ファイアウォールへようこそ(17):エクリプス・フェイズ:AF10年の宗教
「エクリプス・フェイズ」の紹介17。
世界設定・編その4
この連載は、朱鷺田祐介が「エクリプス・フェイズ」をGMするための覚書的なものです。「エクリプス・フェイズ」は、「シャドウラン4th」のライン・ディベロッパーだったロブ・ボイルが作成した最新SF-RPGです。詳しくは、本ブログの「ファイアウォールにようこそ」、あるいは「エクリプス・フェイズ」関連エントリーを参照してください。
おかげ様で、翻訳が決定しました。
来年夏予定です。(朱鷺田は監修です。詳しくはこちらのエントリーをどうぞ)
未訳RPGの紹介ということで、手探りでやっている部分が多々ありますので、訳語の揺れはご容赦ください。現在、戦鎚傭兵団の待兼音二郎さんを中心に、訳語選定が進んでおりますので、順次、それに合わせていきます。
R&Rステーションで、体験会が予定されています。次回は10/29(土)の予定。
●AF10年の宗教事情
地球絶滅、宇宙への進出とエイリアンとのファースト・コンタクト、精神のデジタル化と義体への再装着(事実上の不死と転生)など、劇的な世界観の変化により、人々の信仰もまた大きな打撃を受けました。
AF(大破壊後)10年、太陽系に広がるトランスヒューマンたちの宗教は大きく変わりました。
●旧来の宗教
転生を否定し、エイリアンを否定してきたキリスト教とユダヤ教は大きなダメージを受けました。黙示録そのものというべき、地球絶滅の後、神の存在を維持出来なかったのです。現在も信徒はいますが、栄光は過去のものになりました。同じ流れを汲むイスラム教も激動の時代を迎えましたが、リベラルな視点、あるいは、より保守的な視点に分化して状況に適応しました。
>>>バチカンも、メッカも、エルサレムも、ティターンズの戦闘機械に破壊された今、彼らがどこに向かって礼拝するのか?
>>>キリスト教徒の場合、DNA分析でキリストがユダヤ人かアラブ人だと分かった時の方がよほどショックだったはずだ。まあ、2000年前から目を背けていただけだがな。
もともと転生の思想を持つヒンドゥー教は、義体の乗り換え、バックアップからの再生という新たな事態を、もともとの転生思想と調整して受け入れました。カースト制度もまた形を変え、チープな合成義体の持ち主を最下層に追いやる形になりました。
>>>カースト制度は、古代インドならでは、職能分担を含む社会制度であるが、それが宗教真理となって、既得権益と階級差別、搾取構造として「普遍化」した場合の弊害が大きい。せっかく、地球から解放されたのに、義体差別、知性化種差別などにすりかえられて生き残っているのは残念なばかりだ。
●新宗教
「大破壊」以降、新たな宗教が生まれました。
ネオ仏教は、ヒンドゥー教よりも明確な転生思想を持っていたことと、すぐれた宇宙観を持っていたことから、新時代に適応し、人々の心を救済しています。
技術創世論者は、地球の絶滅は神の啓示とし、ここから新たな創世が始まるとしています。彼らはヒンドゥー教からブラフマンを取り入れ、トランスヒューマンは神への進化していく新たな時代の始まりであると考えています。
>>>「神による天地創造」という幻想から逃れられない人々が今でも無数にいる訳だ。自分の義体が機械的に生産できることを考えると、進化させるより、作ったほうがいいと考えるらしいよ。
ややマイナーな存在である異星神格宗派(Xenodiesm)は、数百万年前の銀河宇宙に人類と文化の種をまいた偉大な神のごとき種族がいると信じています。彼らにとって、数少ない既知のエイリアン種族であるファクターとイクトミは、偉大なる異星種族からの使者、もしくは、彼らのメッセージをあずかってきた預言者であると考えられています。
>>>300万年前のエイリアン遺跡などを見れば、「神の指紋」でも信じたくなるかもしれない。
それはさておき、この宗派の人たちは、うかつにエイリアンの遺物を解放する傾向があり、再び、エクスサージェント・ウイルスの蔓延を招きかねない。警戒が必要だ。
PS:タコやオウムの知性化種が何を信仰しているかについては、あとでサプリメントの「Panopticon」を調べる予定。