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October 30, 2006

深淵:冬越しの巫女舞い

我が飢えを担うか?
それとも我が飢えを満たすか?

 昨日は、東京深淵CON~シキサイ~で開発中の「深淵第二版」のGM。今回は、脳内が巫女本の資料でかなり侵食されているので、「冬越しの巫女舞い」というテーマだけを胸に、即興型のマスターに挑戦しました。

注釈:「深淵」は運命、縁故、夢歩きと、ストーリー支援型のギミックが組み込まれているので、他のゲームでは、フルアドリブといわれるタイプの即興マスターリングが楽しく遊べるようになっています。私自身はもっぱら、即興型か、枠だけ決めた半即興型をプレイすることが多い。

●想定ライン

 GMとしての想定は、美しい姫巫女の舞いで、封印された魔族である村の守護神、雪狼の戦姫ネージャ様が山上の封印へお帰りになる新春の神事です。この風景の中で、PCたちが自らの運命を解き明かすため、ネージャを返す神事を(実行する/妨害する)、あるいは、先んじて何か行う。

●PC

 プレイヤーは5名。マスター経験者2名とほとんど初めての初心者3名。

・プラージュの下級司祭 ジェロード 
 神事を行うために、プラージュ教団から派遣されたエリート。
 運命は「任務」(神事の成功)と「待ち人の予感」。

・グラント (盗賊)
 商人の家に生まれたが、兄の仇リチャードを追ううちに、ドロップアウトした男。家に戻らないことで、家族に対してすまないと思っている。運命は「探し求める仇」と「罪悪感」。

・ピエール(仮名/奇妙な旅人)
 緑の猟犬に属する異端者。ネージャの封印を解き、魔族になろうと画策している。
 以前、黄昏の公女に遭遇し、以来、夜の闇が恐ろしくてならない。
 運命は「自己犠牲」と「恐怖症」

・マーカス(狩人)
 プラージュ教団によって故郷を滅ぼされた狩人。その真実を知るため、「大いなる予言を背負う人」を求め、神事の村へとやってくる。プラージュ教団に復讐の念を抱く。運命は「猟犬」と「故郷を失った」。

・吟遊詩人ブリジット
 雪狼の戦姫ネージャの血筋を引き、雪狼に守られた女流詩人。冷気に耐性を持つため、冬の山を越えて神事の村へとやってくる。「いつか自分に見合う素晴らしく慎重な男性と出会う運命にある」という、謎の妄想に囚われている(結果24歳まで独身)。運命は「魔族の血」と「妄想」。

 ジェロードとピエールが経験者。この時点で、ピエールの邪悪な陰謀により、他の4名が混乱に追い込まれ、NPCの姫巫女マーリアを殺害、神事は血塗られたものに……という展開をとりあえず、想像していたのであるが……。まあ、色々ありまして……。

●神事の村へ

 深き山々の奥、モリオンの丘の麓にある小さな村では、冬越しの神事に向けて、祭が始まろうとしていた。
 モリオンの丘は、雪狼の姫神ネージャ様が住まうという聖域である。この麓の村では、毎年、冬の到来とともに、ネージャ様を村の祭殿に迎え入れ、冬の終わり、新年にはネージャ様に多くの供物と姫巫女の舞いを奉じて山にお帰りいただく「冬越し」の神事を行っていた。この冬越し祭が終われば、雪も消え、春がやってくる。この地方では、どこの村でも、雪狼を山に返す新春の神事として行われているものであるが、モリオンの丘は雪狼の姫神の聖域であるがゆえに、この小さな村の、冬越し祭は、姫神様御自身を山に戻すものであり、村の大きさとは不似合いなほど、名高く、また盛大なものであった。

 プラージュ教団のジェロードは教団上層部から直々の指名を受け、この村の神事を手伝うため、雪山を越えて村に赴任してきた。
 この神事はどこの山村でも行われているものであるが、この村の神事は同じ冬越し祭の中でも重要なもののひとつであった。なぜならば、冬の女神を山に戻し損ねると非常に危険なことになってしまうからである。昨年も、その祭に失敗し、ネージャの怒りを買った村をひとつ、教団は焼き払うことになった。
 あの悲劇を繰り返さないこと。
 それはジェロードの任務であったのだ。

 村には祭りのために多くの客人たちが訪れていた。
 ピエールと名乗る商人は、魔族信仰の異端結社「緑の猟犬」の一員であった。彼はかつて黄昏の公女の解放に失敗、夜の闇に対する恐怖症を持っていたが、それは彼の野望、「魔族となって無限の命を得ること」を変えはしなかった。古き神事を残す村は、おそらく封印のありかであろう。彼の野望は間近にあった。

 グラントは兄の仇リチャードを追って、この村にたどり着いた。兄に似て、利に聡いリチャードは、この山々のどこかにいて、今も商人を続けているという。ならば、この祭は絶好の機会であろう。グラントは祭のために、村を訪れた人々をじっと観察した。
 落ちぶれたその身を隠すように、雪の残る村の軒先に潜んでいたが、祭前の振る舞いに熱心な村人の誘いを断りきれず、村の宴に招き入れられる。

 マーカスは自らの村が滅ぼされた理由を知らぬ。ただ、普段は穏健なプラージュ教団が、村を囲み、最後の一人まで焼き払った。家族を失ったマーカスは復讐を誓い、山野に潜むうち、神事の村に「大いなる予言」が下ると聞き、何かに駆り立てられるように村へとやってきた。ここで行われる神事のために、プラージュの司祭が来ているという。復讐か、それとも予言か、迷いを残したまま、マーカスは村に踏み込んだ。

 そして、ブリジットは母なる姫神ネージャの声に答え、この村へとやってきた。
 (ついでに婿探しも兼ねて)

●冬越しの神事

 村は冬越し祭を明後日に控え、すでに宴の様相を呈していた。
 旅人を歓迎し、食物を振舞うのは神事の一環。神と人が、冬の飢えを満たし、満たされた神は巫女舞いに送られて、聖域へと戻っていくのである。

 その神事の中核には雪狼の姫神ネージャへの怖れがあった。
 雪狼は、死の使いである。
 弱った命を刈り取り、喰らう。
 そうして、冬の間、飢えを満たした神は春ととも山へ戻り、眠りにつく。冬の翼が来たりて、冬を告げるまで。

 だが、飢えが満たされなかったら……。

 神の飢えは人の心に取りつき、おぞましき飢えを満たすまで、すべてを喰らわせる。神の飢えは、恐ろしく強力で、それは人を飢えの権化に変え、疫病のように伝染していく。飢えに支配された者たちは故郷を喰らい尽くし、やがて、近隣の村へと広がる。それは飢饉へと発展し、やがて、世界を滅ぼす。

 だから、冬越し祭の宴は、盛大なものとなる。
 神の飢えを満たし、魔性の飢饉を生まぬために。

 マーカスの村はこの祭に失敗した。
 前年、不作であった村は冬の女神の飢えを満たせなかった。
 神事をおろそかにし、女神を怒らせた村は、雪狼の群れに襲われ、食い尽くされた。魂を吸われ、凍りついた村。生き残ったわずかな者たちも、心を全て飢えに支配され、人ならぬ飢饉の種子と化していたのである。
 飢饉の原因となる飢えの権化を、近隣に広げぬため、プラージュ教団は、司祭戦士団を派遣した。戦歌が山々に響き、剣と槍が振るわれた。逃げ出そうとする者の背に、矢が放たれ、《雷撃》の呪文が唱えられた。封じられていた狩りの神の力が行使されたのである。

●狂宴

 そして、祭の日がやってきた。
 明日が本祭で、今宵が前夜祭(宵宮)となるが、すでに、村は祭の様相を呈していた。他の村からやってきた参詣者や客人に向かって、村人たちが鍋を振舞っていた。
 この祭が終われば、冬があけ、豊かな春がやってくる。
 そんな願いを込めた、冬越しの祭では、客人や隣人に食べ物を振舞うことで、福を招く。

 神の聖域を間近にするモリオンの丘の村では、その神事に対する取り組みは尋常ではない。冬の間、切り詰めてきた蓄えを放出し、神の飢えを満たすことで、災いを避けようとする。それぞれの家が大鍋を取り出し、飲食を振舞う。その食べ物が食べつくされなければ、祭は終わらない。ゆえに、村人たちは祭の間中、飲食の振る舞いを続け、祭に来た客人と、村の男たちは家々を回って、神の分まで食べ続けなければならない。

 祭の宴に隠れ、マーカスは真実を知るために、聖域であるモリオンの丘に忍び込んだ。一年を通して、雪に包まれた雪狼の姫神ネージャの聖域。
 そして、現れる「飢えたる雪狼の姫」は問いかけた。

我が飢えを担うか?
それとも我が飢えを満たすか?

 飢えを背負って下山したマーカスは、魂の底にまで沁みこんだ飢えに駆り立てられるように、村人の振る舞いを受けるが、マーカスとともに顕現した《飢え》は、疫病のように広がっていく。

 食べても食べても、満たされぬ飢え。

 水車小屋の青年もまた飢えの権化と化した。
 食べて、食べて、胃に入らぬまで食べて、倒れる青年。

 ピエールはそれこそが魔族の恩寵と知り、あえて《飢えの呪い》を受け入れた。

 飢えの権化が現れたことを悟った村人たちは、まさに、本当の冬越し祭を行わねばならぬことを感じ取る。巫女マーリアは、司祭ジェロードに、神の飢えを満たす神事が失敗すれば、おそろしいことが起こると告げ、ブリジットにも協力を求めた。《飢え》に支配された者が神の飢えを満たせなければ……。

 やがて、飢えの権化と化したマーカスとピエールは祭殿へと運び込まれ、神の代理人として村の供物を捧げられることとなる。あまりの過食のため、失神し、呼吸困難となって死に掛けるピエールだが、神の飢えを受け入れ、飢えで自らを満たせば、魔族の眷属となることができる。そう信じて、狂乱の宴を続けるのであった。

 そのピエールが実は兄の仇、リチャードであることを知ったグラントは、リチャードがこのおぞましい宴の果てに《神の飢え》に食い尽くされ、無残に果てるだろうことに気づき、復讐の快楽を感じた。

 そして、深夜、本当の宴が始まる。
 司祭ジェロードもまた、神の代理人として、その宴に加わることとなる。

 人の限界を超えた四度の膳を喰い尽くしたとき。
 マーカスは飢えから解放されるとともに、故郷の滅びた意味を受け入れ、この村に受け入れられた。
 ピエールは神の飢えをすべて受け入れ、ブリジットの婿に選ばれ、雪狼たちとともに聖域に迎え入れられ、魔の眷属となった。神の娘ブリジットは神の飢えを受け入れる狂気の男を得た。

 巫女マーリアの舞う巫女舞に送られ、ピエールとブリジットは聖域へと去っていった。もはやあの夜を恐れる商人は人ではなくなり、狼の眷属に変わった。

 それを見送ったグラントは兄の仇が人でなくなる姿を目撃し、復讐心を満たした。もう家に帰ってもよいだろう。家族が待っている。

 司祭ジェロードは神事を成功させるという任務を果たした。
 多くの村人は彼を祝福し、村に留まるように求めたが、ジェロードは教団での栄達の道を求めて村を離れることにした。この村で彼が為すべきことはすべて終わったのだ。教団の任務は果たされ、神の飢えは満たされた。そして、神の血を引く娘は伴侶を得た。
 祭は終わったのだ。
 さあ、街に帰ろう。
 冬は終わり、春がやってくるのだから。

~END~

●感想

 PC5名中、全員が何らかの運命を解決し、死者0、魔族化した人1名、神の聖域に帰った人1名、結婚相手の決まった人3名。実にハッピーエンド。ネージャ様が邪悪な方法で解放された場合に予定していた戦闘は結局、神事の成功により、回避されました。

 若干の問題は……その代わり、《神の飢え》を満たすという神事がヒートアップして、フードファイトと化したこと。ピエール、マーカス、ジェロードは、朝から大鍋料理を喰らった挙句の果てに、地獄のような大物料理と対決する羽目に。

巫女マーリア「本当の祭はこれからです」
商人ピエール「今までは前菜だと!」
(すでに、精神力-5、生命力-10)

 GMも暴走していて、《飢えの権化》を村人が「胃袋様」と呼んで拝み始めるとか、この村では大食いな男ほどもてる(そりゃ食えない人は長生きできない村だ)とか、本祭は四つの大皿料理を食い尽くすもので、あんころ餅、大きな魚の清蒸あんかけ、焼肉、生もつ(何しろ狼の飢えを満たすので)とか、かなりおかしなことを言い始めたので、笑いの絶えない謎の卓になりました。
 後で、主催者に「デザイナー卓が毎回、一番色物なのはどうよ?」とか言われてしまいました。ごめんなさい。つい、深淵CONは居心地がいいので、好き放題してしまいます。もっとゴシックホラーな雰囲気を求めてきた人にはすいませんでしたが、初心者の方も含めて楽しかったようですので、まあ、よかったかと。

 そういうことなので、次回(1月とのこと)は真面目でダークな感じのシナリオをやりましょう。

(何か危険な約束をしたような気がするが、それはそれでデザイナーの責務でもあろうから、自戒を込めてということで)

 打上は近所の中華料理店へ。
 ここは実際の中華系のおじさんが経営している店で、揚げパンが絶品なの上に、長居させてくれるいいお店である。三ヶ月に1回しかいかないのに、ニコニコしながら、迎えてくれる。ありがたい、ありがたい。
 色々ゲームの話をする。

 巫女経験者のOさんがいたので、食事をしながら、話を聞く。彼女の場合、友人の関係でアルバイト巫女をしている。神職になる予定はないらしいが、お守りの授与や製作、簡単なご祈祷の補助までするそうだ。神社によって、巫女の職務はかなり変わるようだ。なかなか勉強になる。
 ありがたいことである。

●百年の孤独

 帰ってきたら、大分の内田氏から荷物が届いていた。
 11月末に、また大分に行くことになったので、また色々食べ物を送ってくれたのである。新鮮なカボスや地元のお菓子、さらに、焼酎を長期保存して、独特のこくと風味を醸しだすに至った長期保存酒「百年の孤独」をいただく。

 ありがたくいただきます。

 同じ荷物の中に、大分にある宇佐八幡神宮にまつわる資料「神の声を聞く女たち」(91年に刊行された大分のミニコミ誌BAHANNo.2で、宇佐の巫女の解説が掲載されている)と「神々の姿~あらわされた日本の心」(大分県宇佐風土記の丘歴史民俗資料館で行われた展示会の資料で、)が入っていた。
 宇佐八幡は、古代に、神託をする巫女(女禰宜:にょねぎ)がおり、大和朝廷でも重視された大社である。今回の九州行きは、まるで巫女の取材においでといわんがばかりのタイミングで、内田氏から誘われたので、引き受けることにしたが、このような貴重な資料を送っていただき、実にありがたいことである。

 なんというか、今、欲しいと思っていた資料がふっと届いたのは、おそらく天の助けであろう。原稿も頑張らねば。

●神社若奥日記 鳥居をくぐれば別世界

 商社に勤める父の関係でインドに生まれ、東京でフリーライターをしていた筆者は、仕事で知り合ったイラストレーターと結婚したが、実は、夫の実家は、大阪の歴史ある神社の神主で、気づけば、神社の若奥様として、神社の世界に踏み込む羽目になる。それも大阪の濃~い氏子を相手に奮闘するエッセイ。
 社家(神社の家柄)とは全く関係しない筆者の視点がなかなか面白い。

◆復刊ドットコム深淵復刊投票

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October 29, 2006

聖華学園退魔生徒会 カバー公開

 JIVEさんのサイトで表紙カバーイラストが公開中です。

 粗筋も登場しておりますので、よろしく。

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October 28, 2006

永遠の冬再開、その他

 少々、低回転中。資料や小説を読んだり、インターネットで資料検索をしたり、録画しておいた「コードギアス 反逆のルルーシュ」を見たり。
 ネット検索は少々興味のあることがあり、情報の伝播の具合が分かって興味深い。
 「コードギアス」は、妙に「少女革命ウテナ」を想起させる部分があるものの、お話に緊張感があり、実に面白いですね。ブリタニア帝国がいい感じで貴族らしく、エリア11こと日本側も色々ありそうでよし。

●永遠の冬 連載再開

 明日は東京深淵CON~シキサイ~なので、「深淵」モードを取り戻すべく、「永遠の冬」の連載を再開。第31話「待ちたる時」をスザク・アーカイブに登録しました。
 以降、「永遠の冬」は、スザク・アーカイブでの連載となります。

 あいかわらず、非常に多忙で色々仕事を抱えているのですが、「深淵第二版」の実現に向けて、コンテンツの再充実を図るため、定期的に執筆を続けていきたいと思っています。とりあえず、週刊連載のペースを取り戻そうと。

●復刊ドットコムのリニューアル

 復刊ドットコムのリニューアルに伴い、メッセージの末尾につけておりました、復刊ドットコムでの投票呼びかけメッセージがリンク切れとなりました。本日分から、新URLにつながりますが、古い分は修正し切れませんので、ご容赦下さい。

 以下、日記系のメモ。

●ブラウザを入れ替え

 色々障害が出てきたので、ブラウザをFirefoxに乗り換えました。燃える狐が地球を覆うマークが妙に和風で、巫女のサイトとかを巡っていると、不思議な気分です。

●神様のお気に入り2 びしゃがつくの巻

 クトゥルフでお世話になっている内山さんの小説第二弾。ヤマイヌさまがもふもふで可愛いです。うちの雪狼ももふもふなのですが、少し冷たいので、ちょっとうらやましい。

●それでも世界は回っている2

 ご町内メイド話第二巻。
 いや、なんというか、この変な雰囲気がよいのであるよ。

●今、見られるものを見て

 金曜日はゲーム学校である。
 ライティングの授業の傍ら、1年生に、今、見ているアニメや特撮をリストアップさせてみた。すると、20本とか25本がいる反面、1本とか3本とかいう人がいる。漫画原作も許可したため、「ドクター・コトー2006」や「のだめ」だけという人もいた。

 おいおい、君はこの学校を出て何になるつもりだね? と思う。

 深夜アニメを全部見ろとは私も言わない。
 この秋から始まったアニメは50本、全部見ると約24時間、継続しているものもあるから、真面目に全部見ると週のうち2日ぐらいは、まるまるTVの前に座ることになる。オンラインゲームを1本増やしたと思えば、出来ない数ではない、とも言えるが、まあ、リアリティのあるところ、面白そうなアニメをピックアップして10本ぐらいは見て欲しい。特に土日の午前中。

(私自身も、20本ほどをチェックし、結果、真面目に見ているのは10本ほどに収まった)

 その時間にバイトがあるなら、ビデオを取ればいい。ダメなら、友達と話して情報を仕入れるでもいい。少しは見ろというしかない。

 これは当たり前の話であるが、ゲーム業界ではアニメ関係の仕事も多い。
 頑張って後からDVDで見ることもできるが、それは年を追うごとにきつくなる。私も、若い頃は「24時間ヤマト」とか冗談みたいな耐久レースも出来たが、去年、Zガンダムの時は映画前の再チェックに三ヶ月以上かかった。
 だから、私自身は後から追いかけ直すことは難しいと思う。NEXTガンダムのユニコーンの噂が流れている時に、ウィングやXを見直すのは少々無茶があろう。時とともに新作が流れてくるのであるから。
 もったいないことに、同時視聴ならではのドキドキは、DVDを後から見てもわからないし、DVDを入手する手間や金を考えると、リアルタイム視聴が一番効率的で、経済的なのである。

 そういう訳で、ゲーム業界を目指す人は「その日」を大事にして欲しい。

●両思い切符

 ライティングの授業では、「今週の面白かったこと」をテーマに毎回、コラムを書かせているのだが、今回の惜しかった一作。

 今、中学生の間で流行っているオマジナイのひとつが「両思い切符」だという。
 鉄道の切符で入札時に書き込まれる数字の両端が同じ数字だと、それは「両思い切符」であり、これを持っているとやがて、好きな人と両思いになれるのだという。

 可愛らしいおまじないではないか?

 書き手は、この話を聞いてから、自分でも通学切符に気をつけるようになり、ついに、両端の数字が同じになった「両思い切符」を手に入れるが、それを残しておく方法に気づかず、自動改札機に吸い込まれてしまう。

 いや、それはそれで、ピュアな少年の物語であるが……。

 ゲームクリエーターとしてはそこで、切符を得る方法についても、ちょっと工夫して欲しい。

 さて、どうすればいいだろうか?

 ちなみに、キセル(無賃乗車)は犯罪であり、正しい解答ではありません。

 鉄道に興味のある人ならば、比較的常識かとも思うが、改札で申し出れば、こうした切符を記念品として持ち帰ることが出来る。北海道の幸福駅などの珍しい駅名ではよく行われている。一応、偽造防止のため、切符は回収が基準なので、断る場合もあるらしいが、ほとんどの場合は、「無効印」か「記念印」を押すことで渡してくれる。近年の自動改札機化で、若干の変化はあるようだが、多くの観光地では有効なはずである。

 実はこれ、駅員に聞けば、簡単に教えてくれるし、インターネットで検索すれば、鉄道ファンのサイトでよく解説している。「知っている人(駅員か鉄道好き)に聞く」という基本的な一歩は忘れやすいものである。自戒を込めて、記憶しておきたい。

●大好きのたからもの

 ライティングのテキストは、コミックビームFellowes!(2)より、オーソドックスなほのぼの物語り「大好きのたからもの」(原案+挿絵:しまだわかば、文:滑川ホタル)を。
 昔、幼なじみとともに埋めたタイムカプセルを掘り返しに電車で旅をするというホノボノ物。
 ああ、こういう展開は基本ともあるいは現代的とも。

●ゾンビーズ、再び。

 学校の後、かなりヘロヘロな調子で、タナトス6のボードゲーム会に顔出し。
 「ゾンビーズ」をプレイするも、マップが閉じてしまい、封鎖された町からの脱出が不可能に! あとはゾンビを25体倒す以外、勝利の方法はない! という絶望的な状況になりました。どうみても勝ち目が見えないゾンビ映画そのものの状況で、カードを使い、撃墜スコアがもっとも高い人物を支援したのですが、20体まで行ったところで死亡。前のターンでチェーンソーを使いきっていなければ、いけたかな。

 色々体調が不安だったので、10時過ぎに退出。

 
次回は11月10日。

◆復刊ドットコム深淵復刊投票

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October 25, 2006

愛宕神社、ZOO KEEPER、シャーリー

 低回転中。困ったものである。

 『真・女神転生X』リプレイ『聖華学園退魔生徒会』の表紙チェック終了。かっこいい表紙です。現在のインテグラルのデザインになって初めての『真・女神転生X』文庫リプレイです。来月発売予定。

●愛宕神社取材

 昨日は朝から愛宕神社にお伺いして取材。
 神職と巫女の違い、実際の生活などについて。 
 本で読むのと、実際に聞くのではやはり実感が違う。

 愛宕神社は新橋、虎ノ門、御成門の間にあり、東京のど真ん中と言える場所であるが、急な石段を登り、上がった丘の上は、静謐な別世界である。庭の家には龍神様が住まれており、かなり強い地脈があるそうだ。
 祭神はまず、火産霊命(ほのむすびのみこと)様。
 太郎坊と呼ばれ、猿田彦命も祭られている。

 石段は非常に急であるが、江戸時代初期、曲垣平九郎が馬で駆け上がったことで有名、昭和になっても帝国陸軍の馬術師範が達成した偉業がある。実際、上り下りしてみると、これを馬で上るのは恐ろしい。というか、降りるとなれば、命がけの曲芸である。

 また、この神社は桜田門外の変で、水戸浪士が集合した場所でもある。桜田門まで数キロあるが、当時は、見渡しもよく、勝軍地蔵も祭ったこの神社はよい起点であったのであろう。

 帰って、先日買ったばかりの「幕末単身赴任 下級武士の食日記」を読み始めると、まず、愛宕神社参詣の話があり、江戸一面を見渡せたという。今は高層ビルの中にひっそりと立つ丘である。時代の変遷を感じさせる。

●ICレコーダー

 長年愛用してきた取材用のテープ・レコーダーが不調だったので、ICレコーダーに乗り換える。ipod代わりにウォークマンとしても使えるのはうれしいが、あまりに長い間、テープだったので、物理的に回っていないと心配になったが、非常に綺麗に録音されており、ほっと安心。USBにつなぐだけでメモリーとしても使えるのはよい。
 これが携帯と一体化して、無線LANでつなげるとまた楽になる。こういう便利ツールがビジネス・レベルで統合されてくると、本当にコムリンクの世界になるのだな、とちょっと思う。

●ZOO KEEPER 

 「イブニング」で連載されていた動物園コミックの第一巻。
 ヒロインは、赤外線視野を持つ「温度の見える」異能者で、その力を用いて動物を救おうとするが、動物園を巡る状況は厳しく……。「チンパンジー」「コアラ」「爬虫類」が扱われる。
 ビジネスマン向け漫画誌なので、やや物語はビターである。
 個人的には、同じように赤外線視野を持つシャドウランのドワーフやトロールのロールプレイの参考になった。園長の食えないフィクサーぶりも。

●シャーリー・メディスン

 森薫の少女メイド漫画「シャーリー」の続編、「シャーリー・メディスン」が掲載されていたので、コミック・ビーム増刊「Fellows!」(2)を購入。いや、もう幸せ。

 一緒に、内山靖二郎氏の「神様のおきにいり2 びしゃがつくの巻」を購入。

◆復刊ドットコム 深淵復刊投票中

書籍・雑誌, in 真・女神転生, in コミック, in 神話, in 歴史, in シャドウラン | | Comments (0)

October 22, 2006

日々雑記:七夕の夢、その他

 あいかわらず、バタバタ中。 
木曜日に、とりあえず、『真・女神転生X』リプレイの第二校正を戻し、『海の神話』のネレイドの数を数え直し、金曜日には、学校に行って、土曜日には『真・女神転生X』のキャンペーンでした。
 モバイル・コンテンツで苦戦中。『巫女本』も資料と格闘しつつ、メモ原稿を作成、知人のライターに発注する用意もしつつ、英語モードにきちんとシフトせんとね、とか思っております。

●イベントその他

 いくつかメールを書いたり、受け取ったりしながら、スケジュール調整中。ちょっと体調が悪いけれど、恩義を受けたり、会っておきたい人もいたりするので、倒れない程度に前向きに伺う方向で。こういう商売なので、できるだけ色々な人とゲームしたいところ。

 とりあえず今月末の10月29日は東京深淵CON~シキサイ~へ行き、「深淵第二版」のGMの予定。シナリオは未定ながら、頭の中身が巫女っぽくなっているので、心の欲求に逆らわない方向で。

 今週金曜日の夜はタナトス6のボードゲーム会。
 学校を終えてから行くので、おそらくヘロヘロな気がする。
 11月は変則でズレるらしいので、注意。

●七夕『真・女神転生X』

 土曜日は『真・女神転生X』。 まもなく刊行予定の『退魔生徒会』のメンバーで、TOKYOミレニアムやR&Rに載ったカスタマイズのデータを取り込んで、七夕の夜から始まるホノボノ・シナリオ。バチバチいったり、悲鳴を上げたり、ちょっとパワーバランスが派手ですが、まあ、そこはそれ。

 人間用スキルの「愛用の武器」と「トレードマーク」は目立ちませんが、強力ですから、ぜひ、ご愛用を。

●伝奇物サプリメント

 前回、コメントした『真・女神転生X』FAQへの要望のご意見の中に、「ぜひ、現代伝奇物のサプリメントを!」というものがありましたが、皆さんの求める「現代伝奇」とはいかなるものでありましょうや?
 『真・女神転生X』は『魔都東京200X』という通り、もともと現代オカルト・アクションなのですが、さらにこのあたりをサポートして下さい、というお声を聞かせて下さると助かります。

●男脳、女脳

 金曜日は学校。
 ライティングの授業では、『話を聞かない男、地図の読めない女』から、男脳、女脳テストをして見る。この本は男女の性差や、性意識の偏り(GIDも含めて)は、すべて脳の構造によるものだ、とする若干擬似科学系のベストセラー本であるが、わりと男女の足りないところがツボにはまる本である。
(ええ、私は冷蔵庫の中のバターを探せませんよ)
 こういう本のテストというのは、あくまでもネタであるが、時々、やってみると面白い。
 ちなみに、私は35点。かなり「男」……というか、「漢」。

 おかしいなあ。

●大虐殺

 やたら疲れた顔の生徒がいるので、話を聞くと、ポケモン爆走中。うちの学校はゲーム専門学校ですから、しかたないんですが、プレイ時間1200時間、倒したポケモンの数が2000匹以上というのはなかなか凄い。(ポケモンは倒した数が記録される)

 帰って息子に聞くと、プレイ時間60時間、倒したポケモンは1500匹以上。
 この数を聞いて、思った台詞が「大虐殺」。

 いや、ポケモンは気絶しただけで死んでないから。
 
●街の博物誌

 授業のテキストとして、河野典生の現代ファンタジイ連作短編集「街の博物誌」(昭和54年刊行)より、「ベゾアール・ゴート」を読んでもらう。健康に目覚めた40男が、大豆豆乳や山羊の乳を売り始めたことから、ご近所に広がっていく異変の話。今から30年前なので、豆乳事態が一般的でなかった描写が見えるが、そこで起こる不思議な出来事は今も新鮮である。
 ファンタジイとして読んだ人もいれば、ホラーとして読んだ人もいて興味深いものである。

 残念ながら、今は絶版だそうだ。

●想像力を生かす

 テキストの最後に、シギサワカヤの「箱舟の行方」より、1ページコミック「ウィークエンダー」を紹介する。男と女の微妙な愛の瞬間を切り取るコミックである。詳細は言わないが、オチを恐ろしいと読めるならば、よし。こうする女を可愛いと読めるならば、それもよし。真ん中のコマの喘ぎ声を音読するのはちょっとお子様かな。

 こうした「読み」に必要なのは想像力。
 それは、そのまま、説明能力に反映される。

 今回、生徒が拾ってきたネタの中に、世界一直線がながい鉄道というものがあった。
 オーストラリアの平原を走る鉄道で、直線部分が3900キロという。
 それだけで凄い!ともいえるが、ライターとしてはその凄さを実感させてほしい。

 例えば、この距離は日本列島より長い、と比較すれば、驚きは増える。

 あるいは、計算してみる。

 時速100キロで走ったとしても、39時間曲がらないのだ。
 それはなかなか凄い。

 テーマの意味をもう1歩進めて考える。それが必要である。
 悩んだら、5W1Hを補ってみる。

●シグルイ7

 血しぶき舞う剣術物語もついに、コミック第七巻へ。
 双龍の過去が語られ、虎眼の敵討ちへ。

●CAPETA 12

 アニメ化されたレース少年のバトルも、終盤へ。
 ついに、ワークスマシンで出場。

●ネギま! 16

 学園祭編も大詰め、っていうか、怪獣大決戦へ。

●BL日本史

 以前、ここでコメントした企画「BLでわかる日本史~幕末編~」が、10/25、夏目書房から出版されることになりました。結局、企画を私が行い、新人BL作家さんの鷹峰りんさんに実際のテキストを書いていただきました。表紙は、めんじょう円さん。
 内容はタイトル通りで、愛らしいめんじょうさんのイラストとは裏腹に、ハードBLなので、このBlogを主に読んでおられるであろうTRPG方面の方には、特に推奨しませんが、鷹峰さんにとってはデビュー作なので、興味のある方はこっそり買ってあげて下さい。聞けば、似たようなタイトルが別の出版社からも出るそうで、考えることは意外に、みんな同じものだと。

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October 18, 2006

R&R26:『真・女神転生X』魔匠の工房

 今日は『真・女神転生X』の話。

●R&R26:『真・女神転生X』魔匠の工房
 現在発売中のロール&ロール26号に、西上君がサポート記事「魔匠の工房」を書いてくれています。魔晶変化武器を加工する力を持つ新クラス、魔匠の紹介が中心ですが、武器のカスタマイズ、武器や防具の付与スキルも解説しています。愛用の武器やファッションをカスタマイズして長く使うための付与すきる方法もありますので、ぜひ、ご一読下さい。

●FAQ関係
 諸般の関係で遅れておりました8~9月分のQ&Aを処理しました。サイトへの反映には少し日数がかかるかと思いますが、お待たせいたしました。
 質問のほかに、ストレートなご意見もいただきました。今後の製品開発の参考とさせていただきます。
 次のサプリメント「セフィロトの魔界」に関するご意見、ご希望、あるいは、投稿などは「JIVE公式サイト」にて受付中。

 とりあえず、私は学園リプレイの第二校正と格闘中。

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October 17, 2006

パーティの資金管理

 モバイルの締め切りと巫女本の資料読み、企画書書き進行中。
 週末に向けて、頑張れ、俺。

●パーティ資金の管理

 先日、ゲームをした後の雑談から。
 最近、コンベンションでマスターしていると、入手した報酬をすぐに均等割りしようとする人が増えた、という。パーティのマネージャー役が一括してお金を預かり、パーティ全体の武装強化をするのではなく、とりあえず、均等に分けてしまうのである。準備用にもらった前金さえも均等割りしようとする例もあるという。

 さて、これはどこがまずいのか?

 状況、ゲームによって詳細は変わるが、パーティの強化を考えるならば、全員の装備を少しだけ上げるより、前衛の硬さや主力の攻撃力をがっちり上げるか、いざという時の回復手段を蓄積するほうが戦闘集団としての効率がよい。
 D&Dで言えば、ファイターのACが3上がるならば、ローグやマジック・ユーザーは自分の防具が変わらなくても、生存率が高まる。『真・女神転生X』で言えば、BOSSの攻撃を半減、あるいは、無効化する前衛の防具は明らかに重要だ。シャドウランならば、全員が乗れる装甲ビークルや、大型のクリッターを倒せるミサイルをまず買ったほうがいいかもしれない。

 何でも均等割り主義は、しばしば、こうした必要経費を無視して行われるため、パーティの弱体化につながり、時として、経費のかかるクラスが実力を発揮できず、さらにパーティ内の人間関係にひびを入れる。

「あと、***ゴールドあれば、フルプレートアーマーが」
と言っているファイターに向かって、
「といちで貸すよ」
というローグ。
 ジョークのロールプレイならばいいが、真顔で言われると、ファイターも考える訳ですよ。

「イビルでがめついのは本当にキャラクターだけですか?」

 コンベンションでの出来事のようなので、おそらく、継続したキャンペーン経験がないための事態であろう。その資金をパーティとして運用した経験がないからだろう。
 この辺、「ダンジョン攻略シミュレーター」としてのキャンペーン化の個性が強いTRPGでは重要になるが、一期一会を重視した「単セッション充実型」との差異が生じているのであろう。

 このあたりのソリューションは「迷宮キングダム」が面白いのであるが、とりあえず、一旦、筆を置こう。

 あと、ペルソナソフトで話しているプレイヤー、ダンジョンと罠の話もいずれ。

●のだめカンタービレ
 ドラマ版を見た。実写ということで心配していたが、かなり頑張っていて面白い。
 上野樹里&竹中直人という組み合わせがある意味、最強である。

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October 16, 2006

すでに世紀末を越えて

 北朝鮮が核実験をしたり、サッカー日本代表がインドに勝ったり、今週は色々なことが起こっているはずなのですが、おそらく、金曜日の自分にとって、もっとも重要だったのは、「のだめカンタービレ」16巻がだったりするのは、実に、今の日本を象徴する出来事ではないだろうかね?

 という訳で、いろいろあったのですが、メモ代わりの日記を。

●記号化の進む現代

 金曜日は学校。朝からライティング×3。
 内容はコラム添削とテキスト講読。

 コラムでは、「今週の面白かったこと」というテーマが毎週、与えられるのであるが、このテーマを生かすには、「解釈者(フィルター)」としてのライターの存在が重要になる。個々の事象が面白いのでなく、それを面白く感じるライターの解釈があって、それを説明されることで、面白さが伝わるのである。
 授業では、例え話に先日の「妹の力」の話に進むのであるが、その前振りとして、「記号化の進む現代」という話をすべきである。
 いわゆる「萌え記号」は非常に強力であり、これを活用するために、「萌え記号」同士の掛け算が発生する。G.Jの18禁ゲーム「姉とボイン」は、その好例である。大勢の姉が登場し、「姉萌え」ユーザーに訴求する作品であるが、複数の姉を個性化するために、「姉」とは別の萌え記号が加算される。その結果、登場するのが……。

  「妹な姉」

 いや、なんでしょう?
 でも、これは成立している訳で。
 いや、逆に記号として自立したことで、論理矛盾をはらんだ「記号的掛け算」が成立し、さらにそれを解釈し、需要できるユーザーが誕生している訳ですよ。
 これも人類の進化であり、人の革新ですよ。
 オタク・イズ・デッドかもしれませんが、「記号言語民族」は明確に発生しつつあるよな。

●家族の話題

 土曜日、シャドウランの翻訳会議を終えて帰宅した後、『真・女神転生X』リプレイ『聖華学園退魔生徒会』の次の企画のために、現役女子高生である娘から、高校生活の取材……のはずが、また登場していない聖華学園退魔生徒会の副会長のキャラを巡って、設定会議に。

「娘よ、生徒会副会長は、眼鏡やさ男の陰謀家であるべきだと思うが?」
「父よ、それはラスボスですか?」

 むむむ。その突っ込みは?
 妻曰く。

「普通のお父さんは娘とそこまでの会話はできませんよ」

 喜ぶべきなのであろう。
 それはさておき、来週土曜日は『真・女神転生X』のキャンペーンの日なので、シナリオの準備をせねば。

●すでに世紀末を越えて

 日曜日は知人に頼まれて、シャドウラン第四版のGMを。
 シナリオのネタは、原発建設を巡る陰謀劇なのですが、いずれ記事のネタにしようと思うので、詳細は省略。また、シアワセ・アトミックの支社が吹き飛ぶことに。
 PCのチーム名は「D」。
 それは「デコイ(おとり)のD」。

 初めての人も多いので、サイバーパンクの説明から、シャドウランへの流れを説明しているうちに、ワイアレス・ワールドのダメなエンターテイメントの話になって帰れなくなりそうになる。やたらサイバーパンクな話をしつつも、実に今の我々に近い部分がある。すでに世紀末を越え、おそらく我々は何かに踏み込みつつあるのだろう。

 帰ってきたら、『真・女神転生X』リプレイのイラストラフが届いていた。可愛いキャラに描かれていて、完成が楽しみである。

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October 12, 2006

Power of Sister:妹の力

 モバイルの原稿と訳語チェック、学校の原稿添削、巫女本の資料読みが重なり、色々死にそう。ぐったり中。Amazonから届いた「ラヴクラフトの世界」と少し先の締め切りのリプレイ起こしが逃避先。
 こうなると、どこまで仕事か分からぬ。

●Power of Sister

 「巫女本」へ向けて資料検索中。以下、メモ。

 巫女の定義。

【1】神道の女性祭祀補助者
 (神職が巫女を兼ねることもあり)
【2】女性シャーマン (シャーマネス)
【3】聖婚儀礼を伴う宗教での「神の妻」

 日本に限定する場合

【1】神社巫女
【2】口寄せ巫女
【3】神姥

 と、このあたりまで進んできますと、どんどん民俗学方面に暴走して「期待される巫女さん像」から離れかねないので注意、注意。
 もっと、現代の巫女さんの生活とか、衣装とか、神楽舞いとかの動きを。
 そう言えば、キャラクターデザインのイラスト集に、巫女さんのバージョンがあるとか。
 ずいぶんよい出来と効いたので、探してみよう。

 それはさておき、このあたりの資料を読んでいると、結局のところ、柳田国男先生の『妹の力』や『巫女考』に戻り、家内の霊的な守護者である『妹』の霊性に関する議論となる。オナリ信仰とか、妹の持つ言霊の力とか、兄妹婚の霊性とか。

 おお、巫女論と妹論はこんな場所で結合するのか?
 (正確に言うと、巫女萌えと妹萌え)

 微妙に記号化され、動物化した脳髄の中で『Power of Sister』(『パワーパフ・ガールズ』でも『ちょこっとSister』でもない)という謎の英語が生じる。『妹力』(読みは「いもうと・りょく」か「いもうと・ちから」)と、再日本語化して脳の配線がちょっとショートする。

 ついでに、チェック中のシャドウランの訳語に目を落とすと、好みの人格を自分の強化現実の中に導入する「Virtual Person」の話が。仮想現実が強化され、強化現実が逆に現実の日常生活へ進出してしまった2070年には、五感をフィルターし、好みの仮想キャラクターと現実世界で暮らすことが出来る。
 たとえ、冷たく暗くどんよりした氷雨でも、「Virtual Weather」で本人の受け取るのは「春のうららかな日」にし、「脳内恋人」とデートに出かけられる。
 おそらく、「脳内綾波」がパンを加えて走ってくるようなイベント・プログラムも組める訳で、さらに、サイバーウェアやバイオウェアの起動に、「VP」を連動させたり、支援プログラムのデザインをVPに合わせたり……

 あなたのPCの起動音は? 携帯の待ち受けは?
 でしたら、あなたのサムライでも、アドレナリン・ポンプの起動に、彼女のヴァーチャル声援を連動させてはいかがでしょうか?

 (ハッカーのアイコンや複合体、テクノマンサーのペルソナやスプライトに、好みのスキンを貼るのは当たり前なので、今更、進めませんよ)

 ナノペースト・トロードでエッセンスを削らない2070年のシムの存在を考えると、魔法使いやアデプトでも、VPを楽しめる訳で、現代の流行で魔術を再解釈したカオス系の新トラディションでは、色々危険なCenteringとかGeasが想像できる。

 ああ、10月10日は「萌え」の日だったそうですが。

 仕事に戻るとしよう。

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October 11, 2006

「ジンジャの娘」頑張る!

 連休があけ、モバイル関係の原稿作業中。同時に、「巫女本」の資料収集、TRPGのリプレイ起こしと、シャドウランの翻訳チェックと、企画書作成と、サプリメント・デザインがなぜか同時進行。今月もやっぱり大騒ぎですが、やりたいネタも色々あるので、順次、解決していくしかない。

 ひとつずつ、ひとつずつ。

 夕方から図書館へ資料探しに。PCで資料検索をした後、わらわらと地下書庫の奥から引っ張り出してもらい、まとめて借り出す。MOSで珈琲を片手に流し読み、読むポイントを探す。

●「ジンジャの娘」頑張る!

 読了。「平成の巫女たち」でもインタビューされていた愛宕神社の美人神主、松岡里枝さんのエッセイ風神社開設。権禰宜という神職ですが、巫女を兼ねておられます。頑張る!というタイトル通りのエネルギッシュな性格が楽しい文章となっている。
 「神社系巫女」の現実を知るための分かりやすい本ですね。

 秋の景色がとても綺麗な感じなので、機会を見ていって見たくなりました。

●房総の古社

 帰りに、つつじヶ丘駅前、線路沿いの古本屋に寄ると、意外に、神道や仏教の関係書があることに気づく。有峰書店の「房総の古社」と學生社の「相模の古社」を購入。どちらも菱沼勇氏と梅山義彦氏の共著で、昭和40年代後半の本だが、『延喜式』に名の残る古い神社を紹介したもので、なかなか興味深い。
 私は千葉県匝嵯市(昨年まで、八日市場市)の出身であるが、利根川流域の利根町に、蛟(みづち)を祭った神社があるとは知らなかった。同じ市内の老尾神社もかなり古いとは聞いていたが、匝嵯氏自体が物部氏の流れを組む国造であったとは初めて知った。高校の頃に色々市内の寺社は回ったはずなのに、若い頃は気づかないものである。面白い。

 借りてきた本とあわせて、しばらくは資料三昧である。

 同じ古本屋には、「明治ニュース事典」(毎日コミュニケーションズ)なる全9巻の豪華な資料集がまとめておかれていた。明治時代の新聞に載ったニュースを数年ごとにまとめた8巻+索引1巻。合計9冊で1万8千円。元は一冊3万円の大型本であるからずいぶんと安い。「うーん、欲しい」と思いつつ、懐や仕事場のスペースと相談して諦める。いつか、クトゥルフがらみで「明治の帝都にひそむ邪神の話」でも書くことがあったら、買うことにしよう。古本屋はいつか本が売られてしまう場所ではあるが、そうなったら、より必要な人に売れたのだなと思う。

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October 08, 2006

白無垢の仮面、ズッパ・デ・リゾ

 疲れがたまっていたのか、朝起きられず、低回転中。
 この連休は締め切りで、イベントやテストプレイが入らなかったので、少し休憩気味に。

●進行する電脳世界

 昨日は、娘の携帯電話の契約変更のついでに、資料探しの本屋巡り。
 高校に入ってから、娘の携帯は、ほぼメール端末化しており、音声通話ミニマム、パケット制限無しへ移行。メール着信音として、ドラクエのレベルアップ音が設定されているため、毎日、何十レベルもレベルアップしている。
 来るメールの頻度から考えて、相手の入力速度がかなり速そうだ。

●白無垢の仮面

 さて、出かけようとすると、ポストに郵便が。

 クトゥルフ神話TRPGでお世話になっている内山靖ニ郎氏より、リプレイ「白無垢の仮面」をいただく。
 まるで、締め切り攻勢の一区切りを狙ったかのように、到着したその本が、神様の贈り物のように見えた。記して感謝の意を表します。久しぶりのリプレイを書き上げたところでもあり、クトゥルフ神話のキーパー術を研究する意味でも参考になりました。
 しかし、第三話の怪人はやられました。わははは。

●神という名字

 契約変更手続きを終え、本屋巡りへ。
 買い物をすると、人のよさそうな書店員さんの名札に「神」と書いてある。思わず、好奇心を押さえられず、読み方を聞くと、「ジン」さんだそうだ。「カミ」さんとか、「シェン」さんとか、何か凄い読み方だったらどうしようかと想った。

「病院とか行くと、何番でお待ちのカミさま!と呼ばれますね」

 彼は爽やかに答えた。
 きっと同様に聞く人が多いんだろうな。

●ギョッとする江戸の絵画

 今回の収穫その1。
 NHK教育TVで月曜日に放映される「この人、この世界」の、10月、11月のテキストであるが、今回は美術史家の辻惟雄さんで、江戸のあぶな絵や奇怪な妖怪絵などを紹介している。第一回はもう放映済み。気をつけないと、時々、この手の妖しい番組を放映するので、NHK教育は侮れない。

●STUDIO VOICE 11月号

 収穫その2.
 「今、いちばん大切な本」と称して、クリエーター118人のお薦め本特集。ちょっとしたインタビューが多いので、セレクトして、生徒に読ませるかな。
 トカラ列島悪石島の奇祭、ボゼ祭のレポートがあったのは、拾い物である。ポリネシア風の来訪神が、村人を脅かすというもの。

●ズッパ・デ・リゾ

 ファミレス系のイタ飯屋「GRAZIE」で昼食。新メニューにあった、タコとズワイガニのイタリア風茶漬け「ズッパ・デ・リゾ」とモチモチパン「フォカッチャ」を食べる。
 ズッパ・デ・リゾは、サフランライスの上に、薄切りにしたタコの足とズワイガニ、海産物を並べ、スープをかけて食べるというもの。味はまさしく洋風茶漬けですね。

 帰宅してみると予想以上にしんどいので、「天保異聞 妖奇士」まで仮眠。

●天保異聞 妖奇士(あやかしあやし)

 「BLOOD+」の枠で始まった江戸退魔伝奇物。黒船来航の10年前、「妖夷」と戦う妖奇士(あやかしあやし)の活躍を描く。東北の山村に山神が出現する前の田の神への祈り、江戸の銭湯風景など、ずいぶん時代考証に凝った作品である。しばらく楽しめそうな予感がする。
 幕末あたりでクトゥルフ・ネタをしたいなら、参考になるかも。

●要塞教会

 NHKの世界遺産番組は「トランシルヴァニアの要塞教会」。もともと東欧では、12世紀のモンゴル来襲あたりから、教会の要塞化が始まっていたのであるが、対オスマン帝国戦で荒廃したこの地域に、神聖ローマ帝国から移民したドイツ系ザクセン人たちが、ドイツの先端技術で建設したのが、世界遺産に指定された要塞教会である。
 要塞戦用の仕掛けとか、教会の壁に残るギルドのサインとか、別のところで、ドキドキしました。
 いわゆるドラキュラのモデル、ヴラド・ツェペシュの話も少しだけ出てきましたが、こうしたザクセン人移民と、先住トランシルヴァニア人との諍いや経済格差が、ドラキュラ一族の悲劇と狂気の殺戮劇の遠因になっている訳であります。
 第二次大戦後、ドイツ系住民はナチスとの関係の有無に関わらず、迫害にあい、シベリア送りもあり、激減。また、ルーマニアの共産主義崩壊により、トランシルヴァニアの過疎化が進行し、今やドイツ系は20世紀初めの1/10まで減少したとか。要塞教会は世界遺産にも関わらず、常駐の司祭もおらず、地元の老婆がガイド兼世話人として番をする日々とか。

●ツタンカーメンの妻と父

 世界ふしぎ発見は、王家の谷で新たに発見された墓の特集。ツタンカーメンの妻キアのものではないかと。そして、吉村教授も登場し、ツタンカーメンの父アンクアテンの話など。葬祭殿のために、地面に埋められる封印具が、ほぼ昆布結びのような姿で、和風テイストを感じました。ここまではアジアなのかな。

 あくまでも余談ですが、エジプト考古学庁のザヒ博士の吹き替えが、ガンダムのドズル中将にしか聞こえない。新発見のミイラの解説をしてもらっているはずなのですが、ソロモン要塞で作戦会議をしているような気分でした。

●コミック

・Y十M 5
 せがわ版「山風、柳生忍法帖」も第五巻目。
 さて、この危機をどう乗り切るかいなか、おっとそう来るか!という転変具合がさすが山風。そして、それを現代的に、かつ、時代伝奇のテイストを残して描けるせがわ氏もまたさすが。

・流刑教室 大橋薫
 無気力な高校生、三途渡が、クラスの美少女に告白されたものの、ドジを踏み、なぜか幽霊たちが集う夜の教室、通称「流刑教室」に紛れ込んでしまう。ホラーというよりは、ラブコメであるが、幽霊たちのバリエーションはちょっと面白い。これはいずれネタになるね。

・P3コミックアンソロジー Memento Mori
 先日に続き、ペルソナ3のコミック・アンソロ。「Memento Mori」(死を想え)というタイトルはさておき、チドリのアップがあったのでOK。
 主人公のモテネタとヒロインら女子によるガサ入れネタが多いのは、そこが突っ込みどころだからか?

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October 07, 2006

日々雑記:宵闇眩燈草紙・完結

 『真・女神転生X』リプレイ『聖華学園退魔生徒会』の修正作業を終えて、原稿を送信。他にも、校了が1本、記事を1本書き終え、やっと一息。月内に解決せねば、ならないネタも多いので、のんびりはできませんが、少し安心。

●宵闇眩燈草紙・完結

 シホイガン編の完結編と、椎名さん関係の後日譚をまとめて、ついに完結。
 事件の後の、椎名さんに対する、京太郎の言葉がいいなあ。
 八房さん、お疲れさまでした。

●ペルソナ3 アンソロジーコミック

 『真・女神転生X』のイラストでお世話になっている黒百合姫さんが、カラー口絵を描かれたというので、心の癒しと参考資料を兼ねて購入。ゲーム系のコミック・アンソロというのは、色々発見があって楽しいです。
 お気に入りは、「Project C」。
 どうってことない日常話なのですが、実のところ、こういうコミュのクロスオーバーがあったら、と。

●後期授業開始

 ゲーム専門学校も、後期授業が始まる。
 金曜日は1日、学校ですので、関係者の皆様、よろしく。
 朝から、企画科1年、ライター科1年、ライター科2年と全部ライティング。基本的に、コラム添削とテキスト講読なのであるが、企画科とライター科は半年ずつ進度が違うので、注意せねば。

 コラムは例によって、「今週の面白かったこと」。
 毎週、何かネタを探して短いコラムを書く。簡単そうに見えるが、それを継続するのは色々大変。しかし、「人生、楽しいことなんて無いですよ!」という奴の企画が面白そうに聞こえないのも事実。まあ、頑張りましょう。

 今週のテキストは以下の通り。

・室井佑月「熱帯植物園」より「クレセント」
 「セックスの後とのみりんはうまい」という、名台詞で始まる、R指定の青春物語。

・「異形コレクション 進化論」より飛鳥部勝則「読むべからず」
 タイトル通り、読んだことを後悔するグロテスク・ホラー短編。非常に、アーキタイプに忠実な作品であるが、ホラー描写に反応する人と、怪死した作家を巡る小説論めいた話に反応する人がいて面白い。

●米国人口、今月中旬3億人突破見込

 知人から聞いた最近のニュース。このまま行くと、2050年には4億突破。
 他の先進国が出生率低下に悩んでいるのに、アメリカは出生率が高く、さらに、移民の流入も多く……という話。シャドウラン的な雑居世界は、明らかに現在進行形で進んでいるのかもしれない。
 しかし、人工密度は世界200カ国ほどの中で172位。どんだけ荒野が多いやら。
 日本のわずか2倍の人口が、数十倍の土地を占有しているとも言える訳です。

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October 04, 2006

『聖華学園退魔生徒会』作業中

 『真・女神転生X』リプレイ『聖華学園退魔生徒会』、原稿修正作業中。

 舞台となるのは、東京近郊の小都市にある全寮制の名門私立学校「聖華学園」。そこでは、奇怪な事件が続発するため、異能の生徒をスカウトして、退魔生徒会が結成されていた。

 物語は全3話。学園の怪談から始まり、理科棟大爆発、そして、学園祭へ。

 裏山に悪魔が住み着いていたり、学内に秘密結社があったり、深夜の旧校舎に謎のダンジョンが出現したり、追加ルールの関係で色々大変なことになっておりますが、その分、派手で面白いことになりそうです。

●ゲヘナ~アナスタシス~ 魔星降臨

 JIVEさんより頂き物。ありがとうございました。

 友野詳さん監修、田中公侍氏+グループSNE・著。
 ゲヘナAnの追加種族、追加術、アイテム、モンスター、シナリオを掲載したサプリメント。
 追加クラスは獣人(有翼種)、甲蠍人、半妖霊。
 非実体化や飛行の能力というのは、TRPGにおいて、扱いにくい素材なのであるが、かなりうまく処理されており、感心する。

●アニメ「ディー・グレイマン」

 週刊少年ジャンプ掲載のゴシック・ホラー・超絶能力アクションのアニメ化スタート。
 第一話はやや急いだ感じながら、原作通り。次回はもう本部に行ってしまうのは、やはり早く神田やリナリーを出すためであろう。
 個人的にはアヴァンのスポンサーバックに、エンディングの映像を持ってくるのは反則かな、と(わくわくしたので、ちょっと誉め言葉) 千年伯爵の声があまりにもぴったりだった。

●アニメの時間帯

 秋口のアニメが50本ほど増えつつあるのであるが、今回はどうも触手が伸びない。
 なぜ、それが深夜なの? というものが多いからである。
 「DeathNote」は題材的に深夜向けかもしれないが、逆に9時代へ切り込む強力な武器だったような気がする。
 「史上最強の弟子」はなぜ深夜なのか? という筆頭。いずれ、「ねぎマ」のように、作品が進んでから、再進出してくるのであろうか?
 もう少しワッチしたいが、少々、暇がないのが正直なところ。

●アニメ体験など

 ゲーム学校の非常勤講師をしていたり、家族総出でアニメを見たりしていると、オタクの世代論、特に大雑把な10年単位のものは意味をなさない。
 近年、製作される作品数は非常に多く、軽度のユーザーは、好きなものとか、同じ世代の見ているものをただ見るだけで手一杯であり、特に印象的でない作品はどんどん忘れ去られていく。ゲーム専門学校ですら、5年もすれば、「エヴァ」を見ていない生徒が入ってきた。

 特に、大型のTVシリーズは、後からフォローしようとするのは大変だし、それを放映時に見ていたかどうか、というのは、体験として大きな違いである。

 実際、「ディー・グレイマン」初回を家族と見ていて、アニメの視聴というのはTV画面と自分だけの体験ではないのだと再確認する。
 確かに、画面で展開する物語に集中しているのであるが、一緒に見ている家族の反応を聞く、見た後、感想を娘と話し、来週の内容を予想する、あるいは、ネットや生徒の反応を見るというのは、その作品を多重に体験することに他ならない。話すと言っても、1~2の言葉のやりとりに過ぎないが、それが厚みを生む。
 そして、DVDでは体験できないことがもう一つ。
 次回まで、待つという行為だ。
 「待つ間」、「期待した時間」、「夢想によるリサイクル」が【作品への想い】//時には執着、時にはキャラクターへの妄想//を育てる。そして、それがコミュニティでの情報交換めいた交流につながると、ブレイクしていくのである。

 そういう意味で「ゼーガペイン」「BLOOD+」は完結まで深い楽しみを与えてくれた。「鋼の錬金術師」「SEED」「Destiny」「Eureka」「ファフナー」なども近年の収穫としてあげておくべきなのだろう。個人的には「仮面ライダー響鬼」を息子と一緒に見られなかったのは残念だ。(ちょっと渋すぎた) 逆に、現在の子供たちにとって言えば、「ONE PIECE」や「ポケットモンスター」、「遊戯王」の新作こそが実体験なのであろう。

 いわゆる世代論を語るとそういうインパクトのあるアニメを、断面に年代で切りがちなのであるが、今、私と、高校生の娘と、小学生の息子が同じアニメを見ていることを勘案すると、年代のいい加減さも見えてくる気がする。

 学校も後期が金曜日からスタートするので、ちょっと自戒を込めて。

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October 02, 2006

SR4:Geo-Tagging@TGR&R-CON

 相変わらず、校正と原稿の日々。
 何か色々あって、今月末から来月前半にかけて単行本が2~3冊まとめて出る予定。

●SR4:Geo-Tagging@TGR&R-CON

 日曜日は、秋葉原のR&Rステーションで、知人のサークルが開いたTGR&R-CONにゲストとして呼ばれ、シャドウラン第四版のマスターを。シナリオはJGC2006でプレイした「Geo-Tagging」を一部修正して使いました。

 シアトルのダウンタウン。ミツハマ・コンピュータ北米支社、通称、ゼロタワーのお膝元で、シャドウランナーのチームが壊滅、消えた新製品サンプルを回収する仕事がPCたちに回ってきた。
 シアワセ・バイオテックとの宝探し競争はいかに!

 プレイヤーは4名。
そのうち、シャドウラン経験者はわずか1名!
 このラン(仕事)はうまく行くのか?

 キャラクターはサンプルから以下のように。

ガンスリンガー・アデプト:クリス  
 (香港映画マニアの二挺拳銃少女。ただしオーク)
ストリート・サムライ:シンイチ・ホセ
 (禅マニアのヒスパニック・サイボーグ)
コンバット・メイジ:ロック       
 (エルフの元セキュリティメイジ。ただしヤク中)
テクノマンサー:ティンカー・ベル  
 (漫画オタクのゴスロリ娘)

 バナナ好きのトロール・フィクサー、エイプから仕事を頼まれた一行は、クリスが所有する偽パトカーに乗って現場に突入。ティンカー・ベルがマトリックスから見つけ出したわずかなデータ痕跡を追って、下水道の管理室へ向かう。
 ティンカー・ベルの召喚した電子の精霊、スプライト(なぜか、ベルの趣味でメイドさんのアイコンつき)が、PCたちのデータを掃除している間に、そこに居座るグールの群れを蹴散らして、サンプル製品を取り戻したものの、フィクサーの元に戻る前に、敵の探知呪文に発見されてしまう。

 エッジを使い切っていたロックが、呪文対抗に失敗したのである。

 シアワセの企業チームがPCたちの追跡を開始。
 迫る装甲車(アレス・シティ・マスター)から、逃れるため、クリスの運転する偽パトカーは、大通りを外れて裏路地に突入、ゴミ箱を蹴散らしながら、逃げ回る。ティンカー・ベルがマトリックスからの追跡を妨害するも、探知呪文を放ったメイジから、炎の精霊が送り込まれ、車上に顕現する。

 クリスは全力で車を操縦し、精霊の放つ火炎をぎりぎりで交わす。
 ロックのマナボルトとホセのイングラムが、精霊を打ち砕く。

 かくして、ランナーたちのワンナイト・ビズは終わった。

 シャドウラン未経験者ばかりで心配しましたが、経験者のロックが司令塔を勤めてくれたのと、プレイヤーが役目をきちんと果たしてくれたので、なかなか派手で楽しいゲームになりました。
 早めに終わったので、レッド・サムライ3体との模擬戦もやりましたが、PCの勝ち。

●2011年はもうすぐ

 さて、全く初めての人が多かったので、一から世界観の解説。

 シャドウランは、サイバーパンクSFの世界を舞台にしたアクション物のTRPGですが、これにファンタジー要素を加えたのが特徴です。
 そして、世界に魔法が帰ってくるのは……

 2011年末。後、5年後か!
 
 シャドウランは、第一版の出版が1989年で、あの当時は2011年なんて遠い未来だと思ってました。しかし、気づくと、もう5年後なんですよね。この説明をすると、シャドウランが息の長いゲームなのだなあ、と思いますよ。

 ちなみに、2020年でも、まだ自分が還暦前だと思うと、色々複雑ですよ。

●ゆうやけこやけ In 2070

 イベント後、TGRのスタッフと打上。
 なぜか若いスタッフに、バトルテックの説明をしたり、「クイーンズ・ブレイド」のゲームとしての素晴らしさ、企画としての秀逸さを熱弁したり(絵の説明は一切しない)、かなり酔っ払いでした。

 そのうち、ほのぼのRPG「ゆうやけこやけ」の話になり、「根が戦闘屋だから、もうあれのマスターが出来るほどピュアな心は残っていないよ」と言ったら、誰かが言った。

「サイバーパンクな世界で、覚醒した子猫と心の交流を語れば?」

 サイバーパンクにこそ、ピュアな心が必要なのかもしれない。
 まあ、酔っ払いなので、細部は覚えていない。

●相変わらず校正中

 今日は、午後から編集部で「海の神話」の著者校正。
 非常にかっこいいイラストが入っていて感動しました。
 ポセイドンから始まって、エーギル、ティアマット、ヴィシュヌ、マナナン・マク・リル、スサノオ、タンガロア、マウイなど世界各地の海の神々が実に迫力ある筆致で描かれているのであるが、アフリカの海神オロクンとか、イースター島のマケマケまでカッコイイのは反則である。
 いや、楽しみである。

 ついでに、『真・女神転生X』リプレイ『聖華学園退魔生徒会』の打ち合わせ。
 黒百合姫さんのイラストラフが素敵で、悶絶する。
 素晴らしいですよ。ご期待下さい。

 そのほか仕事の打ち合わせをし、『ルーンバウンド リプレイ&解体新書』をいただく。
 ありがとうございました。

●訃報に思う

 日曜日、コミケ代表の米沢さんが亡くなられたと言う。
 直接の面識はありませんが、知人にコミケで育った人々が多いので、彼らの感情を思うとやるせないものです。同時に、コミケが日本のサブカルチャーに果たした役割を思うと、それを育ててこられた氏の存在は大きいものでありました。
 哀悼の意を評します。

 歴史学者の阿部謹也先生が亡くなられたり、丹波哲郎さんが大霊界に行かれたり、色々訃報が続いていますが、色々寂しいというか、時代の推移を感じて物悲しいものであります。

●邪魅の雫

 久しぶりの京極堂の長編を入手。読書中。
 相変わらず、レンガのような厚みである。
 ザッピング感覚の序盤は、どこか懐かしく、そして引き込まれる。
 その手法に、どことなく、「ブギーポップ」を思い出しつつ。

●朝から元気な子猫

 一ヶ月ほど前に、妻が子猫を拾ってきた。
 病気で衰えていたのを見捨てられず、飼い猫にしてしまった。
 一月たち、元気になったのはいいが、その分、ヤンチャで遊べ、遊べとうるさい。
 近所の獣医によると、「子猫とは1日6時間遊んで上げて下さい」と。
 妻が頑張って遊んであげていますが、大変です。
 おかげで、朝から顔に乗られます。

 人間の子供はある程度、大きくなると、テレビやオモチャで遊んでくれるが、子猫は誤魔化されてくれそうにない。子猫用のゲームボーイが欲しいですね。

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