深淵『菫の祠』
昨日は朝のテポドン発射に始まり、学校で6時間授業をした後、打ち合わせと多忙な一日でした。現在、神話本と『ミレニアム』の原稿チェックが重なり、ちょっと大騒ぎですよ。
あと、暇を見ては倉阪鬼一郎の『汝らその全ての悪を』を読み進めているので、ちょっと今、旧約聖書的贖罪と狂気がマイブームです。
●学校で『深淵』
水曜日は、ライター科1年生の『ライティング』、2年生の『ライティング』、企画科1年の『アナログ・ゲーム』と、微妙に異なる授業を2コマずつ合計6時間。
時期的に、TRPG推進月間ということで、ライター科2年のライティングで『真・女神転生X』、企画科1年とは『深淵』を超短縮プレイ。順番はさておき、アナログ・ゲームの『深淵』から。
今回のテーマは、幻想のゲーム化という話。クリエーター、朱鷺田の回答ということで、希望者を募り、『深淵』のデモプレイを。後で『始まりの宿』をプレイするつもりでしたが、最初に紹介した、運命の幻視で作成したキャラクターがやたら、受けたので、そのまま即興シナリオ『菫の祠』を1時間でプレイ。
PCは以下の通り。
禁断の知識を求める恋人の女魔術師を失い、その遺志を継いだため、『死人の声が聞こえる』と悪い噂を立てられ、村を追われた妖術師。
恋人が魔族『菫の乙女』に心酔していくのをとめられず、彼女の失踪によって深く後悔する青年。妖精騎士の啓示により菫の祠がある森へ向かう。
魔族の呪いにより溺愛する妹が、動く死体と化した青年。実は自らも一度死に、愛犬の手助けで蘇った。妹が死んだ理由は、彼を救うためであった。妹との幸福な日々を取り戻すため、漂泊を続けている。
人に慕われる青年。ただ故郷に戻るだけだったのに、【不幸】であるはゆえに、なぜか上記三名と同じキャラバンに加わり、一緒に菫の野原に迷い込み、【王者の相】を持っていたので、魔族の餌にされそうになる。通称プリンス。
お話は4人(+妹)が菫の園に紛れ込んだところで始まり、不幸な青年が【菫の乙女】に食われそうになるが、妖術師と、恋人を救いに来た青年に救われるまで。ゾンビ妹とコンビを組んだ元死人は、【乙女】が生贄を喰らい、冥界の門が開くのをじっと待っていました。
テンプレートすら使わない即興高速プレイで、ほぼ夢歩きとカードプレイ、魔術まで「反動強化型高速詠唱ダメージ呪文」で乗り切りました。これはこれで楽しいな。
*注記 反動強化型高速詠唱ダメージ呪文
【通常バージョン】
1ターンに1枚のダメージを目標用に、もう1枚を反動用にならべる。
【禁断バージョン】
最大5までの数字を宣言する。その枚数だけのダメージを山札からめくる。その後、反動を同じだけ山札からめくる。
これは超圧縮(夢歩きオンリー)プレイ用なので、真似をしないように。
●戦時下のオタク
その他の授業関係のメモを。
午前中のライター科1年生@ライティング。
期末課題の『20枚以上の文章作品』へ向けた原案チェックをしつつ、テポドン発射に関わる時事認識のキーワード、『戦時下のオタク』について語ってみる。恐らく3歩先にある『戦争状態』と『平和』の間で緊張し、疲弊する『奇妙な国家』をちょっとだけ考えて欲しい。その上で、ゲームライター科の生徒は、好きなゲームを遊び、ネタ・コラムを書き続けていくことになる。
よく考えると、なかなか、これもまたシュールなディストピアであるよ。
ディストピア物とサイバーパンク物がなかなか日本でブレイクしないのは、恐らく、それが「現実」だからなんだろうなあ、と。
1年生の期末課題は20枚以上の文章作品、小説推奨ながら、論文も可能。
まずは原案を示させ、来週からプロットの話をしようと。
今年はノベライズが多い。近年のライター科は雑誌記事専攻なので、小説を書きたくて来た人は少なく、オリジナルが減ったのは残念である。
そんな指導をしつつ、1年生はなぜか『真・女神転生X』のキャラクター作成第二回。来週は生贄(ボランティア)を募って、『ワルプルギスの夜』を。
●小学生における男女の意識差
午後2年生の『ライティング』でも、戦時下のオタク話をした後、最近、少女漫画に凝りだし、やぶうち優の『ないしょのつぼみ』を持ってきた生徒がいたので、小学生雑誌における男女の意識差について言及する。
『ないしょのつぼみ』は小学5年生の少女が、お母さんの妊娠、自分の体の変化などによって、自らの性に向き合っていく、小学生向けの少女漫画。この時期の女の子たちが直面する悩みをどう乗り越えるか?
こうした事情から小学5、6年生から中学1年生あたりにおける男女の性意識差は非常に大きなものとなる。男子がいつまでも、ガキなのに、少女たちは大人に向かいつつある自分を否応無く意識させられるのである。
その意識差は、『小学六年生』などの小学生向けの雑誌で如実に現れる。男の子たちが相変わらず、ゲームやアニメ、ミニ四駆などで盛り上がっている一方で、女の子は愛と性に関わる悩み記事とか、ファッションなどに傾倒し、これがミクスチャーされた状態の不可解な雑誌が誕生するのである。
ゲーム・クリエーター的には、『小学六年生』は時々ワッチしたい雑誌の一つ。2~3年に1回読んで、そのたびにパニックを起こすのである。
●少女漫画のその後
『ないしょのつぼみ』の先に何があるかと言えば、
……ここでなぜか一昨日、古本屋で拾ったリカチの『HoneyDaring』が出てくる……
いわゆるセックスを前提にした恋愛コミックである。掲載誌は『絶対恋愛Sweet』。アイドルとの恋愛とセックスを題材にした連作である。
ちなみに、現在、書店で少女漫画の棚に行くと、黒やピンクの表紙で、やたら扇情的なコミック・アンソロジーがならんでいる。男性向けの美少女漫画雑誌で活躍していた作家がかなり移行しているようだ。これも一つのトレンド……
さらに……この日、生徒からもらった『少女セクト』を出して解説したりしなかったり……。
●『ヴァルプルギスの夜』
2年生のライティングは後半1時間で『真・女神転生X』、『ワルプルギスの夜』をプレイ。
非常に圧縮した感じでアプローチを1回ずつこなし、呪いの勾玉と、パンドラの箱を渡し、『蛇の道は蛇』で補足情報を追加。途中こんな感じでさあ、とか、馬鹿話を1分ばかりしたところで、無理矢理ラストバトル開始。レベル5PC6名で、堕天使ガギソン(L15、HP720)を3ターンで撃破する。
最後にパンドラの箱が閉じなくなって大騒ぎになったのは秘密。
非公式アイテム(シナリオ専用) コネとの会話判定でもらえる。
・呪いの勾玉
1回のみ。BOSSのHPを100点減らす。
・パンドラの箱
使用するたびに、BOSSの防御点、判定値、HPを1d10ずつ減らす。同じだけ使用者のダーク属性を増やす。こうして使用者のダーク属性が50以上になったら、使用者はパンドラの箱に従う絶望の下僕(NPC)になってしまう。
●Death Notes 12
読了。完結編。エンディングは聖書調に。ライトの死はやはりおぞましき悪魔の性格をきちんと描いていてよし。
●バスタード 23
背徳の掟編、最終節。亜人類集結の場面は、この作品がAD&D影響下にあることを明示するが、それでも、やはり、こういう形でファンタジー世界の定番が濃密に描かれるのはうれしいものである。ウリエル決戦はやっぱりやりたいよね。
●少女セクト
もらいもの。女子高における女子の恋愛を描いた美少女コミック。第二巻で完結していたはず。コミックメガストア連載ですから。イラストは実に華麗。
●宗像教授異考録 第二集
宗像教授が再び神話伝承の謎に挑む連作シリーズ第二巻。この巻で扱われるのは、花咲爺、卑弥呼と銅鏡、牽牛と織姫。なかなか勉強になります。
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