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July 30, 2007

深淵CON:月光魚の泳ぐ街

朱鷺田@とりあえず、一息ついたような、つかないような。

 昼間に最後の原稿を送り込み、とりあえず、一息。
 そのまま学校の講師会へ。
 帰ってきたら、ぐったりしましたが、次の仕事へ向けて転換開始。

●深淵CON:月光魚の泳ぐ街

「あの魚を、月に返すのです」

 昨日は、深淵オンリーコン、東京深淵CON~シキサイ~でした。
 私は例によって、「深淵第二版」のゲームマスター。

 まず、GM予告の段階で「完全即興型」を宣言。
 「深淵」というゲームは、即興プレイ向けのギミックがこれでもか!と投入されたゲームなので、その場で運命を引いて、作り上げるセッションでもOKです。というか、私は、これが実に楽しい。

 それでも、卓に集まってくれたプレイヤーが4名。
 ありがとうございます。

 マゼンダでコピーしたテンプレート(サンプル・キャラクター)から、選ばれ、「運命の幻視」によって出来上がったのは、以下の4名。

・女傭兵 ライリア
 魔族「蠍の王(濃紺の毒匠)」によって、沈黙の刻印を刻まれた戦士。妖精騎士の導きにより、月光の注ぐ街にたどり着く。

・盗賊ルナス
 英雄を助ける定めを受けた盗賊(チンピラ)。
 問題は、骨肉の争いを続ける弟ザインが、魔族「口の大公」に魂を売り、魔剣をもらってしまったこと。英雄を目指しつつ、人をやめた弟から、逃げ続ける運命の兄であった。

・少年 シャムロック (エルスリート)
 片目だけ、破魔の瞳を持つ少年。
 実は、とある英雄の一族の血を引く生き残りで……。

・夢占い師 シャフト
 破滅の予言を受けた夢占い師。

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 舞台となるのは、滅び去った廃墟の街。
 夕刻、満月が地平線に姿を現した頃、それぞれのPCはひとり、ひとりこの街にたどり着く。

 まず、この街角に立ったのは、運命に導かれし夢占い師。
 そして、弟から逃げ続ける不肖の兄である盗賊。いつ、魔剣使いの弟に追いつかれるか、心もとない盗賊は、非力な夢占い師にさえ、短剣を抜かずにはおれない。頭上の月光に、なにやら、銀色の生き物が泳いでいるのにも気づかない。
 女傭兵が現れ、少年が壁から転げ落ちてくる。

 やっと、月光の中を泳ぐ大魚の存在に気づく。

 街の影の中を走りまわる白いドレスの少女を追いかけ、4名は名も名乗らぬまま、街の奥へと駆け込んでいく。

(暗転)

 街の広場。噴水の前で、この街に見覚えがあることに気づく少年。
 おそらく、ここは自分の故郷か?
 そして、塔の上から響く歌声。

 少年は、自分がかつて、この街に住んでいた英雄の末裔であることを思い出す。

 そこに追いつき、自分たちが運命によって導かれたことを知る残りの3名であるが、内訳話をする前に、盗賊の弟にして、邪悪な毒の魔剣の使い手、ザインが登場し、月光の魚を殺すと宣言する。

「僕を英雄と認めないなら、あなたも食べますよ、兄さん」

 その影からかすかに響くのは、虫のあぎとがギチギチとなる無数の音。
 盗賊は少年を抱えて、慌てて逃げ出す。
 ザインは、占い師と傭兵に仲間となれといわれるが、それを断り、盗賊と少年を追う。ただ、傭兵の片手には、蠍の王が刻んだ刻印があり、「魔族の命に従え」とささやく。

(暗転)

 塔を上っていくうちに、彼らは知る。
 少年と少女は、英雄の最後の末裔。
 彼らは、月光の魚を月に返す定め。

(暗転)

 塔の屋上。
 少年と少女は、月光の魚を月に返す歌を紡ぐ。
 盗賊と傭兵、夢占い師は、ザインの前に立ちはだかる。

「兄さん、早く認めて下さい。
 さもないと、兄さんを殺してしまうじゃないですか?」

 優しい言葉を紡ぎながら、兄に向かって魔剣を打ち込む弟。
 紫の毒がまとわりついた毒針のような魔剣を必死で受け流す兄。
 その傍ら、弟の影から這い出た虫の群れは夢占い師と傭兵を襲う。

 必死の戦いは明らかに弟の優勢。
 なぜならば、弟はすでに人をやめた身だから。

 されど、魔族の呪縛を逃れた傭兵の加勢で、兄はなんとか弟の剣をしのぎ続ける。

 やがて、歌が終わる。
 少年はもはや、自らの命を投げ出してまで、魚のために歌を紡いだ。
 魔力が渦巻き、魚は月へと飛び去っていく。

 そして、残った魔力は少年へと襲い掛かる。
 だが、引き裂かれ、倒れたのはまだ、名も名乗っていない夢占い師だった。

「然り、これが我が定め」

 若き者を救って、代わりに死んだ。

 それに感動した訳でもないが、ザインは剣を止める。なぜならば、魚が月に戻った今、戦う理由はもうないから。

弟「どうします、兄さん。まだやります?」
兄「やらねえ」
弟「じゃあ、僕が英雄だってこと、認めます?」
兄「やだね~」
弟「ここで死にます?」
兄「逃げる!」

 盗賊の兄は、そのまま、塔の下へと身を投げる……いや、密かに用意していたロープで、滑り降りる。こんなときだけ、やたら、逃げ足が速い。

弟「困った兄さんだね」

 弟は、夢占い師の死体を虫たちに食わせると、兄を追って退場。

 残された少年は、少女に問いかける。

少年「これからどうする?」
少女「私の役目は終わったわ。後はこの街で死ぬだけ」
少年「だったら、僕と街の外へ行こう!」
少女「外に出てどうするの?」
少年「分からない。でも、たぶん、ここより、ずっと楽しいはず」

 ~終わり~

●感想

 今回は非常にきれいにまとまり、ファンタジックであるとともに楽しいプレイでした。
 ピュアな少年、やたらチンピラなロールプレイがマッチした盗賊、魔族の葛藤と自己の間で揺れる傭兵、そして、運命を見つめ、少年の身代わりとなる占い師。それぞれが非常にうまく動いて下さいました。
 特に、夢占い師は、ほとんど「然り」とかしか言わないんですが、うまくカードを回転させ、皆を導いてくれましたので、GMはとても助かりました。

 朱鷺田としては、虫の魔剣を持つ弟を即興でロールプレイしていたら、明らかに「ヤンデル」感じで、プレイヤーに受けたので、よかったなあ。兄上のPCが素晴らしくチンピラな味で、掛け合いも楽しかった。

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 その後、近所の海鮮飲み屋で打上。

●読書

・エスコート・エンジェル

 22世紀、ワームホール技術によって作成された《プラスティック・プリンセス》こと、時空潮汐力・特等突破戦闘艦である、二人の少女型戦闘ロボット、シファとミスフィの物語。第一作である「エスコート・エンジェル」では、海外のVIPの護衛任務の中で、彼女らの姿が描かれる。
 敵が、電脳麻薬によって洗脳した人間を「コマ」として扱うなど、ネット系の要素がなかなか強い。

・カスタム・チャイルド

 遺伝子改造が一般化した近未来。
 遺伝子改造中毒の母親から逃げ出し、トランスジェニックが多数住む下町で一人暮らしする三嶋のもとに、謎の少女、マドカが転がり込み、彼女を巡る事件に、彼と仲間たちが巻き込まれていく。やがて、遺伝子医療の大企業である「ダーウィン・ヒルズ」の手が伸び……

 さまざまな遺伝子改造をしたトランスジェニックが多数いる社会が舞台で、設定がなかなか濃い感じで、すばらしいですね。

・ラバーズ7 第六巻

 犬上すくねのラブコメも第六巻。

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