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2008年6月16日 (月)

永遠の冬【56】出陣


 時は来た。
 時は来た。
 時は来た。

 ただ声は響く。
 千年も万年も昔から、この時を待っていた。

 ウィリス11歳の夏。

 祈りが届いた瞬間――――
 ウィリスは「呑み込まれた」。

 封印が裂け、
 巨大な鎖が断ち切れ、
 アヴァター山頂上の結界そのものが、
 封じられた《冬翼様》の頭部とともに、
 上空へと吸い上げられる。

 ウィリスの体は、雪狼とともに舞い上がり、
 そのまま、《冬翼様》のお体に向かっていく。

 轟。
 風が吹き荒れる。

 寒くなどない。
 寒気はウィリスの友だ。

 気づくと、ウィリスは巨大な掌の上にいた。

 轟轟。
 風が渦巻く。
 それはおそらく、《冬翼様》の笑い声。

 そして、雄叫び。

「さあ、どこに行けばいい?」

 《冬神様》が叫ぶ。

 ウィリスはただ南を指差した。
 火龍の気配の方向。
 戦いの声が響くところ。

 轟轟轟。

 《冬翼様》は、風を蹴って走り出す。
 雪狼の群れが歓喜の雄叫びを上げ、その周囲を飛び回る。

 遥か彼方から雄叫びが上がる。
 あれは、「冬の祠」。
 万年の年月を待ちわびていたルーヴィディア・ウル様のお声。

 雷鳴が轟き、稲光が輝く。
 寒風の彼方、稲妻の魔神もまた推参しようというのか?

 そして、《冬翼様》は、ロクド山の深き峰へと飛ぶ。

 遥か南方、谷間深きあたりに、濃密な霧が渦巻いた。
 あれこそ龍の巣。

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 しばし、間が開いてしまいましたね。
 夏に向けて、イベントが続き、学校や締め切りも重なって色々多忙ですが、何とか、次回は来週に。

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