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February 04, 2008

深淵CON:眠りの森にて

我は鏡。
汝の過去を愛してあげよう。

●深淵CON@R&Rステーション

 昨日は深淵CONにて、GM。
 R&Rステーションを借り切って、実質、発売記念CON相当となりました。
 スタッフの皆さん、ありがとうございます。

 冬翼様襲来(『深淵第二版』の魔族)で、吹雪く東京。たどりつけない人も出るなら、30名以上が来場、R&Rステーションの在庫をほぼ買い切る勢いでお買い求めいただき、本当にありがとうございます。Amazonで「12と一冊」買ってくれた方もありがとうございます。参加できないものの、店に顔を出して、声をかけてくださった皆さんもありがとうございます。

 わざわざ、店気付けでお花を贈ってくださった方もおられました。
 初めての体験です。ありがとうございます。

 女性プレイヤーから、早めのバレンタインもいただき、感謝感激。
 チョコレートに加えて、お酒そのものとか、ハート型の草加煎餅とかもありました。

●眠りの森にて

 今回のシナリオは、構造型の「眠りの森にて」。
 いずれ正式バージョンをR&Rあたりで掲載します。

 基本パッケージは、「少年(不義の子)、母親(失踪)*、農夫(誓いの言葉)*、貴婦人(言えなかった一言)*、若き騎士(運命の出会い/恋愛)*」。*印は『銀龍亭異聞』掲載のテンプレートですが、辛い運命が一つずつ決まった一般人PCが魔物の森の中に迷い込み、己の辛い定めと立ち向かうというもの。キャラクターは、さらにもう一つの運命を持ちますので、割とバリエーションが広いシナリオです。

●PC

 今回のPCは以下の通り。

少年 フォッケ (不義の子/深淵の召喚)

 いわれなき家庭内暴力を受けつつも、父を愛する金髪の少年。
 病気の父を救うため、森の奥に薬草取りに向かうも迷う。

 家族構成は病床の父(黒髪)、若い母親(黒髪)、弟(黒髪)……

農夫 オギ(誓いの言葉/封印の破壊者)

 フォッケの村の青年。
 恋人シルクとの結婚のため、街に出稼ぎに出た。

 誓いの言葉。
 「1年だけ、待ってくれ。
  お前に相応しい男になって帰ってくる。
  一生、幸せにする」

 1年後、奇怪な夢に悩まされて、帰郷すると、シルクは何かの呪いによって出奔した後。彼女を探しに出たオギは、魔物の住む森の奥へと迷い込んでいく。

●貴婦人メンシェ(言えなかった一言/遠い声)
 
 金髪美麗な地方貴族の奥方。
 若くして、領主の後添えとなり、形だけの夫婦関係を貴族のプライドで乗り切ってきた。
 幼い頃、遊び相手となった農家の少年に恋心を抱いていたが、身分の差は明白であり、彼女は素直に彼と接することが出来なかった。輿入れの前日、幼なじみの少年を従者にしようとしたが、なぜか少年は現れぬまま、彼女は言えなかった一言を心に秘めている。

「私の従者となって、一緒に来てほしい」

 何か不思議な声に呼ばれた彼女は、馬車を降り、一人、森の奥へと誘われていく。

●傭兵シグニイ(運命の出会い・恋愛/傍観者の記憶)

 世話になった傭兵隊長を戦場で死なせてしまい、悲嘆にくれる傭兵。
 間もなく、愛する者と出会うだろう、という予言さえ虚しい。

 漂泊の旅を続けるうち、魔物の森に迷い込む。

●迷いの森にて

 森の奥に迷い込んだ4名はやがて、とある広場で出会う。
 互いの言動、外見、仕草は自らの辛い定めを思い起こさせる。

 やがて、日は暮れ、望まぬ野営をする人々の周囲で狼の声が響く。

 そして、森の奥から「封印を解け」と誘う魔族の声が……

●プレイ・レポ

 プレイヤー4名ということで、基本パッケージにあまりこだわらず、半構造型というべき方法で、ぐるぐる夢歩きを多用して運営しました。

 さて、実際のプレイですが。

 森での出会いは、夢歩きによる互いの第一印象決定からスタートしますが、各PCのトラウマを抉り出す苛酷な出会いが、夢歩きで選択されていきます。

GM「傭兵は金髪です」
少年「もしかして、本当の父?」
傭兵「いや、覚えはないぞ」
貴婦人「あの少年、幼なじみに似ている。
 ああ、あの頃は若かったね」
農夫「(貴婦人の若い頃を想像、恋人と重ね合わせてしまう)いや、シルクは違う」
傭兵「(若い頃は可愛かったのだろうなあ)」

GM「……ということで、シグニー、君の運命の人は彼女(貴婦人)ですか?」
傭兵「領主の奥方に手を出すのは危険ですよね?」

農夫「フォッケ、シルクの行方を知らないか?」
少年「何かが見えるって、いなくなっちゃった」
農夫「そうか、ところでトム叔父さん(フォッケの父)は元気かい?」
少年「病気です」
農夫「……(彼の家庭環境を思い出して言葉を濁す)」

 以下、少年に追い討ちをかけるように、病床の父まで現れ、苛烈な家庭内の状況は、戦場になれた傭兵の哀れを誘う。「夜回り先生」モードで、少年のケアにあたる傭兵だが、下々の空気など読まない貴婦人は、少年の心の傷を抉り出す。困ったことに、かつての幼なじみの少年への歪んだ想いが、そこに投影されていたのである。
 やがて、貴婦人は、森に封じられた魔族の夢に飛び込み、「内なる獣」を呼び覚ましてしまう。
 一方、農夫は、「封印の破壊者」の力を使えと、魔族に、消えた恋人を人質にされてしまう。森の奥に封じられた名残り雪の中に、冬の王が封じられているのだ。

 かくして、一夜明け、病状の悪化した父親を救うため、さらに森の奥へ向かう少年フォッケ。それを追うシグニー。二人は封印を守る魔族「菫の公女フェレス」に出会い、シグニーは彼女こそ愛すべき人と知る。

 その後から、人ならぬ怪力で農夫を引きずり、結界の中に踏み込んでくる貴婦人メンシェ。彼女の瞳はすでに狼のような光を放っている。魔物に憑かれたのだ。
 身を守るため、長剣を振るうシグニーだが、「内なる獣」を呼び覚ましたメンシェは化鳥の如く、飛び退り、シグニーに向かって、短剣を投じる。

 だが、所詮は貴婦人の肉体である。
 短剣は、全くの彼方へと飛び去った。

 ルール上の解説:プレイヤーはかなり殺る気満々であったが、振ったダイスの出目は1・1.
  卓の一同「神様が言っている。お前ら、落ち着け」

 やがて、人質に取られているオギの恋人が、実はすでに死んでいることも分かり、おぞましき魔族の邪悪さにいかったオギは、封印の破壊者たる運命を放棄し、森から脱出する。貴婦人も我に帰り、かつての幼なじみの面影を持つフォッケとともに森から脱出する。
 シグニーは愛する人を残して去ることを躊躇ったが、「あなたのためなら、いつでも結界を開きましょう」というフェレスの言葉を信じて、森を去っていく。

 森を出た4人は、それぞれの日常に戻っていく。

 貴婦人メンシェは、もう一度、夫を愛してみようと考える。
 少年フォッケは、父を救えなかったが、母、弟とともに、家族として生きていこうとする。
 農夫オギは、愛するシルクを失った分、フォッケの面倒を見ることに生きる道を見つけようとする。ただし、心の中に宿る狂気の影は完全には消えていなかった。

 そして、傭兵シグニーはしばらく各地を旅した後、森の奥へと姿を消した。

 ~終わり~

●感想

 1~2名死亡かな、と思いつつも、なぜか全員生還。
 途中、ドロドロの家族ドラマが発生したり、夢枕獏のように「内なる獣」が目覚めたりしましたが、ある意味、ハッピーエンド。途中、深淵(コントロールできない魔法の渦)も発生、27まで拡大、このまま、全滅エンドかという緊張も走りましたが、そちらも愛の力でカバー。
 いや、面白かった。
 プレイヤーの皆さん、おつかれさまでした。

●閉会式

 各卓のレポ。
 なぜか、今回は「貴婦人」祭りだったようです。

 私からは簡単な告知を。

・深淵第二版
 しばらくは、R&Rを中心に、記事サポートが続きます。
 2月10日頃発売のR&R41号は、特集で、メイン記事はリプレイ。
 田口先生が、完全書き直しをされた「漂泊の戦姫」と「若き騎士」のテンプレートがつきます。超美麗ですので、ぜひともご覧下さい。

 第二版でカードのサイズに関するご意見は各方面から伺っております。カードを大型化したサプリメントという企画も、私と編集さんレベルでは俎上に上がっておりますが、特殊な形態の商品になりますので、ぜひとも皆さんの応援をいただきたいと思います。その他、今後の製品展開や第二版に関するご意見、ご希望など、ぜひ、アンケート葉書にて、フィードバックいただけるとうれしいです。

・『真・女神転生X』
 退魔生徒会の4巻を執筆中です。3月刊行予定。
 タイトルは「退魔生徒会大正天外抄」(仮)
 大正二十年編と二学期体育祭編です。

 夏に、神話戦争を扱うサプリメント「ラグナロク ~ 神々の戦い」を予定しています。

・シャドウラン
 『オーグメンテーション』翻訳中です。4月予定。
 その他、企画進行中ですが、色々大人の事情がありますので、確定しましたら、また告知をば。

●今後の深淵関係イベント

 ゲスト出演が確定したものもあるので、私のメモも兼ねて。

 3月22~23日 12と一つの星座CON in 上野
 4月27日  東京深淵CONシキサイ
 7月19日・20日 京都深淵CON

●打上
 
 8時でイベントそのものも終了。
 そのまま、打上へ。

 ここ2年ほど、修羅の度合いが急上昇中の深淵CON打上ですが、オレもさすがに前回の轍を踏まないように、ちょっと自重してみる。えー、お湯より、焼酎のほうが多いのは、お湯割りとはいわんだろう!

 まあ、しかし、飲みながら、今日のゲームを振り返るのは楽しいよね。

 やがて、色々雑談モードに。ムーと昭和初期偽史ブームの遠因を語ったりしてましたが、中に、現役の図書館員の方がいらっしゃり、ちょうど読んでいる最中の「図書館危機」を見せたところ、こちらの本は図書館業界でも非常に話題になっているそうで、ちょっと図書館の裏事情とか聞かせていただきました。なるほどね。

 帰り道に一緒になった方は、『真・女神転生X』のヘビーユーザーでそちらの話も。
 「魔匠専業で30レベル」
 おー、ヤル気満々だ。
 「チーム全員、魔晶変化武器を持っていますよ」
 ひでえ~(誉め言葉)

●挑戦状

 さて、打上話に戻り……

 どんどん酒が進む中、今回の主催者、東京深淵CON~シキサイ~の印南代表から、私、朱鷺田祐介に挑戦状がたたきつけられた。
(以下、DMCかWWWEのノリで読め)

「次回、4月末の深淵CON。
 オレたちファンのGMが参加者の希望を一人占め!
 朱鷺田がGM立候補しても、
 客がつかずに卓未成立だ!
 デザイナー卓を潰してやる!」

 面白い。
 その挑戦を受けた!
 では、4月には、オレよりうまい「深淵GM」を7人集めて見せろ!

「後悔するなよ! ひゃっほー」

 では、4月には、究極の「深淵」というのを見せてやろう。

(思うに、オレたち、馬鹿だ)

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