学恩を感謝いたします(宇月原晴明風に)
近所の本屋さんで、新刊「Truth in Fantsy73 海の神話」が並んでいるのを確認し、ほっとする日々です。著者の関係で、クトゥルフ神話関係の列に並んでいたのは秘密(笑)。普通は、神話伝説関係の棚に、他のTruth in Fantsyと並んでいるはずです。
●学恩を感謝いたします
宇月原晴明風に。謝辞を。
まず、日本神話学の大先達、大林太良先生に。講談社学術文庫の『海の神話』はもっともよき示唆となりました。同じ書名なので、名前を変えようという話もありましたが、結局、同名のまま出版することになりました。感謝に、少しのお詫びを込めて。
同じ意味で、沖縄国際大学の学術パンフレットにも、『海の神話』というものがあります。こちらは、フランスのフィリップ・ワルテル博士と、吉田敦彦先生の講演をまとめたもの。こちらも参考になりました。
その他、多くの神話関係書籍の作者に感謝を。
行き詰った時期に、お手伝いいただいた秦野啓さん、ありがとうございます。
あと、クレジットに出ていませんが、最後の最後で1500項目を越える地獄の索引作りを行ってくれた西上君、ありがとうございます。段取り悪くてすまん。
●R&R28号に『真・女神転生X』記事
12月中旬発売のロール&ロール28号の校正終了。
『真・女神転生X』の記事として、学園物のミニ・シナリオと追加ルールを西上柾君が書いてくれました。お楽しみに。
来年、2月発売の29号はシャドウラン第四版の記事がどんと載る予定なので、『真・女神転生X』のサポートはお休みになりますが、その翌月には載る予定ですので、ご安心を。
●実験小説「ぬ」と「せつない話」
金曜日は学校。
年内の授業は12月8日までなので、後1回。
2年生は来週でもう終わりである。早いものだ。
1年生も、冬休み前に、期末課題の小説企画を立てさせなければいけない。
次週はそのチェックだねえ。
だからと言って、ライティングの授業の根本が変わる訳ではない。コラムを書き、添削し、短編小説や記事を読んでもらう。
今週はコラム執筆後、互いに音読させた。読んでリズムのいいことは、言葉の使い方、展開、段落や句読点が気持ちいいということである。この辺が不得意だと思ったら、俳句や短歌、和歌を詠むといい。五七五はやはり日本語の基本ですね。
今週のテキストは朝暮三文の「実験小説 ぬ」から表題作というべき「喇叭」、山田詠美編「せつない話」からテネシー・ウィリアムズの「欲望と黒人マッサージ師」、月刊Playboy2007年1月号から、池澤夏樹のコラム「エーチのダンペン ウィットの引用術25 看板に偽りあり」および特集「ミステリー徹夜本を探せ」から冒頭の対談「北上次郎×大森望×豊崎由美が選ぶこの10年でもっとも面白いミステリー・ベスト100」。
「喇叭」は、引退したサラリーマンの家に投函される謎のクイズに関する話。「ぬ」の「この辺」とか、なかなか、頭をひねるクイズ、いや、謎が提示される、やや不条理な短編。これをハッピーエンドととるか、欲求不満ととるか、面白いところ。
「欲望と黒人マッサージ師」は、タイトルだけ見ると変態的ですが、いや、本当にせつない話。やや古い話ですが、終戦直後のアメリカで書かれたことを考えるとウィリアムズの苦悩がうかがえます。このタイトルを見て、クトゥルフ神話を連想した人は(私も含めて)、SAN値がかなり低いと思いますね。
池澤夏樹のコラムは、軽いウィットに富んだエッセイの好例。今回は看板について。
「この10年~」は、10年以内に書かれたミステリーの中から、国内ベスト50、海外ベスト50を選出する書評家3名の対談です。選択の意図はよく分かるし、順位決定に関する「ディプロマシー」めいた会話がいいですよ。これは感想を求めるというよりも、冬休みの読書ガイド代わりに。私も読み逃した本を大量に確認、まずは「アラビアの夜の種族」文庫版1を購入。
●GAME JAPAN 2007年1月号
ホビージャパンさんよりいただく。総合ゲーム誌になり、僕もマジックから引退して久しいので、最近は書いていないのですが、継続して送って下さっている。X360で出た「カルドセプト・サガ」の記事を読む。懐かしいですね。「カルドセプト」シリーズは昔攻略本の手伝いをさせていただきましたが、やはり、面白い。
ゲーム学校の講師としては、ユニークなゲーム業界人に、多根清史氏がインタビューする「げぇむ人」のシリーズがお薦め。今回は、海外ゲーム専門のライターから、ロックスター・ゲームズの日本駐在スタッフになり、『グラン・セフト・オート』のプロモーションを担当していた(過去形)の植地毅氏。
●『太閤記』雑感
少し前の話になるが、火曜日、テレビ朝日で放映している『太閤記』。
先週は、秀吉が、金ケ崎撤退戦の殿を引き受けたところで終わった。よし、今週はあの撤退戦か、竹中半兵衛が大活躍だな、もしかすると、比叡山炎上まで行くかな、と思ったら……竹中は欠片も出ないまま、怒涛の10年が過ぎ(えっと)、来週は本能寺です。最初の20分で金ケ崎から逃げ帰り(ほとんど戦闘なし)、義昭追放(ここの信長様は有名な南蛮鎧風)、比叡山炎上。メインは浅井家滅亡と、秀吉改名(羽柴姓となる。しかし勝家にいじめられる)でした。この省略っぷりが凄いや。さすが秀吉自伝(ライティングサポートつき)である『太閤記』が原作。そこが面白い。NHKの『功名ヶ辻』や拙著『比叡山炎上』と対比すると衝撃を受けるはず。
このシリーズの放映開始直前に、いかにも小者な秀吉が歴史を改ざんしていくシーンのある『信長の棺』を放映したテレビ朝日の編成は、おそるべき諧謔の精神を持っていますな。
そう言えば、「新美味しんぼ」の海原雄山役(松平健)がそっくり。
目線の鋭さはさすがです。
【追記】
●祝福
Blogを更新した直後に、高校以来の友人、磯部剛喜氏から電話。
日本SF作家クラブ主宰、早川書房後援の「日本SF評論賞」の第二回優秀賞のひとりに決まったという。彼とは、高校時代、ともにSF同好会を結成して以来の縁である。氏の熱意は色々な意味で私の刺激になってくれたものである。
今回の受賞は、ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」に対する再解釈とのこと。
年来の活動が結実したものである。おめでとう。
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