JGC02：夜の深淵CON第一夜：ララシュを求めて

　JGC2011レポの続き。
　一日目の真夜中を超え、深夜一時からは、好例「夜の深淵CON」第一夜。

●夜の深淵CON第一夜：ララシュを求めて

　今年のテーマは、ハジの荒野。火龍に焼かれ、黒魔に蹂躙され、東方よりは蛮族に侵入され、はたまた、北原の戦乱の影響を受け、荒廃と混乱が続く荒野である。その荒野の奥、砂嵐の彼方に、妖精騎士の黄金の都ララシュが隠されていると言われている。
　朱鷺田もまた、ララシュの探索の物語を紡ぎました。今宵、運命の劇場に現れたのは、以下の５名でした。

・少年トニー
運命：森の結界（20年）、醜悪
　ライエルの末座司祭ギャランに仕える醜い少年。森の結界に囚われ、20年の時を飛び越えてしまう。

・夢見る案山子　（アーデルハイド）
運命：宿敵、奪われた肉体
　動く案山子。もともとは獅子の戦姫アーデルハイドであったが、何者かの呪いで案山子の身に封じられた。かつて、弟子として剣を教えた「呪われた天才剣士」リヒャルトとは宿敵の関係にある。

・騎士ランドルフ
運命：借金、幻視
　借金に追われ、火神教団の女性神官長、紅蓮の戦姫ウルスラに頼った騎士。

・原蛇の魔道師レイシキ
運命：禁じられた知識、魔法の武器（変身の首飾り→近親憎悪）
　魔道師学院で禁断の知識を学んだ魔道師。変身の首飾りを持つ。同門のラクイールとは憎みあう。

・異端イェロマーグ派の吟遊詩人　シャルル・ランスフォルト
運命：王者の相、滅びた貴族の子孫
　新たな叙事詩を求めて放浪する吟遊詩人。祖先の国を取り戻すための道を探している。

●ララシュを求めて

　ウルスラの命令を受けて、黄金の都ララシュを求め、旅だった一行は、ララシュへの手がかりを持つという不死の騎士グラニアの城へと向かう。グラニアは初版時代のリプレイ記事「不死者の城砦」に登場した異形の騎士である。魔族のおかげで不死の肉体を手に入れたが、魔道師学院から派遣された古鏡の魔道師とその仲間によって秘密を暴かれ、城もろとも、火龍に焼かれた。それでもグラニアは死なず、今もハジの荒野で最強の領主として黒魔の群れと戦い続いていたのである。

　到着した一行を迎える異形の騎士グラニア。その側近として、現れたのは、レイシキのライバルであった魔道師ラクール、アーデルハイドの宿敵たる魔剣士リヒャルト、さらに、獅子の戦姫アーデルハイド自身であった。
　ラクールの挑発を切り返し、レイシキはグラニアから、ララシュの場所は、黒魔の巫女たる黒天教の神官ナターシャ・スールが知っていることを聞き出す。
　案山子の中のアーデルハイドは、あえて、声を出さなかったが、アーデルハイドの肉体は何者かに奪われ、操られていることを知る。そして、今、アーデルハイドとリヒャルトは宿敵であると同時に恋仲でもあることを知る。
　さまざまな想いを抱えたまま、グラニアの城を去る一行。

　グラニアの助言のまま、荒野に分け入った一行は、廃墟となった村で黒魔を率いるナターシャと出会い、彼女を説得してララシュへと向かう。砂嵐を抜けてララシュの城壁にたどり着いた一行に、ラクールの双魚が襲いかかる。ラクール、リヒャルト、アーデルハイドの三人が、ララシュの秘宝を横取りするため、追ってきたのである。
　だが、騎士ランドルフは、ラクールこそ要と見抜き、馬上突撃で二人を交わし、ラクールを討ち果たす。呪いの護符が破壊され、案山子の中に封じられていた本物のアーデルハイドの魂が解放され、肉体を取り戻す。呪われたリヒャルトの魔剣を弾き飛ばし、彼の目を覚まさせるアーデルハイド。魔剣は打ち砕かれ、倒れ伏すリヒャルトを、アーデルハイドは今度こそ抱きしめる。

アーデルハイド：騎士殿、ここでお別れだ。私は彼を見捨てては行けぬ。
ランドルフ：では、我が遺言をあずかってはくれぬか？
アーデルハイド：騎士殿、なぜ？
ランドルフ：これも妻子のため。私はウルスラ殿との約束を果たすべくララシュに入らねばならぬゆえ。
シャルル：これは詩人として、付き従わざるをえませんな。
レイシキ：当然、探索をします。知識こそ我が人生。
トニー：司祭様のご命令ですから！

　かくして、道は分たれた。
　獅子の戦姫アーデルハイドはついに愛する者を取り戻し、故郷へと向かう道を選んだ。
　残る４人は、黄金の都の扉をくぐった。

～Fin～

　渦型のセッションでしたが、途中から運命が濃密に絡み合い、案山子の中の人と魔剣士の織りなす愛憎劇となって終わりました。ララシュの門前でロマンスが展開しようとは！