HPは何故、減るのか?
朱鷺田@朝が辛い
校正と締切が迫ってきた。某所のエッセイの校正はすぐ解決したが、リプレイの校正は軽くは終わらない。
●HPはなぜ減るのか?
気分転換のため、ネット・サーフィンをしていて、「HPはなぜ、減らすのか?」という疑問を呈していた人がいたので、発作的に答えてみる。
その方の前提として、「減算式より、加算式のほうが楽ではないか?」という基本前提がある。「一定ダメージを受けたら、そのキャラクターが死ぬ(あるいは行動不能になる)ことを示すだけなら、計算が楽なダメージ加算式のほうがよいのではないか?」という話である。
実際には、もうちょっと詳しく解説されているので、おそらくある種の思考実験なのでしょうが、実は、HPの起源が生死の間のバッファーであったということがもはやゲーム上、失われているからでしょう。剣で斬られれば死ぬ、というall or nothingではまずいので、HPというバッファーがあるのです。その上で、HPが減算式であるべき理由は、私の意見ではこういう話かな。
PCレベル:明確な分岐点(HP0=死)に向かって、下がっていく数値による危機感の演出が、足し算でいつ死ぬか直観できない状況より「ゲーム演出力が上」である。また、HPを下げる作業は、足す作業より「複雑」であるため、死に向かっていることを実感できる。
あと、「残り」に対する直観的な理解力は、減算型のほうが明らかに優れている。(例:パーティの残りHP合計がもう1桁しかない!)
GMレベル:格の異なる複数NPCを同時運用した場合、加算式より減算式が明確に楽である。例えば、加算式は残りHPを把握できないが、減算式は即死状態が一瞬で把握できる。加算式でHP36とHP41を複数体扱うのはややこしい。減算式なら、HP2500とHP1200とか扱えますよ。
筆者のように、HPをコストにするスキルのある『真・女神転生X』をGMする身としては、これを加算式でやれといわれたら、投げますね~。HPを半分支払うとか、HPが1/4になる攻撃とかある訳ですよ。これ、HP加算式では出来ないのですよね。
一応、D&Dの先輩たちの中には、モンスターに与えたダメージをHP加算式で管理している人はいます。その場合、プレイヤーが管理して、「この一撃で倒れたはずだ!」とか、戦闘リソースを調整するまで行っていますね。
●HP以外の方式
簡単に言えば、HP以外の方式は、能力値書き換えか、状態修正か、描写形式です。HPをマトリックス化していく方式は、FASAのセンチュリオンとかロボット系に多いのですが、基本的に、シートの拡大を示し、格闘級シミュレーション系でしか使えません。能力値書き換え式はHPというバッファーを取ってしまい、戦闘リスクを極端に高めますので、成長型キャンペーンには向きませんし、ゲームを複雑化しがちです。
これをうまく解決して見せたのが「へろへろファンタジー」であるが、カード化という限界が生じている。
もちろん、HP形式でレベルが上がれば、HPが増えるという形式は、現代物、SF物を扱っていく時、リアリティが感じられないという部分がある。そのため、HP以外の生命状態表現形式が追求された。シャドウラン、N◎VAなどサイバーパンク系でHPを排除したものが多いのは、「自分が銃で撃たれれば1発で死ぬ」というリアルと、求める世界観の間を埋めつつ、描写力を高めたものである。