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December 31, 2006

今年1年を振り返って

 大晦日になってしまいました。
 ぐっと冷え込み、少し体調を崩し気味の朱鷺田です。『シャドウラン第四版』と『図解巫女』を抱え、まだまだ年内が納まっていないような気がしますが、大晦日ですので、簡単に1年を振り返って年末のご挨拶とさせていただきます。

 今年は『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』と『比叡山炎上』で始まりました。

1月 『真・女神転生X』サプリメント『金剛神界』
5月 『クトゥルフ神話TRPG 比叡山炎上』
5月 『真・女神転生X』リプレイ『天空の檻』(西上柾著、朱鷺田は監修のみ)
8月 『真・女神転生X』サプリメント『TOKYOミレニアム』
11月 『真・女神転生X』リプレイ『聖華学園退魔生徒会』
11月 『海の神話』

 他にもいくつかアナログゲーム外の仕事もしておりますが、今年前半は少々停滞があって、数が少ないですね。来年は『シャドウラン』他、いくつか企画の話も来ているので、そちらを確実にこなしつつ、頑張っていきたいと思います。ええ、『深淵第二版』を出すまでは頑張り続けないと。

 個人的なトピックを上げれば、ゲームライターとしては、来年でデビュー20年になります。87年の秋頃に多摩豊さんから声をかけてもらって、『ウォーロック』で記事のお手伝いをさせていただいてから、もう19年ですね。

 長いなあ、と思いつつ、この前書いた『聖華学園退魔生徒会』が、初めての単行本リプレイであったりします。この歳になって、まだ試していないことが残っていたとは驚きであり、新たな発見です。おかげさまで好評らしく、第二巻も書くことになりました。「あんなゆるゆるな身内リプレイが続くのか?」と言われるかもしれませんが、まだ続きますので、呆れずにおつきあいください。その前に、『真・女神転生X』ラインでは西上君のミレニアム編リプレイとサプリメント『セフィロトの魔界』が動く予定です。

 『シャドウラン第四版』の翻訳は現在進行中です。春というところでお察し下さい。
 詳しい内容は2月上旬発売の『R&R』誌29号にて。

 色々お世話になった方に感謝しつつ。
 来年もよろしくお願いいたします。


 

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December 24, 2006

SR4:魔法の帰還まで後5年

 2006年12月24日です。
 『シャドウラン』の年表において、魔法が帰ってくる日まで、後5年です。

 とりあえず、コレを言っておかねば。

 本日はR&Rステーションの年末イベントでSR4のマスターをしてきました。シアワセ系列のバーチャル・アイドルをクリスマス・パーティから誘拐したら、ブロガーやライバル企業に追いかけられるという、ややコミカルなシナリオでしたが、サイバーパンクのキッチュな世界を堪能していただきました。
 詳しくはまた明日。

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December 22, 2006

『比叡山炎上』:森蘭丸の秘密10+α

 R&R29号用の『クトゥルフ神話TRPG』の記事を脱稿、『シャドウラン第四版』の特集記事作業中。その上、学校の年末講師会に出席と多忙を極めております。

●訃報に思う

 岸田今日子さんなど、訃報が続いておりますが、こうなると、9年前に亡くなった多摩豊(元ウォーロック編集長)さんのことを思い出します。今週月曜日、18日で9年が経ちました。私のゲームライター人生の半分をお世話になった方でした。
 皆さんもお体を大切に。

●『比叡山炎上』森蘭丸の秘密

 生存報告代わりに、この前、『クトゥルフ神話TRPG 比叡山炎上』シナリオ『冬月の宴』(R&R27掲載)の付録用に書いたものの、紙幅の関係で載せられなかった「森蘭丸の秘密10+α」を公開しておきますので、ネタ代わりに。29号の記事では、これの汎用版を載せます。

■「森蘭丸の秘密」

 『比叡山炎上』を楽しむ場合、信長の小姓、森蘭丸(森長定、乱丸、乱法師とも)は重要かつ便利なキャラクターである。以下に、森蘭丸の正体のアイデアを10個上げておく。
キーパーは自由にどれかを選んでもいいし、ダイスでランダムに決めたり、複数を組み合わせたりしてもよい。

【1】狂気の美少年従者
 森蘭丸は巷説に言われる通り、美少年であり、信長の側近かつ愛人として寵愛された。信長の真意をもっとも知り、その秘密と狂気を分かち合っていたのは彼に違いない。

【2】破滅の探索者
 森蘭丸は、邪神の存在に気づいてしまった探索者であり、信長とともに世界の秘密に近づきつつあった。あるいは、近づき過ぎてしまったのかもしれない。

【3】ニャルラトホテップの千の化身のひとつ
 森蘭丸こそニャルラトホテップの千の化身のひとつであり、信長を狂気に導いたのである。

【4】華麗なる美人秘書
 森蘭丸は17歳にして、諸事奉行、加判奉行の役職を与えられ、信長と諸大名の外交を取り仕切る秘書室長というべき立ち位置にいた。完璧な礼儀作法、流麗な仕草、美少女のごとき小姓姿は衆道が珍しくなかった武将、公家、寺社の有力者を翻弄し、信長の陣営に引き込むための演出でもあったのだ。

【5】婆沙羅な鬼武者
 森一族は織田家古参の武人であり、蘭丸の兄、森長可は鬼武蔵と呼ばれた猛将だった。蘭丸も兄の勇猛さを引き継いだ新進の武将であり、信長の執行人として極秘任務を行っていたのであろう。

【6】男装した美少女
 森蘭丸は男装した美少女であった。
 なぜ、男装していたかは、信長の秘密と合わせて決定すること。くのいちである、秘密の側室である、隠し子であるなど、あらゆる可能性が考えられるだろう。

【7】ホムンクルス
 森蘭丸は錬金術によって作られたホムンクルスである。名目上、森の名を借りたが、それは別の人物の姿を求めて製作された。その人物および森蘭丸の性別、年齢はキーパーが決めてよい。モデルとなった人物としては、異母妹のお市、最愛の側室生駒、失踪した正室濃姫などが適切であろうが、もしかすると信長自身、あるいは、明智光秀かもしれない。
 ちなみに、蘭丸の場合、弟の力丸も信長の小姓であり、同期の小姓には他にも蘭丸と呼ばれたものがいるので、森蘭丸は何人いてもよい。

【8】ミ=ゴ
 森蘭丸自身はすでに死んでおり、天正年間、信長の側にいるのは、変身装置を用いて人型に変わったミ=ゴである。
 そのため、いざという時、蘭丸は光線兵器を使用したり、羽根を出して宇宙空間を飛翔したりできる。

【9】ショゴス
 森蘭丸は、古のものが製造し、信長が魔道書の力で支配している奉仕種族「ショゴス」である。信長はその異常な天才性で、ショゴスに完全な人型を形成させることに成功した。
 ショゴスの本体は安土城地下の蛇石に封じられており、分離した作業体が、森蘭丸である。蘭丸生成のカラクリは安土城全体に広がっており、金襴の柱のある場所であれば、いつでも、森蘭丸を生産できる。
 この応用として、森蘭丸はウボ・サスラであってもよい。

【10】『ネクロノミコン』
 森蘭丸は人間ではなく、魔道書『ネクロノミコン』が魔力によって、人格を持ち、人間型として顕現した姿である。その目的はおぞましき知識を世界にばらまくためである。
 その体内にはおぞましき知識を果てしなく秘め、彼/彼女と交わることで闇の知識を得ることが出来る。森蘭丸を片手に抱く限り、闇の魔力はその人物を助けるだろう。
 時に、蘭丸は自らを無数の羊皮紙片に変え、風に飛ばされたり、あるいは、風を操って人を切り裂いたりすることもできる。また、森蘭丸自身が『門』でもある。

 キーパーは以下、このリストに好きなネタを追加してよい。

【11】バステト
【12】タイムトラベラー(現代の高校生、自衛官)
【13】八百比丘尼
【14】吸血鬼、ヴァンパイア、ノスフェラトゥ、翼手
【15】シャッガイの蟲
【16】宇宙からの色
【17】グール、またはグーラー。
【18】巫女、陰陽師、宿曜師、風水師、魔術師、錬金術師
【19】切支丹、伴天連、イスパニアの王女
【20】忍者、道々の者、隠密
【21】オルレアンの乙女

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■読書メモ 主にコミック

・絶対可憐チルドレン7
 変身術者の話がとにかく大爆笑。

・妄想少女オタク系 2
 高校生腐女子の恋愛を描くが、脳内エンジン突っ走りすぎの主人公がなかなかよし。「娘。」曰く、こーいう人、いるいる。

・げんしけん 9
 完結編。まあ、半分書き下ろし。同人誌付き。
 中身はいい感じの完結編ですね。大野さんの暴走っぷりが加速されていてよし。
 同人誌の篠房六郎編は我らの世代ではリアルすぎるよ(笑)

・もやしもん 4
 フィギュア付きを。
 それぞれはいい話なんだけど、ちょっと散漫な感じ。するりと終わってしまいそうな危うさを感じつつも、また農大の日常に戻っていって欲しいところ。

 録画したアニメがたまっている。「コードギアス」だけでも見ねば!

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December 18, 2006

『真・女神転生X』:クリスマスを守れ!

 歳も押し詰まってきて大変な状況ですが、さてさて。
 来年4月には、『ペルソナ3フェス』が発売。アイギスの後日談を含め、楽しみである。
 『T&T第七版』もAmazonから到着。暇を見て読む予定。

●いただきもの グレッグ・イーガン『ひとりっ子』

 SF翻訳家の山岸真氏より、現代SFの名手、グレッグ・イーガンの第三短編集『ひとりっ子』をいただく。ありがとうございます。
 さっそく、冒頭の『行動原理』を拾い読んだ。
 復讐のため、ナノテクによる人格修正インプラントを使用する男の話。

 『シャドウラン』の参考になるかと。

●『真・女神転生X』退魔生徒会の夏休み

 週末は『真・女神転生X』ニ連戦。
 土曜日は、『退魔生徒会』チームの夏休み、屋久島編。

 や、く、しま~!

 屋久島の伝承を調べて、お盆ネタに仕上げましたが、色々面白い習俗が残っていますね。棒踊りとか。

 詳しくはいずれ、どこかで。

●『真・女神転生X』クリスマスを守れ!

 日曜日は知人が主催する、Mixiサークル「TOY BOX」のクリスマス例会にお呼ばれして、『真・女神転生X』のGM。レベル20、聖華学園退魔生徒会の設定で、クリスマスのネタを。

 12月17日、やっと期末テストが終わった聖華学園は、12月24日のクリスマス・イブのパーティに向けて盛り上がる。イブのミサの後に開かれる大パーティは、必ず、パートナーをエスコートするのがマナー。それまでに、パートナーをゲットし、なおかつ、退魔生徒会の任務をこなし、赤点組は補習までこなすという学園ドタバタシナリオ。
 まず、学力の絆で五科目の期末試験。
 いきなり、PC5名のうち、4名が補習送り。1日2サイクルしかない行動時間をやりくりして、2科目から3科目の補習をこなさなくてはならない。
 さらに、生徒会長から下されるミッションはなんと「クリスマスに事件を引き起こしそうな学内集団3組を調査し、クリスマスを守れ」というもの。トラブル・メーカーは、何か召喚しそうな「黒魔術研究会」、クリスマスツリーのライトアップを理由に、プラズマ実験を計画する「物理科学部(別名:プラズマ)」、そして、密かに学内秘密トーナメントを計画中の「十武神」。
 毎回、恒例の「黒魔術」と「プラズマ」はいいとして、問題は高レベル格闘家の集団、「十武神」であるが、「十武神」のうち、フェンシング部、空手部、中国拳法研究会のトップが女性と知ったPCたちは、パーティのパートナー探しを兼ねて、彼女らの攻略に取り掛かる。

 詳細はご想像に任せますが……。

・フェンシング部長の令嬢にアタックするペルソナ使いは、庶民性でアピール。
・中国拳法研究会の会長は、中華料理屋でアルバイト中。大盛り料理に挑む炎の魔術師。
・空手部の女主将「正拳の魔獣」に挑む鬼食い番長。だが、「勇気」が足りず、彼女の特訓場である神社の鳥居をくぐれない。しかたなく、毎日、特訓を重ねる。
・旧体育館の地下に隠された謎のコロシアム。
(愚地独歩はいません)
・プラズマ先生を妨害するために、なぜか増えていく超大型ツリー。
・プラズマ発生の電力をまかなうために、圧電発電システムの上で、競歩の特訓をする陸上部。
・妖魔ラミアである正体を明かした結果、「邪神様」と崇められる美人女教師(PC)。
・橘千晶様の膝でゴロゴロしている猫(PC)。

 そんなこんなのドタバタの末。

 プラズマ発生を防止し、黒魔術研究会が召喚した天使「パワー」を撃破したものの、「十武神」攻略は、フェンシング部長と中国拳法研究会に留まり、番長との絆が破綻した「正拳の魔獣」は、旧体育館の地下コロシアムで暴れまくりましたとさ。
 番長だけがパートナーを見つけられず、オザワ君とともに、朝日に向かって走る予定。

●ベストバウト 2006

 終了後、近所の中華料理屋で忘年会。
 ひさびさに、呑み助集団の宴会でした。梅酒の一升瓶が目の前で3本あき、店の在庫を飲みきったので、店のおじさんに呆れられました。最後は隣のセイユーで買ってきたSAVINGの紙パックがそのまま置かれる始末。なんていうか、楽しい宴会でした。

 忘年会の話題は、「2006年のベストバウト」。
 各自が今年遊んだ中で、特に印象深いセッションを語る、というもので、聞いているとなかなか面白いですね。久しぶりのキャンペーンに盛り上がるGMあり、初GMでの苦労を語る新人さんあり、ワースト体験もあり。
 朱鷺田としては、色々楽しいセッションがあり、また、プロサイドとしては、出来る限り、すべてのセッションがベストバウトでありたいと思うものではありますが、あえて上げるとすれば、三つ。

 まず、「退魔生徒会」でまとめたキャンペーンはある意味、原点に戻った部分があり、非常に楽しいし、次のセッションが楽しみなものであります。

 個人のPCの台詞を上げるならば、JGC2006の夜に行った『真・女神転生X』のL40セッション。デビルアームズのPCが情報収集シークエンスに言い放った一言がまず、上がります。

 「俺は龍王ガンガーを狩ってくる」

 言葉通り、龍王ガンガーと一騎打ちして、一撃のもとに撃破。
 かっこいいよね。

 あと、滋賀県お泊りCONでプレイした「深淵第二版」のセッション『英雄王の遺産』。
 キャラクター作成段階で、少年が、暗殺者の少女に騙され、国の破滅を導くという設定が出来ていく課程と、それにあわせたロールプレイがとにかくダメダメで、感動と爆笑のため、シナリオが始まる前に、満足度がレッドゾーンを突破してしまいました。

 また、来年も楽しいセッションの思い出を作りたいものです。

●天王船

 宇月原晴明の新刊。ノベルズ版『黎明に叛くもの』に付記された外伝4編をまとめて一冊にした短編集。
『黎明に叛くもの』は、松永弾正と斉藤道三をペルシアから流れてきた暗殺秘術の使い手として、戦国史を語り直した伝奇小説の傑作であるが、この短編集によって、『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュノス』『聚楽 太閤の錬金窟』『安徳天皇漂海記』とリンクする。
 宇月原ファンはぜひ読むべし。
 『比叡山炎上』のネタが満載なり。

◆復刊ドットコム深淵復刊投票

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December 14, 2006

SR4:弾丸の数値

 巫女本進行中。
 ……とはいえ、年末進行で、メールやら電話やらが飛び交い、セッションの準備も、とジタバタしています。そんなわけで『永遠の冬』の連載はちょっと遅れます。
 急ぎすぎると、何か抜け落ちてしまいそうなので、まずは忘れないように、ブログにメモをする。

●シャドウラン第四版 正誤表V1.5 (弾丸関係)

 12月初頭に発表された「シャドウラン第四版」正誤表。色々重要な変更があるので、翻訳チームのメンバーが、作業中の原稿に反映してくれた。ありがたし。

 以下、メモ。

 TeamWorkで得られる制限は、支援を受けるキャラクターのSkill Ratingまで。この制限は、大きな変化だが、ゲームデザインとしては、理解できるバランス取りである。

 それより重要なのは、特殊弾頭(弾丸)の数値が変更されていることだろう。

 まとめると、以下のようになる。

Explosive round DV +1 AP -0
EX-Explosive round DV +1 AP -1
Flechette round DV+2 AP+5

 数値が変わっている。これは重要、重要。
 Ammunition Tableが実際にどう変わるかは、Fanproに問い合わせ中。

●アラビアの夜の種族

 全三巻読了。
 満足。
 素晴らしきかな。
 何を言っても、ネタバレになりそうなので、ただ満足を。
 これは『物語』なり。

 『深淵』と『クトゥルフ神話』が好きな人にはぜひ、読んでほしいかな。

●ユダヤ教徒の抗議で、シアトル・タコマ空港からクリスマス・ツリー撤去

 知人から一報。
 シャドウラン関係で「2070年のクリスマス」という記事を書いた直後に、このニュースですか?

 サイバーパンクは、やはり、『現代』なのでしょう。

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December 12, 2006

2070年のクリスマス

 相変わらず単行本作業中。ぐっと寒くなったせいか、日曜日には腰痛が出てしまった。座りっぱなしの職業のさがである。クレイ(薬用粘土)と塩を入れた風呂で、自宅湯治をする。
 巫女関係の解説を書きつつ、年末のイベントに向け、クリスマス・シナリオ作成中。『比叡山炎上』用のクリスマス・シナリオは、この前、R&Rで書いたので、後は『シャドウラン第四版』と『真・女神転生X』のために。

●2070年のクリスマス

 12月24日のR&Rステーションで年末SPに向け、SR4のクリスマス・シナリオ作成中。

 魔法が復活した2070年に、キリスト教系の儀式であるクリスマスが存在しえるのか? という問題がありますが、実のところ、クリスマスは、ユールの日とか、冬至祭とか、それに伴う新年祭が起源とされているので、魔術的にも重要な日であります。2011年12月24日に、富士山頂にグレートドラゴンが姿を現したり、ハウリング・コヨーテが導くアメリカ先住民が戦いの第1歩を踏み出したりしたのは、もちろん、マヤの暦に従って、第六世界の始まりが最大の原因ではありますが、クリスマス・イブという日に何か魔術的な意味を与えているでしょう。
 キリスト教系の秘術結社は、これを真のメシアの日と呼ぶかもしれません。欧州風のドルイドやノルド、あるいは、冬至に意味を与えるすべての魔術結社は、この日を別の名で祝う、もしくは、秘儀の日として、活用するでありましょう。
 サンタクロースが信仰されている可能性さえあります。少なくとも、キリスト教の聖人信仰と中部アフリカの精霊信仰が融合して生まれたヴードゥー系では、聖人であるサンタクロース(聖ニクラウス)のロアを召喚してもおかしくはありますまい。
 ちなみに、『Street Magic』によると、自由精霊の能力の中には、『富(Wealth)』というものがあり、財貨を生み出すことが出来ます。どこのメタプレーンから来るのか、かなり心配ですが、サンタの能力を自由精霊で表現することは出来そうです。

 さらに言えば、第六世界は重度の資本主義消費社会でもあります。
 ビジネスのネタになる『文化』を、たとえ、それがオモチャ会社や清涼飲料水メーカーの陰謀に加担していようが、そう簡単にやめたりはしないでしょう。逆に、サンタが赤い服を着るかどうか、コカコーラとペプシコーラの末裔たちの間で戦われているかもしれません。そうした一見、愚かしい争いさえも、クリスマスには「ビズ(仕事)」になる可能性があります。
 プレゼント商戦は重要な企業戦争の焦点であり、ここでライバル企業がぽかをする、あるいは、巻き込まれたトラブルをもみ消すというのは重要なビジネスでしょう。もちろん、今年のプレゼント商戦をリードしそうな新製品を巡る情報戦は非常に重要です。

 PS3を180台盗みだしたのは、どこのシャドウランナーでしょうか?
(あるいは、Yakか、トライアド?)

 ワイアレス・ワールドなりのクリスマス風景というものもあるでしょう。
 マトリックスがクリスマス風のスキンやアイコンに満たされるのは当然、そして、街の強化現実(AR)はクリスマス向けの強化スパムの洪水に見舞われ、人々は最新スパムに対応した、リアリティ・フィルターをコムリンクにプラグイン! 

 ああ、これ自体がMCTの陰謀に聞こえますね。

 極秘のデートをしたい人には、情報漏えいを防ぐジャマーが必要かもしれません。あらゆるものに信号タグが組み込まれている2070年において、完全なプライバシーというものは、もっとも贅沢なもののひとつです。
 逆に、ご予定の無い方には、一緒に、聖なる夜を祝ってくれる『ヴァーチャル・ファミリー』はいかがですか? クラッカーも、ジングル・ベルも、強化現実(AR)の中に限れば、お隣から怒鳴り込まれる可能性は0。まあ、窓から入ってきたサンタ姿の強盗や、マイクロ・ドローンには気づかないかもしれませんがね。

 さてさて、どんなネタにしようかな?

●クリスマス In Tokyo ミレニアム

 もうひとつ考えねばならないのが、『真・女神転生X』のクリスマス・シナリオなのですが、真っ当に考えるならば、こちらはネタが豊富です。

 例えば、メシア教が世界を支配したTokyoミレニアムの場合、クリスマスは宗教儀式の一環として、行われるでしょう。聖なるミサが開かれ、世界の救世主の誕生が祝福されるのです。
 ここにガイア教徒が乱入するなり、ミレニアム上層部内部の暗闘が反映されたりすれば、シナリオが1本上がりというところですが、もうひとひねりしたいところです。

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以下、メモ
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●授業終了

 さて、金曜日は専門学校の日ですが、先週金曜日で、年内の授業が終了。2年生はもう私の授業がありません。いやはや、05年度生とも、もうすぐお別れです。速いものですね。
 1年生は、年末課題のアイデアを聞きました。まだ決まっていない人もいましたが、今回は出来るだけ、好きな方向で動いて欲しいものです。前期では押さえていた「本当にやりたいこと」を言葉にして欲しいと思います。

●テンパス@T6FN

 学校終了後、アトリエサードのボードゲーム会「タナトス6フライデーナイト」へ顔出し。年内最後とあって、なかなかの盛況でした。
 私は、鈴木銀一郎先生に誘われ、初めてのボードゲーム「テンパス」を体験。シヴィライゼーション系の文明国家育成物のマルチプレイヤーゲームでした。架空の大陸で、五つの民族が文明の発展を競うというもの。10の文明発展段階で、毎回1カ国が時代を先取りし、アドバンテージを得ながら、都市を築き、領地を広げていくというもの。出来ることが少しずつ増えていくというシステムがなかなか秀逸。
 序盤で鈴木先生の助言をいただいたのと、カードアドバンテージを得る戦術を守ったので、かなり戦争していたのに、上位で進む。終盤で勇み足をしたことが原因で1ポイント足りずに、2位。
 なかなか面白い。

 翌日は打ち合わせだったので、その後は「通路」を軽く回しておしまい。次回は1月後半とのこと。

●読書

・アラビアの夜の種族 
 とりあえず第二巻読了。うみうみ。

・イリヤッド 12 楽園の地図
 アトランティスの新たな手がかりを求めて、マヤからカナリア諸島へ。
 ヘラクレスの柱の外側ですね。

・千一夜の鍵 1
 さいとうちほさんのコミック短編集。

●功名ヶ辻、太閤記終了

 日曜日には、『功名ヶ辻』が、火曜日には『太閤記』が終了。その間には『ラスト・サムライ』となかなか豪勢なテレビ・ラインナップでした。
 『功名ヶ辻』と『太閤記』の最終回は、描く側の視点の差がまざまざと見え、実に興味深い。情報戦も戦略の欠片も見せず、秀吉の人徳だけで、中国大返しを描く『太閤記』は凄いものだ。

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December 07, 2006

日々雑記:SR4FAQと神道の話

 ココログの大型メンテがあり、更新が途絶えました。
 締め切りでヒキコモリ中(三日ほど昼間は外出してませんね)なので、まあ、簡単に。

●FanPro:SR4 FAQ&Erratta更新

 シャドウラン第四版の翻訳を進めておりますが、海の向こうから、FAQ正誤表の最新版が飛んできました。すでにFanPro社のサイトで公開されていますので、興味のある方はどうぞ。

●神道の話

 『図解巫女』の関係で、神道の歴史を書く。相変わらず、縄文時代から始まるあたりで、ちょっと待てとか、自制してみる。天照大神の原型論とか、1ページで書くのかな、オレ。
 『真・女神転生X』と『比叡山炎上』のネタがたまり中。
 まあ、もう少し頑張ります。

●読書メモ
・アラビアの夜の種族 I
 読了。読むと気が狂う「災厄の書」を英雄ナポレオンに贈って、英雄を破滅に導く、という出だしは、クトゥルフ脳をやたら刺激するが、それだけでないのがやはり傑作たるところ。早く続きを読みたい。

・大奥2 よしながふみ
 男女逆転の大奥劇、美男三千人をはべらせる徳川女将軍、という粗筋から想像するのとはまるで違うハード歴史伝奇コミックですよ、これは。第二巻は逆転の始まり、家光編。いや、傑作です。ちゃんと鎖国問題まで言及。

・戴天高校勝利部
 最強を目指す学園異能バトル物のライトノベルズ。主人公が美少女と見まごう華奢な美少年で、ヒロインは学園最強の勝利部の部長というあたりで、全編、お約束の展開ではありますが、軽くて面白い。

・暴れん坊本屋さん 1-3
 なぜか、娘が好きで買ってきたシリーズ。本屋で働く兼業漫画家が、本屋さんの実態やコミカルな裏側を語る作品。本好きには色々来るネタが満載です。

・中国食文化の歴史
 半月ほど前、古本屋でGetしたまま、忙しさにかまけていたもの。2001年の本らしいが、箱入り、金箔装丁でどこにもISBNが見当たらない謎の書物。荒俣宏やらずいぶん豪華なメンバーによるエッセイと、非常に真面目な食文化研究の本。中国食の研究書リストとか、どこかオカシイよ、この本。

・ペルソナ3公式設定集
 イラストがいい感じです。キャラクターの立て方とかも参考に。
 同時発売の「ペルソナ倶楽部 P3」もAmazonに発注済み。

●イベント

 金曜日は学校、その後、タナトス6のボードゲーム会に顔を出す予定だが、締め切りを考えると、それほど長居はできなそうな感じ。

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December 02, 2006

学恩を感謝いたします(宇月原晴明風に)

 近所の本屋さんで、新刊「Truth in Fantsy73 海の神話」が並んでいるのを確認し、ほっとする日々です。著者の関係で、クトゥルフ神話関係の列に並んでいたのは秘密(笑)。普通は、神話伝説関係の棚に、他のTruth in Fantsyと並んでいるはずです。

●学恩を感謝いたします

 宇月原晴明風に。謝辞を。
 まず、日本神話学の大先達、大林太良先生に。講談社学術文庫の『海の神話』はもっともよき示唆となりました。同じ書名なので、名前を変えようという話もありましたが、結局、同名のまま出版することになりました。感謝に、少しのお詫びを込めて。
 同じ意味で、沖縄国際大学の学術パンフレットにも、『海の神話』というものがあります。こちらは、フランスのフィリップ・ワルテル博士と、吉田敦彦先生の講演をまとめたもの。こちらも参考になりました。
 その他、多くの神話関係書籍の作者に感謝を。

 行き詰った時期に、お手伝いいただいた秦野啓さん、ありがとうございます。
 あと、クレジットに出ていませんが、最後の最後で1500項目を越える地獄の索引作りを行ってくれた西上君、ありがとうございます。段取り悪くてすまん。

●R&R28号に『真・女神転生X』記事

 12月中旬発売のロール&ロール28号の校正終了。
 『真・女神転生X』の記事として、学園物のミニ・シナリオと追加ルールを西上柾君が書いてくれました。お楽しみに。
 来年、2月発売の29号はシャドウラン第四版の記事がどんと載る予定なので、『真・女神転生X』のサポートはお休みになりますが、その翌月には載る予定ですので、ご安心を。

●実験小説「ぬ」と「せつない話」

 金曜日は学校。
 年内の授業は12月8日までなので、後1回。
 2年生は来週でもう終わりである。早いものだ。
 1年生も、冬休み前に、期末課題の小説企画を立てさせなければいけない。
 次週はそのチェックだねえ。

 だからと言って、ライティングの授業の根本が変わる訳ではない。コラムを書き、添削し、短編小説や記事を読んでもらう。
 今週はコラム執筆後、互いに音読させた。読んでリズムのいいことは、言葉の使い方、展開、段落や句読点が気持ちいいということである。この辺が不得意だと思ったら、俳句や短歌、和歌を詠むといい。五七五はやはり日本語の基本ですね。

 今週のテキストは朝暮三文の「実験小説 ぬ」から表題作というべき「喇叭」山田詠美編「せつない話」からテネシー・ウィリアムズの「欲望と黒人マッサージ師」、月刊Playboy2007年1月号から、池澤夏樹のコラム「エーチのダンペン ウィットの引用術25 看板に偽りあり」および特集「ミステリー徹夜本を探せ」から冒頭の対談「北上次郎×大森望×豊崎由美が選ぶこの10年でもっとも面白いミステリー・ベスト100」

 「喇叭」は、引退したサラリーマンの家に投函される謎のクイズに関する話。「ぬ」の「この辺」とか、なかなか、頭をひねるクイズ、いや、謎が提示される、やや不条理な短編。これをハッピーエンドととるか、欲求不満ととるか、面白いところ。
 「欲望と黒人マッサージ師」は、タイトルだけ見ると変態的ですが、いや、本当にせつない話。やや古い話ですが、終戦直後のアメリカで書かれたことを考えるとウィリアムズの苦悩がうかがえます。このタイトルを見て、クトゥルフ神話を連想した人は(私も含めて)、SAN値がかなり低いと思いますね。
 池澤夏樹のコラムは、軽いウィットに富んだエッセイの好例。今回は看板について。
 「この10年~」は、10年以内に書かれたミステリーの中から、国内ベスト50、海外ベスト50を選出する書評家3名の対談です。選択の意図はよく分かるし、順位決定に関する「ディプロマシー」めいた会話がいいですよ。これは感想を求めるというよりも、冬休みの読書ガイド代わりに。私も読み逃した本を大量に確認、まずは「アラビアの夜の種族」文庫版1を購入。

●GAME JAPAN 2007年1月号

 ホビージャパンさんよりいただく。総合ゲーム誌になり、僕もマジックから引退して久しいので、最近は書いていないのですが、継続して送って下さっている。X360で出た「カルドセプト・サガ」の記事を読む。懐かしいですね。「カルドセプト」シリーズは昔攻略本の手伝いをさせていただきましたが、やはり、面白い。
 ゲーム学校の講師としては、ユニークなゲーム業界人に、多根清史氏がインタビューする「げぇむ人」のシリーズがお薦め。今回は、海外ゲーム専門のライターから、ロックスター・ゲームズの日本駐在スタッフになり、『グラン・セフト・オート』のプロモーションを担当していた(過去形)の植地毅氏。

●『太閤記』雑感

 少し前の話になるが、火曜日、テレビ朝日で放映している『太閤記』。
 先週は、秀吉が、金ケ崎撤退戦の殿を引き受けたところで終わった。よし、今週はあの撤退戦か、竹中半兵衛が大活躍だな、もしかすると、比叡山炎上まで行くかな、と思ったら……竹中は欠片も出ないまま、怒涛の10年が過ぎ(えっと)、来週は本能寺です。最初の20分で金ケ崎から逃げ帰り(ほとんど戦闘なし)、義昭追放(ここの信長様は有名な南蛮鎧風)、比叡山炎上。メインは浅井家滅亡と、秀吉改名(羽柴姓となる。しかし勝家にいじめられる)でした。この省略っぷりが凄いや。さすが秀吉自伝(ライティングサポートつき)である『太閤記』が原作。そこが面白い。NHKの『功名ヶ辻』や拙著『比叡山炎上』と対比すると衝撃を受けるはず。

 このシリーズの放映開始直前に、いかにも小者な秀吉が歴史を改ざんしていくシーンのある『信長の棺』を放映したテレビ朝日の編成は、おそるべき諧謔の精神を持っていますな。

 そう言えば、「新美味しんぼ」の海原雄山役(松平健)がそっくり。
 目線の鋭さはさすがです。

【追記】

●祝福

 Blogを更新した直後に、高校以来の友人、磯部剛喜氏から電話。
 日本SF作家クラブ主宰、早川書房後援の「日本SF評論賞」の第二回優秀賞のひとりに決まったという。彼とは、高校時代、ともにSF同好会を結成して以来の縁である。氏の熱意は色々な意味で私の刺激になってくれたものである。
 今回の受賞は、ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」に対する再解釈とのこと。
 年来の活動が結実したものである。おめでとう。

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