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2008年1月 3日 (木)

永遠の冬【49】火龍の目覚め

 声が聞こえる。
 内なる声が……
 吼える、唸る、震える。
 それが運命と言うのか?

 ウィリス11歳の夏。
 少年は、吹雪の轟音を越え、運命の声を聞いた。

「火龍パーロ・ファキール」

 言われずともおそらく感じていた。
 遥かな声。
 あれは夢の中で、《冬翼》様と戦っていた霧の龍王。
 青ざめた鱗と黄金の瞳を持つ破壊の化身だ。

 一度、殺した。

 二度目は殺された。

 そして、三度目の時が来た。

 しかし、《冬翼》様は封じられたまま……。
 四面の顔を持つ首を失い……。

「だから、迎えに行くのだよ、ウィリス」
と、レディアスがほほ笑む。
「四方を見る者スクラ……それは偽りの存在」

 ウィリスはうなずいた。
 この身に感じるのは、《冬翼》様の気配である。
 確かに、この山の周囲には多くの力が眠っているが、山頂に感じる第一の力は、慣れ親しんだ冬の神のものであった。

 ならば、この封印を解くのは、お迎え役たるウィリスの仕事だ。

 そして、ウィリスは吼える声が聞こえた南の方角を振り返った。
 それは、もしかすると、故郷、グリスン谷の方角かもしれない。

「龍王はミスタクタイズ河下流に潜んでいる」
と、ディルスが言う。
「あの河を上下しながら、沿岸の村を襲っている」

 いずれ、グリスン谷にもたどり着くというのか?

「そういうことだ」とレディアスが答える。
「火龍との戦いのために、我らは魔族を解放する。
 対価は、永遠の冬」

 ウィリスはうなずいた。

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 そして、次なる物語は、グリスン谷へと戻る。

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