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February 01, 2007

無料マンガの未来、または近未来におけるコミックの可能性

 2月である。とにかく、ひとつひとつ解決していくので、よろしゅう。
 おそらく、しばらくの間は、原稿執筆のストレス対策やメモ代わりに、考えたこと、思いついたことを逐次、メモしていく、怪しい日記になるかと思う。

●コミック・ガンボに思う

 昨年よりスタートした街頭無料配布型の雑誌。
 おそらくは「R-25」を嚆矢とするものが、ついにマンガ雑誌に波及したのが、コミック・ガンボで、今年の1月16日創刊だったのだが、缶詰中で実際に受け取る機会を逸した。先日、打ち合わせで新宿を経由した際に、やっと3号を入手する。信長の一代記があったり、板橋しゅうほうのSFがあったり、村上はるかの「岳人列伝」が再録されていたり、となかなか興味深いが、困ったことに、バックナンバーをどこで手にいれるのか? というと困る。掲載マンガはネットの公式サイトでも読めるので、在庫は置かない、という体制であろう。
 雑誌は基本的に、広告費で成立する。売却益もあるが、ハウスオーガン系雑誌をのぞき、広告収入がかなり大きい。逆に言えば、広告費で成立するならば、無料化も出来るのであるが、今まではなかなかそこまでのバランスに持っていけなかった。

●コミック雑誌のデジタル化

 昨年は、コンテンツ・ビジネスを睨んだ、コミック誌創刊ブームであったが、そのいくつかはオンラインへ移行した。自らは印刷しないデジタル・コミックになった。無料のものもあれば、会員制のものもある。いくつかは読んでみたが、PC上でページをめくるリーダー・ソフトにはまだためらいがある。

 しかし、先日、SF評論賞のパーティであった知人の編集者は、ビジネスさえ成立すれば、コミックのデジタル化はさらに進むだろうという。印刷、流通、在庫管理という物理世界の制限がなくなることの経済的な利点はかなり大きいようだ。

●近未来におけるコミックの可能性

 という訳で、やっと話は未来のコミックの話へ。

 以下はかなり妄想が入っています。

 『シャドウラン』の2070年において、まだコミックそのものは絶滅していない。
 2070年において、コミックの大半はデジタル化しており、AR(強化現実)/VR(仮想現実)で読むか、専用リーダーかデジタル・ペーパー型スクリーンに表示する、あるいは、オンデマンド印刷する形になるだろう。最後の印刷はかなり趣味の領域に入る。何しろ、印刷物は場所を取る上に、わざわざアナログ化するというのが時代遅れに見えるからだ。

 VRコミックは、音声や動きが加わり、最終的にはコミックではなくなっていく。コミックという表現形式が、3D化されない、または不連続なカット進行の間を埋めるイマジネーションを要求するため、読者を選ぶが、3DCG映像であれば、最終的に、トリッドアニメ、VRアニメ、あるいは、シムセンスそのものとなる。

 VRで本を読むという行為は、おそらく勉強の一つの過程であろう。理論上は直接入力が速いのだが、入力と理解は異なる。実際、『VRで読書環境を維持する』というのは、本好きには興味深いテーマだ。少なくとも外部入力をシャットダウンし、読書に没入でき、なおかつ、目を酷使しない。
 だが、おそらく、入力の速度で本の情報/ドラマ/表現と対峙するという新環境に適応できるのが、おそらく、新時代の読書人(この言葉に意味はあるはず)なのであろう。

 ARでマンガを読むという行為は、このあたりのマニアックさを維持しつつも、比較的、コミックの楽しみを残すので、残るだろう。
 それほどクリエイティブでなかったり、センシティブでなかったりする瞬間は、職能対応のペルソナ・ソフトで体と表情だけは定型の仕事をしつつ、ARの娯楽で気を紛らわせるという、ダメな労働者が増えていくような気がするが、本当にダメな奴はシムセンスかBTLか本物のヤクを決めながら、Pフィックス(人格固定ソフト)で仕事をするだろう。ARマンガを読みながら出来るような仕事の多くは、ドローンなどにとって代わられるだろうが、それでも、人の方が安くて、建前上、人間であるべきとされるいくつかの職種が残るだろう。

 印刷物の簡便性は、AR/VRの普及でかなりデジタルに移行する。
 このあたりはTRPGで説明するほうがいいだろう。誰もがAR対応のルールブックを持っていれば、随時、視界の片側でルールを呼び出し、データ・スプライトで検索しつつ、ゲームの進行が出来る。
 いつまでダイスを振るか?、とか、脳内シミュレーションで再現するサポートVR/シムセンスで瞬時にゲームが終わる可能性はどうなるのか? とか、興味深い問題は残るが、その辺はきりがないので、いずれか。

 >>>「英雄汎用ペルソナ・ソフト」を用いて、定型の英雄を演じつつ(半分寝たり、ARマンガ読んだり)、妄言を言いたい時だけ、フィックスを解くとか??

 このあたりは、『Shadowbeat』を読み直さねば。

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