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July 25, 2011

深淵:少女と夢見るカカシ、エクリプス・フェイズ:企業令嬢の野心、クトゥルフ本

 雑誌原稿に一区切りついたので、単行本記事と校正にとりかかる。今週も暇はなし。
 ……とはいえ、JGCまで毎週、週末はゲーム関係で埋まりました。
 今週末は、7/30の「Eclipse Phase体験会@R&Rステーション」でGMの予定。 「エクリプス・フェイズ」の紹介については、暇を見てもう1、2回したいところですが、あれもこれもの状態です。

●深淵:少女と夢見るカカシ

 日曜日は、「東京深淵CON~シキサイ~」に出席。テンプレートのテストをかねて、河下りの話をば。R&R連載のアミイのイメージで、オズっぽいカカシを投入してみる。

PCは以下の通り。

・少女 ゲルダ
運命:封印の守護者、魔族の走狗
 魔族《死霊の公子スナーダル》の封印を守っていた一族の娘が、スナーダル再封印の道を求めてさまよう・・・はずが、なぜか《剣の侯爵ロンゲイン》の手先となり、闇に落ちてしまう。ヒロイン枠だったはずなのに。

・騎士見習い(従士)タルクス・エンデバー
運命:残された瞳、依存症(一族の紋章を刻んだ盾)
 風の妖精騎士ヴィケルフの血筋を引くエンデバー家の若者。一族は滅ぼされてしまい、青年は一族の証たる盾にすがるように生きていく。主人公っぽい設定ながら、途中、赤札の《狂気》に脅かされる。

・船乗り ジェラルド
運命:王者の相、沈黙の刻印(死霊の公子スナーダル)
 類まれな王者の相を持つ南方の船乗り。スナーダルに沈黙の刻印を刻まれ、運命の旅人を運ぶ、船の主になる。冒険の介添え人という立ち位置だったが、王者の相のため、なぜかヒロインっぽい立ち位置に。

・夢見るカカシ アンドリュー
運命:奪われた肉体、魔法の力(破魔の瞳)
 畑に立っているカカシ。魔族の信徒によって肉体を奪われた古鏡の魔道師の魂が押し込められている。「オズ」や「ハウルと歩く城」のカカシだったはずが、破魔の瞳を得たことにより、車輪眼のカカシっぽい立ち位置に。

 今回のテーマは、新規テンプレートの運用実験。
 来月発売のR&Rに乗るアミイの話は船乗りとの話になりますが、アミイの話は「オズの魔法使い」っぽいネタを入れていくので、まずは、カカシの実装実験。このあたり、北陸深淵CONで女性プレイヤーさんから、「人造物っぽいものをぜひ!」という感想をいただいたのも、ひとつの理由です。

 「運命に翻弄される者たちが乗り合わせる船」というのは、ムアコックのエターナル・チャンピオン系のシリーズでよくある物語テンプレートなので、今回は少女、騎士見習いを船に乗せるという流れの半構造型。船を操る船乗りと、助言者相当のカカシを投入し、モーファット河流域の遺跡をめぐるというもの。

 導入は、龍の都スイネの南。魔族に命じられ、三角帆の河船を岸辺に寄せるジェラルド。そこへ運命に導かれ、騎士見習いのタルクスと少女ゲルダがやってくる。船を出そうとすると、上流から流れてきたカカシが引っかかったので、拾いあげてみると、これが話すカカシで、アンドリューと名乗り、旅に参加することになる。
 河を下り、火龍の住むファオンの野では、炎の守護者ザルナーンが上空を舞うも、妖精騎士の血筋を引くタルクスの存在で約定が守られる。
 ちなみに、カカシのアンドリューは、火炎のダメージが2倍という弱点が設定されていたので、このあたりはドキドキしている。

 続いて、川沿いに土鬼王国時代の遺跡が姿を現す。
 まずは、炎に焼かれしゾースニク。超高熱で焼き払われた形跡のある遺跡である。ここは、火炎が危険なので、パスするも、このあたりで、少女から赤札《狂気》をトスされた騎士見習いの精神が不安定になっていく。
 さらに下ると、封印されしカルースニク。妖精騎士が封印した遺跡であるが、ここで騎士見習いタルクスがもはや我慢できなくなり、妖精騎士の力を使って飛び上がり、遺跡へ突入してしまう。他の三人も慌てて上陸、後を追う。タルクスは妖精騎士の血筋をいいことに、守護者の像を説得して遺跡の中へ。途中、番人の魔女による警告も彼を止めることはできず、一行は刃の門をくぐって、魔族《刃の戦姫シャナ》の封印へ達する。

「魔剣を抜き、すべてを手にするがよい」

 なんとか踏みとどまったタルクスだったが、今度は少女ゲルダが動き出す。
 シャナを解放するため、ジェラルドを生贄に捧げるべく、かれの隙をついて、短剣で斬りかかったのである。慌てて赤札【守護者】を使い、介入するタルクス。

「やはり、足りないのか!」

 邪悪な企てを諦めない少女はさらに短剣を構えるが、アンドリューの瞳が金色に輝き、少女の刻印を焼く。激痛にのたうち回り、意識すら失った少女に向かって、冷徹なとどめを刺そうとするアンドリュー。だが、そこで、狙われた当人のジェラルドが少女とカカシの間に身を投げ入れる。

「なぜ止める?」
「まだ、幼い者を殺すのは……」
「あなたを殺そうとしたのですよ?」
「いえ、それでも!」

 ジェラルドの隙を伺い、とどめを刺そうとするアンドリューだったが、そこで風のように飛翔するタルクスが少女を戦場の外へと運び去った。

アンドリュー「あのように邪悪な存在を守るなど、理解できません」
ジェラルド「それでも、少女に更生の機会を与えたいのです。 彼女は、私が見守ります」
タルクス「では、その大きな器に従い、このタルクス・エンデバーはジェラルドに仕え、かの少女を見守ることにしましょう」
アンドリュー「賛成はしませんが、あなたがたがそう望むなら、私のなすべきことは終わったということでしょう」

 かくして、ジェラルドとタルクスは、少女を立ち直らせることを誓った。
 アンドリューは、いつの間にか、元の案山子に戻り、朽ち果てていった。

 ~FIN~

 ずいぶん、思惑とは違いましたが、これもまた面白いセッションでした。アンドリューのプレイヤーさんには、よい示唆をいただきました。案山子がテンプレートになるかどうかは、お楽しみに。
 こんなテンプレートがほしい!という向きはぜひ、R&R編集部にお手紙をば!

●エクリプス・フェイズ:企業令嬢の野心

 土曜日は、今週末の7/30の「Eclipse Phase体験会@R&Rステーション」に備えて、いつもメンバーで、「エクリプス・フェイズ」。

 今回のテーマは「フォーク」=魂(エゴ)のコピーです。
 PCはサンプル・キャラクターから。

・月のエゴ・ハンター マディ
 「ロスト・ジェネレーション」の生き残りのバウンティ・ハンター。非人道的な実験計画を推進した当時の科学者を追っている。

・スカムの用心棒 トビー・ショコラ
 小惑星の女海賊で、ドンパチとセックスと酒を愛するヤバいおねーさん。

・マーキュリアルの盗掘屋 東海林ショージ
 知性化されたタコで、廃棄された宇宙ステーションからの盗掘をお仕事とする。

・ダイレクト・アクション社の傭兵 ピョートル・べトロヴィッチ
 「Sunward」のサンプルキャラクター。ロシア軍人の生き残りで、大帝とあだ名される、戦闘マシーン。ヴェクター・スラストとイオンクラフトで飛行する円盤状の義体には、四連装のレールガンと、四本の機械触手をもつ。


 始まりは、土星の衛星タイタン。科学技術推進派のタイタン連邦。

 PCたちは、内惑星から観光にやってきたハイパーコープ「繁栄グループ」幹部のご令嬢シャーリー・ファンが何か企てているということで調査に当たっていた。
 シャーリー・ファンの義体に装備されたゴースト・ライダー・システムには、情報体(インフォモルフ)となっている科学推進派哲学者「ジョン・アトキンス」が脳内家庭教師として収まっていたが、彼は月出身の生化学者であり、数年前まで月面で行われていた「重大な遺伝子実験」に関わっていたとも言われているのだ。シャーリーの行動はアトキンス博士に影響を受けた可能性がある。

 シャーリーは、タイタン観光を加速するため、自らのアルファ・コピーを2体作成する。
 オリジナルとアルファ・コピーの1体はタイタンに残り、観光を継続、もう1体のアルファ・コピーは、天王星に向けて発信された。遠隔惑星への旅行にコピーを向かわせ、後で記憶を統合するのは、この時代、贅沢な旅行手段として行われているのである。

 やむなく、PCたちもアルファ・コピーを作成し、Bチームとして天王星に送り出す。
 タイタンに残ったオリジナルは、シャーリーのオリジナルとアルファ・コピーを追う。オリジナルは、タイタンの中枢であるニ・ヘブンで観光とミーティングに、アルファ・コピーは治安の悪いニュー・ケベックへ。ニュー・ケベックには、違法なエゴ・ウォーキング、モーフの密売などを手がける中華系ギャング「聖キャサリン党(St.Catherin Tong)」がおり、シャーリーのアルファ・コピーは彼らの根城のひとつ、「トロント・スペシャル・カフェ」に向かったのだ。
 慌てて、後を追う一行。
 犯罪者相手ならと、スカムの用心棒トビーと、タコの東海林が店に乗り込み、中華系ギャングのボス・フェイに面会、シャーリーとも仲良くなる。どこかネジが外れたようなシャーリーに気に入られ、ペット扱いされる東海林。部屋の奥に未登録のエゴ・フォーク施設があると踏んだトビーは、このシャーリーがコピーかもしれないことに気づく。

 外で待っていた大帝とマディは、裏口から移動するケース(もっとも安い人形のような義体)を発見、追いかける。近くの店に入り込んだところを急襲したが、すでに、ケースの中身は、エリスに向かって発信された後だった。

 エリス。カイパー・ベルトに浮かぶ大型の小惑星。パンドラ・ゲート「ディスコーデッド・コード」をめぐり、ウルティメイトの傭兵軍団と、外宇宙のウィルスで変貌してしまった「エクスヒューマン」の戦いが繰り返されている場所である。

 一方、天王星に送られたBチームは、アルファ・コピー2号を追うも、彼女が異星人「ファクター(代理人)」と接触しようとしたことを調べ上げるが、目が振るわず、アルファ・コピーを逃してしまう。

 エリスに到達したPCたちは、ウルティメイトを説得して、ゲートへ向かうシャーリーを追う。
 ゲートの入り口では、ウルティメイトとエクスヒューマンの戦闘が起こっていた。大帝とトビーが突入、ウルティメイトに加勢して、怪物化したエクスヒューマンを撃退して、シャーリーを捕らえた。彼女はパンドラ・ゲートを開いて、異星由来のナノウイルスを獲得、世界にばらまこうとしていたのだ。

 ~Fin~

 チームにコピーを作らせ、同時並行で調査を行うというものでしたが、Bチームの出目がファンブル続出で、PC一同「コピーはやっぱりダメだ」ということに。
 面白いものです。

●クトゥルフ本

007

 アマゾンよりクトゥルフ系コミックが2冊到着。
 Cocoさんの「異形たちによると世界は…」と青心社の「クトゥルーは眠らない」。後者の解説は新熊昇さん。
 本の下に見えるのはPHP社のクトゥルフ神話コミック・アンソロジー「ダゴン」のゲラ。8月末発売予定で、製作進行中。朱鷺田は解説を担当しております。

●写真日記

004

 チャーリーのプレイヤーからもらったザクの積み木。

009

 深淵CONで、北陸勢からいただいたラボン・サイダー。
 昭和初期に開発された空想上の果実を再現したものとか。

011

013

 深淵CONの打ち上げで飲んだ東北のお酒。震災支援ということで。

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