ファイアウォールへようこそ(11):キャラ作成4:カスタマイズ・ポイント
「エクリプス・フェイズ」の紹介その11。
キャラクター作成の4回目は「カスタマイズ・ポイント」。
この連載は、朱鷺田祐介が「エクリプス・フェイズ」をGMするための覚書的なものです。「エクリプス・フェイズ」は、「シャドウラン4th」のライン・ディベロッパーだったロブ・ボイルが作成した最新SF-RPGです。詳しくは、本ブログの「ファイアウォールにようこそ」、あるいは「エクリプス・フェイズ」関連エントリーを参照してください。
おかげ様で、翻訳が決定しました。
来年夏予定です。(朱鷺田は監修です。詳しくはこちらのエントリーをどうぞ)
未訳RPGの紹介ということで、手探りでやっている部分が多々ありますので、訳語の揺れはご容赦ください。現在、戦鎚傭兵団の待兼音二郎さんを中心に、訳語選定が進んでおりますので、順次、それに合わせていきます。
●キャラクター作成はポイント式
「エクリプス・フェイズ」のキャラクター作成は、GURPSやシャドウラン4thなどと同じポイント形式です。「背景」「勢力」を選び、ベースとなるデータの上に、1000点のカスタマイズ・ポイント(CP)を使用してキャラクターのさまざまな数値や特徴、装備などを購入していきます。
今回は、その4回目で、やっと、カスタマイズ・ポイントの説明に入ります。実例は以前からの「タコの宇宙海賊」で、すでに「背景:知性化種(アップリフト)」と「勢力:クリミナル」が決定しています。
【注記】
ここしばらくキャラクター作成の方法を紹介していますが、CP制なので、細かい段取りはかなり自由です。まずは、初心者向けの紹介用だと受け取っていただければ、幸いです。
●4)カスタマイズ・ポイントを消費してキャラクターの数値や特徴、モーフや所持金を得る。
やっと、キャラクター作成の本番というべき、カスタマイズ・ポイント(CP)です。1000点のカスタマイズ・ポイントを消費して、キャラクターを実際に作りますが、その前に、これ以降の段取りも確認しておきましょう。
5)装備を買う。
6)動機を3つ選ぶ。
7)関連数値の算出
8)キャラクターの細部を仕上げる。
装備は、CPから所持金にポイントを回す必要がありますので、特に買いたい装備や物品があれば、その分をここで確認しておきましょう。
【例】タコの宇宙海賊は、とりあえず、派手な光線銃を3~4本と、個人用宇宙船とか言ってみます。
ちなみに、タコ専用義体「オクトモーフ」は初期義体として、50CPで購入しますので、気にしないでかまいません。義体に関係なく、無償の初期装備には、「基本ミューズ(支援AI)」と「バックアップ保険(1カ月)」がついてきます。「オクトモーフ」にはタコを再現するさまざまな特徴や修正がついてきます。
●CPの使用可能な対象
ルールブックP135「Spend Custamization Point:CPの消費」には、CPで何が買えるかの表があります。
・Moxie(勇気)1点=15CP
・Aptitude(適性)1点上昇 =10CP Aptitude(適性)の上限は30。
・psi(超能力)のSleight(異能)1個=5CP
・技能1個を専門化する(+10%)= 5CP
・技能の成長=60%までは1%あたり1CP、61%から80%までは1%あたり2CP
・所持金1,000クレジット=1CP (最大100CP)
・評判10Rep=1CP
超能力はそういうキャラクターを選ばない限り関係ありません。
この他に、CPで買う物として、初期義体、特徴(Trait)があります。後者はいわゆるシャドウラン4thの資質など、他のゲームでもおなじみと長所と短所で、正負とも最大50CPまで取得できます。
では、どこから手をつけるべきでしょうか?
その前に、もうひとつ確認をば。
実は、1000CPあるからと言って、それがすべて完全に自由に使える訳ではありません。
1)初期義体
あらゆる遺伝子調整をしていないフラットか、肉体を持たない情報体(インフォモーフ)を選ばない限り、義体が必要です。一番安いケース(Case)でも5CPは必要です。最強の戦闘用ロボット義体「リーパー」(100CP)とはいかないまでも、20~50CPは覚悟しておきたいところです。
【例】「タコの宇宙海賊」は、専用義体のために、50CPを消費します。残り950CP
2)技能に700CP以上
上記を消費して、最低400ポイントは能動技能(Active Skill)を、300ポイントは知識技能(Knowledge Skill)を習得しなければなりません。つまり、最低でも700点は技能に割り振られる訳です。
実際のところ、Aptitude(適性)を1点=10CPの単位で上げるのは特定のAptitude(適性)で使う技能が多い(せめて5個以上)場合以外には、有効ではないので、もっぱら判定値の上昇はこちらで行うことになるでしょう。
【例】「タコの宇宙海賊」は、戦闘で【機敏/COO】を使う技能が多いので、それを成長させることも考えつつ、700ポイントを技能のために取り置いておく。残り250CP。
3)Moxie(勇気)は5点以上にすべき
「エクリプス・フェイズ」のシステム回りは、%のスケールやリスク感覚として「クトゥルフ神話TRPG」などのケイオシアム社のベーシックRPGと似ています。同じ%系でも100%オーバーが頻出する『真・女神転生X』よりも、という意味です。そういう意味で、セッションでの活躍を支援するために判定に介入できるMoxie(勇気)は、非常に重要です。これは私個人の感覚ですが、やはり、5点以上は欲しいところです。初期値が1ですから、4点分、60CP以上を確保したいところです。
【例】「タコの宇宙海賊」は、Moxie(勇気)を5点に成長させることにした。60CPが消費される。残り190CP。
4)Repに使用できる上限は35CP
個々のRepの上限は80。できれば、メインのRepひとつを60以上にしたいし、20~40のRepが2~3あると、情報収集や装備の調達でも苦労しない。情報系ならマックスに、戦闘系でも、合計150~200は欲しい。サービスや情報の品質から20単位にするのがよい。
【例】「タコの宇宙海賊」は背景「クリミナル」なので、まずは、グアンジー(g-rep)に80、外惑星で有効そうなRepとして、ジ・@リスト(@-rep)とジ・アイ(i-rep)とRNA(r-rep)に40ずつを割り振り、合計200ポイントを割り振る。20CPを消費し、残り170CP。
5)装備を考えよう
あとは、どうしても買いたい装備がどれだけあるかで、詳しくは今後、装備や身体強化関係を読んでいただくしかありません。「エクリプス・フェイズ」の装備は、場所によって、価格が違うため、値段は大雑把に「Trivial/些細」「Low/安価」「Moderate/手頃」「High/高級」「Expensive/贅沢」に分かれています。
分類 クレジット 平均 CP換算
「Trivial/些細」 1-99 50 端数
「Low/安価」 100-499 250 端数
「Moderate/手頃」 500-1499 1000 1CP
「High/高級」 1500-9999 5000 5CP
「Expensive/贅沢」 10000+ 20000 20CP
通常の実体弾ライフルなら、「Moderate/手頃」あたりで、レールガンにすると、1ランク高い「High/高級」になります。プラズマ・ライフルは、「Expensive/贅沢」です。
【例】「タコの宇宙海賊」は、ネタとして、プラズマ・ライフル1丁とレーザー・パルサー3丁を確保したいと思います。前者が「Expensive/贅沢」、後者が「Moderate/手頃」なので、24CP分のクレジットがここに割り振られます。クレジットには最大限の100CPを割り振って身体強化などをする予定なので、残り70CP。
6)必要な特徴は?
最終的な残りをAptitude(適性)や技能で受け止めることにして、欲しい特徴(Trait)を取りましょう。
CPが残り少ない場合でも、負の特徴でCPを回収できます。
【例】「タコの宇宙海賊」は、せっかくある多数の腕を生かすため、複数の腕で光線銃が撃てるように、「両手利き(Ambidextrous)」(10CP)の特徴を複数取ります。2回取ると、3本の腕が利き腕扱いになります。これで3本の腕で光線銃が振り回せます。これで20CP、残り50CPで、Aptitude(適性)の【機敏/COO】を5点上げ、モーフ修正と合わせて、25+5=30にします。
適性 認識 機敏 直感 反射 経験 身体 意志
基本 10 25 15 15 15 15 15
モーフ +5 +5 +5
合計値 10 30 20 20 15 15 15特性値 勇気:5 理性:30 イニシアティブ:90
モーフ:オクトモーフ
特徴:両手利き(×2)
装備:プラズマ・ライフル×1、レーザー・パルサー×3【技能】
母国語:スペイン語
次は「技能」の予定。