神話本で大騒ぎ中。インドネシアの南海の女王からニライカナイ、ハワイキへ。
読んでも読んでも資料が尽きない。
●深淵Q&A
『深淵』関係で、質問のメールをいくつか戴いたので、簡単に回答。
回答の前提として、「深淵」は、美しい幻想物語をTRPGで再現できるように、ギミック、ルール面でこれをサポートするシステムです。GMとプレイヤー全員で、ひとつの幻想的な物語を生み出すのが目的です。ルールの解釈は、これを推進する形で進めて下さい。
例えば、以下のような答えもありますので、ご了承下さい。
Q:複数の縁故によるボーナスは重ねていいのですか?
A:ロールプレイが可能であり、行う判定に対する矛盾がなく、場面として許容できる範囲であれば。
あるいは、GMや他のプレイヤーが「幻想的である」「美しい」と受け取れるならば。
例えば、生還するための判定に、「父よ、母よ、愛する人よ、俺に力を!」(3年使って+15)はありますが、愛する家族を滅ぼすためには使えません。むしろ、目標値に縁故が加算されて、より困難になるのが当然です。
Q:運命が「親殺しの予言」なので、親を斬ってもいいですよね?
A:いや、斬るな。少しは、ためらえ。葛藤しろ。「人」であることを辞めるな。
ドラマ上、親を殺しかけるシチュエーションを招く運命ですが、斬れと命令している訳ではありません。運命は決定ではなく、可能性です。ゲーム上、抵抗を試みることが出来ますし、運命に流されれば、悲惨なペナルティを受けることもあります。
苛酷な運命にさらされたときに、あらがったり、回避しようとしたりして、葛藤するというのが、ドラマというものです。「人間性」とか、「ためらい」とか、「生きるという選択」とか、忘れないで下さい。
そして、その上でもう一度考えて下さい。
それは「美しいか?」
自分から見て「美しい」だけでなく、「セッション」として、また、「そのキャラクター」として、美しいかも考えて下さい。
【狂乱関係】
Q:「深淵」の狂乱のルール(「予感の書」P120)で判断に困ったところがありましたので確認させてください。
A:狂乱とは、怒りに身を任せ、戦術的な判断が出来なくなりつつも、ただ動く敵に向かって突進し、戦い続ける状態を指します。判断に困ったら、そのようなキャラクターを想像して下さい。
ですから、戦術的な思考をした結果のような行動を取るのは「不自然」ですが、訓練された戦士が無意識により能動的な攻撃を行ってしまうのは許容範囲です。
もし、GMとして、処理に悩む場合は、狂乱しているキャラクターの手番には時間を掛けさせずに判断を求め、ルーチン処理はそのまま進行させる、ダイスはプレイヤーに振らせ、カード・ダメージの扱いもプレイヤーに判断を委ねる、という、半NPC扱いで進めるべきです。
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【例】
GM:狂乱した傭兵の番だね。狂乱からの回復判定。
失敗?
では、手札を見せて下さい。
「移動/防御」「攻撃/回避」「攻撃/移動」「移動/回避」か?
目の前に敵はいないので、一番近い敵に向かって、カードで移動。ここで「移動/防御」を出して、追加攻撃2回をキープするのが、狂戦士っぽくていいね
敵に近づいたら、フリーアクションで攻撃、以降、敵が倒れるまで、攻撃、倒れたら、最後のカードで別の敵に移動。ダメージは手札から出してもいいが、全部、山札からめくるほうが美しいね。
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そういう前提なので、細かい質問にはあまり意味はありません。
一応、答えますが、GMは場面を優先して下さい。
Q1:狂乱したキャラクターが武器を落とした(散乱した)場合、当該武器を拾うことはできますか?
もしかして「(4)武器をなくしても目の前にある物しか使えない」に該当して拾って使うことはできないのでしょうか?(「目の前にある物」という定義がはっきりしないので悩みます。キャラクター自身が「散乱した武器」は「目の前にある物」に該当するのでしょうか?しないのでしょうか?)
A1:マップや散乱表を使用しない場合ならば、おおよそ前にあるものを拾っても構いません。
「散乱表」を使用しているならば、足元か前方に落ちたとされるもの、あるいは、移動の都合上、通過地点にあるものを拾うのはあり、と考えるべきでしょう。
狂乱した戦士のロールプレイとしてどうするか、考えて下さい。
Q2:その武器がキャラクターの愛用の武器、あるいは運命により指定された「【01】魔剣」「【69】魔法の武器」であっても散乱したら拾って使う(攻撃する)ことはできないのでしょうか?
A2:それが、「手元に戻る力」「単体で移動する力」を持っていれば、それはあなたの手に戻るでしょう。
おそらく、「魔剣」の場合、それが望む場所に移動するか最初からそこに落ちるかするでしょう。そういう範囲に落ちないならば、魔剣に見捨てられたのかもしれません。
それ以外の場合、それに振った縁故を判定値(技能値扱い)として、目標値20の判定をして下さい。成功したら、「狂乱状態」のまま、それらを拾いに行きます。
「狂乱」(強度20)の衝動と、物体への「執着」の兼ね合いがいかなる場面を作るかを想像して演出して下さい。
Q3:それまで攻撃に使っていた主要武器を散乱させた場合、所持している副武器(鞘にはまっている/懐に入れている短剣など)を取り出してあるいは抜いて準備することで次の攻撃手段として使うことはできないのでしょうか?
A3:出来ます。
戦って、敵を殺すという動きが身についていれば、無意識に短剣を鞘から抜くぐらいできるでしょう。
Q4:上記の場合、主要武器を拾うかと副武器の準備をするか選択することは可能ですか?
A4:状況に応じますが、より単純なほう、より破壊力のあるほうを選択して下さい。冷静な判断はしない方向で、3秒で答えられなかったら、効果値の大きい方、というあたりで。
突撃槍なら、必ず突撃して下さい。
Q5:手持ちのカードに全く「攻撃」がない場合(0枚)、何枚カードを持っていたとしてもフリーアクション分の1回しか攻撃できないという判断でよろしいでしょうか。 (事前に意図的に攻撃のカードをなくすことで狂乱前に被害を最小限に抑えることは可能でしょうか?)
A4:ルール上はそうなります。 ( )内の部分は「演出」に向けたメタ視点として、アリですが、そこで「美しい幻想物語」の形成に気を配って下さい。狂乱したのに、敵を激しく攻撃しない狂戦士は美しいでしょうか?
あと、意図的に被害を減らしたいならば、最初から、狂乱を我慢する、あるいは、仲間に向いたら、命を削っても刃を止めるのが人の道ではないかと? おそらく、そこにドラマ性が生まれるはずなので。
以下、第二版向けの「狂乱」ルールなので、参考にしていただければ、幸いです。
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★【深淵第二版】用狂乱ルール
●狂乱
理性が失われ、破壊と攻撃の権化と化した状況を、狂乱状態といいます。狂乱しているキャラクターは、敵に向かって突進し、可能な限りの白兵戦攻撃を行います。他の行動を取ることが出来ません。
【狂乱中の特典】
・戦闘中に狂乱状態になった場合、カード補充フェイズで手札を1枚余分にもらえます。
・狂乱している限り、生命力が0になっても死亡しません。精神力が0以下になるか、生命力―10に達した時点で初めて、死亡します。
・狂乱状態にある場合、魔族の影響値、または、魔法への抵抗判定に+6の修正を得ます。恐怖や混乱の効果を受けません。
【狂乱中の行動パターン】
・敵に接していない限り、最も近い敵に向かって全力で移動します。手札に「移動」があれば、敵に接するまでそれを使用します。
・敵に接しているならば、白兵戦攻撃を行います。手札に「攻撃」があれば、敵を倒すまで攻撃を行います。
・敵を全部殺したら、一番近くにいて動いている者を敵と判断します。
・このキャラクターが考えているのは、目の前の敵を今すぐ倒すことだけです。それ以外の行動は取れません。
・武器を落とした場合、他の白兵戦武器を持っていれば、それを使って戦います。武器がすぐ近くにあるならば、拾っても構いません。武器を得るために、敵から離れるような行動は取れません。武器が手に入らないならば、素手で戦います。
【狂乱からの回復】
狂乱状態に陥ったキャラクターは、狂乱から回復するためには目標値20の意志判定に成功しなくてはなりません。
回復の判定は以下の時に行えます。
・自分の番が回ってきた時
・アクションを使って回復を呼びかけられた時(応援された場合を含む)この時には呼びかけた相手との縁故が判定の修正値になります。
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●その他(イベントなど)
Q1:『深淵』はどこで購入できますか?
A1:ホビージャパンから刊行された第一版の『深淵』は現在、絶版状態で、基本セットの入手は非常に困難です。
その代わり、弊社(スザク・ゲームズ)の営業を委託しておりますアトリエサードのサイトにて、サプリメントと運命カードを組み合わせた『体験セット』を販売しており、『深淵』のおおよそのルール、専用の運命カード、テンプレートなどを手に入れ、プレイすることが可能です。
現在、第二版を朱鷺田が作成し、出版に向けて活動中です。
先日、復刊ドットコムで復刊投票が行われ、多数のご支援をいただきました(投票してくれた皆さん、ありがとう!)が、まだ、ご報告できる段階に至っておりません。もう少々お待ち下さい。
Q2:JGC2006では、『深淵』の卓は立ちますか?
A2:今回、スザク・ゲームズとしては出展しておりませんが、『真・女神転生X』などでお世話になっているTRPG雑誌『ロール&ロール』さんのご好意で、フリープレイの隅に、深夜のスペースが確保できました。
金曜日の深夜25時より、セッションを行います。各卓3~4名で、3卓、いずれも『深淵第二版』の予定です。
プログラム上は、場所を借りた『ロール&ロール』の発売元の関係で、主催は新紀元社さんの企画となっていますが、純粋に、スザク・ゲームズの企画だと思っていただけると助かります。
◆復刊ドットコム 深淵復刊投票中◆