飾り文字が表に箔押しされており、ヤバゲな魔道書とか、ヤバゲな宝箱にぴったりなのです。
 大分旅行の際、あるいは、近所で九州物産展などがありましたら、ネタだと思ってぜひご覧下さい。
 内田さんからは銘菓「ざびえる」のほかにも、大量のてんぷら(さつま揚げ)をいただきました。ありがとうございます。てんぷらはコンベンションのGMやスタッフで分けました。ありがとうございます。

●飲み屋で遭遇
 コンベンション後、キーパー一同と編集さんで、神田の飲み屋に移動して、色々雑談。TRPGネタの話をえんえんしていたら、飲み屋のお兄さんが、突然、ツボに入ったらしく、ぴたっと動きを止める。

「TRPGですか?」

 えー、はい。

「メガトラベラーとかやってました」

 なかなか渋いね~。
 ……と見回すと、ゲームデザイナーや、ゲーム出版の担当編集ばっかりなんですが、自己紹介したら、どうなるんだろう? と思いつつ、なかなかドキドキしました。

●ヴードゥー大全 アフロ民俗の世界
 夏目書房さまよりいただきもの。
 いわゆる「ヴードゥー」の世界を現在の姿、その源流と歴史まで含めて、詳細に語った大著。図版類が多いのがいいですね。ゆっくり楽しませていただきます。
 冒頭のラフカディオ・ハーンのヴードゥー話はなかなか興味深かったですね。

●ジオブリーダーズ12
 読了。バトル・アクション編の後半と、陰謀の始まり。
 前半の多方面同時展開バトルと、どさくさに紛れて進む田波&成沢の恋愛。高密度、高速の展開。

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